お役立ち情報
採用時に優秀な人材だと思っていたのに、入社後に期待通りに活躍していないことや、採用した人材が早期退職してしまったなど、採用のミスマッチに悩む採用担当者様は少なくありません。
企業にとって採用ミスマッチによる金銭面、業務や環境面の影響は広く、採用ミスマッチの防止は取り組むべき課題のひとつです。
本記事では採用ミスマッチの影響と原因について、また採用時・入社前後のポイントと対応策を解説します。
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目次
採用ミスマッチとは
採用ミスマッチとは、企業と候補者双方において入社前の期待値と、入社後の実態にギャップが生じている状態を指します。ギャップが生まれる要素は、業務内容や役割、カルチャーや社風など多岐に渡ります。
たとえば、候補者が入社前に想定していた業務と入社後に実際に行う業務が異なる場合や、企業が候補者に期待していた業務が候補者のスキル不足によって遂行できない場合などが挙げられます。
採用ミスマッチによる影響
採用ミスマッチによる組織や事業への影響は大きく、採用担当者としては避けたいものです。どのような影響があるのか、具体的に見ていきましょう。
まず、金銭的な損失が挙げられます。退職時の損失は「退職時の年収のおおよそ半分」とも言われています。採用媒体や人材紹介料など、採用にかかったコスト、面接にかかった時間、在籍期間の給与などが含まれます。
次に、職場環境へのネガティブな影響も避けられません。離職者が出た事実だけではなく、離職者のカバー業務によって既存社員への業務負荷が増え、社員のモチベーション低下につながるリスクもあります。
さらに、早期離職が続いてしまうと「ブラック企業」のイメージとも重なり、候補者からの応募を敬遠される、取引先から不信感を抱かれてしまうといった可能性があり、対外的なイメージダウンにもつながってしまいます。
なぜ採用ミスマッチが発生するのか
採用ミスマッチの原因は、企業と候補者の双方にあると言えます。
なぜ採用ミスマッチが生まれてしまうのでしょうか。ここでは企業側・候補者側それぞれの原因を解説し、採用ミスマッチの原因となる要素についても紹介していきます。
企業側の原因
はじめに企業側の原因を2点、解説します。
1. 情報を十分に提供できていない
原因のひとつとして、企業側から候補者に提供している情報の少なさが挙げられます。
企業や業務に対する理解が不十分なまま候補者が入社してしまい、採用ミスマッチにつながるケースです。
企業側は候補者に入社してほしいという気持ちから、自社や募集ポジションの魅力、メリットなどのポジティブな側面ばかりをアピールしがちです。そのため、候補者は企業で働くうえでのデメリットやネガティブな側面を十分に把握できないまま入社し、ギャップが生まれやすくなってしまいます。
企業はポジティブな情報だけではなく、職場の実態や場合によってはネガティブな側面も候補者に伝え、実態に即した自社理解を促すことが重要です。
2. 面接で適性・スキルを見極められていない
面接で候補者の適性やスキルを見極められていないことも、採用ミスマッチの原因のひとつです。
面接は企業が候補者を評価する場です。候補者によっては「自分をよく見せよう」と振る舞ってしまい、企業が求職者のスキルや人柄、志向性を正確に把握しきれない場合があります。
このような候補者の振る舞いがある可能性を念頭に置き、候補者のスキルや性格を客観的に見極めることが重要です。
候補者側の原因
採用ミスマッチには、企業側だけではなく候補者側に原因がある場合もあります。
先述のような候補者の企業理解や仕事理解の不足には、候補者側での情報収集にも課題があると言えるためです。
候補者は企業のポジティブな情報だけに目を向けるのではなく、さまざまなソースから情報収集を行い、カジュアル面談や面接では職場の実態や課題、現場で働く社員の声なども直接聞いて、実態を正しく把握する必要があります。
採用ミスマッチの原因の上位にあるのは「人間関係」「労働環境」
採用ミスマッチの原因として、「人間関係」、「労働環境」、「待遇」が上位3位を占め、次に「仕事内容」、「社風」の順で多くなっています。特に人間関係、労働環境は入社前に実態を十分に把握することが難しく、候補者との相性に左右される項目です。
たとえば、以下のようなギャップが発生するケースが挙げられます。
- 「良好な人間関係を期待して入社をしたものの、直属の上司と関係が築けない」
- 「風通しのよいカルチャーだと思って入社をしたものの、部署によって環境に差がある」
