採用・労務・経理に関するお役立ち情報

令和5年度の介護労働実態調査結果では、介護業界の離職率は過去最低といった結果になりました。実は、一般企業の離職率と比較しても同水準であり、決して介護業界の離職率が高いわけではありません。
ですが、世間から「離職率が高い」というイメージは払拭されず、採用に課題を抱える介護業界の採用担当者の方もいるでしょう。
本記事では介護業界の離職率にふれつつ、離職原因に対する改善策や採用につながる取り組みについて解説しますのでぜひ参考にしてください。

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目次
【2025年最新】介護職の離職率は?厚生労働省の調査結果を解説
介護業界の離職率は高いと思われがちですが、実際は「宿泊業・飲食、生活関連サービス」の離職率は30%程度であり他業種と比較すると必ずしも高いとは言い切れません。また、離職率といっても年代や事業所の種類によって異なり一概には語れないのが実情です。
次で解説する年代・事業所別の離職率を知ることで、離職理由を深掘りし採用計画に活かせるため参考にしてください。
離職率とは
企業が設定する期間において、離職者数を算出し離職率を割り出します。
計算式は以下のとおりです。
離職率(%)=離職者数÷従業員数×100
1年間の離職率や新卒のみなど、項目別に分けることで離職の傾向について把握できます。
介護業界の離職率は13.1%と過去最低
「離職率が高い」イメージが強い介護業界ですが、令和5年度の公益財団法人介護労働安定センターの介護労働実態調査によると過去最低の離職率となりました。
出典:https://www.kaigo-center.or.jp/content/files/report/2023_jittai_chousa_jigyousya_honpen.pdf
年代別に見ると29歳以下の離職率が最も高く、30代以上の離職率に大きな差はないことがわかります。29歳以下の中でも高卒就職者は37.0%、大卒就職者は32.3%と新卒者の離職率が高いため、若い世代の早期離職やミスマッチへの施策が必要といえるでしょう。
施設別離職率のトップは特定施設入居者生活介護ホーム
介護といっても施設によって高齢者の介護度やサービス内容は異なります。以下の表には施設サービス別の離職率が示されています。
出典:https://www.kaigo-center.or.jp/content/files/report/2023_jittai_chousa_jigyousya_siryou1.pdf
16〜17%と離職率が高い水準をたどっているのは以下の介護サービスです。
- 特定施設入居者生活介護:要介護度1〜、夜勤あり
- 定期巡回・随時対応型訪問介護看護:訪問、夜勤あり
- 認知症対応型共同生活介護
いずれも夜勤があることや介護度が高いためスタッフの負担の大きさも離職要因といえるでしょう。
反対に離職率が10%程度と低い水準だったのは「通所リハビリテーション」です。
通所リハビリテーションは日帰りでのサービス提供であり、要介護だけでなく要支援認定を受けた方も利用ができることが特徴です。
離職率の水準を一つの目安に、採用計画を立案するといいでしょう。
以下の記事で採用計画について詳しく解説しています。
介護業界の離職率が高い理由ランキング
介護業界に就職したのものの、実際にはどのような理由で離職に至ったかを把握しましょう。
- 第1位 職場の人間関係に問題があった 34.3%
- 第2位 法人や施設・事業所の理念や運営のあり方に不満があった 26.3%
- 第3位 他に良い仕事・職場があった 19.9%
- 第4位 収入が少なかった 16.6%
- 第5位 将来の見込みが立たなかった 13.2%
出典:https://www.kaigo-center.or.jp/content/files/report/2023_jittai_chousagaiyou.pdf
特に離職理由が人間関係の場合、退職時に理由を打ち明けられない人もいるため、過去の退職理由とは別に全国的な調査結果もふまえましょう。

