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2023.08.05 更新日:2024.04.22
この記事の監修者:河地 宗太郎

この記事の監修者:河地 宗太郎

タレントプール(人材プール)とは?メリットや作り方・運用方法を解説

タレントプール(人材プール)とは?メリットや作り方・運用方法を解説

少子高齢化や売り手市場などによって、優秀な人材を確保するのに苦労している企業は少なくありません。自社にマッチする優秀な人材を確保するために、将来的に採用する可能性がある人材とのつながりを保ち、採用力を強化する「タレントプール(人材プール)」が注目されています。
本記事では、タレントプール(人材プール)の意味や注目されている背景、メリット、作り方と運用方法、導入のポイントについて解説します。

タレントプール(人材プール)とは?

Rows of free green sun loungers on an empty sandy beach. Closed Vacation Concept or low season

タレントプールは「人材プール」とも呼ばれ、将来的に採用候補になり得る人材をピックアップし、その人材の情報をまとめたデータベースを指します。

「talent(タレント)」は英語で「才能」、「pool(プール)」は「蓄え」といった意味を持ちます。つまりタレントプールとは、「才能ある人材の蓄え」を意味します。

タレントプールという概念は、世界的なコンサルティング会社であるマッキンゼー・アンド・カンパニーによって提唱されました。同社が1997年~2000年にかけてまとめた調査結果「The War for Talent(ウォー・フォー・タレント)」のなかで、タレントプールと「データベースリクルーティング」に関する概念が登場しました。「データベースリクルーティング」とは、タレントプールの人材とコンタクトを取り続ける採用手法です。

 

タレントプールの手法

タレントプールを活用したデータベースリクルーティングにおいては、候補者と自社のつながりをキープしやすい採用管理システム(ATS)やSNSの活用が有効です。なかでも、利用者の多いTwitterやInstagramなどのSNSや、LinkedIn(リンクトイン)やWantedlyなどのビジネスSNSがおすすめです。
これらのSNSは、普段から企業の情報をカジュアルに公開できたり、応募者に直接ダイレクトメッセージを送ったりと、候補者とつながりを保ちやすい特徴があることから、データベースリクルーティングに適しています。

タレントプールの対象者

タレントプールでは、将来的に自社で採用する可能性がある人材すべてが対象となります。
例えば、過去に自社に応募してもらったものの採用に至らなかった人や、内定辞退者、自社のセミナーやイベントに参加した人、自社のSNSに「いいね」などの反応を示した人などは、すべてタレントプールの対象になり得ます。
タレントプールの対象者を選ぶときに重要な点は、自社をまったく知らない人ではなく、自社に少しでも興味関心をもっている人が対象となる点です。その対象者のなかから、自社にマッチするスキルや経歴をもっている人材、つまり将来的に採用候補になり得る人材をピックアップし、データベースにまとめておきます。

タレントプール(人材プール)が注目される背景

Rows of free green sun loungers on an empty sandy beach. Closed Vacation Concept or low season

タレントプールが注目されている背景について解説します。

 

人材獲得競争の激化

近年、少子高齢化にともなう若手の減少や不況の影響などにより、人材の「売り手市場」が続いています。
また、将来の予測が困難な「VUCA(ブーカ)時代」が到来しているともいわれており、AIやIoT、ビッグデータなどの最新技術に対応できる人材や、状況変化をすぐに察知して柔軟に対応できる人材のニーズが高まっています。優秀な人材を複数の企業が取り合う状況になっており、人材確保が難しくなっています。
企業が優秀な人材を確保するためには、人材からの応募を待つだけでなく、タレントプールを構築しておき、人材に対して継続的にアプローチし続けることが重要です。

 

働き方の多様化

新型コロナウイルス感染拡大をきっかけとしたリモートワークの普及や、求職者の志向性の変化、政府による働き方改革の推進などの理由から、一人ひとりの働き方の選択肢が多様化しています。雇用形態も、業務委託、派遣社員、フリーランス、マルチワーク、副業など多岐に渡ります。働き方の多様化は、転職市場に出てくる人材の減少にもつながっているといわれており、優秀な人材確保の難度を高くしています。
そこで、タレントプールで日頃からつながりを作っておくことで、急にフリーランスから会社員になるなど働き方に変化があった際にも、すぐにコンタクトが取りやすくなります。

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タレントプール(人材プール)は、ベンチャー企業やスタートアップにもおすすめ

Silhouettes of four light bulb shapes carved into wooden background with a hand of a businessman placing smashed yellow paper in the fourth one. Conceptual image of idea and innovation.

