お役立ち情報
中途採用に最適な時期は、採用活動を行う企業の採用状況によって異なるため、一概にベストな時期は定義できません。しかし、時期によって求職者や企業の動向は異なるため、繁忙期・閑散期それぞれの特徴を把握したうえで、自社の採用活動に役立てることが大切です。
本記事では、中途採用市場の年間を通じた傾向や、時期ごとのメリット・デメリット、それぞれの時期で注力すべきポイントなどを解説します。
目次
中途採用活動に最適なタイミングはいつ?
中途採用に最適な時期は企業によって異なります。一概に最適なタイミングはありませんが、中途採用市場のトレンドは一年の中でも繁忙期と閑散期に分けられます。
- 中途採用市場の繁忙期:1~3月、6~7月、9~11月
- 中途採用市場の閑散期:4〜5月、8月、12月
出典:厚生労働省『一般職業紹介状況(職業安定業務統計)令和5年5月』
厚生労働省が行なっている「一般職業紹介状況」の調査によると、例年1月〜3月と9月〜11月にかけて有効求人数が増加し、有効求職者数に関しても、2月~4 月と9月〜11月にかけて動きが活発化していることが見て取れます。
繁忙期・閑散期どちらの時期の採用活動も、求職者や企業の動向の違い、メリット、デメリットがあるため、解説していきます。
繫忙期における求職者・企業の動向
1~3月:年度始めのタイミングに合わせて中途採用が活発な時期
求職者の動き
年度末の区切りのよいタイミングです。そのため、3月末に現在の職場を退職し、4月から新しい職場で働き始めようと考える求職者が1月頃から求人を探す時期です。
企業の動き
決算月を3月とする企業が多く、年度始めから人員を増強する、あるいは新組織としてスタートするために採用活動に注力する企業が多くなります。
また採用・人事担当者が4月以降、新卒社員の入社や研修で忙しくなるため、それまでの1〜3月に積極的に採用活動を行う企業が多い傾向です。
6~7月:夏のボーナス受け取り後に退職者が増える時期
求職者の動き
6月に支給される夏のボーナスを受け取った後に、次の職場に移ろうと考える求職者が転職活動を始める時期です。
企業の動き
年度末から年度始めにかけての入退社対応や組織変更といった慌ただしさが落ち着き、新卒入社の社員研修も終わる時期です。そのため、人事・採用担当者のリソースを比較的確保しやすいタイミングといえるでしょう。
この時期の採用活動は「夏採用」とも呼ばれ、ボーナス取得後に転職を考える求職者の動向に合わせて、企業が採用活動に注力するタイミングです。
9~11月:下期に向けて転職活動が活発になる時期
求職者の動き
12月に支給される冬のボーナスを受け取った後に、翌年1月の入社を目指す求職者が転職活動を始める時期です。
企業の動き
9月は多くの企業で上半期が終わり、10月から下半期がスタートします。人事異動や年末の退職希望者による欠員を補充するため、採用活動に力を入れる企業が多くなります。
この時期の採用活動は「秋採用」と呼ばれ、求職者と求人件数のバランスがよいともいわれています。
閑散期における求職者・企業の動向
4〜5月・8月・12月:普段は転職活動に時間をかけられない人材に出会える時期
求職者の動き
求職者の動きが鈍化し、新規の求職者数は減少する傾向があります。
4月〜5月・8月・12月はゴールデンウィーク、夏季休暇、年末年始休暇など長期休みの期間に該当することが要因のひとつと考えられます。
企業の動き
求職者の鈍化する動きを踏まえて、多くの企業でも採用活動が下火になります。企業も長期休暇の期間に該当するため、面接の日程調整などが難しくなる時期です。
一方で、スキルや能力は高いものの、普段は業務で忙しく転職活動に時間を割けない人材が長期休暇のタイミングで転職先を探す場合もあるため、この時期の採用活動も選択肢の一つになります。
繁忙期に採用活動を行うメリット・デメリット
中途採用市場の繫忙期に採用活動を行うメリット・デメリットは下記の通りです。
メリット | デメリット |
・求職者が多く応募が集まりやすい ・年度始めや期初などの区切りのよいタイミングと重なるため、入社タイミングの調整がしやすい | ・各社が採用活動に注力しているため、ライバルが多い ・競争率が高くなるため、面接辞退や内定辞退につながるリスクが高い ・応募数が増えることで採用担当者の業務負荷が増える |
繫忙期の採用活動を成功させるためのポイント
繁忙期は求人が多い時期ですが、各企業も採用活動を行うため、ライバルが多い時期にもなります。そのため、求職者が他社の求人と比較した上で、自社を選んでもらうための工夫が必要です。
ここでは繁忙期に採用活動を行う際のポイントを紹介します。
1. 他社との違いを意識した求人を掲載する
求職者に数ある求人の中から自社を選んでもらうためには、自社の強みや特徴を具体的に訴求し、他社との差別化をはかることが重要です。
自社の強みや特徴を訴求するポイントとして、下記の項目が挙げられます。
- 業界・事業の成長性
- ミッション・ビジョン
- 仕事のやりがい
- カルチャー
- 教育・研修制度
- 待遇・職場環境・評価制度
