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2025.02.18 更新日:2025.02.18
この記事の監修者:今 啓亮

この記事の監修者:今 啓亮

採用ファネルとは?分析方法やポイントを解説!

採用ファネルとは?

採用ファネルとは図解

採用ファネルとは、採用活動にマーケティングの考え方を取り入れた採用マーケティングの手法の一つです。

採用活動における候補者の動きを、段階的に可視化したものであり、採用活動が進むにつれて候補者が絞られていく様子から、逆三角形の漏斗(funnel)に例えられています。

元々はマーケティングで顧客の購買行動分析に用いられていましたが、現在では採用活動にも活用されています。

応募者の行動を「認知」「興味・関心」「応募」「選考・内定」「入社」といった段階に分けられます。

商品マーケティングにおけるファネルとの違い

採用ファネルと商品マーケティングにおけるファネルは、どちらも顧客や求職者の行動を段階的に表すものですが、各段階の名称が異なります。

例えば、採用ファネルにおける「応募」「選考」「内定」は、商品マーケティングでは「比較・検討」「購入」といったプロセスに相当します。

各段階での課題を明確化することで、以下のような効果が期待できます。

  • 優秀な人材の確保
  • 効率的な採用活動
  • 採用コストの削減
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これにより、様々なメリットが得られます。

採用ファネルの種類

採用ファネルの種類図解

採用ファネルには、以下の3種類の手法が存在します。

パーチェスファネル

パーチェスファネルは、求職者が企業を認知してから入社に至るまでの心理変化を段階的に示したものです。

購買プロセス分析に用いるAIDMAモデルを応用したもので、一般的な採用活動で活用されています。

パーチェスファネルは主に以下の3段階に分けられます。

  1. TOFU(Top of the Funnel):認知段階
  2. 求職者に企業を認知してもらうフェーズです。

    求人広告や採用サイトなどを通じて、自社の存在をアピールします。

  3. MOFU(Middle of the Funnel):興味・関心段階
  4. 企業に興味を持った求職者に対して、企業の魅力を訴求し、理解を深めてもらう段階です。

  5. BOFU(Bottom of the Funnel):入社段階
  6. 入社意欲が高まった求職者に対して、企業の強みや社内環境を伝え、入社後の具体的なイメージを持ってもらう段階です。

インフルエンスファネル

インフルエンスファネルとは、求職者の入社後の行動を段階的に表したものです。

従来の採用戦略では入社までが重視されていましたが、近年では入社後の従業員の行動が採用に与える影響も大きくなっています。

インフルエンスファネルは主に以下の3段階に分けられます。

  1. 継続
  2. 優秀な人材との長期的な関係構築を目指すフェーズです。多様な働き方への対応や能力開発などを通じて、人材の定着を図ります。

  3. 共有
  4. 従業員に自社を紹介してもらう段階です。リファラル採用の導入や採用人物像の明確化などを行い、社員が会社を紹介しやすい環境を整備します。

  5. 発信
  6. 従業員がSNSなどの個人メディアを通じて、自社の魅力や強みを積極的に発信するフェーズです。

    社員のリアルな声は、求人媒体よりも高い効果を発揮する可能性があります。

インフルエンスファネルを活用することで、入社後の従業員のエンゲージメントを高め、企業の魅力を効果的に発信することができます。

ダブルファネル

ダブルファネルは、採用におけるパーチェスファネルとインフルエンスファネルを組み合わせた考え方です。

求職者の行動を入社前・入社後で区別せず、一連の流れとして捉えることで、採用効果の最大化を目指します。

ダブルファネルは以下の4つのフェーズに分類されます。

  1. プロモーションフェーズ
  2. 企業の認知度向上と求職者との接点増加を図ります。パーチェスファネルのTOFU(認知段階)に相当します。

  3. アクイジションフェーズ
  4. 企業から候補者へ積極的にアプローチします。パーチェスファネルのMOFU(興味・関心段階)とBOFU(入社段階)に相当します。

  5. リテンションフェーズ
  6. 入社後の従業員の定着促進を図ります。インフルエンスファネルの「継続」に相当します。

  7. インフルエンスフェーズ
  8. 従業員に自社の魅力を発信してもらう段階です。インフルエンスファネルの「共有・発信」に相当します。

それぞれのプロセスに合ったアプローチを行うことで、採用活動の効率化を図ることが可能です。

採用ファネルを用いるメリット

採用ファネルを用いるメリット図解

採用ファネルを用いるメリットは、以下の3点です。

採用活動を客観視できる

多くの企業では、慣習的な採用活動が続けられてきました。前年踏襲型の採用計画や、不明瞭な選考基準による担当者の感覚的な合否判断も少なくありません。

採用ファネルは、このような状況を改善し、採用活動を整理する上で有効です。「認知・興味・検討・応募・選考・採用」の各段階に分類することで、経験や主観に頼らず、採用活動全体を客観的に把握できます。

