採用お役立ち情報

採用競争が激化している現代において、多くの企業が採用活動で様々な工夫を凝らしていますが、期待される成果を得られていないケースも少なくありません。
採用を成功させるには、採用活動の精度向上と並行して、企業の『採用力』を高めることが重要です。
本記事では、採用力の定義、向上で得られるメリット、採用力を向上させる方法などを解説します。

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採用力とは
一般社団法人 日本採用力検定協会は、採用力の定義を次のように定めています。
「組織および社会に有益な採用活動を設計・実行する力」
一般に「採用力」とは、自社の魅力を明確にした上で、求職者に向けて積極的に情報を発信し、アピールするための総合的な計画力と実行力を指します。人材戦略に基づいた採用計画の立案から、採用活動の実施、人材の受け入れ、育成、定着化施策まで、多岐にわたる知識や技術が求められます。
採用力が注目される背景
採用力が注目される背景には、主に次の2つの要因が考えられます。
- 人手不足の深刻化
- 戦略人事への注目度の高まり
厚生労働省が公表している『経済社会と働き方の変化等について』によると、女性や高齢者の労働参加が進んだ結果、労働力人口・就業者数は増加傾向にあります。しかしその一方で、人手不足の状況は深刻さを増しており、令和4(2022)年にはコロナ禍以降で最も人手不足感が強まっていることが示されています。
激化する採用競争において求める人材を獲得するためには、人材を採用する力、すなわち『採用力』の向上が不可欠であり、多くの企業で注目されるようになったと推察されます。
また、採用のあり方が単なる人員補充から、企業の事業戦略や経営戦略に合わせた人材採用へと変化してきた点も、採用力が注目されるようになった要因の一つと考えられます。
採用力を高めることで得られる3つのメリット
採用力を向上させることで得られるメリットは、主に以下の3つです。それぞれについて解説します。
1.期待する人材を採用できる
採用力が向上することで、企業が期待する人材を採用できる可能性が大幅に高まります。
求める人材を的確に採用できれば、その人材が組織の成長に大きく貢献してくれるでしょう。また、適切な人材が定着することで、採用コストや育成コストを抑制でき、企業の生産性向上にもつながります。
2.パフォーマンス力の向上で組織が安定する
求める人材を適切に採用できるようになると、人材が長期的に定着し、組織のパフォーマンスが向上、安定した成長基盤の構築につながります。
その結果、組織全体が一体となって目標に向かう体制が整い、社員も同じビジョンと成長を見据え、高いモチベーションで業務に取り組むようになるでしょう。
3.定着率が向上する
採用力を高めるためには、会社の理念を求職者に分かりやすく伝え、働きがいのある環境を整備することが必須です。そうすることで、会社の価値観に合う人材からの応募が増え、入社後のミスマッチによる早期離職を防ぐことができます。さらに、働きやすい環境は、社員のエンゲージメントを高め、定着率の向上に繋がります。
離職率が低下すれば、常に採用を繰り返す必要がなくなり、採用コストや新人教育の負担が軽減されます。さらに、経験豊富な社員が長く在籍することで、社内のノウハウやスキルが蓄積され、組織力の向上にもつながるでしょう。

