採用・労務・経理に関するお役立ち情報
全産業の中でも医療業界の人手不足は深刻な課題です。人手不足への対策はもちろん、離職率を踏まえた戦略的な人員確保が医療機関に求められています。
実際、コロナ禍を機に働き方を見直し、転職や医療業界から離れた医療従事者は少なくありません。
本記事では、医療業界の人手不足における現状を掘り下げ、原因や対策について解説します。
また、人手不足問題に対する5つの改善策についても紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
採用計画や採用のためのポイントについては以下の記事で解説しています。

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目次
医療における人手不足の現状|厚生労働省データから解説

人手不足は、経営者や採用担当者にとって早急な対応が求められる課題です。まずは、医療業界における人手不足の実態を確認していきましょう。
2070年に高齢化率39%へ|少子高齢化が加速させる医療人材の需給ギャップ
2少子高齢化の進行により、生産年齢人口は減少の一途をたどっています。高齢化による医療ニーズの拡大が続く一方、担い手となる若手人材は年々減少しており、需給バランスの崩れが深刻化しています。
厚生労働省の資料によると、2070年には総人口が9,000万人を割り込み、高齢化率は39%に達する見込みです。医療・福祉業界の人手不足は今後さらに拡大するとみられており、現状に即した対策が急務です。
厚生労働省が重要課題とする職種の人手不足の実態
医療業界の有効求人倍率は、全産業平均(約1.2倍)を大きく上回る水準で推移しています。看護職員は令和6年度時点で2.41倍、放射線技師や臨床工学技士などの医療技術者は3倍以上と高止まりしている状況です。
専門資格を要する職種は人材の流動性が低く、求人を出しても応募が集まりにくい構造的な課題があります。全産業のなかでも医療業界の採用難は突出しており、戦略的な採用活動が不可欠です。
出典
- 厚生労働省|職業情報提供サイト(job tag)「看護師」
- 厚生労働省|職業別<中分類>常用計 有効求人・求職・求人倍率
- 一人当たりの業務量が増え精神的な負担が増える
- 必要な医療・ケアの質が低下する
- 人間関係が悪化する
- 生産性向上・職場環境整備等支援事業
- 病床数適正化支援事業
- 施設整備促進支援事業
- 分娩取扱施設支援事業・小児医療施設支援事業
- 地域連携周産期支援事業(分娩取扱施設)
- 地域連携周産期支援事業(産科施設)
厚生労働省が重要課題とする職種の人手不足の実態
厚生労働省では、医師・看護職員・薬剤師・理学療法士・作業療法士・管理栄養士の人員確保を重要課題として位置づけています。地域差はあるものの、薬剤師・理学(作業)療法士・管理栄養士は逼迫しているとまでは言えない状況です。
メンタル不調で休職する職員が増えると、残った職員の業務負担がさらに増大します。結果、新たなメンタル不調者が生まれ、離職が続くという悪循環に陥りやすい構造です。看護補助者でも、正規雇用の離職率は13.7%、非正規雇用は26.1%と高水準が続いています(同調査)。
対策としては、定期的なストレスチェックの実施、相談窓口の整備、管理職への傾聴スキル研修などが有効です。職員が声を上げやすい職場環境をつくることが、離職防止の第一歩と言えます。
長時間労働・残業体質が定着率を下げる構造的問題
医師・看護師ともに、長時間労働が慢性化していることで定着率を大きく損なっています。厚生労働省のデータによると、病院常勤勤務医の約21.2%が年960時間超の時間外・休日労働を行っており、医師の働き方改革(2024年4月施行)後もなお、上限規制への対応が続く状況です。一般勤務医の上限は年960時間、救急・地域医療を担う医師は暫定特例として年1,860時間まで認められており、過重労働の構造がそのまま残っています。
看護師においても、夜勤・交代制勤務に加えて超過勤務が重なり、有給休暇を取りにくい環境が定着を妨げています。職場環境への不満が離職意向につながり、慢性的な人員不足をさらに悪化させる点が課題です。
対策としては、タスク・シフト/シェアの推進、夜勤回数の上限設定、ICT導入による業務効率化などが有効です。2024年度の調査では、72.9%の病院でタスク・シフトが実施されており、着実に取り組みが広がっています。
出典:厚生労働省|建設業・ドライバー・医師等の時間外労働の上限規制
地域・診療科の偏在による人材の枯渇
医師の絶対数は増加傾向にあるものの、都市部への集中が続き、地方・過疎地域では深刻な不足が解消されていません。厚生労働省の「医師偏在対策について(令和7年9月)」によると、全国335の二次医療圏のうち医師少数区域は105区域に上り、第7次医師確保計画(2020〜2023年度)において目標を達成できた区域は43区域(41%)にとどまりました。
診療科でも偏在は顕著です。産科・小児科・麻酔科・救急科などは「なり手不足」が続いており、医師少数区域内でさらに特定の診療科が手薄になるという二重の偏在が生じています。看護師においても、都市部の大病院に人材が集まりやすく、地域の中小病院やクリニックでは採用活動が長期化する傾向があります。
対策としては、地域枠の活用や医師派遣プログラム、遠隔医療・オンライン診療の整備に加え、地域ごとの特性に合わせた採用戦略の構築が求められます。
医療業界で人手不足が深刻化する3つの原因