採用活動の属人化は、担当者育成や担当変更時の対応を困難にします。採用ファネルを活用することで、採用活動を客観視し、全体を見渡した上で最適な判断を下せるようになります。

採用活動のボトルネックを発見できる

経験や感覚に頼った採用活動では、成果が出ない原因特定が困難です。母集団の規模、求職者の関心度、選考段階の問題など、要因を特定しづらいためです。

採用ファネルでは、採用活動を「認知・興味・検討・応募・選考・採用」の各段階に分け、人数を測定します。各段階の人数と通過率を計測することで、ボトルネックとなっている箇所を容易に発見できます。

例えば、認知から興味・検討段階への移行は順調でも応募数が少ない場合、応募段階における訴求内容や応募方法に問題があると考えられます。

このように、採用ファネルを活用することで、ボトルネックを可視化し、重点的に対策を講じるべき箇所を明確にすることができます。採用活動の各段階を可視化し、改善策を講じるための材料を提供できる点が、採用ファネルの大きなメリットです。

関連記事:https://marugotoinc.jp/blog/recruitment-issues/

採用活動を「量」から「質」へと転換できる

従来の採用手法は、求人広告掲載や学歴による足切りなど、「量」に頼ったものでした。しかし、これは採用担当者の負担増や早期離職につながる可能性があります。

採用マーケティングでは、入社後の「定着」「活躍」、さらには「発信」「共有」までを見据え、自社にマッチする人材に情報を届け、質の高いコミュニケーションを実現することを重視します。

つまり、従来の「量」から「質」への思考転換が必要です。採用ファネルを活用することで、入社後の活躍まで見据えた採用活動が可能となり、「量」から「質」へと転換できます。

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採用マーケティングにおける採用ファネルの階層別施策

採用ファネルの階層別施策図解

採用ファネルの各段階における課題を特定し、適切な対策を講じることで、採用活動の効果を最大化することができます。ここでは、「認知」「興味・関心」「応募」「選考・内定」「入社後」の各段階における対策について解説します。

認知

採用ファネルの認知段階に課題がある場合、企業認知度不足が原因と考えられます。認知拡大には、まず自社を知ってもらう必要があります。

その際、採用マッチング精度を高めるためにペルソナ設定が大切です。ペルソナとは、自社が求める人物像を詳細に定義した架空の人物像であり、採用ターゲットに合った母集団形成に不可欠な作業です。

ペルソナ設定後、ターゲット人材に効果的にリーチできるチャネルを選定し、認知拡大を図ります。

関連記事:https://marugotoinc.jp/blog/recruitment-persona/

関連記事:https://marugotoinc.jp/blog/recruitingpr-case/

興味・関心

企業の認知度が高くても、興味・関心がなければ応募には繋がりません。この段階では、求職者に対し企業の魅力を効果的に訴求する必要があります。

ペルソナ分析に基づき、ターゲット層が重視する価値観や魅力的な要素を明確化し、訴求内容を改善しましょう。特に若年層は、企業理念や仕事のやりがいを重視する傾向があります。

「共感採用」をキーワードに、企業の魅力や強みを共感を呼ぶ形で伝え、応募に繋げることが重要です。

応募

企業への関心を持つ求職者に対しては、応募を促すための積極的なアピールが不可欠です。興味を持っても応募に至らない求職者は一定数存在するため、様々な角度からの訴求が効果的です。

例えば、

  • 働くイメージの具体化
  • 写真や動画コンテンツで社内の様子や社員の働き方を具体的に伝え、入社後のイメージを膨らませる

  • キャリアパスの提示
  • 入社後のキャリアステップを明確に示すことで、成長意欲の高い求職者にアピールする

  • 社員紹介
  • 先輩社員のインタビューなどを掲載し、社風や仕事のやりがいを伝える

といった方法が有効です。

また、この段階で自社が求める人物像や歓迎するスキルなどを明示しておくと、入社後のミスマッチを防ぎやすくなります。

選考・内定

選考・内定段階は、求職者の入社意欲を高め、維持することが不可欠です。

選考が進むにつれて求職者の入社意欲が低下すると、内定承諾に繋がりにくくなります。そのため、面接官教育や内定者フォローを通じて、企業の魅力や入社後の安心感を効果的に伝える必要があります。

具体的には、選考段階と内定段階に分けて対策を講じることが大切です。

選考段階

迅速な対応や面接の質の向上に努め、求職者にストレスを感じさせないようにします。面接は企業が候補者から評価される場でもあるため、研修などを通じて担当者のスキルを高めておく必要があります。

内定段階

内定者懇親会や会社見学などを実施し、企業理解を一層深める機会を提供します。また、内定者へのフォローを手厚くすることで、入社への不安を解消し、内定辞退を防ぎます。

候補者は複数の企業に応募し、比較検討した上で入社先を決定するのが一般的です。そのため、選考段階から内定段階まで、求職者との良好なコミュニケーションを図り、自社の魅力を最大限に伝えることが重要となります。

