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少子高齢化により若年層の労働力人口が減少している今、多くの企業が人手不足の悩みを抱えています。
これから事業を成長させていかなければならないベンチャー企業が採用難の時代を乗り切るためには、採用活動をどのように取り組んでいけばよいのでしょうか。
ベンチャー企業が、人手不足に陥りやすい理由や退職する人の主な理由、大手企業でも採用が難しくなってきている現状について解説し、ベンチャー企業が採用活動を成功させるためのポイントと、おすすめの採用手法を紹介します。
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目次
なぜベンチャー企業は人手不足に陥りやすいのか
まずは、ベンチャー企業が人手不足に陥りやすい理由を解説します。
採用活動のリソース不足
ベンチャー企業は、大企業に比べて社員数自体が少ないため、採用活動にあたる人員がどうしても少なくなります。
創業期から最初の拡大期においては、経営者や社員が他の業務と兼務で採用活動を行っているケースも多く、採用活動に十分に時間を割くことができないことも多いです。また人事担当がいる場合も、まだ人数は少ないケースや評価制度設計など採用以外の人事業務も取り組まなくてはいけないため、採用に十分時間を割けないことも多いです。。
採用活動にコストをかけられない
採用活動には求人広告費や人材紹介料などコストがかかりますが、ベンチャー企業のなかには、採用活動に大きなコストをかけるのが難しいというケースもあります。
このように、採用活動にあたる人員と、かけることのできるコストが限られているため、「思うように採用活動を拡大できない」「大きな施策を実行できない」といった課題を抱えているベンチャー企業もあるのです。
ベンチャー向けの採用知見・ノウハウが不十分
大企業などの人事経験がある社員がいるというケースでよく見られるのが、新卒採用の経験がメインだったり、大企業の場合は企業の知名度が高く十分な求人数が確保しやすいため、面接で落とす選考を行う知見はあるが、母集団形成に苦戦するケースも多いです。
そのような場合は、ベンチャーとしての採用の経験が浅く採用のノウハウが不十分なため、ベンチャーやスタートアップとしての戦略的な採用活動を行えず、なかなか成果につながらないというケースも見られます。
ブランド力や認知度が低い
設立間もないベンチャー企業は、大企業に比べると、どうしてもブランド力や認知度が低くなります。そのため、求人募集をしても求職者から見つけてもらいにくく、応募が集まりにくいということが、ベンチャー企業が人手不足に陥りやすい原因の一つとして考えられます。
応募数を増やすためには、ターゲット選定や母集団形成の手法を見直す必要がありますが、見直し作業には人員と時間が必要になり、利用する求人サービスを増やすならその分の運用コストや費用もかかります。
しかし、前項で説明したように、ベンチャー企業のなかには採用活動に十分な人員とコストをかけられない企業もあり、採用活動の見直しや改善を十分に行うことができないというケースがあります。
ベンチャー企業に対してネガティブなイメージを持つ人もいる
ベンチャー企業に対しては、「裁量が大きい」「自由度が高い」などのポジティブなイメージがある一方で、ネガティブなイメージを持つ人もいます。たとえば、以下のようなイメージです。
- 業務負担が大きい
「残業が多く、休みが少なそう」「個人の業務範囲があいまいで仕事の幅が広そう」など - 社内制度が整っていない
「管理・指示系統が整っていなさそう」「きちんとした研修や評価制度がなさそう」など - 年収が下がる
「入社時点での年収ダウンは仕方ないとして、その後給与は上がるのだろうか」など
ベンチャー企業は、求職者が自社に対してこのようなイメージを抱いている可能性も考慮して、正しく自社の魅力を伝えられるよう工夫する必要があります。
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ベンチャー企業を退職する理由とは
ベンチャー企業は、人手不足に陥りやすいだけでなく離職率も高いと言われています。転職をする理由は人それぞれですが、ベンチャー企業の離職率が高い原因として考えられるものをいくつか紹介します。
労働時間が長い
先ほどベンチャー企業に対するネガティブなイメージとして「業務負担が大きい」を挙げましたが、実際にそうであるベンチャー企業もあります。
設立間もないベンチャー企業は成長過程にあり、人員も限られているため、一人あたり業務範囲が広く、量も多くなりがちです。その結果、労働時間が長くなってしまうこともあるでしょう。
長時間労働が続くと、社員の体調やメンタルヘルス不調につながる可能性や、社員のモチベーションが下がり離職してしまう恐れもあります。社員の健康を守り、離職を防ぐためにも、労働時間のルールを明確にして正しく管理することが重要です。
