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2022.10.31 更新日:2024.10.24
この記事の監修者:犬飼 渓矢

この記事の監修者:犬飼 渓矢

中途採用コストの相場とは?コストを抑えるための4つのポイント

採用コストは、適切なコストで採用活動をするにあたって重要な要素です。採用担当者様の中には、「採用コストの相場はどのくらいなのか」、「採用コストを下げたいが、どのような方法があるのか」などの疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。

本記事では、採用コストの考え方、新卒・中途採用の平均採用単価や、手法別の採用コストの相場、採用コスト削減に向けたポイントを解説します。

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採用コストとは?

採用コストとは、採用活動に関わる費用全般を指します。

採用の計画段階から入社に至るまで、あらゆる採用活動にかかる費用の合計が採用コストです。採用コストを検討する際には、一人を採用する際にかかる「採用単価」も考慮すべき要素となります。

 

採用単価とは

採用コストが採用に関わる費用全般を指すのに対して、採用単価とは一人あたりの採用にかかる費用を指します。採用単価の算出方法は下記です。

 採用単価=採用コスト総額 ÷ 採用人数

 

採用ツールの費用や、面接官の人的リソースの配分が適切かどうかなど、費用対効果を考えるうえで採用単価も確認するべきポイントです。

 

採用コストの内訳

採用コストには、「外部コスト」と「内部コスト」の2種類があります。

外部コストとは

外部コストとは「採用活動にあたって外部パートナーに支払う費用全般」を指します。採用部門における外部にかかる経費とも捉えられます。

たとえば、外部コストには下記の費用が含まれます。

・求人媒体への掲載

・人材紹介で採用に成功した際の成果報酬費用

・ダイレクトリクルーティング(スカウトサービス)の利用料

・自社の採用ページ、サイトやパンフレットなどの採用ツールの制作費

・採用代行サービスへの業務委託費用

 

内部コストとは

内部コストとは「社内の採用業務にかかる費用」を指します。

たとえば、内部コストには下記の費用が含まれます。

・採用担当者の採用活動全般にかかる人件費

・面接官の面接にかかる人件費

・リファラル採用時の社員への報酬

 

新卒・中途採用の採用コストの相場

採用コストは企業規模や採用手法により幅があり、採用単価は新卒・中途採用で異なります。

ここでは新卒・中途採用の平均採用単価の相場に加えて、企業規模、採用手法ごとにおける採用コストの相場も紹介します。

採用計画を立てる際の目安として把握をしておきましょう。

 

新卒・中途採用の採用単価相場

株式会社リクルートが2019年に実施した、採用に係るコストの結果を記載した資料「就職白書2020」によると、新卒・中途採用の平均採用単価は下記でした。

雇用形態

平均採用単価(万円)

新卒採用

93.6

中途採用

103.3

出典:株式会社リクルート 就職みらい研究所『就職白書2020

 

新卒採用よりも中途採用の方が、採用コストが高くなる傾向があります。

中途採用は、求人によって候補者に求める経験・スキルはさまざまで、自社にマッチする人材を見つける難易度が新卒に比べると高いためです。

しかし、中途採用には、第二新卒を対象としたポテンシャル採用と、一定の経験・スキルを求める即戦力採用があるため、採用単価にも幅があります。そのため、ポテンシャル採用の相場は103.3万円よりも低く、即戦力採用の相場は103.3万円よりも高くなる傾向があると考えられます。

 

企業規模別の中途採用コスト相場

株式会社マイナビが行った、中途採用状況調査(2020年度)の結果を記載した資料「中途採状況調査2021年版」によると、中途採用における企業規模別の2020年の年間採用コストは、下記のような結果でした。

従業員数

採用予算(万円)

採用実績(万円)

3〜50名

184.4

162.7

51〜300名

358.7

322.4

301〜1,000名

583.8

535.5

1,001名以上

1,887.7

1,809.9

出典:株式会社マイナビ『中途採⽤状況調査2021年版

 

採用予算・採用実績ともに企業規模によって幅があります。

従業員数1,001名以上の企業で1,800万円以上と突出して高くなりますが、従業員数が多ければ多いほど、採用人数も多くなるためだと考えられます。

なお、採用予算とは人材を採用するために事前に見積もった費用です。新卒・中途採用、採用人数、職種や採用ターゲットによって、採用予算は大きく変わります。  

それに対し、採用実績とは、実際に人材を採用するためにかかった費用になります。

 

