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人材獲得競争が激化するなか、企業と求職者が対等な立場で対話できる機会として「カジュアル面談」への注目が高まっています。従来の面接では得られなかった相互理解の深まりや、志望度向上への貢献から、多くの成長企業が選考前のアプローチ手法として導入を進めています。
本記事では、カジュアル面談の基本的な位置づけからメリット、実施時の注意点に至るまで、採用活動に活用するうえで押さえておきたいポイントを整理して解説しましょう。

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関連動画:【カジュアル面談】意向上げ・ミスマッチ減を実現する面談フル活用術
目次
カジュアル面談とは
カジュアル面談とは、企業と候補者が相互理解を深めるために設けられる情報交換の場のことをいいます。
一般的には、企業が候補者にアピールをし、候補者が「求人に応募するかどうか」の判断を後押しするために設けられる場であるため、応募前に行われる場合が多いですが、選考中に実施する企業もあるようです。
カジュアル面談の担当者は企業によってさまざまで、人事や広報が担当することもあれば、ベンチャーやスタートアップなど社員数が少ない企業では、社長が担当することもあります。
募集しているのがエンジニアのように専門性の高い職種の場合は、現場のエンジニアが担当することも多いです。
カフェやホテルのラウンジで行うこともあれば、オフィスの見学を兼ねて社内で行うケース、WEB会議ツールを使ってオンラインで行うケースなど、形式も企業によってさまざまです。
カジュアル面談が注目される背景
採用活動において従来の面接手法では見極めが困難だった部分を補完する手段として、カジュアル面談の活用が広がっています。とくに採用競争が激化している現在、企業は応募者との接点を早期に築くことが求められています。
カジュアルな対話を通じて、応募意思が固まっていない段階の人材にもアプローチできる点が評価されており、導入する企業が急増しました。求職者にとっても情報収集の場として気軽に参加できるため、双方向の理解を深めやすい仕組みとして機能しています。
ミスマッチの防止や志望度の向上といった効果が期待できるため、企業の認知向上にもつながりやすい手法として注目を集めているのです。
カジュアル面談と一般的な採用面接との違い
カジュアル面談が一般的な採用面接と大きく違うところは、以下の3つです。
選考は行わない
カジュアル面談は、企業が候補者を見極める場ではありませんので、選考や合否判定は行いません。
そのため、履歴書や職務経歴書などの提出も求めないことが多いです。
一般的な採用面接は、企業側が候補者に質問をして、候補者がそれに答えるという形で進められます。
一方カジュアル面接は、まず企業側が自社を紹介して、その後に候補者からの質問に答えるという形で進められるのが一般的です。
カジュアル面談は、候補者に企業の魅力をアピールし、求人への応募を促すことを目的としています。
先ほどもお伝えしたように、候補者が「求人に応募するかどうか」の判断を後押しするための場ですので、実施する際は、この点をしっかり認識しておくことが重要です。
服装は自由
カジュアル面談では、服装は自由とする場合がほとんどです。
ただ、担当者は企業の「顔」として候補者に会いに行くので、あまりにカジュアルすぎると、候補者の企業に対する印象が悪くなってしまう可能性もあります。
休日のような服装ではなく、オフィスカジュアルやビジネスカジュアルを基本としましょう。
選考プロセスの位置づけが異なる
カジュアル面談は、選考のスタート地点に位置づけられる場面が多く見られます。
履歴書や職務経歴書の提出を前提とせず、候補者との関係構築を重視して実施されることが一般的です。一方、通常の採用面接では、すでに書類選考を通過した段階で行われ、合否を判断する明確な選考フェーズとして扱われます。
企業側としては、カジュアル面談を通じて志望度を高めたり、採用ターゲットの興味関心を探ったりするための情報交換の場として活用できる点が特徴です。
対して一般的な採用面接では、スキルや経験、価値観などを深く掘り下げ、入社後の活躍を見越した判断が求められます。選考の位置づけにおける両者の違いは、明確といえるでしょう。