社内体制が整っていない
こちらも同じく、ベンチャー企業に対するネガティブなイメージとして挙げたものの一つです。実際に、社内体制が十分に整っていないベンチャー企業もあります。
たとえば、「サービス残業が当たり前になっている」、「ベテラン社員が少ないため新入社員に対する研修が短い」といったケースです。
厚生労働省の資料「令和2年転職者実態調査の概況」のなかの「離職理由」によると、理由として最も多いのが「労働条件(賃金以外)がよくなかったから」となっています。
採用した人材に自社で長く活躍してもらうために、前項の労働時間の管理も含め、福利厚生や人事評価など、きちんとした制度を整えておくことが大切です。
転職や独立を考えやすい
かつては終身雇用が一般的でしたが、ライフスタイルや働き方の多様化により、前向きな転職をする人が増えています。
ベンチャー企業にもよりますが、20~30代の若年層が多い傾向があります。そのため、年齢的にも再チャレンジしやすく、業務経験を重ねるなかで、前向きな転職や独立を考える人が多いと推測できます。
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大企業でも人材の採用が難しくなってきている
少子高齢化により若年層の労働力人口が減少しており、ブランド力や認知度がある大企業であっても優秀な人材の採用が難しくなってきています。新型コロナウイルス感染症の拡大により落ち込んだ有効求人倍率も、最近は徐々に回復し、売り手市場の傾向が続いている状況です。(令和4年度〜5年度の有効求人倍率は横ばい)
加えて、ライフスタイルの変化により働き方に対するニーズが多様化していることや、テクノロジーの進展やグローバル化により求める人材要件が高度化していることなども、採用が難しくなっている原因でしょう。
ベンチャー企業がこのような採用難の時代を乗り切るためには、採用活動に場当たり的に取り組むのではなく、ポイントを押さえて戦略的に取り組むことが大切です。次項で、そのポイントについて詳しく解説します。
ベンチャー企業が採用を成功させる8つのポイント
ここからは、採用を成功させる8つのポイントを一つずつ解説していきます。
1.ベンチャー企業だからこその魅力を打ち出す
以下のようにベンチャーだからこそ訴求できる魅力もあります。
例)
- 成長途中の分野や、将来性のある仕事、社会的意義が高い仕事に関われる
- 早いスピードで経営幹部へステップアップすることが可能
- 意思決定のスピードが速いのでさまざまな経験が積める
- 社内の幅広い領域の業務に携われる
- 働き方の改善・ユニークな福利厚生の事例(リモートワークやフレックス、子連れ出勤など)
これらのような自社を選んでもらう理由を、必要があれば経営層も交えて考え抜くことが重要です。
2.採用広報に力を入れる
採用広報とは、求職者や転職潜在層に自社を転職先として選んでもらうための広報活動のことです。
採用ピッチ、採用オウンドメディア、自社ブログ、SNSなどで企業のビジョンや仕事内容、働き方、職場の雰囲気などの情報を発信します。
採用広報に力を入れることで、企業の認知度が向上し、求人への応募数の増加が期待できます。また、企業のさまざまな情報を発信することで、求職者は実際に働く姿をイメージしやすくなるので、志望度の向上も期待できるでしょう。
採用広報のデメリットとしては、即効性がないため中長期的な視点で取り組む必要があるという点です。また、効果も見えにくいため、人員やコストに余裕がなく後回しになるケースも少なくありません。
しかし、採用広報の効果が発揮できれば長期的に人材を確保しやすくなります。人員やコスト面も考慮しながら、まずは小規模なものから始めてみてはいかがでしょうか。
参考:https://marugotoinc.jp/blog/recruitingpr/
3.経営層や現場の社員の協力をあおぐ
採用担当者だけで採用活動を行うのではなく、経営層や現場の社員にも協力をあおぎ、全社一丸となって取り組むことが、ベンチャー企業が採用を成功させるためにもっとも重要なポイントです。
たとえば、企業設立までの経緯や、将来のビジョン、社会にどのように貢献したいかといったことを、経営層から求職者に直接語ってもらうことも有効です。
経営層にメッセージを発信してもらうことで、企業の魅力が求職者に伝わりやすくなります。可能なら、ただメッセージを発信するだけでなく、経営層と求職者が直接会って話をする機会を設けると、より魅力づけがしやすくなります。
また、採用する人材が配属される部署の社員に、面接に同席してもらうのも良いでしょう。どんな業務をしているのか、入社後にどんなことを期待するのかを現場の社員に語ってもらうことで、求職者は入社後のイメージがしやすくなります。
4. 採用ペルソナに合わせた効果的な訴求をする