- 「配属によって思っていたよりも業務量が多く、想定していた残業時間を超過する、想定外の休日出勤が頻発する」
いずれのギャップも企業側が候補者に対して自社で働くうえでの実態を正しく伝えることで、ギャップを埋められる可能性もあったと言えます。
※出典:転職会議独自調査「転職におけるミスマッチ三大理由を徹底調査!1位はやっぱり「人間関係」
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採用ミスマッチを防ぐ選考時のポイント
採用ミスマッチを防ぐには、企業・候補者双方において入社前後の「ギャップ」をなくすことが必要です。ここでは採用ミスマッチを防ぐために、企業側での選考時のポイントを解説します。
- 実態を伝える
- 期待役割を伝える
- 候補者の価値観を捉える
それぞれのポイントについて、具体的に確認していきましょう。
1.業務・職場の実態を伝える
候補者に対してポジティブな側面だけを伝えていると、候補者の期待値が上がってしまう可能性があります。
業務を行ううえでトラブルや組織の課題といったマイナスのできごとは避けられず、その際に「こんなはずじゃなかった」とギャップを感じて、モチベーションの低下につながるリスクもあるでしょう。
たとえば「ゼロから事業の立ち上げができる」というポジティブな側面には、同時に「自ら事業を企画し、必要な業務を考えなければならない」、「事業立ち上げ時はやるべきことが多岐に渡るため、残業が多くなるかもしれない」といった実情も含めて伝える必要があります。
発生し得るデメリットも含めて伝えることで、候補者が「本当に自身が求めている職場環境か」、「本当にやりたい業務内容か」などの実態に即して検討ができ、入社前後のギャップ低減につながります。
2.候補者にどのようなパフォーマンスを期待するのか伝える
候補者との認識のズレをなくすために、どのような役割、パフォーマンスを求めているのかを選考段階であらかじめ伝えることが重要です。事業や組織の課題をできるだけ詳細に伝えたうえで、候補者に求める素質やスキルを伝えましょう。
そうすることで「なぜそのスキルが必要なのか」、「なぜその役割を期待されているのか」といった背景を正しく理解してもらえ、入社後のギャップをなくすことにも繋がります。
候補者に実態や課題を正しく伝えるためには、採用担当者が日頃から現場とコミュニケーションを取り、現場の実態や、どのような社員が活躍しており、どういった素質やスキルが必要なのかなどの情報を把握しておくことが必要です。
3.候補者の考えや志向性を把握する
選考段階で候補者のキャリアプラン、仕事の希望やパフォーマンスを発揮しやすい環境などを、企業が把握しておくことも重要です。
能力が高い候補者であっても、企業のカルチャーや部署の環境、仕事の進め方が合っていなければ、期待していた成果を出せない可能性があります。
求めるスキルや能力だけでなく、候補者の志向性やパーソナリティを深掘りできる質問を用意しましょう。
たとえば、候補者ならではのアイデアで成果を出した経験、周囲と連携をして成功したできごとや、今後のキャリアプランなどを深掘りすることで、候補者の価値観やパーソナリティ、志向性を捉えるヒントにつながります。
期待しているパフォーマンスを発揮してもらうためにも、候補者のパーソナリティを把握し、自社のカルチャーや環境にマッチしているかどうかを見極めましょう。
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採用ミスマッチを防ぐ4つの対応策
ここでは上記のポイントを踏まえ、採用ミスマッチを防ぐための4つの対応策について解説します。
1.カジュアル面談の実施
カジュアル面談とは、採用担当者と候補者がお互いを知る機会として選考前にカジュアルな雰囲気でおこなう面談です。面接とちがい、選考の要素はありません。
候補者にとっては企業で働くうえでの実態や課題への理解を深めることができ、企業にとっては候補者のキャリアプランや志向性を知る場として活用できます。カジュアル面談の導入によって、入社前後のギャップが解消でき、採用ミスマッチの防止が期待できます。
カジュアル面談を活用するためには、候補者に面接の場ではないことを認識してもらうことが重要です。カジュアル面談を進める際のポイントは下記です。
- 候補者に選考の場ではないことを伝える
- 参加の目的や転職への温度感、カジュアル面談で知りたい情報などをヒアリングする
- 候補者が知りたい情報をもとに、会社説明を行う
- カジュアル面談後の選考の流れを案内する
