お役立ち情報
「優秀な人材からの応募が集まらない」、「選考を辞退されてしまう」、「採用してもすぐ辞めてしまう」など、採用に関する課題はさまざまです。
そういった採用課題を把握し、効果的な採用活動をおこなうために有効なのが、採用プロセスです。
今回は一般的な採用プロセスとはなにか、採用プロセスにおける課題の見つけ方や改善方法を解説します。
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目次
採用プロセスとは
採用プロセスとは採用活動全体の流れを指し、採用計画の立案から、入社後までの採用活動をフローにしたものです。
採用プロセスを策定することで、プロセスごとの課題を把握しやすくなり、必要な改善策を立てやすくなります。
一般的な採用プロセス
一般的に採用プロセスは大きく分けて「採用計画の策定」・「求人の募集」・「カジュアル面談・会社説明会の実施」・「選考」・「内定者フォロー」・「入社」の6つの段階に分かれています。それぞれについて解説していきます。
1. 採用計画の策定
前提として採用活動は、企業の事業計画やビジョンを実現するための手段です。
そのため、事業計画を把握し、自社の方向性に合った採用計画を立てることが重要です。自社のビジョンの達成や、事業や組織が抱える課題を解決するために、「いつまでに」、「どのような人材を」、「何人採用する必要があるのか」といった全体像を設計する必要があります。
また、採用計画の策定にあたっては、現場との認識を合わせることも重要です。
採用活動は採用した人材が定着し、活躍してもらうまでがゴールです。採用した人材が入社後に期待していた現場で活躍ができなかったり、早期に離職をしてしまったりするのは、企業にとって大きな損失となってしまいます。
そのため、現場のニーズと採用計画に齟齬がないように計画を立てましょう。
参考:採用計画の立て方を徹底解説!9つのステップと求める人材を採用するためのポイント
2. 求人の募集
採用計画の策定後、求人の募集をおこないます。
募集の目的は自社が求める人材から応募をしてもらうことです。そのためには採用目標、募集職種、予算などを踏まえて自社に合った募集方法、サービスを選ぶことがポイントです。募集については、二段階に分かれており、採用チャネルの選定と、募集文やスカウトメール文の作成があります。
2-1. 採用チャネルの選定
募集方法には、採用媒体への掲載や人材紹介会社の活用、スカウトメールの送信、リファラル採用など多くの種類があり、それぞれ特徴が異なります。
さらに募集方法によって、さまざまなサービスが展開されているものもあります。
たとえば、人材紹介の場合には、特定の職種やハイレイヤーに特化したサービス、新卒・中途採用向けそれぞれに特化したサービスなど幅広い種類があり、目的によって選ぶサービスも異なるでしょう。
募集をスムーズにおこなうためには、それぞれの募集方法やサービスごとの特徴を把握し、自社に合った方法を選ぶ必要があります。
募集方法やサービス選びに悩む場合には、採用の知見をもった採用代行サービス(RPO)に相談したり、各サービスの担当者に特徴をヒアリングしたりして、情報収集をおこなうのもよいでしょう。
各方法の特徴やメリット、デメリットは下記の記事も参考にしてみてください。
参考:人材募集の方法11選!方法ごとのメリット・デメリット、ケース別の選び方を解説
2-2. 募集文・スカウトメール文の作成
採用チャネルの選定ができたら、募集文・スカウトメール文を作成していきます。
求職者は数ある求人から、応募するかどうかの判断をおこなっているため、求職者に「自分のための求人だ」と魅力を感じてもらうことがポイントです。
応募につなげるためには、自社の採用サイトや各媒体に記載する募集文、求職者に送信するスカウトメール文で、自社の魅力をわかりやすく求職者に伝える必要があります。
募集文やスカウトメールの書き方や手順は、下記の記事も参考にしてみてください。
参考:魅力的な採用キャッチコピーの作り方とは?求人タイトル・募集文作成のポイントを解説
3. 会社説明会・カジュアル面談の実施
選考に進む前に、求職者に自社への関心や自社理解を深めてもらうために、会社説明会やカジュアル面談を実施するのも有効です。
新卒採用の場合は、会社説明会を実施するのが一般的で、企業の会社の方針や事業内容といった基本情報から、各部署の業務内容などを学生に向けて一斉に説明します。説明会は自社開催だけでなく、合同説明会などの外部のイベントに参加するといった方法もあります。