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離職率を下げるために介護職で改善すべきこと6選
介護サービス事業における生産性向上に資するガイドラインを参考に、実際に離職率を下げた事業所の取り組みを紹介します。
離職率が下がらないまたは高いにもかかわらず、早期離職への取り組みを実施していない事業所も珍しくありません。これから取り組みを始めたり見直したりする事業所は他社との差別化が図れるため参考にしてください。
人間関係の良い職場づくり
早期離職を防ぐための施策の中でも69.2%と最も多いのが「ハラスメントのない人間関係のよい職場づくり」、次で「仕事上のコミュニケーションの円滑化」です。
離職理由1位が「人間関係の問題」であるため、働きやすい職場作りのため人間関係の構築は最低限すべきことといえます。
例えば、上司との定期面談・定期的なミーティングを通して日頃よりスタッフ間のコミュニケーションを積極的にとりつつ、仕事やプライベートで困った際いつでも上司に相談しやすい環境を整えておくといいでしょう。
ワークライフバランスを重視したシフトづくり
近年「ワークライフバランス」を重要視する求職者も増えています。「残業を減らしたい」「家族との時間を確保したい」などが理由で転職活動をする人も少なくありません。
個々のスタッフに合わせた働き方を実現するのが理想ですが、叶えるにはそもそも人員をさらに増やす必要があり人件費がかかるケースもあるでしょう。
まずは業務全体の流れを見直し、導線や役割を明確にし再構築することをおすすめします。
また、事業所で実現できる働き方のパターンを示すといいでしょう。また、働き方の要望を伝えるにはスタッフが言いやすい環境づくりが大切です。
上司に相談しやすいか否か上司の態度や振る舞いがどうかも見るべきポイントといえます。
テクノロジーの導入・活用
今や介護もlotやIT導入が当たり前の時代です。特に新卒者や若い世代には魅力的にうつるでしょう。以下の導入検討で「介護×IT」をアピールしましょう。
- 非接触センサーやタブレット
- ケアプランデータ連携システム
- アシストスーツ
lotやIT導入によりスタッフの負担が大幅に軽減します。スタッフ間の人間関係が良くても、心身の負担を抱え続けてはいずれ離職する可能性が高まるため、導入しない手はないでしょう。
手順書やマニュアルの再確認
手順書・マニュアルの作成やアップデートを行いましょう。マニュアルは職員全員が行動指針に基づいた行動をとるために必要です。
また、職員によって異なる点を見出し統一化することで利用者への介護ケアの質が担保され、採用されてまもないスタッフへの教育にも活用できます。
さらにイレギュラー時の対応をまとめたり、シミュレーション研修を行ったりするなどして、介護スタッフの心理的不安を軽減する取り組みも検討するといいでしょう。
重複のない記録
「利用者への介護で記録の時間がとれない」と残業をし、また休憩時間を削るしか方法はありません。記録の重複は介護・医療業界ではよくある話です。
重複した記録に意味はなく、情報収集するうえでも煩わしさが残ります。
同じ内容を書いているものについては積極的になくすことをおすすめします。
OJTの仕組みづくり
採用されたスタッフが不安を極力抱かずに働けるようOJTを構築しましょう。
OJTは新入社員だけでなく、指導する側の成長もでき組織力を高めることにつながります。
特に介護未経験の人は、決して現場で一人にせず先輩スタッフからティーチングが受けられるよう取り組み、不安を払拭しましょう。
教育内容と指導方法を統一・見直しが必要です。
介護の離職率を下げるためにできる採用段階での施策
介護業界の離職率を下げるには採用段階での取り組みが重要です。ここからは実際に採用活動でできる施策について解説します。
離職率を下げるためにできる改善策を踏まえた応募文の作成
まず採用ターゲット・ペルソナを設計しましょう。
採用ターゲットに刺さる応募文でなければ募集は集まりづらいでしょう。
例えば、子育て中の方は「育児時短勤務のパターン」や「子どもの体調不良時の措置」を記載すると応募につながります。また、介護業界でキャリアアップをしていきたい方には、「研修制度」や「外部研修サポート措置(金額を会社負担・研修の際は手当や有給などを使用)」を明記しましょう。
せっかく認知されても、「ここなら続けられそう」「自分にもできそう」といった思いにならなければ応募は集まらないため始めのステップは大事にふみましょう。
以下の記事では採用に必要なペルソナ設計について詳しく解説しています。
介護業界をポジティブに捉えられる採用動画コンテンツの制作
採用コンテンツなら動画がおすすめです。もちろんテキスト上や写真・画像でも良いですが、動画・映像ならより一層記憶に定着でき介護の素晴らしさが伝わるでしょう。
具体的には以下のようなコンテンツがおすすめです。
- スタッフに1日密着などして利用者との実際の関わりを動画に
- 利用者へのインタビュー(介護スタッフへの感謝の気持ちなど)
- スタッフへのインタビュー:辞めたいと思っても続けて来れている理由やエピソード
- ICT機器や介護ロボット導入状況
「大変そう」が「自分にもできそう」、「介護のネガティブなイメージ」が「高齢者に生きる気力を与えられるポジティブなイメージ」に変えられるコンテンツ制作が必要です。
働き方やキャリアアップ事例を提示
実際にどの程度休みの希望を伝えて良いか、キャリアアップ例を提示すると候補者が自分に置き換えてイメージしやすいでしょう。
例えば既存スタッフの1年目の時の働き方モデルと今の年数での違いがあると、より将来像が見え志望度も上がるに違いありません。また、特に未経験スタッフは今後キャリアを積めるか不安に思う人も珍しくないでしょう。
実際に未経験からキャリアアップした先輩の事例を紹介するなどしてポジティブな印象を与えると効果的です。
介護の離職率が高い事業所は今すぐできる施策で企業の魅力を伝えよう
結論、離職率は下げられます。採用計画がカギを握っており、ここで手を抜いたり適当に設定すると全てうまくいかないケースも出てくるでしょう。
介護業界の離職率の実態を踏まえながら事業所に適した施策が必要です。
とはいえ、採用計画を立案するにも多くの工数がありリソースも割くでしょう。
採用ノウハウがない事業所は難航する場合もあります。
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