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地方ベンチャーの採用活動は難しい?その理由と採用を成功させるポイント
少子高齢化の進行により、多くの企業が人材不足という課題に直面しています。
特に地方ベンチャーは、都市部の企業に比べて採用が難しい状況にあるようです。
本記事では、なぜ地方ベンチャーの採用活動は難しいのか、地方ベンチャーが採用を成功させるためのポイントについて解説していきます。
目次
地方ベンチャーの採用活動が難しい理由
都市部の企業に比べて地方ベンチャーの採用活動が難しいといわれる背景には、大きく4つの理由があると考えられます。
1.生産年齢人口の減少と、東京一極集中
少子高齢化が進行する日本では、生産年齢人口(15~64歳)が減少し続けています。
総務省が公表しているデータによると、1995年の生産年齢人口は8,590万人(実績値)でしたが、2021年には7,450万人(推計値)となっており、さらに2050年には5,275万人まで減少すると予想されています。
参考:令和4年版 情報通信白書 | 生産年齢人口の減少 | 総務省
その一方で、東京圏については転入超過が続いており、特に20代が占める割合が大きくなっています。『国土交通白書2020』によると、東京圏への転入超過数のうち20代(20~24歳・25~29歳の合計)が占める割合は、2010年には66%でしたが、2018年には73%まで拡大しています。
地元では希望する大学や就職先が見つからないために、東京圏へ移住する若者が多いようです。
参考:国土交通白書 2020(第1節.2東京一極集中と地方への影響) | 国土交通省
これらのデータから、地方ではそもそも採用の対象となる人材が少なくなってきていることがわかります。
2.売り手市場が続いている
厚生労働省が公表している『一般職業紹介状況(令和5年4月分)』によると、2023年4月の有効求人倍率は1.32倍でした。有効求人倍率の推移を見ると、ここ数か月はほぼ横ばいで推移しています。
まだ新型コロナウイルス感染症の拡大前に比べると低い水準ですが、上下しながらも緩やかに回復しつつあるようです。
そして、就業地別の有効求人倍率を見ると、都市部よりも地方のほうが高い傾向が見られ、最高は福井県の1.95倍、最も低い神奈川県でも1.10倍となっています。
これらのデータから、全国的に売り手市場であり、地方においてはその傾向が顕著であることがわかります。
参考:一般職業紹介状況(令和5年4月分) | 厚生労働省(PDF)
3.安定性を求める若者が増えている
変化の激しい時代のため、就職先の企業に安定性を求める若者が増えているようです。厚生労働省のホームページでは、20~24歳が就職先を決めるにあたって何を重視しているかという調査結果が紹介されており、「企業の安定性」という回答が57.3%と最も多くなっています。
参考:コラム1-2-4図 働く目的及び就職先を決めるに当たって重視していること | 厚生労働省
今の若い世代は、「大企業である」ということよりも、「社員の定着率が高いかどうか」「福利厚生が充実しているか」といった部分で企業の安定性を判断する傾向が見られます。
ベンチャーは、企業としての歴史が浅いため定着率をアピールすることが難しく、また、大企業や中小企業に比べると福利厚生も手薄になってしまうことが多いため、安定性を感じてもらいにくいのかもしれません。これも、応募が集まりにくい理由の一つと考えられます。
4.求人を見つけてもらいにくい
ベンチャーは、大企業や中小企業に比べてブランド力や知名度が低いため、求人を出しても他社の求人に埋もれてしまい、求職者になかなか見つけてもらえないことがあります。
求人を見つけてもらうためには、応募経路や求職者との接点を増やす必要がありますが、ベンチャーはリソースが限られているため、採用活動を思うように拡大できないことも多いのです。
地方ベンチャーが採用を成功させる6つのポイント
では、地方ベンチャーが求める人材を確保するにはどうすればよいのでしょうか。ここからは、採用活動で成果を出すための6つのポイントを紹介します。
1.仕事内容やベンチャーならではの魅力をアピールする
厚生労働省が令和2年度に実施した調査によると、転職者が現在の勤め先を選んだ理由として最も多いのが「仕事の内容・職種に満足がいくから」(41.0%)、次いで「自分の技能・能力が活かせるから」(36.0%)、「労働条件(賃金以外)がよいから」(26.0%)となっています。
参考:令和2年度転職者実態調査の概況 | 厚生労働省(PDF)
このデータから、待遇よりも仕事内容やスキルアップを重視して転職先を選ぶ人が多いことがわかります。