採用手法別の平均採用コスト

ここでは中途採用の採用手法別の採用予算・実績と傾向を紹介します。

中途採用の予算と実績

株式会社マイナビが行った同調査によると、採用手法別の2020年の平均採用予算・採用実績は、それぞれ下記でした。

採用手法

採用予算(万円)

採用実績(万円)

人材紹介

321.2

276.3

求人広告

185.8

150.3

合同企業説明会

(オンライン含む)

71.8

53.9

採用ブランディング

64.5

56.6

その他経費

90.0

79.6

合計

733.4

688.4

出典:株式会社マイナビ『中途採⽤状況調査2021年版

 

平均採用予算合計は733.4万円です。そのうち予算・実績とももっとも高かったのは人材紹介で、合計の約40%以上を占めています。

 

中途採用における採用手法別の傾向

ここでは実施した採用手法のうち、実際に効果があった手法をもとに、採用手法のトレンドを紹介します。

出典:株式会社マイナビ『中途採状況調査2021年版

 

こちらも株式会社マイナビが行った同調査によると、中途採用で実施した採用手法は、「転職サイト」が最も高く60.8%、続いて「職業安定所」(55.1%)、「人材紹介会社」(54.5%)となっています。

「転職サイト」を利用している企業が一番多いものの、実際に効果のあったサービスは「人材紹介会社」(74.3%)が「転職サイト」(73.4%)よりも高くなっています。

また、実施をした採用手法を前年度と比較をした場合に「転職サイト」は約6%減少した一方で「職業安定所」「人材紹介会社」「リファラル採用」「ダイレクトリクルーティング」は10%以上の増加となり、注目されていると言えます。

実際に効果があった採用手法として、すでに多くの企業で活用されている「転職サイト」と「人材紹介会社」が70%を超えているなかで、「ダイレクトリクルーティング」も60%超と高い水準です。前年度比を見ても18.4%増えており、ダイレクトリクルーティングを取り入れる企業が、今後増える可能性があると考えられます。

採用コストを抑えるための4つのポイント

ここでは採用コストを抑えるための4つのポイントを解説します。

  1. 採用手法の検討
  2. 内部コストの検討
  3. 早期離職の削減
  4. 採用広報・採用ブランディングの実施

 

1. 採用手法を見直す

採用コストを抑えるには、採用手法から見直すことも重要です。ここでは採用コストの削減が見込める2つの採用手法を紹介します。

1-1. ダイレクトリクルーティングを活用する

ダイレクトリクルーティングとは、企業から候補者に直接アプローチする採用手法です。

主に専門のダイレクトリクルーティングサービスを活用し、サービスに登録している人材から自社がほしい人材を選定し、スカウトメールを送信して選考につなげる流れです。

ダイレクトリクルーティングサービスの料金には、外部コストとして初期費用や月額のサービス利用料、採用が決定するごとにかかる成功報酬費用がかかります。また、料金形態もさまざまです。

ここでは年収400万の人材を5名採用する際の、ダイレクトリクルーティングと人材紹介それぞれの費用と採用単価を比較します。

 

▼ダイレクトリクルーティングサービスを使用した場合
料金形態

 初期費用:30万円

 サービス利用料:5万円/月額

 成功報酬:採用した人材の年収のうち15%

実際に発生した費用 

 初期費用:30万円

 サービス利用料:60万円(5万円×12ヶ月)

 成功報酬費用:300万円(年収400万円×15%×5名)

    合計:390万円

採用単価    78万円

 

▼人材紹介を使用した場合
料金形態

 採用が決定した人材の年収の35%

実際に発生した費用 

 成功報酬費用(合計):700万(年収400万円×35%×5名)

採用単価    140万円

 

上記のようにダイレクトリクルーティングサービスを活用した方が、外部コストの削減が期待できます。

しかし、ダイレクトリクルーティングサービスの運用には一定の工数がかかるため、採用担当者の業務負荷の増加につながり、内部コストが高くなる傾向があります。ダイレクトリクルーティングの導入にあたっては、内部コストを含めた費用対効果の検証が必要です。

 

1-2.  リファラル採用に協力してもらう

リファラル採用とは、自社の社員に友人や知人を紹介してもらい候補者を募る採用手法です。社員の協力を仰げれば、外部コストをかけずに採用活動ができます。

企業によっては採用が成功した際に、紹介した社員に報酬を支払うリファラル制度を整備している場合もあります。

リファラル採用の候補者は、すでに働いている社員から自社の実態に基づいた情報を聞いたうえで選考に進むため、内定辞退や早期離職などのミスマッチの削減も期待できます。

 