少子高齢化などの影響により大企業でも採用活動に苦戦する企業が増えています。このような状況で、競合他社ではなく、求める人材に自社が選ばれるためには、まずはターゲット層を明確にすることが重要です。ターゲット層を明確にすることで、求める人材に向けたピンポイントな訴求や、選考段階での魅力づけができる可能性が高まります。
また採用ポジションごとにペルソナを設計し、そのペルソナに伝えるべき訴求ポイント・自社の魅力を深掘りしていくことで、求める人材に向けた効果的なアプローチ、魅力づけができるようになります。
また求人媒体にも、中途採用に強い求人媒体やエンジニア専門の求人媒体など、それぞれ特徴があります。
ターゲット層やペルソナを明確にすることで、求める人材に適した求人媒体を選択できるため、効率的に採用活動を進められます。また、採用ミスマッチを防ぐことにもつながります。
ターゲットやペルソナを設定する際は、ただ高度な要件を満たす人材を求めるのではなく、事業計画をもとにどのような人材が何人必要かを考えます。その後に求める要件をピックアップし、MUST(必須条件)とWANT(十分条件)に分け、ターゲット設計を行うことがポイントです。
参考:https://marugotoinc.jp/blog/recruitingtarget/
5. ITツールやシステムを導入する
ITツールやシステムを導入することで、限られた人員でも効率的に採用活動を進められます。代表的な例として、採用活動の一連の流れを一元管理できる採用管理システム(ATS)や日程調整ツールが挙げられます。
- ATSの導入
システムによって異なりますが、求人情報や求人票の一元管理、応募者情報の自動取り込み、応募者とのやり取りや、選考情報の管理といった機能が備わっていることが多いです。
- 日程調整ツールの導入
日程調整ツールを導入することで候補者とのやり取りや社内でのスケジュールの仮押さえが少なくなり、日程調整にかかる工数を大幅に削減できます。またカレンダーとの連携で、登録もれや連携もれ、ダブルブッキングなどのミスも予防できるます。またツールによってはオンライン面接システムのURLも直接発行できるものもあります。
このほかにも、インターネットを利用してパソコンやスマホで面接ができるオンライン面接システムや、企業説明会や面接時の受付業務を簡素化するための受付システムなど、採用活動を効率化できるさまざまなシステムが開発されています。利用する目的を明確にして、コスト面も十分に考慮して導入しましょう。
6. 転職潜在層にもアプローチする
転職潜在層とは、転職の意欲はあるものの転職活動は行っていない人たちの層を指します。このような層は積極的に転職先を探しているわけではないため、求人サイトや人材紹介に登録まではしていないこともあるでしょう。そのため、従来の採用手法では転職潜在層にアプローチすることは難しいです。
採用難の時代に優秀な人材を採用するため、企業側から転職潜在層にアプローチする新たな採用手法に取り組む企業が増えています。
たとえば、既存社員に知り合いや友人を紹介してもらう「リファラル採用」、スカウトメールで求める人材に直接アプローチする「ダイレクトリクルーティング」などが挙げられます。
これらの採用手法は、企業側で候補者を選定し、アプローチできるため、求める人材や転職潜在層にも出会いやすいというメリットがあります。
一方デメリットとしては、ベンチャー企業はポジション毎の募集人数も少なく、採用ニーズも移り変わることが多い(今募集しているポジションも、数カ月後には募集していないかも)点や、マンパワー不足なので、すぐに転職するわけではない人に面談対応する余裕はないことも多い点、タレントプールしながら潜在層との定期的なアプローチをするには工数がかかる点があげられます。
7.スキルを見極める
採用ミスマッチや早期離職を防ぐためにも、求職者のスキルを正しく見極めることが大切です。そのために、まずは求める人材要件を明確に設定しましょう。要件を設定する際は、実際に採用した人材が働くことになる部署や現場の声を取り入れることでマッチングの精度が向上します。
また、採用ポジションの専門性が高い場合は特に見極めが難しいので、面接にはその部署で働く社員など専門知識を持った人に同席してもらうのがおすすめです。
そのほかの方法としては、適性検査や課題提出、インターンシップなども有効です。
8. カルチャーフィットを見極める
カルチャーフィットとは、企業独自の文化への適応を指します。スキルや経験が十分な人材でも、企業と価値観が合わなければ、能力を発揮できなかったり、人間関係でトラブルになってしまったりする可能性があります。採用後に自社で長く活躍してもらうためにも重視すべきポイントです。
カルチャーフィットを重視した採用活動を行うには、まず自社の文化を定義し、求める人材要件に反映させましょう。
選考段階でカルチャーフィットする人材かどうかを見極める方法としては、求職者と相互理解を深められるような接点をできるだけ多く持つことがポイントとなり、適性検査、インターンシップ、カジュアル面談などが挙げられます。