求人を出してもなかなか応募が集まらないという場合は、自社の仕事内容や魅力を改めて整理し、どんな業務を任せたいか、どう成長できるかなどを求職者に正しく伝えてみましょう。
2.ターゲット層を広げる
新型コロナウイルス感染症の拡大をきっかけに、地方移住に対する関心が高まっています。
内閣府の調査では、年代別では20代が、地域別では東京23区在住者が、特に地方移住への関心を高く持っているという結果が出ています。
参考:新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査 | 内閣府(PDF)
地元だけでなく広い地域の求職者を対象に募集をかけ、地方移住に関心のある層にもアピールしてみましょう。
さらに、積極的に転職活動を行っている転職顕在層だけでなく、「よいところがあれば転職したい」「今すぐではないが転職を考えている」といった転職潜在層にも視野を広げてみると、採用活動の幅も広がります。
このように、今よりもターゲット層を広げることで、応募が集まりやすくなるでしょう。
3.地方で働くメリットを発信する
地方移住に関心のある求職者や、Uターン・Iターンを検討している求職者に向けて、自社サイトなどで、地方で働く魅力を発信しましょう。たとえば、
- 満員電車や交通渋滞といった通勤のストレスが少ない
- 生活費が安くなる
- 自然が豊かで、心にゆとりを持って生活できる
- 地元の新鮮でおいしい食材が食べられる
などが挙げられます。
また、Uターン・Iターン就職者が受け取れる助成金や補助金もあります。このような情報が得られると、求職者としても移住のハードルが下がります。
自治体の情報をチェックして、Uターン・Iターン就職者を対象とした補助金や助成金があれば、それらもアピールしてみてはいかがでしょうか。
4.採用活動にオンラインを活用する
会社説明会や面接が対面のみだと、時間や交通費がかかるため、せっかくターゲット層を広げても遠方からの応募は集まりにくくなります。
この距離というハンデを埋めるために、採用活動にオンラインを活用してみましょう。
会社説明会や面接だけでなく、SNSや動画を使った広報活動も自社の魅力を伝えるのに効果的です。
上記でもお伝えしたように、ベンチャーはブランド力や知名度が低いため、オンラインも活用して自社を知ってもらう機会をできるだけ多く作ることが重要です。
5.採用の幅を広げる
「地方だから」「ベンチャーだから」ではなく、採用基準が高すぎる、または条件が多すぎるために採用がうまくいかないという可能性もあります。
条件をMUST(必須条件)とWANT(歓迎条件)に分けて整理し、改めて求める人物像を明確にしてみましょう。
そして、「即戦力を採用するのではなく、新卒や未経験者を採用して育成できないか」というように、採用の幅を広げるための方法を検討してみましょう。
採用の幅を広げれば、応募が集まりやすくなるため、求める人材に出会える可能性も高まります。
6.ダイレクトリクルーティングを導入する
ダイレクトリクルーティングとは、企業側から求める人材に直接アプローチをかける採用手法です。
従来のハローワークや求人サイトなどでは、求職者からの応募を待つしかありませんが、ダイレクトリクルーティングは、ダイレクトリクルーティングサービスのデータベースから、企業自ら求める人材を探してアプローチします。
ブランド力や知名度が低くても、求める人材に自社を知ってもらうことができるため、ベンチャーにおすすめの採用手法といえるでしょう。
地方ベンチャーの採用取り組み事例
最後に、地方ベンチャーの採用取り組み事例を紹介します。
福岡県に本社を置く株式会社ヤマップは、登山やアウトドアに関するアプリの開発・運営などを行っている企業です。
採用活動では、自社サービスをブランディングすることが一番の採用広報になるという考えから、登山アプリ「YAMAP」のブランディングに力を入れています。
また、ペルソナを設定する際は、その人が見ているWeb媒体や使っているアプリ、家族構成、休日の過ごし方まで考え、そのうえで要件の調整を行っています。
プロジェクトや拡張予定の業務などの状況に応じて毎年採用を行っており、2023年時点での従業員数は約100名となっています。
HP:株式会社ヤマップ
地方ならではの魅力を積極的にアピールしよう
地方ベンチャーは、確かに大企業や中小企業に比べると人材を確保するのが難しいのが現状のようです。
しかし、新型コロナウイルス感染症を契機に地方移住に対する関心は高まっており、政府や自治体のUターン・Iターン支援の動きも活発になっています。
求める人材を確保するために、地方で働くメリットや自社の魅力を積極的に発信することで、採用を成功させることができるでしょう。
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