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2022.10.29
まるごと人事 編集部 まるごと人事 編集部

採用ブランディングとは?取り組むメリットや実施のステップを解説

売り手市場が続く近年、採用ブランディングが注目されています。

採用ブランディングは自社の魅力を高め、戦略的にイメージをつくることで、採用成功につなげる取り組みです。

必要性はわかっていても、「なにから始めたらよいかわからない」、「取り組むメリットはなにか」といった疑問を抱える採用担当者様もいらっしゃるのではないでしょうか。

本記事では、採用ブランディングとはなにか、取り組むメリットや具体的なステップを解説します。

 

採用ブランディングとは

一般的なブランディングとは、消費者に対して特定のイメージを持ってもらうよう戦略的に設計することを指します。

たとえば、「〇〇(商品・サービス)といえば〇〇(企業)」、「〇〇(商品・サービス)は高級感がある・安心感がある」など特定のイメージを連想してもらうための戦略となります。

それに対し、採用ブランディングとは、求職者に対して働く場としての自社のイメージをつくることです。

たとえば、企業理念やビジョン、職場の雰囲気や働くメリットなど、職場としての魅力を発信することで、求職者からの自社の認知度やイメージを向上させ、共感、信頼を得るための戦略になります。

こうしたイメージを作りあげ、他社との差別化を図ることで、求職者から職場として選ばれる状態を目指します。

また、自社のイメージを向上させることで、すでに働いている社員が自社の価値観や魅力を再認識できるなど、エンゲージメント向上も期待できます。

 

採用ブランディングが注目される背景

ここでは採用ブランディングが注目される背景を解説します。

1. 売り手市場

近年続く売り手市場によって、優秀な人材を採用するための難易度は高まっています。

優秀な人材を採用するためには、採用ターゲットに向けて的確なアプローチをおこない、質の高い母集団をつくることが重要です。

採用ブランディングによって自社のイメージを戦略的に設計することで、自社が求める人材への認知をはかり、イメージの向上につなげられます。

 

2. ダイレクトリクルーティングの台頭

ダイレクトリクルーティングの台頭も、採用ブランディングが注目される背景のひとつです。ダイレクトリクルーティングは、自社が求める人材に直接アプローチする採用手法です。

求職者に直接、魅力や特徴を分かりやすく伝えられるため、求職者の印象に残りやすく、採用ブランディングに効果的な手法と言えるでしょう。

また、転職潜在層が将来的に転職する際に、働く場として検討してもらえる可能性を高める効果が期待できます。

 

3. 求職者の価値観の変化

終身雇用制度が事実上崩壊するなか、待遇のよさや企業の安定性だけではなく、仕事のやりがいや自己成長など、仕事を通じて得られる経験やスキルを重視する求職者が増えています。

そのため、求人票や雇用条件などの必要最低限の情報だけでは、求職者の志望意欲を高めるのは難しいと言えます。ミッションやビジョン、成長環境など、求職者のニーズに沿った情報を発信する、採用ブランディングのが求められています。

 

4. 情報量の増加

SNSやWebメディアの普及にともなって、情報量が急激に増加するなか、求職者は多くの情報を入手したうえで、働く場として適切かどうか、自身が活躍できるかどうかを検討しています。

求職者が受け取る情報量が増えたため、やみくもな情報発信では採用ターゲットに向けて自社が届けたい情報を届けるのは難しいと言えるでしょう。

採用ブランディングによって、企業は「だれに」、「なにを」、「どのように」アプローチするのかを検討することが必要になっています。

 

採用ブランディングに取り組む4つのメリット

ここでは採用ブランディングに取り組むメリットを解説します。

 

1.企業認知度の向上

採用ブランディングを通じて自社の魅力を発信することで、これまで自社のことを知らなかった人を含め、多くの人と接点をつくることができ、自社の存在を認知してもらえるでしょう。

多くの人に認知してもらうことで、応募先や転職先として検討してもらえる可能性を高められます。

 

