お役立ち情報
顧客(カスタマー)が商品やサービスを認知してから購入するまでの一連の流れにおける体験を、「CX(カスタマーエクスペリエンス)」といいます。
一方、採用CXの「CX」は、キャンディデイトエクスペリエンス(Candidate Experience)の頭文字を取ったものです。日本語に訳すと「候補者体験」となります。
今回は、採用CXとは何か、注目されている背景や、注力するメリットを紹介します。さらに、逆に採用CXに注力しないとどのようなリスクがあるのか、基本的な設計方法まで、わかりやすく解説します。
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目次
採用CX(候補者体験)とは
採用CXとは、採用活動の各フェーズにおいて、候補者に良い体験を届けようとする取り組みのことです。
優秀な人材を獲得するために、競合と差別化して、自社のファンを獲得することを狙いとしています。
そのために、選考の結果にかかわらず、自社の選考を受けてくれたすべての候補者に、「この企業の選考を受けて良かった」と感じてもらえるような体験を提供することが重要です。
採用CX(候補者体験)が注目されている背景
採用CXが注目されるようになってきたのは、企業が人材を「選ぶ」のではなく、候補者から「選ばれる」企業にならなければ、採用が難しい時代になっているためです。その背景には、大きく二つの理由があります。
一つは、少子高齢化です。日本では、生産年齢人口(15~64歳)が減少し続けており、多くの職種で人手不足が深刻な課題となっています。有効求人倍率も高い水準で推移しており、「売り手市場」が続いている状況です。
もう一つは、人材の流動性の高まりです。かつての日本は、終身雇用制度が一般的でしたが、価値観や働き方の多様化により、前向きな理由での転職が常識となりつつあります。
このような理由から、人材の獲得競争が激化しており、企業の採用力を強化するために、採用CXの重要性が高まっているのです。
また、最近は、SNSや口コミサイトに投稿されている企業のネガティブな情報を見て、選考辞退を決める候補者も少なくありません。採用CXを向上させることで、このような辞退のリスクも軽減できるでしょう。
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採用CX(候補者体験)に注力するメリット
では、採用CXに取り組むことで、具体的にどのようなメリットが得られるのでしょうか。
候補者の志望度が上がり、歩留まりが改善する
採用活動の中で、次の採用フェーズに進んだ人の割合を「歩留まり」といいます。選考を通過した人が少ないほど、歩留まりは低くなりますので、辞退者が増えると当然歩留まりは低下します。
辞退者を減らし、歩留まりを改善するために重要なのが、各フェーズでの動機づけです。採用CXに注力することで、候補者は各フェーズでさまざまな良い体験をすることになります。自社に良い印象を持ってくれたり、ファンになってくれたりするかもしれません。また、候補者の視点で採用CXを考え、工夫することで、候補者の不安や疑問を解消できることもあるでしょう。その結果として、志望度が向上し、歩留まりの改善も期待できます。
リピーターを獲得できる
ここでのリピーターとは、別のタイミングで再び自社の求人に応募してくれたり、周囲に自社の魅力を伝えてくれたりする人のことです。
今回は採用に至らなかったとしても、候補者が自社に対して良い印象を持ってくれれば、要件にマッチする別の人材を紹介してくれることもあるかもしれません。また、次回応募してくれる時には、候補者も自社のことを理解した上で応募してくれているはずなので、マッチング度合いが高まっている可能性があり、採用につながることもあるでしょう。
さらに、リピーターを獲得できれば、タレントプールの構築も進みます。タレントプールとは、将来的に採用候補になり得る人材の情報を蓄積させていくデータベースのことです。タレントプールを構築することで、中長期的に人材を確保しやすくなります。
候補者が自社の良い情報を発信・拡散してくれる
候補者に良い体験を提供できれば、その候補者が、自分が体験したことや自社の情報を、SNSや口コミサイトなどで発信してくれるかもしれません。多くのSNSには、ユーザー同士で情報を拡散できる機能がついていますので、魅力的な情報は瞬く間に広がっていきます。拡散された情報を見て、初めて自社を認知してくれる人もいるでしょう。より多くの人に自社を知ってもらうことができれば、応募が集まりやすくなり、求める人材に出会える確率も高まります。
エンゲージメントが向上する
エンゲージメントとは、簡単にいうと社員の「愛社精神」や、企業に対する「貢献意欲」のことです。エンゲージメントは、企業の生産性や業績にも影響を与えます。そのため、エンゲージメント向上に取り組む企業も増えています。
採用CXを向上させることで、採用前から候補者のエンゲージメントを高めることができます。エンゲージメントの高い状態で入社してもらうことで、早い段階での定着・活躍が期待できるでしょう。
また、エンゲージメントの高い社員が増えれば、「働きやすい職場」「優秀な人材が多い企業」というブランドイメージも高められます。いきいきと働く社員の姿や、職場の雰囲気などを発信すれば、応募も集まりやすくなるでしょう。
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採用CX(候補者体験)に注力しないことによるリスク
採用CXに取り組むことで、さまざまなメリットが得られることがわかりました。では逆に、採用CXに取り組まないと、どのようなリスクがあるのでしょうか。
応募が減り、辞退者が増える