タレントプールは、ベンチャー企業やスタートアップにもおすすめです。
ベンチャー企業やスタートアップは、大企業に比べると採用に割けるリソースが十分でなく、1~2名ほどの採用担当者もしくは専任の採用担当者がいない状況で採用活動を進めることも少なくありません。また、採用に十分な予算をかけられないこともあります。

ベンチャー企業やスタートアップは企業の成長スピードが早く、組織がフレキシブルに変化していくため、成長志向が強く、実行力や意思決定力の高い人材を求める傾向にありますが、そのような優秀な人材を限られたリソースのなかで探し、アプローチするのは難しい場合があります。

求人広告やリファラル採用など、自社ですでに活用している採用手法とあわせてタレントプールを導入することで、採用に至らなかった人材との関係を保つことができ、タレントプールが充実していくにつれて、より多くの優秀な候補者の中からアプローチする対象者を選ぶことができます。

また、自社に興味をもっていたり、自社にマッチする経歴やスキルをもっていたりする人材をデータベースにまとめておくことで、より自社にマッチする人材にアプローチしやすくなります。

もしすでに一度自社に応募してきた人材なら、選考フローの短縮につながる場合もあり、採用コスト削減や時間の効率化につながります。

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タレントプール(人材プール)のメリット

Hands of four businesspeople joining matching puzzle pieces of various pastel colors over a wooden background.

タレントプールを活用するメリットを、企業側と候補者側それぞれから解説します。

 

企業側のメリット

企業側のメリットは、採用コストの削減と、採用活動の効率化につながることです。

例えば、採用活動に求人広告を利用する場合、掲載期間に応じて出稿費用がかかります。しかし、費用をかけても応募が集まらず掲載期間が長引いたり、選考辞退・内定辞退が多かったりすればその分採用コストがかさんでしまいます。

しかし、選考辞退者や内定辞退者の情報をタレントプールに蓄積しておけば、将来的にデータベースのなかから候補者を選出できる可能性もあり、結果的に採用コストの削減につながります。

また、自社のセミナーやイベントに参加した人、自社のSNSに興味を示した人をタレントプールに蓄積し、直接アプローチすることで採用につながった場合、求人広告や人材紹介の費用がかからないため、採用コストを大幅に削減できます。

また、タレントプールでは過去に接点がある人材や、スキルや経歴を把握している人材から選び出すため、スクリーニングなどの採用工数削減につながる場合もあります。


候補者側のメリット

候補者にとって、今すぐに転職する意思がなくても、将来的に転職したいと思ったタイミングに向けて、選択肢を増やしておける点が大きなメリットでしょう。選択肢が増えれば、候補者にとってより好条件の転職先を選ぶことができます。

また、選考に進む前に、企業に対してある程度理解を深めているため、企業や社員の雰囲気、働くイメージをもちやすく、安心して選考に進むことができることに加えて、入社後のミスマッチ低減にもつながります。


タレントプール(人材プール)の作り方・運用方法

Hand arranging wooden blocks stacking as a pyramid staircase on white background. Human resources management, recruitment or corporate hierarchy concept.

タレントプールを活用するメリットを理解したうえで、実際にタレントプールを作り、運用する方法を解説します。

 

1. 人材要件を定義する

まずはデータベースに登録する人材の要件を詳細に定義します。
自社でどのようなスキルや経験が必要なのか、コミュニケーション能力はどの程度求められるのか、どのような人柄がカルチャーフィットするかなどを踏まえて洗い出します。
また、実際に現場で働いている社員にヒアリングし、必要条件を洗い出すヒントとするのも一案です。

タレントプールには、多くの人材を追加すればよいというわけではなく、あくまでも自社にマッチし、将来的に採用候補者となる可能性がある人材であることに意味があります。
例えば「今後2年以内を目安に採用する可能性がある人」を基準にするのも一案です。今は転職意思がなくとも、2年後には転職を考えていたり、スキルアップしていたりする可能性があるでしょう。
また、過去に選考フローにおいて接点があった人材を追加する場合は、「カジュアル面談まで進んだ人」を基準にするのもよいでしょう。カジュアル面談まで進んでいれば、自社への関心は高い(もしくは高かった)といえるためです。

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2. 人材をデータベースにまとめる

過去に応募したものの採用に至らなかった人や内定辞退者、SNSや転職イベント、セミナーなどで自社に興味をもっている人などが、タレントプールの対象となります。そのなかから、人材の要件に合う人材を選び出し、データベースに追加します。
データベースを作る際には、採用管理システム(ATS)やMA(マーケティングオートメーション)ツール、エクセルなどが使えます。MAツールとは、新規顧客獲得や見込み客の育成を効率化・自動化するツールです。
後から検索しやすくするためにも、データベースにまとめる際は、人材の特徴を細かく記載しておきます。例えば、年齢・性別・所属企業などの基本情報に加え、スキルや経験ごとにカテゴリ分けしておくと、検索がスムーズになります。
また、自社とどのような接点がある人なのかを記載することも重要です。
例えば、

  • 〇年の新卒の内定辞退者
  • 〇年のセミナーの参加者
  • 〇年の最終選考で不採用
  • 〇年のリファラル採用でマッチしなかった
  • 〇年に自社Twitterに「いいね」をしてきた

など人材ごとに記載しておくことで、今後再びコンタクトを取る際の参考になります。

 