2.質の高い母集団形成

採用ブランディングは、質の高い母集団を形成するうえでも有効です。

自社で設計したイメージにもとづいて、魅力や価値観、カルチャーといった情報を発信することで、求職者に一貫した印象を与え、自社理解を促すことができるでしょう。

自社への理解が深まることで、求職者側で応募するかどうかの判断がしやすくなり、採用ターゲット外からの応募を防ぐ効果も期待できます。また、採用後のミスマッチを抑制することにもつながります。

 

3.他社との差別化

採用ブランディングによって、自社の魅力や特徴を明確にすることで、競合他社との差別化もはかりやすくなります。

求職者が触れる情報が増えるなか、他社と似たような求人では埋もれてしまいます。自社独自の魅力や特徴を発信することで求職者の目に触れやすくなるでしょう。

 

4.エンゲージメントの向上

採用ブランディングは求職者だけでなく、既存社員のエンゲージメント向上にも効果的です。

自社のイメージをよい方向に転換できたり、ミッションやビジョン、カルチャーといった情報発信によって、社員が自社の価値観を再認識したり、帰属意識を高めたりといった機会になります。

社員のエンゲージメントを高めることで、組織全体で採用活動に向き合うカルチャーの醸成にも役立つため、自社の社員が知り合いを候補者として紹介する、リファラル採用への促進も期待できるでしょう。

 

採用ブランディングに取り組む際の3つのポイント

ここでは採用ブランディングに取り組む際のポイントを紹介します。

 

1. 全社的に協力してもらう

採用ブランディングでは、発信内容と実態に乖離があると、求職者がもつ入社前のイメージと実態にギャップが生じ、内定辞退や早期離職の可能性が高まります。

ギャップを防ぐためには、浸透させるイメージを関係者間ですり合わせておくことが重要です。

また、面接をおこなう現場の担当者や役員と認識を合わせておくことで、会社説明の粒度や訴求するメッセージに一貫性が生まれます。結果的に面接の質を担保でき、求職者間の理解度のバラつきを防ぐ効果も期待できます。

採用ブランディングをおこなう際には、社内に対して「なぜ取り組むのか」、「どのような協力が必要なのか」といった背景や、協力してほしい内容を説明してから取り組みましょう。

 

2. 効果が出るまでに時間がかかる

採用ブランディングは、採用広告や人材紹介といった採用手法とは異なり、即効性のある施策ではありません。

自社の認知度向上やイメージを浸透させ、母集団の質や量に変化が見られるまでには、少なくとも2〜3年はかかると言われています。

効果が出ないからと短期でやめてしまうのではなく、長期的な施策であることを念頭に置き、継続的に取り組むことが重要です。

 

3. 採用全体を通じてブランドイメージの整合性をとる

ブランドイメージとは、企業や商品、サービスに対する印象です。

採用活動においても自社が伝えたいイメージを正しく浸透させるためには、採用活動全体で求職者に伝えるメッセージを統一し、各施策に一貫性をもたせることが重要です。

伝えるメッセージや施策ごとに与える印象が異なっていると、ブランドイメージに整合性が取れず、自社の魅力を適切に伝えることができないばかりか、求職者からの信頼を損ねる可能性もあります。

採用ブランディングでは「自社がどのように認識されたいか」を定めたうえで、一貫したメッセージを届けることが重要です。

 

採用ブランディングに取り組む際の6つのステップ

ここでは採用ブランディングの進め方を紹介します。

 

1. 自社が求める人物像を明確にする

採用につなげるためには、自社が求める人材を定義することが重要です。

求める人材を定義することで、的確に魅力を伝えたり、適切な媒体でアプローチをおこなえたりするため、自社が求める人材への認知を広げ、イメージを向上してもらうことにつながります。

採用ペルソナを設定することで、求める人物像を具体的に想定することができます。

採用ペルソナを設定する

採用ペルソナとは、自社が求める人材の典型的な人物像です。

採用ペルソナでは性別や年齢、居住地、ライフスタイルや趣味なども含めた具体的な情報をもとに一人の人物像を作りあげていきます。業務とは関係ないように見えるライフスタイルや趣味なども、価値観やパーソナリティといった部分までイメージをすることで、自社が求める人物像を想定しやすくなり、効果的なアプローチにつながります。