採用CXに取り組まないと、他社に比べて自社の印象が薄くなり、候補者が他社に流れやすくなります。また、最近は選考を受ける企業のことを、SNSや口コミサイトなどでリサーチする人が多いので、情報が少ないと、応募も集まりにくくなるでしょう。
さらに、嫌な体験をした候補者が、企業のイメージダウンにつながるような情報を、インターネットで発信することもあるかもしれません。その情報を見て、応募するのをやめる人や、選考を辞退する候補者が出てくる可能性もあります。
このように、採用CXに取り組まなければ、企業の認知度やイメージの低下により、応募者の減少や辞退者の増加につながるリスクがあります。
自社に対してネガティブな印象を持たれる
候補者に「この企業の選考を受けなければよかった」と感じられてしまうと、企業が提供している商品やサービスに対してもネガティブな印象を持たれてしまうこともあります。すると、その候補者は、選考を受けた企業の商品やサービスを購入したり、利用したりするのを避けるようになります。さらに、インターネットでネガティブな情報を拡散されてしまうと、企業のネガティブなイメージが広がり、ビジネス自体に影響が出る可能性もあります。
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採用CX(候補者体験)の設計方法
では、採用CXはどのように設計すればよいのでしょうか。まずは、候補者が自社を認知してから入社するまでのプロセスを、いくつかのフェーズに分けます。
- 認知
- 応募
- 選考
- 内定・入社
入社後の活躍まで設計するケースもありますが、今回はこの4つのフェーズに分けて、意識することやタッチポイント(候補者との接点)の例を紹介します。
1.認知
まずは、転職潜在層を含む多くの人に自社に興味を持ってもらうことを目標とします。「この企業で働きたい」「この職場は楽しそうだな」と感じてもらえるように、自社の魅力を積極的にアピールしましょう。
【タッチポイントの例】
- インタビュー記事
- 求人票
- 自社の採用サイト
- プレスリリース
- SNS
- YouTubeチャンネル
- 自社イベントや交流会
関連記事:https://marugotoinc.jp/blog/recruitment-method/
2.応募
就職活動を行っている人の多くは、複数の企業の求人に応募します。優秀な人材が他社に流れてしまわないように、応募があればスピーディーかつ誠実に対応しましょう。
【タッチポイントの例】
- 求人票
- スカウトメール
- リファラル
- 人材紹介
- SNSのダイレクトメール
- 応募フォーム
- 採用担当者からのメール
関連記事:https://marugotoinc.jp/blog/recruitmentletter/
3.選考
選考段階では、候補者の入社意欲やエンゲージメントを高めることを意識します。自社の良いところばかりだけでなく、課題も伝えて、相互理解を深めましょう。オンラインとオフラインの体験に一貫性を持たせて、候補者の不安を取り除くことも大切です。
【タッチポイントの例】
- オフィス内での社員の対応
- オフィスの雰囲気や内装
- 採用ピッチ資料
- 面談、面接
- インタビュー記事
関連記事:https://marugotoinc.jp/blog/recruitmentpitch/
4.内定・入社
候補者には就職先を選ぶ権利がありますので、内定通知後に辞退されてしまう可能性もあります。候補者に自社を選んでもらい、入社後早期に定着・活躍してもらうために、内定通知後も入社意欲やエンゲージメントを高める工夫をしましょう。
【タッチポイントの例】
- 条件交渉
- 内定通知
- 面談
- 内定者研修
- 懇談会や社内イベント
関連記事:https://marugotoinc.jp/blog/joboffer-follow/
候補者体験を改善した事例
候補者体験を改善し、採用成功に繋げた事例をご紹介します。
1.SHE株式会社
採用活動において、候補者に合わせた完全個別プロセスによって、最高の候補者体験をデザインすることを大切にしているSHE株式会社。ただ、候補者一人ひとりに個別の選考プロセスを実現するには、どうしても採用オペレーションの工数も増えてしまいます。
同社では、採用代行「まるごと人事」を活用することにより、社内の採用オペレーションの軽減しながら理想の候補者体験を実現させました。また、候補者体験の改善により、応募から内定のリードタイムが92日から26日に短縮し、内定承諾率も約68%から約96%まで上昇しています。
インタビュー記事はこちら:
2.アソビュー株式会社
エンジニア採用に課題を感じていたアソビュー株式会社。スカウト代行サービスを利用していましたが、候補者対応を含めた採用活動全体での改善が必要と考え、採用代行「まるごと人事」を導入しました。
「候補者の方へは24時間以内に必ず返信する」「一人ひとりに真摯に向き合う」という採用ポリシーを実現するための候補者対応マニュアルを、「まるごと人事」とともに設計し、候補者対応のスピードと質の改善に取り組みました。
結果、課題だったエンジニア採用において採用目標を達成する、という成果が出ています。
インタビュー記事はこちら:
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採用CX(候補者体験)を改善して候補者に選ばれる企業になろう
人材の獲得競争が激化していることに加えて、インターネットやSNSが普及したことで、採用CXの重要性が高まっています。
採用CXに取り組むことで、人材を獲得しやすくなるだけでなく、候補者のエンゲージメントも向上し、早い段階で戦力として活躍してくれるようになるでしょう。
企業の成長のために、ぜひ採用CXに取り組んでみてください。
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