2. 運用にかかるコストを見直す

業務改善ができれば運用コストの削減が期待できます。

業務の効率化を図るためには、はじめに採用活動全体を通じて、改善できるところや課題を見つけて整理することが大切です。

取り組むべき課題を洗い出した上で、社内で体制を整える、外部のサービスやシステムを活用するなど、解決策を検討しましょう。下記に業務改善に役立つサービスを紹介します。

2-1. 採用代行(RPO)サービスを活用する

採用代行(PRO)サービスとは、採用業務を外部のパートナーに委託できるサービスです。

採用代行サービスは、さまざまな業界や職種の採用を支援しており、採用に関する豊富な知見やノウハウを持っています。採用業務にかかる工数やリソースの削減が見込めるだけでなく、採用担当者と一緒に業務を進めることや、アドバイスをもらうことで、ノウハウの蓄積も期待できます。

ノウハウが蓄積されることで、「採用ターゲットがより明確になり、適切な採用媒体の選定ができる」、「不要な求人広告の掲載を防げる」などの効果が見込めます。結果として、採用活動の効率化がはかれるため、社内リソースの削減も期待できるでしょう。  

採用代行サービスに委託できる業務範囲は幅広く、採用計画の立案、採用媒体の運用、エージェントマネジメントや面接の日程調整など、採用業務全般の対応が可能です。

 

2-2. 採用管理システム(ATS)を活用する

採用管理システム(ATS)とは候補者の履歴書や、選考状況、評価データ、メール通知などを一元で管理できるシステムです。

一元管理のため、他のシステムやツールを確認する必要がなく、応募者対応全体のコスト削減にもつながり、管理業務にかかる負担が軽減されます。

 

3.早期離職を減らす

早期離職は企業にとって大きな損失です。採用にかかったコストから、離職した社員に支払った給与、教育にかかったコストなどを損失してしまいます。

原因は入社前後の企業に対するギャップにある場合が多く、選考段階で候補者に情報を十分に提供できていないことが要因のひとつです。

ミスマッチを防ぐ方法として、カジュアル面談や選考で自社のよい面だけではなく課題も含めた実態を伝える、応募者に期待している役割を説明するなどの取り組みを検討しましょう。

 

参考:採用ミスマッチの影響と原因。選考時と入社後にとるべき対策を解説

 

4. 採用広報に注力する

通常の広報は会社としての認知獲得を目指しますが、採用広報は職場としての認知獲得を目的とし、候補者の志望度向上に向けた取り組みを指します。

たとえば、社員インタビュー記事の掲載やSNSでの発信といった手法です。現場で働く社員にインタビューで業務や職場の雰囲気を伝える、自社が掲げるミッションや事業の方向性などを社長のインタビュー記事で伝えるなどが挙げられます。

採用広報に注力することで、採用ターゲットに向けて職場の魅力や雰囲気、カルチャーなどをより実態に即してアプローチできます。

 

自社にとって適切な採用コストを見極めた上で、採用手法を検討しましょう

ここまで​​採用コストの考え方や相場、採用コストを抑えるためのポイントなどを解説してきました。中途採用のコストは企業規模により幅があり、採用単価も採用手法や候補者によってさまざまです。

コストを見直す際には、外部コストだけではなく、人件費や諸経費などの内部コストも含めて検討を行いましょう。

ただし、採用コストは削減すればよいという訳ではありません。適切な採用コストで、求める採用の成果を出せるのが理想です。自社にとって適切な採用コストを算出した上で、定期的に自社の採用コストを見直し、採用手法や業務の効率化によって改善していく必要があります。

採用コストの削減を検討されている際に、ぜひ、今回紹介したポイントを活用してみてください。

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この記事の監修者:犬飼 渓矢
この記事の監修者:犬飼 渓矢

マルゴト株式会社まるごと人事事業部 事業企画

テーマパークホテル勤務、ベンチャー企業の社長室室長を経て、2019年にマルゴトへ入社。マネージャー、ゼネラルマネージャーを経て、現在は「まるごと人事」事業部の事業企画として従事。
中長期目線の事業課題の解決を通じた顧客価値の最大化を目指す。

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