採用ペルソナの設定方法について、詳しく知りたい方は下記の記事も参考にしてみてください。

 

採用ペルソナ設計のステップと項目、採用活動に役立てる方法を解説

 

2. 自社の魅力を明確にする

自社のミッション、サービスやカルチャーといったさまざまな観点から、自社ならではの魅力や他社との差別化できるポイントを洗い出します。

企業の魅力にはさまざまな観点があるため、下記の項目例を参考にしてください。

 

  • 会社:ビジョンはなにか・どのような背景があるのか/経営陣はどのような想いを持っているのか
  • 業務内容:だれと・どのような仕事をするのか/仕事のやりがいはなにか
  • 事業内容 :事業の成長性はあるのか/どのくらいの規模感なのか/業界ではどのような立ち位置なのか
  • 社員 :どのような社員が働いているのか
  • カルチャー :会社で大切にしているバリューはなにか/どのような社風や雰囲気なのか

 

3. 自社を分析する

次に他社と差別化できる要素を明確にするために、採用市場における自社の立ち位置を把握しましょう。

自社の立ち位置を把握する際には、マーケティングで活用される3C分析のフレームワークが活用できます。

3C分析とは、自社を取り巻く環境要因を漏れなく把握するためのフレームワークで、事実を把握することが重要です。3Cとは「Company(自社)」「Competitor(競合)」「Customer(顧客)」の頭文字です。採用活動においては、「自社」「採用競合」「求職者」に置き換えて考えるとよいでしょう。

下記の図を参考に、自社と他社、それぞれの強みや弱み、立ち位置にくわえ、採用ターゲットの価値観や志向性、ニーズなどを洗い出しましょう。

 

4. 採用コンセプトを決める

採用コンセプトとは、採用活動をおこなううえでの一貫したテーマや方針を指し、採用活動全体の指針となる重要な箇所です。

採用コンセプトには、ここまでに決めた自社の魅力を端的に表す要素、採用ペルソナのニーズに応える要素を入れましょう。会社、業務内容、事業内容、社員やカルチャーといった各項目において「求職者にどのようなイメージをもってもらいたいか」を決めます。

採用ブランディングは中長期的な施策のため、イメージを浸透させるまでには一定の時間がかかります。

そのため、一度決めた採用コンセプトは安易には変更せず、継続的に活用することを念頭に、今後の展望や経営者が描くビジョンを反映しましょう。

 

5. 各施策を通じて採用コンセプトを浸透させる

採用活動全体を通じて、採用コンセプトの浸透をはかっていきます。

認知、応募、選考から入社にいたるまで、採用活動全体を通じて一貫したメッセージを届け、意識的にイメージをつくることが重要です。

そのため、すでにおこなっている施策においても採用コンセプトとのズレがないかを適宜見直し、必要に応じて修正をおこないましょう。

5-1. 認知・応募

転職潜在層や求職者に向けて、自社の認知を向上させ、興味・関心を促すことで応募につなげます。

取り組みとしては下記が挙げられます。

<採用オウンドメディア>

採用オウンドメディアとは、自社の社員のインタビュー記事やブログ記事、あるいは動画コンテンツなど、企業としての情報を発信するWeb媒体を指します。自社で運営をおこなうため、デザインやコンテンツのボリュームなどは自由に決められます。

採用コンセプトに沿った情報発信をおこなうことで、自社のイメージを展開できます。

たとえば、インタビュー記事の場合は、経営陣によるミッションやビジョンの解説、社員による仕事のやりがいや業務内容、入社理由が挙げられます。また、社内の様子を伝えるために、社内イベントのレポートやブログ記事なども有効です。

また、一度掲載した記事は、メディア内でカテゴリー別に情報を蓄積できるため、自社に興味をもった人材に継続的に情報を届けることが可能です。

 