入社

入社前までの選考段階はパーチェスファネルに該当し、入社後はインフルエンスファネルに相当します。

労働力不足が深刻化する現代においては、社員が入社後も安心して活躍し続けられる環境を整備し、離職率の低減を図ることが重要課題となっています。

具体的には、労働条件や待遇の見直し、社内コミュニケーションの活性化といった施策に取り組む必要があります。

新入社員がスムーズに業務に取り組めるよう、以下の取り組みを実施します。
  • 研修・教育制度
  • 入社後のマナー研修やOJT(On-the-Job Training)などの教育体制を整え、早期に戦力化できるようなサポートを行います。

  • フォローアップ面談
  • 定期的なフォローアップ面談を実施し、業務上の課題や不安、ストレスなどを早期に把握し、解決を図ります。

  • 社内交流
  • 社内イベントや交流会などを開催し、社員間のコミュニケーションを促進します。

  • 離職リスク可視化ツール
  • 離職リスクを可視化できるツールを導入し、早期に離職兆候を把握し、対策を講じます。

社員が継続的に職務を全うできる環境は、企業のイメージアップにも繋がります。

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採用ファネルの分析方法

採用ファネルの分析方法図解

「従来の採用活動ではなかなか成果が出ない」「自社なりに工夫しているものの、採用目標達成が難しい」といった状況であれば、採用ファネルを用いた分析をお勧めします。

現状を把握し、効果的な対策を講じるために、以下の3つのステップで進めていきましょう。

1.現在の採用活動を各プロセスに当てはめる

採用活動を効果的に進めるためには、採用ファネルの各段階における具体的な活動内容を明確にすることが必須です。以下に、各段階における活動例をまとめました。
  • 認知
  • 自社の認知度を高め、より多くの求職者に自社の存在を知ってもらう

  • 興味・関心
  • 自社に興味・関心を持った求職者に対して、より深く自社の魅力を伝える

  • 応募
  • 自社に興味を持った求職者からの応募を促す

  • 選考・内定
  • 応募者の中から自社の採用基準に合致する人材を選考する

  • 入社
  • 内定を出した人材の入社意欲を高め、内定承諾に繋げる

2.人数の推移をベースに各段階を評価する

採用ファネルの各段階を評価するには、人数推移に基づいた分析が有効です。例えば、「認知から興味段階までは順調に進んでいるものの、応募段階で人数が大幅に減少している」場合、「応募プロセスに課題がある」と判断できます。

このような評価を行うためには、各施策における数値管理が不可欠です。採用イベント来場者数、SNSフォロワー数、採用ページ閲覧者数など、具体的な数値を把握しましょう。

数値データに基づいた分析を行うことで、ボトルネックとなっている段階を特定し、効果的な改善策を講じることができます。

3.ネックとなっているプロセスを中心に対策を検討する

ボトルネックとなっているプロセスが特定できたら、具体的な対策を検討します。例えば、「認知から興味段階への移行は順調だが、応募数が少ない」場合、応募プロセスに課題があると考えられます。

  • 応募までのステップが分かりづらくないか
  • 応募方法が煩雑になっていないか

上記のような観点から見直しを行いましょう。

必要に応じて、カジュアル面談、内定者面談、リクルーター制度を検討することも大事です。

まとめ

今回は、採用ファネルについて解説しました。競争が激化する採用市場において、戦略的な採用活動は不可欠であり、そのためには採用マーケティングの考え方、ひいては採用ファネルの理解が必須となります。

しかしながら、多くの企業では採用活動が場当たり的であったり、過去の慣習を踏襲するばかりで、特定の求人媒体に依存している状況が見受けられます。

そこで、まずは自社の採用活動をファネルに当てはめ、ボトルネックとなっている箇所を分析することから始めましょう。そして、各階層に合わせた適切な施策を検討・実行することで、ボトルネックを解消し、採用活動を成功に導くことが可能となります。

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この記事の監修者:今 啓亮
この記事の監修者:今 啓亮

まるごと人事として500社以上の企業の採用支援
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2015年に東京でマルゴト株式会社(旧社名:株式会社ビーグローバル)を創業。
スタートアップから大手企業まで幅広く採用関連のプロジェクトに携わった後、2017年に月額制の採用代行”まるごと人事”の提供を開始。
2021年にバックオフィス代行”まるごと管理部”も開始。
「理想のサービスと理想の職場を同時実現する」を経営理念に掲げ、全員がフルリモートで働くユニークな組織運営を行う。
2022年に本社住所を東京から札幌に移転し、自身も関東から札幌に移住。

出演イメージ

2024年11月、ABEMAの報道番組「ABEMA Prime」に
コメンテーターとして出演。
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