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アルムナイ(カムバック)制度とは?ベンチャーにとってのメリットや導入のポイント
一度退職した社員を再度雇用する「アルムナイ(カムバック)制度」。
海外の企業をはじめとして導入されている制度ですが、国内ではまだ実施している企業は多くないようです。
アルムナイ(カムバック)制度とはどのような制度でしょうか。また、導入することでどのようなメリットがあるのでしょうか。
本記事では、アルムナイ(カムバック)制度の概要やメリット・デメリット、導入のポイントなどを解説します。
目次
アルムナイ(カムバック)制度とは?
「alumni(アルムナイ)」とは、「卒業生・同窓生」を意味する英語です。企業においては「退職した社員」を指します。
退職者を再度雇用するために、数年後も自社に戻ってこられる状態を整えておく制度を「アルムナイ制度」と呼び、「カムバック制度」も同じ意味で使用されます。
退職者は、他社に転職したり起業したりするなかで、さまざまな経験や知識を蓄積しています。
それらの豊富な知見を自社で生かしてもらえる点が、アルムナイ制度の大きな利点です。
また、育児や介護、配偶者の転勤などの事情でやむを得ず一度退職した社員が、落ち着いたタイミングで自社に戻り、キャリアを再形成できる点もアルムナイ制度の特徴です。
アルムナイ(カムバック)制度が注目される背景
アルムナイ制度が注目されている背景には、人材を確保することの難しさが増している点があります。
国内では年々少子高齢化が進んでおり、主な働き手である生産年齢人口は減少し続けています。
総務省が発表したデータによると、生産年齢人口である15~64歳の人口は1995年をピークに減少を続けており、2050年には5,275万人にまで減少(2021年から29.2%減少)すると見込まれています。
このように生産年齢人口が減少していることに加えて、長引く不況などの影響もあり、採用市場は「売り手市場(求人数に対して、候補者が少ない状態)」となっています。
このような背景から、自社が求める人材を確保することに対して、課題感を持っている企業が増えているのです。そこで、自社の業務や風土を理解しており、マッチする可能性の高い「退職者」にアプローチするアルムナイ制度が注目されています。
アルムナイ(カムバック)制度のメリット
アルムナイ制度には、企業側・退職者側ともにさまざまなメリットがあります。
企業側のメリット
企業側のメリットとしては、新たに新卒採用や中途採用をする場合と比較して、育成コストを削減でき、即戦力として活躍してもらえる点があります。
過去に自社で働いた経験があり、自社の企業文化や働き方、商品やサービスの特徴などを熟知している退職者に対しては、それらについて一からから教える必要がなく、ミスマッチも起こりにくいといえます。
家庭の事情でブランクがある退職者の場合は、入社後の再教育やフォローが必要になることもありますが、適切なフォローを行うことで、入社後に活躍してもらうことができます。
また、一度自社を退職した後に、他社で新たなキャリアを積んできた人材を採用する場合、他社で培った知見や新たな視点を持っているため、自社に新しいイノベーションが生まれる可能性もあります。
退職者側のメリット
退職者側のメリットとしては、「入社したが、イメージしていた仕事内容や職場環境ではなかった」といったミスマッチが起こる可能性が低いため、安心して入社できる点があります。
また、アルムナイ制度があることで、家庭の事情などやむを得ない理由で退職する際にも「落ち着いたらまたキャリアを継続できる」という点で安心感につながり、家庭との両立や将来のキャリアビジョンを描きやすいというメリットがあります。
ベンチャーでのアルムナイ制度のメリット
ベンチャーは大企業に比べて、採用にかける費用や人事担当者のリソースなどが十分でないことも多いものです。
アルムナイ制度なら、入社後のミスマッチが生まれにくく、即戦力になりやすいので、採用コストに余裕が少ないベンチャーが導入するメリットは大きいといえるでしょう。
また、ベンチャーは大企業に比べて知名度が低いため、求人広告を出しても大企業に埋もれてしまいやすいでしょう。
その点、過去に接点のあるアルムナイならアプローチしやすいといえます。
自社にアルムナイ制度の成功事例が増えれば、「また戻りたくなる会社」として、魅力や働きやすさをアピールできます。
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アルムナイ制度のデメリット
一方で、アルムナイ制度にはデメリットもあります。
制度構築のための手間がかかる
アルムナイ制度を成功させるためには、退職者とのつながりを保つために、定期的にコンタクトを取ったり、イベントを開催したり、専用サイトで情報発信したりといった取り組みを行わなければなりません。また、退職者がまた自社に戻ってきたくなるように、自社の魅力づけや、社内理解の促進も欠かせません。
もちろん、元社員であれば無条件で再雇用するわけではありませんので、アルムナイ制度の対象者や採用フロー、労働条件などをしっかりと設定し、制度を構築する必要があります。
このように、アルムナイ採用を導入して成功させるためには、制度の構築や、対象者とコンタクトを取り続ける手間がかかります。
情報漏洩のリスクがある
一度辞めたアルムナイは、もともと自社にいた人材ではあるもの、今現在はあくまでも社外の人間です。アルムナイ制度では、アルムナイが戻ってくるための情報発信は重要ですが、社外秘の情報は必ず把握しておき、情報漏洩を起こさないように注意しましょう。
例えば社員の退職予定や、現在の事業内容、今後の事業プランなどが考えられます。
特に相手が元社員で顔見知りだと、つい気軽に情報を共有してしまいがちですが、今はまだ外の人間であることを意識しましょう。
アルムナイネットワーク導入のポイント
アルムナイ制度では、「アルムナイネットワーク」とよばれる、アルムナイ専用のコミュニティを導入することが多いです。
ここからは、アルムナイネットワークを導入するポイントを解説します。
退職者と既存社員の情報交換の場を作る
アルムナイネットワークの目的は、退職者が現在の自社の現状を知って、「また戻りたい」と思えることです。
退職者が在籍していた当時と現在では、自社の制度や業務内容、働き方などが変化しているかもしれません。再雇用後のミスマッチを防ぐためにも、現在の自社の状況を、伝えられる範囲で発信することが大切です。
退職者としても、自分が退職した後の今の自社の現状は気になるもの。一方で既存社員は、退職者が他社で経験したことや新しいスキルなどについて気になっているものです。そこで、退職者と既存社員がお互いにコミュニケーションをとり、情報交換できる場にできるとよいでしょう。
制度の対象者を絞る
アルムナイ制度では、自社を退職した際の理由や、退職してからの期間などを踏まえて、再雇用の対象者を絞る必要があります。
例えば、「他の会社でもっと自分の可能性を広げたいと思った」「家庭の事情で仕方なかった」といった理由で退職した人は、「機会があればまた戻りたい」と感じている場合がありますので、アルムナイ制度の対象になり得るでしょう。
しかし、「社風が合わなかった」「働き方が合わなかった」といった理由で退職した社員を再度雇用したとしても、また同じ理由で退職してしまう可能性が高いでしょう。そもそも、自社のカルチャーや働き方を大きく変えられない場合、そのような元社員に対して、自社を魅力づけることは難しいため、アルムナイとして適していません。
このように、退職理由も考慮して対象者を絞っていくことが大切です。加えて、再雇用にあたって「元のポジションに戻るのか、新たなポジションを用意するのか」「給与は以前と同じなのか」といった条件面も定めておくことが重要です。
企業・退職者ともにメリットの多いアルムナイ制度
一度退職しても戻りやすい会社にすることは、退職者だけではなく企業にとってもメリットが多く、自社の魅力づくりにもつながります。
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