 < 採用ピッチ資料>

採用ピッチ資料とは、自社理解を目的とした会社説明資料です。

ただし、従来の会社説明資料とは異なり、自社のポジティブな側面だけでなく、自社の実態をありのままに伝える点が特徴です。

採用ブランディングで決めた方向性をもとに作成し、募集や選考の際に活用することで、求職者の自社への理解を正しく深めてもらうができます。

内容としては、ミッション・ビジョンの説明、事業説明、商品・サービスの紹介、福利厚生やカルチャーの紹介など多岐に渡ります。

作成したあとはWeb上で公開したり、就職・転職イベントやセミナーを実施したりする際に活用ができます。採用ピッチ資料について詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてみてください。

 

採用ピッチ資料とは?作成するメリット、手順や活用方法、採用ピッチ資料20選を紹介【2022最新版】

 

<SNS>

TwitterやInstagramなどのSNSを採用ブランディングに活用する方法です。

SNSは多くの人が日常的に使うサービスであり、シェア機能による拡散性も高いため、アプローチできる人材の幅広さと人数の多さが特徴です。

SNSを活用することで、自社のイメージを戦略的につくれるため、採用ブランディングの効果を高めるうえで有効です。

また、投稿はテキストだけでなく、画像や動画も可能なため、視覚的なアプローチも可能です。自社の雰囲気やカルチャーなどのイメージの形成にも効果的と言えるでしょう。

 

<就活・転職イベント・説明会>

採用イベントは企業が求職者と接点を持ち、企業の認知を高めたり、応募につなげたりする目的で開催されます。

会場にいる求職者と直接コミュニケーションをとる機会となるため、認知度の向上にくわえ、自社のイメージ形成への影響も大きいと言えるでしょう。

採用活動のオンライン化が進むなか、求職者と直接コミュニケーションは希少です。自社のイメージを向上させるうえで効果的な取り組みです。

 

5-2. 選考

選考においても採用コンセプトをもとに、求職者に自社のイメージを浸透させることが重要です。

選考は企業が求職者を見極める場であると同時に、求職者も働く場として適切かどうかの見極めをおこなっています。

求職者が自社に対して正しいイメージをもつことで、志望意欲を高められたり、採用ミスマッチ防げたりといった効果が期待できます。

面接をおこなう関係者には採用コンセプトを共有し、求職者への魅力づけや会社説明をおこなう際に、採用コンセプトを反映してもらうといった働きかけも、ブランドイメージの整合性をとるために重要です。

 

6. PDCAを回し、イメージの浸透をはかる

採用ブランディングによって自社の認知向上や、母集団に変化が生まれるなどの効果が出るまでには一定の時間が必要です。

各施策を通じて情報を発信したあとも数字などのデータを把握し、ブランディングによる効果がありそうかを確認し、改善を繰り返すことがポイントです。

たとえば、Webメディアや採用ページの閲覧数に変化はあったのか、母集団の質に変化はあったのかなどの確認や、自社が認知されたいイメージと求職者との間に認識のズレがないかなども確認しましょう。

さらに入社後のギャップがないかどうかも、自社のイメージが実態とのズレなく認知がされているかを知るためのひとつの指標になります。

認知されたいイメージと求職者の認識にズレがあったり、実態との整合性がとれていなかったりといった課題があれば、募集文や求人票の文言を見直すなど、PDCAを回して施策の改善をしていきましょう。

 

採用ブランディングに取り組み、採用成功につなげましょう

採用ブランディングは、自社の魅力を高め、戦略的にイメージをつくることで、採用成功につなげる取り組みです。

売り手市場にくわえて、採用手法や求職者の価値観が多様化する近年において、その必要性はますます高まっていると言えるでしょう。

即効性のある施策ではありませんが、継続的に取り組むことで自社の認知を高め、自社のイメージをつくることで効率的な採用活動につながります。

ぜひ本記事で紹介した手順やポイントを参考に、採用ブラディングに取り組んでみてください。

 

まるごと人事 編集部
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