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ベンチャー企業におすすめの採用手法
ここからは、ベンチャー企業におすすめの採用手法を3つ紹介します。それぞれにメリット・デメリットがありますので、十分検討して自社に合った手法を取り入れましょう。
1.リファラル採用
リファラル採用とは、既存社員の知り合いや友人のなかから、人材要件にマッチする人材を紹介してもらう採用手法です。
人材を紹介してくれた社員にインセンティブを設けることはありますが、求人広告の掲載料や人材紹介会社などの外部費用がかからないため、サービス利用した場合と比較すると大きくコストを抑えることができます。そのため、採用活動のコストを抑えたいと考えるベンチャー企業におすすめです。
また、自社の理念や業務内容等を深く理解している社員による紹介であるため、自社にマッチする人材に出会いやすいというメリットもあります。
デメリットは、採用後の人材配置や、不採用となった場合の人間関係に配慮が必要であるという点です。紹介者である社員が自社の求める要件を正しく把握できていないと、採用ミスマッチが起こる可能性もあります。また社員を巻き込むためのアクションや社内体制の構築、定期的な情報発信を行う必要もあります。
社員の協力を得られるよう、企業がリファラル採用に取り組む理由や目的を社員に伝えて理解してもらいましょう。また、インセンティブを与える基準やタイミングを明確にするといったことも大切です。
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2.ダイレクトリクルーティング
ダイレクトリクルーティングとは、ダイレクトスカウトサービスのデータベースのなかから、企業自らが人材要件に合う人材を探し出し、スカウトメールで求職者に直接アプローチをかける採用手法です。
求人サイトや人材紹介といった従来の採用手法は、求職者からの応募を「待つ」しかありませんでした。しかし、ダイレクトリクルーティングは企業側から求職者にアプローチをできる採用手法のため「攻めの採用」と言われています。
ダイレクトリクルーティングは、企業側で要件に合う人材を探すため、求める人材に出会いやすいというメリットもあります。大企業のように知名度が高くないベンチャー企業でも、企業の存在を知ってもらい、自社の魅力を直接アピールすることができます。
また、利用するダイレクトスカウトサービスの料金体系にもよりますが、人材紹介を利用するよりもコストを抑えられる場合があります。そのため、現在人材紹介を利用しているがコストを抑えたいというベンチャー企業におすすめです。
ダイレクトリクルーティングは、候補者のピックアップ、スカウト文面の作成、スカウトメールの送信、その後のメッセージのやり取りなど、ほかの採用手法と比べて工数が多いため、採用担当者の業務負担が増えるという点がデメリットです。また、ある程度のノウハウがなければ短期間で効果は得られにくいため、中長期的な視点で取り組む必要があります。
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3.人材紹介
人材紹介とは、転職エージェントが企業と求職者の間に入り、要件が合う場合にマッチングさせるサービスです。人材紹介は、企業にただ人材を紹介するだけでなく、選考や面接日程の調整など、幅広く採用活動をサポートしてくれます。
人材紹介の料金体系は、採用が成功した際に紹介手数料が発生する「成功報酬型」がほとんどです。そのため、初期費用を抑えながら採用活動を始めたいというベンチャー企業におすすめです。また、工数をかけずに求める人材をピンポイントで紹介してもらえることや、転職のプロである転職エージェントのアドバイスを得られるというメリットもあります。
デメリットとしては、採用が成功した際の紹介手数料が求人広告の掲載料や求人サイトの利用料に比べると高額であることが挙げられます。
メリット | デメリット | |
リファラル採用 |
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ダイレクトリクルーティング |
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人材紹介 |
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ポイントを押さえて人手不足を解消しよう
少子高齢化、ライフスタイルや働き方の多様化、テクノロジーの進展、グローバル化などの影響で、近年は大企業でも人材の採用が難しくなってきています。ベンチャー企業はコストや人員面でもリソースが不足するため、ターゲットに対してしっかりと戦略を立て、効率的かつ効果的な採用活動を行っていきましょう。
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