中途採用で実施されることが多いカジュアル面談は、選考前に求職者と社員がカジュアルに話をして、相互理解を深める機会として実施されます。会社説明会とは異なり、個別で実施することが多いですが、選考の要素はありません。
いずれの取り組みも自社理解を深めてもらうことで、入社後のギャップを低減する効果が見込めるため、採用ミスマッチの抑制にも有効と言えます。
4. 選考
選考では、求職者が自社に入社してほしい人材かどうかの見極めをおこないます。
選考方法としては下記が挙げられます。
- 書類選考(履歴書、職務経歴書、エントリーシート)
- 適性検査(能力検査、性格診断)
- 面接(個人面接・集団面接・グループワーク)
企業によっては筆記試験や適性検査を実施し、一般常識や能力を測り、能力や人柄が自社に合うかの判断材料とする場合もあります。
中途採用の書類選考は、履歴書、職務経歴書をもとに選考をおこなう場合が多く、新卒採用では、履歴書やエントリーシートをもとに実施をします。
また、中途採用の面接は、一般的に1〜3回おこなわれることが多く、それぞれ1対1で実施される場合が多いです。一方で、新卒採用の面接には、1対1の面接だけでなく集団面接やグループワークを取り入れることもあります。
近年ではオンラインによる選考が主流になりつつあるため、時代の変化に合わせて、オンラインでの選考も実施できるよう準備をしておくと安心です。
5. 内定者フォロー
最終面接を通過した求職者に対して、内定通知をおこないます。
採用活動は採用した人材が自社に定着し、活躍してもらうまでがゴールです。そのため、内定承諾後には、入社までの内定者フォローが重要です。
内定者フォローの目的は内定辞退を防ぐことです。
たとえば、自社理解を促すために情報提供をしたり、内定辞退につながる要因があれば、対応したりといったフォローをおこないます。
特に新卒採用においては、一般的に内定から入社までの期間が長くなりがちです。内定式や内定者の交流会といったイベントの実施に加え、先輩社員との交流を通じたフォローをおこなう企業も多くあります。
6. 入社
入社日に必要な事務手続きやオリエンテーションを実施し、採用活動は終了となります。
入社後には採用した人材に定着してもらうよう、早期離職を防ぐためのフォローも欠かせません。
会社や組織、業界理解を深めるための研修を実施したり、社員との人間関係の構築するための交流会を実施したりするなど、入社後のフォロー体制も検討しておきましょう。
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採用課題を把握するためのポイント
採用がうまくいっていない場合、採用プロセスを振り返ることで課題を発見し、改善につなげやすくなります。
ここでは採用の課題を見つけるための視点を3つのポイントから紹介します。
1. プロセスごとの歩留まりを把握する
採用における歩留まりとは、選考過程で次のプロセスに進んでいる割合を指します。
採用活動における具体的な歩留まりとして、下記が挙げられます。
- 応募率
- 書類通過率
- 選考通過率
- 内定承諾率
プロセスごとの歩留まりを把握することで、どこに課題があるかを想定でき、対策を講じやすくなります。
たとえば、特定の面接で通過率が極端に低い場合には、採用基準に問題がないか、面接の属人化がないか、といった仮説が立てられます。ほかにも、内定承諾率が低い場合には、面接での魅力づけがうまくいっていない、選考のスピードが遅い、といった仮説が立てられます。
2. 採用コストを把握する
採用コストの把握をすることで課題を見つけられることもあります。
採用コストとは、総じて企業が人材を採用する際にかかる費用を指します。ここでは、外部コストと内部コストの2つに分けて解説していきます。
2-1. 外部コストを把握する
採用における外部コストとは、求人媒体への掲載費用や人材紹介に支払う成功報酬費用など、外部に支払う費用全般を指します。
一人あたりの採用コストが高くなっている場合は、採用チャネルが自社の採用目標や自社が求める人材に合っていない可能性があります。
たとえば、スカウト型採用の場合、中途採用の成功報酬は、採用した人材の理論年収額の約15%に加えて、掲載費用や初期費用などがかかります。それに対して、人材紹介を利用する場合、成功報酬は約35%になり、スカウト型採用と比べると割高です。
そのため、採用目標人数が多い場合に人材紹介を利用すると、採用コストが高くなるなど、利用する媒体によって外部コストは異なります。
また、求人を掲載しても自社が求める人材からの応募がない場合には、媒体の登録者と自社が求める人材の志向性が合っていない可能性があります。このような場合も費用対効果が見込めていない状態と言えるでしょう。