ここでは医療業界の人手不足の原因から問題点を抽出しています。原因を深掘りし適切な対策を講じましょう。
メンタル不調による離職が人員不足を加速させる悪循環
医療現場では、過重な業務負担や職場の人間関係、自身のケアへの不安などを背景に、メンタル不調を抱える看護職員が増えています。日本看護協会の「2024年 病院看護実態調査」によると、病気を理由に1か月以上の連続休暇を取得した看護師がいる病院のうち、メンタルヘルス不調による休職が含まれていた病院の割合は80.7%に上りました。
メンタル不調で休職する職員が増えると、残った職員の業務負担がさらに増大します。結果、新たなメンタル不調者が生まれ、離職が続くという悪循環に陥りやすい構造です。看護補助者でも、正規雇用の離職率は13.7%、非正規雇用は26.1%と高水準が続いています(同調査)。
対策としては、定期的なストレスチェックの実施、相談窓口の整備、管理職への傾聴スキル研修などが有効です。職員が声を上げやすい職場環境をつくることが、離職防止の第一歩と言えます。
長時間労働・残業体質が定着率を下げる構造的問題
医師・看護師ともに、長時間労働が慢性化していることで定着率を大きく損なっています。厚生労働省のデータによると、病院常勤勤務医の約21.2%が年960時間超の時間外・休日労働を行っており、医師の働き方改革(2024年4月施行)後もなお、上限規制への対応が続く状況です。一般勤務医の上限は年960時間、救急・地域医療を担う医師は暫定特例として年1,860時間まで認められており、過重労働の構造がそのまま残っています。
看護師においても、夜勤・交代制勤務に加えて超過勤務が重なり、有給休暇を取りにくい環境が定着を妨げています。職場環境への不満が離職意向につながり、慢性的な人員不足をさらに悪化させる点が課題です。
対策としては、タスク・シフト/シェアの推進、夜勤回数の上限設定、ICT導入による業務効率化などが有効です。2024年度の調査では、72.9%の病院でタスク・シフトが実施されており、着実に取り組みが広がっています。
出典:厚生労働省|建設業・ドライバー・医師等の時間外労働の上限規制
地域・診療科の偏在による人材の枯渇
医師の絶対数は増加傾向にあるものの、都市部への集中が続き、地方・過疎地域では深刻な不足が解消されていません。厚生労働省の「医師偏在対策について(令和7年9月)」によると、全国335の二次医療圏のうち医師少数区域は105区域に上り、第7次医師確保計画(2020〜2023年度)において目標を達成できた区域は43区域(41%)にとどまりました。
診療科でも偏在は顕著です。産科・小児科・麻酔科・救急科などは「なり手不足」が続いており、医師少数区域内でさらに特定の診療科が手薄になるという二重の偏在が生じています。看護師においても、都市部の大病院に人材が集まりやすく、地域の中小病院やクリニックでは採用活動が長期化する傾向があります。
対策としては、地域枠の活用や医師派遣プログラム、遠隔医療・オンライン診療の整備に加え、地域ごとの特性に合わせた採用戦略の構築が求められます。
人手不足が医療機関にもたらす3つの経営リスク