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採用力が高い企業の特徴
採用力を高めるためには、企業力、理念・社風、労働環境、採用活動の4つの要素がバランス良く互いに高め合う状態を作り出すことが大切です。では、採用力の高い企業にはどのような特徴があるのでしょうか。
採用の目的・目標が明確である
採用力の高い企業は、採用の目的と目標が明確です。採用の目的には、例えば、既存業務における人員不足を補充するための採用、新規事業や業務を担う即戦力人材の採用、将来の幹部候補や新卒採用といった育成を前提とした採用などがあります。
これらの目的は、将来の事業展開やビジョンといった長期的な視点に基づいている必要があります。採用力の高い企業は、この点も明確です。
さらに、これらの人材をどの部署にいつまでに何名採用するかといった具体的な目標が設定されている点も特徴と言えるでしょう。
採用ターゲットが明確である
採用力のある企業は、採用したい人材の要件や人物像を明確かつ具体的に定義できているという特徴があります。自社にどのようなスキルを持った人材が必要なのかを、事業計画と現状を把握した上で、求める人材の具体的な人物像を言語化しておくことが重要です。
適切な採用手法を選ぶ
採用手法には、転職サイト、求人誌、人材紹介など様々なものがあります。採用手法が多様化している現代において、自社に適した方法を選定しないと、「求人に十分な応募が集まらない」「求める人材と出会えない」といった状況に陥る可能性があります。
採用力を高めるためには、自社にとって適切な採用手法を選ぶ力も不可欠です。
評価基準を共通化している
採用担当者が複数いる場合、評価基準を共通化しておかないと、担当者によって判断がばらつきやすくなります。自社と相性の良い人材を的確に選考するため、評価基準をきちんと定め、担当者全員が同じ目線で採用活動を進められるようにしましょう。
特に、人材への評価がばらつきやすいのは面接です。面接の評価基準を明確化する「面接評価シート」を活用し、選考をスムーズに進めることをお勧めします。
入社後の丁寧なフォロー体制ができている
採用力の高い企業は、自社に適した人材を見抜く採用力と、社員が働きやすい労働環境を整備する力を持っています。その結果、内定者の入社率が高く、入社後の定着・活躍にもつながりやすい傾向があります。
内定者の辞退を防ぎ、スムーズな入社を迎えるためには、丁寧なフォロー体制が不可欠です。
また、「残業削減によるワークライフバランスの向上」や「公平性の高い人事評価制度によるモチベーション維持」などの継続的な取り組みを通じて、入社後の人材定着・活躍を促進する工夫も必須です。
採用力の低い企業に共通する特徴
入社後の早期退職の3大要因は、「ギャップ(入社前後の認識のずれ)」「リレーション(職場での人間関係)」「キャパシティ(能力や仕事量の不一致)」とされています。これらを踏まえると、採用力の低い企業にはどのような共通の特徴が見られるのでしょうか。
人材の採用基準が高い
人材の採用基準が高すぎると、書類選考すら通過せず、採用が滞ってしまうことがあります。優秀な人材の獲得は、全ての企業の共通の願いです。
ただし、要件を高く設定するほど、競合他社との人材獲得競争が激しくなる可能性も考慮する必要があります。
採用ターゲットを定める際は、理想的な要件と最低限必要な要件の2つを定義しておくことが有効です。
関連記事:https://marugotoinc.jp/blog/recruitment-persona/
現場と連携がとれていない
業務内容や仕事環境を最も理解しているのは現場社員です。現場と連携し、最新情報を求職者に共有できるようにしましょう。
古い情報での求人掲載や、誤った情報の求職者への伝達は、ミスマッチを引き起こす可能性があります。
採用リソースの不足
採用活動は、採用戦略の策定、採用手法の選定、採用広報、募集作成、求職者対応、内定者フォローなど、多岐にわたる工程をこなす必要があります。
人材不足が深刻化している昨今、優秀な人材は多くの企業が求める存在であり、採用スピードも大事といえるでしょう。事前に目標達成に必要なリソースが揃っているか確認しましょう。不足している場合は、採用代行サービスの活用も有効な手段の一つです。
社員の離職率が高い
社員の離職率が高い企業は要注意です。もちろん、社員がキャリアアップなどを目指して転職するのは自由であり、企業が無理に引き止めるべきではありません。
しかし、仕事内容が期待と異なった、人間関係がうまくいかない、やりがいを感じられないといったネガティブな理由での離職が多いのであれば、採用活動の見直しと労働環境の改善が急務と言えるでしょう。