外部コストを把握し、費用対効果を確認することで適切な採用チャネルの選定に役立ち、採用活動の改善につながります。
2-2. 内部コストを把握する
採用における内部コストとは、採用担当者や面接官の採用業務にかかる人件費などの、社内の採用業務にかかる費用全般を指します。
内部コストが高い場合には、社内にかかる費用が高い状態であり、募集や候補者対応のフローが合っていない、選考プロセスが適切でないなど、採用活動全般が効率よく進んでいない可能性があります。
内部コストを把握することで、候補者対応のフローや体制の見直しにつなげ、採用プロセスの改善に役立てましょう。
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【パターン別】採用プロセスの改善に向けた5つのポイント
採用プロセスを振り返ることができたら、課題に応じて見直しをおこなっていきます。
ここでは課題ごとに見直しのポイントを解説します。
1. 応募数が少ない場合
応募数が少ない要因として、求人票や募集文、スカウトメール文で自社の魅力が伝わっていない、求人媒体に自社の求める人材があまり登録していないなどが考えられます。
1-1. 募集文・スカウトメール文を改善する
応募が少ない場合には、求人票や募集文、スカウトメール文で自社の魅力が伝わっていない可能性があります。
求職者は多くの求人から応募するかどうかの判断をおこなっています。応募につなげるためには自社の魅力を端的に分かりやすく伝えることがポイントです。
たとえば、「なにをやっている会社か」、「どのようなメンバーがいるのか」、「どのような業務をするのか」といった具体的な情報記載し、求職者に魅力を的確に伝えられるよう意識しましょう。
1-2. 採用チャネルを見直す
魅力的な求人票であっても、掲載した媒体に自社が求める人材の登録が少ない場合には効果的な応募は見込めません。
採用媒体にはそれぞれ特徴があり、登録している人材の属性や志向性もさまざまです。
たとえば、若手や第二新卒層が多く登録しているサービス、ハイレイヤーの人材が多く登録している媒体などが挙げられます。
そのため、媒体の特徴を把握し、自社が求める人材の属性や志向性に合った採用媒体やサービスを選ぶことが重要です。
1-3. 求人の掲載数・スカウトメール送信数を調整する
求人の掲載先が少なかったり、スカウトメールの送信数が少なかったりなど、応募を促す活動の絶対量が足りていない場合も募集に苦戦します。
応募数の目標から逆算して、求職者へのアプローチをおこないましょう。
たとえば、求人媒体に掲載の申し込みをする際には、募集職種での実績データを担当者に確認し、「どのくらいの人数の応募がありそうか」を把握したうえで、掲載する媒体数を調整します。
また、スカウトメールの送信数も目標の応募数に応じて、送信数を調整する、返信率を参考に文面を改善する、といった対応をおこないましょう。
1-4. 人材要件を見直す
人材要件が厳しい場合も、採用市場に該当する人材がおらず、募集に苦戦する場合があります。
人材要件とは、業務内容や自社のカルチャーなどを踏まえて設定され、遂行に必要なスキル、能力、パーソナリティや志向性といった観点をもとに設定します。
また、要件の中で必須条件、歓迎条件などの優先順位をつけると、応募状況によって要件の調整がしやすくなります。
たとえば、設定した人材要件で募集をおこなっても応募が極端に少ない場合には、人材要件が厳しい可能性があるため、要件の緩和も検討しましょう。
人材要件を設定する際には、採用市場やトレンドも踏まえて適切な要件を設定し、設定後は応募状況によって要件を見直すことも必要です。
参考:採用ターゲット設定の重要性、設定にあたってのステップやポイントを解説
2. 書類通過率・面接通過率が低い場合
選考の通過率が低い場合には、選考基準の見直しや選考の役割分担を整理しましょう。
2-1. 選考基準を明確にする
不通過が多い場合は、選考基準が詳細まで定まっておらず、面接官ごとの判断にバラつきがある可能性があります。このような場合には選考基準を一度見直しましょう。
選考基準は「項目」と、項目ごとの到達度を評価する「尺度」の2つがあります。項目ではスキルや能力などの定量面だけでなく、思考力や人間性などの定性面を評価することも重要です。
各項目・尺度に対して「どの項目で、どのくらいの尺度を満たしていればよいか」を定義することで、面接官ごとのバラつきを低減することができます。
選考基準を見直した後は、関係者に情報を共有し、通過率の改善につながっているかどうか、経過を確認しましょう。
2-2. 各選考で見極めるポイントを明確にする