3. データベースにまとめた人材と、定期的にコンタクトを取る

タレントプールの人材には、定期的にコンタクトを取り続けてつながりを保ち、少しずつ相互理解を深めていくことが欠かせません。すぐに選考の案内を送り面接までつなげるのではなく、あくまでも長期的にコンタクトを取り続けることが前提となります。
現時点では転職の意思がない「転職潜在層」だったとしても、定期的にコンタクトを取り続けて今の仕事状況を聞いたり、徐々に自社への興味を高めてもらったりすることで、候補者が今後転職を決意した際の選択肢となることが目的です。
コンタクトの具体的な方法としては、

  • メールマガジンを配信する
  • SNS上でダイレクトメールを送信する
  • 採用イベントやセミナーを開催する際に案内を送る
  • 社員とのランチに誘う

などの方法があります。
このように日頃からつながりを保ち続け、いざ人員補充が必要となった際には、データベースの人材のなかから募集要件(経歴、スキル、人柄、働き方など)にマッチする人材を選んでアプローチします。
継続的なコンタクトは必須ですが、あまりにも頻繁にアプローチすると逆効果です。頻繁にメールを送ることで、メールマガジンの配信停止や、SNSをブロックされてしまうおそれもあります。あくまでも自社への興味関心が途切れない程度に、継続してコンタクトを取り続けることが重要です。

タレントプール(人材プール)を活用するポイント

A wooden block with an exclamation mark.

タレントプールを活用していくうえで留意すべきポイントを解説します。

 

データベースの人材情報は適宜更新する

タレントプールは一度作って終わりではありません。データベースにまとめた人材一人ひとりの状況は常に変化しています。継続的にコンタクトを取り続けるなかで仕事や住む場所などの変化を把握できたら、適宜データベースも更新しましょう。
また、自社が求める人材が変化した場合、データベースに登録されている人材を見直すことも大切です。

 

候補者の転職意欲の変化を把握する

データベースにまとめた人材に定期的にコンタクトを取っていくなかで、候補者の転職意欲に注目しましょう。

コンタクトを取り始めた当初は転職意欲が低かったとしても、時間が経過することで転職意欲が上がっていることも多々あります。

例えば、以下を分析することで、その人材が今どのくらい転職意欲があるのか、自社に興味をもっているのかを把握できます。

  • メールの開封率
  • メールに対する反応、返信内容
  • 自社のリクルートページの閲覧状況
  • 会社説明会やセミナーなどイベントへの参加率

自社への転職意識が高くなっていそうであれば、より積極的なアプローチを検討してみましょう。

 

レントプールの活用事例

A leader with a flag is leading the group

最後に、タレントプールの活用事例をご紹介します。

 

タレントプールの活用事例1:自社イベント参加者をタレントプールに追加し、母集団形成に活用

クラウド人事労務ソフトを提供する企業では、母集団が不足している課題を解決するために、さまざまな採用チャネルの強化に取り組むとともに、企業の実態と候補者が持つイメージギャップを解消するために、できるだけ情報をオープンにして入社後のイメージを候補者に伝えることに注力しました。

採用説明会のような硬いイベントではなく、カジュアルに社員の人柄やオフィスの雰囲気を伝えるイベントを定期的に開催し、毎回数百人にのぼるイベント参加者をタレントプールに追加していきました。結果的に、1年で約3700名の人材データをタレントプールに追加することに成功しています。

 

タレントプールの活用事例2:候補者自らが、自分をタレントプールに登録できるボタンを設置

コンテンツダウンロードサイトを運営する企業では、自社サイトの採用情報ページに「タレント登録」のボタンを設置し、候補者が自らタレントプールに登録できる仕組みを作りました。登録したあとに自社の採用担当者から候補者に「もし興味があれば選考を受けてみませんか?」といったメッセージが届き、応募すれば選考に進む仕組みです。履歴書を送るハードルが高いと感じている候補者でも、タレントプールに登録するだけなら心理的ハードルが下がり、タレントプールを充実させるだけでなく、応募獲得にもつながっています。

 

タレントプールの活用で、確度が高く効率的な採用活動を

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多くの人材と接点を持つために活用できるタレントプール。人材との関係構築に時間はかかりますが、自社に興味を持った人材のデータベースは、自社の貴重な財産になります。本記事で解説したポイントや運用方法を参考に、ぜひタレントプールを活用してください。

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この記事の監修者:河地 宗太郎
この記事の監修者:河地 宗太郎

マルゴト株式会社 まるごと人事事業部 ゼネラルマネージャー

新卒でパーソルキャリアに入社。ヘルスケア領域のエージェントとして年間100名以上の採用支援に携わる。その後、Webマーケティングのスタートアップを経てマルゴトへ入社。マルゴトでは一貫してRPO事業に関わり、カスタマーサクセス、プロジェクトリーダー、マネージャーを経てゼネラルマネージャーに昇格。現在はまるごと人事のセールスマーケ領域の統括を担当している。

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