- 選考に進むか、の意志確認を行う
また、候補者が知りたい情報を提供するためには事前準備も欠かせません。
採用担当者がカジュアル面談を実施する場合は、現場のメンバーから組織や事業の課題などの情報収集を行っておく必要があります。また、現場のメンバーに面談を依頼する場合は、候補者に関する情報提供を行いましょう。
2. 適性テストの実施
適性テストとは、候補者の性格を網羅的に把握するテストツールです。
候補者の素質や志向性をデータで客観的に診断できるため、ストレス耐性や組織への適性を見極めるのに役立てることができます。
また、自社で活躍している社員の検査結果を参考に、似た傾向の人材を採用することで、入社後の定着や活躍が期待できることもあります。
適性テストにはさまざまなサービスがあるため、測定内容や金額、サポートの有無などから自社に適したものを選びましょう。
3. 構造化面接の導入
構造化面接とは、あらかじめ評価基準や面接時の質問項目を決めておき、面接官がマニュアルに沿って面接を行う方法です。
構造化面接によって、面接官による評価のバラつきを軽減でき、属人化による採用ミスマッチの防止が期待できます。
4. 体験型入社やインターンシップの導入
選考時の情報提供だけでは社内の雰囲気や実態を知るのは難しいため、体験型入社やインターンシップの導入も有効です。
候補者は、実際の業務を体験することで、働いている社員とコミュニケーションを取ることができ、自社で働く具体的なイメージを持つことができます。一方で企業は、候補者にどのような業務を任せられそうか、既存メンバーとの相性や社内のカルチャーに合っているかを把握できます。
現場で働く機会を設けることで、双方にとって入社後のイメージをより具体的に持てるため、採用ミスマッチの防止が期待できます。
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オンボーディング施策で入社後のフォローを
候補者に入社後に活躍してもらい、自社に定着してもらうには、オンボーディング施策も有効です。
オンボーディングとは、入社後に早く職場に慣れてもらい、組織への定着・戦力化を促進するための取り組みです。自社への定着や会社理解を促す効果も期待できるため、採用ミスマッチによる早期離職の防止にもつながると言えます。
オンボーディング施策の具体的な取り組みとして、下記が挙げられます。
1. オリエンテーションや研修の実施
入社後に会社理解や組織理解を促すために、オリエンテーションや研修の実施が有効です。
入社者は新しい環境に緊張している場合がほとんどのため、オリエンテーションを行うことで緊張の緩和や帰属意識の醸成といった効果を期待できます。
オリエンテーションでは、既存社員との相互理解や、会社の全体像や各部署の役割をキャッチアップできる場にするのが望ましいでしょう。
オリエンテーションの実施によって、入社者が組織に馴染めれば早期離職の抑制にも効果的です。
2. 1on1での定期的な面談の実施
1on1とは、カジュアルな雰囲気で対話ができるミーティングのことです。
一般的には直属の上司と部下が1対1で行い、部下の成長促進や目標達成に向けた擦り合わせの場として活用されます。
オンボーディングの一環として1on1を活用する際には、直属の上司に限らず、人事担当者やチーム・部門の責任者が実施をする場合も多いです。入社者が抱えている職場に対する不満を把握する、キャリアプランや今後のビジョンなどを理解する目的で実施をします。
企業が採用ミスマッチの兆候に気づくことができれば、直属の上司や人事担当者と連携し、入社者が抱える不満解消に向けた対策を行う、キャリアプランの達成に向けたサポートを行うなどの対応ができ、早期離職を未然に防ぐことにもつながります。
適切な対策やフォローを行い、採用ミスマッチを防ぎましょう
本記事では採用ミスマッチの原因と対応策について解説をしました。採用ミスマッチによる損失は大きく、金銭面、職場環境面などの広い範囲に影響が及びます。
採用ミスマッチを防ぐには、入社前後の「ギャップ」をなくすことが重要なため、選考段階で自社の実態に即したを情報提供を行い、正しい自社理解を促すことがポイントです。また入社後は、入社者が社員として定着し、パフォーマンスを発揮するための環境づくりも欠かせません。
ぜひ本記事で解説した対応策を参考に、選考から入社後のフォローまで、採用ミスマッチが起こらない採用活動を目指しましょう。
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