また、採用媒体の掲載では求人の掲載数も求職者数も多い時期のため、求職者の目につきやすい、印象に残りやすいアプローチを検討するとよいでしょう。
たとえば、スカウト文や募集文の表現を工夫する、広告掲載などの露出を増やす、スカウトメールの送付数を増やすなどは応募数の向上が期待できます。
魅力的な募集文・スカウト文の作成方法については、以下の記事も参考にご覧ください。
参考記事:求人募集文の書き方を解説。作成のポイントと改善に向けたチェックリストを公開
2. 選考スピードを早める
選考のスピードを早めることも重要です。スピーディーな対応は、CX(候補者体験)の向上につながります。
選考通過の連絡を迅速に行うことで、求職者が他社と同時並行で選考を進めている場合に、自社の選考辞退や内定辞退といったリスクの低減にもつながります。
選考スピードを早めるための施策としては、採用プロセスの見直しも有効です。
中途採用においても、カジュアル面談のかわりに複数名でのオンライン説明会などを開催することで、採用にかかる工数も軽減できますし、選考までのリードタイムを短縮することができます。
また、面接の代わりに適性検査や課題提出を取り入れることでも選考の効率化が図れます。
採用プロセス全体を俯瞰した上で、「自社の魅力付け」・「候補者の見極め」・「採用にかかるリードタイムの短縮」のそれぞれが適うフローを検討しましょう。
3.人材紹介会社への紹介料を見直す
もちろん、ただやみくもに紹介料を引き上げれば良い、というわけではありませんが、人材紹介を中心に採用活動を行なっている企業にとって、効果的な施策の一つです。
採用繁忙期は、人材紹介会社にとっても求人数・求職者数が増えるため、すべての求人情報を把握することが難しくなります。
このような時期に、人材紹介会社に支払う紹介料を見直し、通常の契約よりも紹介料を上げることで、人材紹介会社の担当が紹介する際に優先度が上がり、結果的に推薦数が増える可能性があります。
紹介料の見直し以外でも、人材紹介会社に採用ピッチ資料を共有したり、募集職種について説明する機会を設け、人材紹介会社に求人情報を意識付けるといったことも施策の一つです。
4.採用代行(RPO)を活用する
繁忙期は必然的に採用担当者の業務負荷が増えるため、採用活動を滞りなく行うために、対応できる人員を補強することも重要です。
そこで、採用代行サービスの活用によって、採用業務の一部を委託し、採用担当者が面接や採用企画などのコア業務に注力できる体制を整えることも検討してみましょう。
採用代行サービスには、募集文の作成やスカウト業務、面接の日程調整といった業務の委託が可能です。
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参考:採用業務を効率化する6つの方法|自動化やRPOへの委託でコストを削減
閑散期に採用活動を行うメリット・デメリット
中途採用市場の閑散期に採用活動を行うメリット・デメリットは下記の通りです。
メリット | デメリット |
・求職者ひとりあたりが選考を受ける企業数も少なくなり、選考辞退率が下がる ・繁忙期の市場にいない人材に出会える可能性がある | ・求職者の数が減るため、応募を集めるのが難しい ・長期休暇と重なるため、求職者者と採用担当者の日程調整が難しい |
閑散期に取り組みをおすすめするアクション
閑散期は求人の数が減るからといって採用活動ができないわけではありません。ここでは、閑散期だからこそ取り組みたいアクションにを紹介します。
1. 自社がほしい人材に対して個別にアプローチをする
閑散期は求人が減る時期だからこそ、繁忙期の市場にいない人材や転職潜在層へのアプローチをするチャンスです。
自社の魅力をより深く知ってもらえる機会のため、求職者ごとにカスタマイズしたスカウトメールを送る、普段とは異なった訴求ポイントで求人を掲載するなど、新たなアプローチ方法も試してみましょう。
2. 繁忙期に向けて採用活動の改善策を検討する
年間を通じて求職者からコンスタントに応募を見込めるよう、日頃の採用活動を振り返り、データや数値をもとに対応策を検討するのもおすすめです。
採用戦略の見直しや改善策の立案などは繁忙期にリソースが取りづらい業務ともいえます。
たとえば、必要に応じて採用ターゲットを見直す、募集文やスカウトメール文をリライトするなどの改善策が挙げられます。
採用のトレンドを把握した上で、時期に合わせた採用業務を検討しましょう
中途採用は繁忙期と閑散期それぞれに特徴があり、企業によって注力すべき時期も異なります。
市場の動向を見ながら、時期によって選考スピードを早める、募集方法を見直すなどの工夫によって、自社にとって最適な採用活動を行いましょう。
また、採用活動におけるリソース不足やノウハウ不足により、思ったように採用活動ができない場合には、採用代行や業務委託、派遣などの外部パートナーの力を借りることで、安定的な採用活動が期待できます。こちらの導入も、ぜひ検討してみください。
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