人手不足は医療従事者の負担増にとどまらず、医療機関の経営基盤そのものを揺るがすリスクをはらんでいます。質・財務・制度の3つの側面から、経営への影響を整理しましょう。
医療の質低下と医療事故リスクが経営の信用を損なう
職員数が慢性的に不足すると、一人ひとりの業務量が膨らみ、確認作業や患者対応に割ける時間が削られます。投薬ミスや処置の見落としなど、医療安全上のインシデントが起きやすくなります。
事故が発生すれば患者の信頼を失うだけでなく、訴訟リスクや行政指導につながる場合もあるでしょう。評判の低下は患者数の減少を招き、経営収益を直撃する悪影響が生まれます。
離職の連鎖が採用コストを増大させ収益を圧迫する
人手不足が続けば残る職員への負担が集中し、さらなる離職を招く悪循環に陥ります。福祉医療機構の「2025年度 病院の人材確保に関する調査」によると、人材紹介会社に支払う手数料は1年間で平均1,469万円にのぼります。
| 採用手段 | 特徴 | 費用感の目安 |
|---|---|---|
| 人材紹介会社 | 採用効果は高いが手数料が高額 | 平均1,469万円/年(複数職種合計) |
| ハローワーク | 低コストだが採用まで時間がかかる | 基本無料 |
| 病院ホームページ | 中長期的な採用基盤になる | 制作・運用費のみ |
| 求人メディア・転職サイト | 即時性があるが費用対効果に差がある | 数十万円~ |
採用コストが高騰する一方で、一般病院の医業利益率は△2.3%とマイナス圏に沈んでいます。職員が入職直後に離職すれば採用費は完全な損失となり、財務悪化に直結します。早期離職を防ぐ定着施策と採用戦略の両輪が欠かせません。
出典:福祉医療機構|2025年度 病院の人材確保に関する調査
診療報酬の減算リスクと病床稼働率の低下
医療機関が入院基本料を算定するには、看護職員の配置基準(7対1・10対1など)を常時満たさなければなりません。人手不足で配置基準を割り込むと、入院基本料の減算対象となる場合があります。たとえば令和6年度診療報酬改定では、夜勤時間が基準を超えた場合に1日につき40点が減算される規定が設けられました。
また、職員不足を理由に病床を縮小・休止する病院は19.8%に上り(福祉医療機構調査)、稼働率の低下が収益減と直結します。制度上の要件を維持できる人員体制の整備が、経営安定の前提条件といえます。
出典

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「まるごと人事」の豊富な実績から生まれた、人事のための実践シート!採用課題の見つけ方や、課題別の打ち手を網羅的に解説
医療業界の人手不足に対する6つの解決策

職場が人手不足に陥ると、以下のような影響がでるといえます。
職場の雰囲気が悪くケアの質も低ければ、採用の段階で実際にアピールすることも難しく人が集まらないでしょう。
次に紹介する6つの対策を講じ、人手不足問題に戦略的に取り組みましょう。
1. IT導入・活用で業務負担を軽減
業務負担を減らすには、IT導入・活用をしましょう。電子カルテは導入しているものの、書類は紙ベースの施設も多くみられます。
説明書や同意書など、直接タブレットなどの端末へ書き込みできれば手間を省き、また患者間違いを防ぐことにもつながるため、大きなメリットと言えるでしょう。
他にも問診票や予約管理、自動清算システムなどを導入することで、看護師や医師だけでなく病院職員の業務量軽減につながります。
労務業務、管理を効率化するためのサービスについては以下の記事で解説しています。