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採用力を向上させる方法
採用力の向上は、企業の将来に大きく影響します。以下に、採用力を高めるための7つの方法を紹介します。
1.自社の魅力を洗い出して整理する
採用力のある企業は、仕事内容や待遇面だけでなく、競合他社にはない独自の魅力を発信しています。まず、自社の強み・魅力を整理し言語化すること、そしてそのアピール方法を工夫することがポイントです。
強み・魅力の言語化には、全社横断のプロジェクトを立ち上げ、数ヶ月の時間をかけて実施するケースが多いようです。採用活動に活用するには、ホームページやSNSなどの媒体で発信するだけでなく、画像や動画、投稿へのコメントなど多様な方法を試行錯誤することが大切です。これらの活動を地道に続けることで、求職者にまずは自社への興味・関心を持ってもらうことが大事です。そのためにも、自社が持つ独自の魅力をしっかりと洗い出すことが何よりも大切なのです。
2.採用戦略を立てる
自社に適した人材を的確に採用するためには、採用戦略が不可欠です。採用戦略とは、自社の成長に貢献してくれる人材を効率的に採用するための戦略を指します。
採用戦略を立案することには、次のようなメリットがあります。
- 希望する人材を自社の求人に集めやすくなる
- 自社にとって理想的な人材を採用しやすくなる
- 選考辞退や内定辞退を減らせる
- 入社後の早期離職を防げる
成功への鍵は、緻密に練られた採用戦略にあると言えるでしょう。
関連記事:https://marugotoinc.jp/blog/saiyosenryaku/
3.採用基準・手法の見直し
人材が集まらず母集団形成に課題がある場合は、採用基準を見直し、高すぎる合格基準や本当に必要な要件を再検討しましょう。採用方法も様々ですが、メリット・デメリットを踏まえ、採用ターゲットに合った最適な採用手法を見直すことが成功の鍵となります。
4.採用市場・競合企業の分析
常に変化する採用市場の動向に目を向けておく必要があります。条件の良い労働条件を提示している競合他社の求人情報と比較検討し、自社の訴求ポイントを設定することも重要です。企業イメージ、強み、知名度といった競合他社の魅力を分析し、継続的な取り組みを進めていきましょう。
5.より良い労働環境の実現
求職者が企業への入社を決める際、重視するポイントは給与、待遇、福利厚生、勤務条件といった労働条件です。また、近年普及してきたリモートワークを活用した勤務体系なども重要なアピールポイントとなります。職場環境の改善に取り組むことは、働きやすい環境の実現につながり、ひいては企業全体のイメージアップが期待できます。
6.採用の判断基準を明確にする
採用担当者も人間である以上、明確な判断基準がないと主観的な判断に偏りがちです。複数の採用担当者がいる場合、判断に個人差が生じ、「採用すべきだった人材を見送ってしまう」といったミスが起こる可能性も高まります。
判断基準を明確にし、採用成功率を高めるための工夫を行いましょう。
7.内定者へのフォロー方法を決める
希望する人材を採用できても、入社に至らなければ、採用活動にかけた時間と労力は無駄になります。「採用した人材が入社し、定着するまでが採用活動」という意識を持ち、内定者へのフォローを怠らないことが留意すべき点です。
内定者の不安を取り除き、入社への安心感を増すために、以下の施策を検討しましょう。
- 入社前の社内見学機会の設定
- 入社前のカジュアルな面談機会の設定
- 入社前の気軽な連絡体制の構築
これらの取り組みは、内定辞退の可能性を低減する効果が期待できます。
まとめ
採用力を高めるためには、「自社の魅力を発信する力」「自社に適した採用手法を選定する力」「人材を見極める力」「入社した人材を定着させる力」などを磨く必要があります。
採用力は、継続的な取り組みによって必ず向上させることができます。自社の魅力を洗い出し、適切な採用戦略を立案し、内定者のフォロー体制を整備するなど、着実に採用力を高めていきましょう。
採用に関してご不明な点やお困りごとがございましたら、アウトソーシング・相談先の候補として「まるごと人事」を検討してみてください。

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