選考の各ステップで、求職者のなにを見極めるかが明確になっていない場合も、面接の質に影響し、選考の通過率が低くなる要因のひとつです。
たとえば、一次面接ではカルチャーフィットを、二次面接ではスキルや現場メンバーとのコミュニケーションを見極めるといったように、面接ごとの役割を明確にするとよいでしょう。
面接ごとに見極めるポイントが明確になり、本来通過させるべき人材を不通過にしてしまうリスクを低減できます。
3. 選考辞退率・内定辞退率が高い場合
辞退率が高い場合には、選考フローの見直しを検討しましょう。選考段階にも、自社への理解を深めてもらい、志望意欲を醸成させることが重要です。
3-1. 選考フローを見直す
選考辞退や内定辞退が多いときは、選考フローの見直しが必要です。
選考辞退の理由として、自社への理解が深まっていなかったり、魅力を感じてもらえていなかったりといった要因から志望意欲を高められていない場合が考えられます。
選考前だけでなく、選考段階でも、求職者の自社理解を深める、魅力づけをおこなうプロセスを取り入れるのが効果的です。
たとえば、カジュアル面談を導入して、自社と求職者が相互理解をする機会をつくる、選考途中で社員から話を聞ける機会を設ける、といった取り組みが挙げられます。
3-2. 選考通過の連絡を迅速におこなう
選考通過の連絡をスピーディーにおこなうことで、選考辞退や内定辞退の抑制につながります。
求職者は複数の企業の選考を受けていることが多いため、通過の連絡に時間をかけてしまうと、選考が進んでいる企業を優先したり、先に内定が出た企業を選んでしまったりといった事態が起こり得ます。そのため、通過の連絡は迅速におこない、求職者が他社に内定を決めてしまうリスクを低減することが重要です。
たとえば、採用管理システムを導入して応募者の選考状況の把握をしやすくする、採用代行サービス(RPO)を活用して応募者対応を依頼する、といった対策が挙げられます。
3-3. 内定者フォローを強化する
内定辞退を防ぐには、内定者フォローの強化が重要となります。
内定辞退の理由はさまざまですが、内定後に業務や人間関係への不安が生じるなどが挙げられます。
内定後には詳細な業務内容を説明する、一緒に働くメンバーと交流の機会を設けるなど、内定者の不安を払拭することが重要です。
また、内定辞退の兆候を見逃さないよう、採用担当者が内定者と定期的にコミュニケーションを取ることもポイントです。
内定者フォローの詳しい方法は下記の記事も参考にしてみてください。
参考:内定者フォローの目的や流れ、内定辞退を防ぐためのポイントを解説
4. 早期離職率が高い場合
早期離職の要因として、求職者が入社前の印象と、入社後の実態にギャップが生じることが挙げられます。入社前後のギャップをなくすためには、選考中や内定後に自社への理解を深めてもらうことが重要です。
また、入社後には、採用した人材が社内で活躍できるようフォローをおこないましょう。
4-1. 入社前後のギャップをなくす
入社前後のギャップをなくすためには、自社のポジティブな面だけではなく、課題も含めた実態を伝え、正しく理解してもらうことが重要です。
たとえば、カジュアル面談を導入して求職者と企業間が相互理解できる場を設ける、一緒に働くメンバーと会話をする機会をつくるといった取り組みが挙げられます。
4-2. オンボーディングを見直す
入社後のフォローが不十分な場合も、早期退職につながるリスクと言えます。
オンボーディングとは、入社した人材にいち早く職場に慣れてもらうことで、組織への定着・戦力化を促すための取り組みです。
たとえば、オリエンテーションや研修を実施して会社や事業、組織に関する理解を深めてもらう、社員との懇親の場を設けて人間関係の構築をしてもらうといった取り組みが挙げられます。
また、定期的に1on1を実施して入社者が抱えている不安を把握し、早期離職の兆候があれば、必要な対策を講じることが重要です。
採用プロセスの改善によって、効果的な採用活動をおこないましょう
本記事では一般的な採用プロセスや課題の発見方法、改善に向けた対応方法を紹介しました。
採用成功には、自社に合った採用プロセスの策定と、運用を進めるなかでの改善がポイントです。
採用プロセスを改善していくために、プロセスのどの段階で課題が発生しているのか、数値やデータをもとに客観的に把握しましょう。把握した課題をもとに要因を見極め、対策を講じることが重要です。
ぜひ、本記事で紹介したポイントをもとに、自社に合った採用プロセスを確立し、効果的な採用活動に役立ててください。
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