労務アウトソーシング活用術
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2.外部コンサルティングサービスの導入
クリニック規模での人手不足を根本から解消するには、場当たり的な採用ではなく、採用戦略の上流設計から支援実績のある採用コンサルティングサービスの導入を検討しましょう。
単に頭数を揃えるだけの採用では、定着率の低下や教育コストの増大といった問題が繰り返されてしまいます。重要なのは、「どのようなスキル・経験を持つ人材が自院に必要か」を明確にしたうえで、採用計画・選考フロー・入職後の育成体制まで一貫して設計することです。。
採用コンサルを活用することで、以下のような体制づくりが期待できます。
| 支援領域 | 内容 |
|---|---|
| 採用戦略の立案 | ターゲット人材の定義から媒体選定・選考設計まで、採用の上流から一貫した戦略を構築できる |
| 現場連携フローの整備 | 採用担当者と現場スタッフの連携における構造的な課題を可視化・解消し、スムーズな受け入れ体制を実現できる |
| 社内ノウハウの蓄積 | 採用・育成のプロセスを標準化することで属人化を防ぎ、継続的に機能する採用基盤を社内に根づかせられる |
外部の知見を借りながら社内フローを整備することで、人手不足の解消と同時に、長期的に人材が定着・活躍できる組織づくりにもつながります。採用戦略の強化を検討されている方は、まず専門コンサルへの相談から始めてみましょう。

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構造課題と解決アプローチ
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3.国や地方自治体が提供する施策を確認
厚生労働省は、以下6つの医療施設等経営強化緊急支援事業の施策を発表しています。
参考:https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_51451.html
他にも「キャリアアップ助成金」「人材開発支援助成金」など助成金が利用できるか確認しましょう。
4.良好な人間関係を築く
他職種の連携がスムーズにできるような取り組みは、医療現場における喫緊の課題です。特に規模の大きい病院では、威圧的な態度や慎重さに欠ける指示を出す医師に対して、看護師が不満を抱くケースが少なくありません。
また、一部の職場では、仕事に慣れていないスタッフに対して、声をかけにくい雰囲気やきつめの言葉がけが見られるケースがまだ残っていたりもします。看護師間でも気持ちの良いコミュニケーションが取れない結果、精神的に不安定になり休職や離職する人も少なくありません。
離職理由の1位が精神疾患を含む心身の不調であることからも、良好な人間関係は定着率向上のために欠かせない要素です。
5.ワークライフバランスを考慮する
育児をするスタッフの配慮に重きをおきがちですが、フルタイムで働くスタッフへの取り組みも忘れてはいけません。時短で帰った後の残務を全て引き受け残業するのはフルタイムのスタッフであり、夜勤回数やが比較的多くなりがちになるでしょう。
時短スタッフは働く時間や休みに目が向きがちですが、精神的なフォローが第一です。仕事との両立ができるか不安を抱いていたり、育児中の場合は子どもの体調に左右される生活へのストレス、職場に迷惑をかけているといった後ろめたさから精神的なダメージが大きいケースが多くみられます。
一方でフルタイムで働くスタッフは休みが少ないと感じ、残業や夜勤回数の多さから不調をきたす場合も珍しくありません。希望に応じ連休をつけるなどの策を講じ、負担が偏らないよう柔軟な働き方を検討するようにしましょう。
6.定期的な面談
上司との定期的な面談により、スタッフの不満や悩みを把握することも大切です。不安や悩みを抱えていても、多忙な業務中に上司に直接相談する機会を設けることは難しい場合もあります。
小さな不満や悩みであれば一時的に気にならなくなることもありますが、積もり積もってそれが大きな問題へ発展し、突然の離職につながるケースもあると認識すべきです。
そのため、定期的な面談を実施し、スタッフ一人ひとりの状況を丁寧に把握しましょう。
医療業界の人手不足に対策を講じて欲しい人材を獲得しよう

医療業界の人手不足は地域や規模により深刻度は異なります。だからといって、採用ターゲットを明確化せずに人材確保を進めるとミスマッチが生じ、かえって職場環境が悪化する危険性もあります。
まずは人手不足に陥っている原因分析を行い適切な対策を講じましょう。持続可能な医療提供体制の構築が、人手不足を改善するはずです。

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