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カジュアル面談のメリット
選考色を薄めたカジュアル面談は、求職者との関係性を築く起点として機能します。企業側が魅力を伝える時間を確保しやすく、求職者の志望意欲向上にもつながります。以下では、カジュアル面談によって得られる具体的なメリットをみていきましょう。
潜在層へのアプローチが可能になる
転職を強く意識していない人材との接点を持てる点は、大きな特徴の一つです。求人広告やエージェント経由では出会いにくい層と直接話す機会を設けることで、将来的な応募や紹介の可能性を高められます。
カジュアルな場面を通じて、企業文化や職場の雰囲気を伝えることができれば、求職者の関心を育むきっかけにもつながるでしょう。転職潜在層に対して無理のない関係構築ができる点が、採用活動の長期的な成果を生む手段として注目されています。
企業理解の促進によって志望度が高まる
リラックスした対話を通じて、企業理念や社風、働き方などを深く伝えられるため、候補者の理解が一層進みます。一方通行になりがちな選考と違い、カジュアル面談では互いの関心に基づく会話が中心になるため、志望動機の醸成にもつながります。
面接前に社内の空気や働く姿を具体的にイメージしてもらうことで、応募への心理的ハードルが下がる効果も期待できるでしょう。結果として、選考の途中離脱を防ぐ要因にもなり得ます。
ミスマッチを未然に防げる
価値観や働き方の相違による早期退職は、結果的に採用コストがかさむ結果につながります。カジュアル面談を通して事前に相互理解を深められれば、入社後のギャップを軽減しやすくなります。
面接では聞きづらいような勤務環境や人間関係についても、柔らかい雰囲気の中で率直に話し合えるため、リアルな情報共有が可能です。双方の認識をすり合わせる段階を設けることは、定着率の向上にもつながる重要な取り組みです。
自社の魅力を柔軟に伝えやすい
フォーマルな選考の場では伝えづらい職場の空気感や人間関係の良さといった魅力も、カジュアルな対話であれば自然に共有できます。候補者の関心に応じた柔軟な説明が可能になるため、企業イメージを具体的に印象付けやすくなります。
また、形式にとらわれない話題の展開によって、言葉だけでは伝えきれない雰囲気やカルチャーも伝達可能です。結果的に、企業と求職者双方の相互理解が深まり、魅力づけにも効果を発揮します。
応募意思の高い人材を見極めやすい
選考フロー前に実施することで、話し合いの中から応募意欲や価値観を把握しやすくなります。候補者が質問する内容や反応から、どの程度自社に関心を寄せているかを探ることが可能です。
通常の面接とは異なり、対話の中に本音が現れやすいため、短時間でも人物像をつかみやすい傾向があります。選考プロセス全体の効率化にも寄与し、結果的に高いマッチ度を備えた人材と早期に出会える可能性が高まります。
採用広報としての役割を果たせる
カジュアル面談は採用活動と同時に、自社をアピールする広報機会としても活用できます。参加した求職者にポジティブな印象を持ってもらえれば、SNSや口コミなどを通じた認知拡大にもつながります。
ダイレクトリクルーティングを主軸とする企業にとっては、面談のひとつひとつがブランド形成の一助となるでしょう。情報の一方通行にならないコミュニケーションが、多くの潜在層への波及効果を生み出すきっかけになります。

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カジュアル面談の流れ
カジュアル面談は、基本的には次のような流れで進めていきます。
1.自己紹介
まずは、お互いの自己紹介です。初めは候補者も緊張していることが多いので、趣味の話題なども交えながら、できるだけリラックスして話せる雰囲気を作ることを心掛けましょう。
カジュアル面談の担当者自身が入社したきっかけや理由を伝えるのも、候補者の応募意欲を高めるのにおすすめです。
また特に企業側からカジュアル面談を提案した場合は、冒頭でカジュアル面談に参加してくれたことへのお礼を伝えるのも忘れないでください。
2.カジュアル面談の目的の共有
カジュアル面談は相互理解を目的としたものであり、選考には関係ないということを、候補者にはっきりと伝えておきましょう。
あらかじめ目的を共有しておくことで、候補者も安心して話せるようになります。
また、企業側からカジュアル面談を提案した場合は、今回なぜ声をかけたのか、候補者のどこに魅力を感じたのかを伝え、「選考に進んでほしい」という思いをアピールしましょう。
3.オープニングトークでアイスブレイク
カジュアル面談では開始直後の空気感が、その後の会話の深さを左右します。緊張を和らげるためにも、冒頭に軽い雑談や時節の話題を取り入れて、リラックスした雰囲気をつくることが重要です。
出身地や趣味、天候に関する一言など、業務とは直接関係のない話題が自然な導入になります。会話のテンポが整えば、求職者も安心して自分の考えを話せるようになります。人柄や価値観に触れる前提として、信頼関係を築くきっかけとしての役割も果たすでしょう。
4.候補者の現状やニーズの確認
候補者に転職(就職)活動の状況やニーズをヒアリングします。主に、以下の6つのことを確認していきます。
- カジュアル面接に応じてくれた理由、転職(就職)意思の有無
- 転職(就職)活動のきっかけや背景
- 就職先の企業に求めること
- 他社の選考フェーズ
- 他にどこの企業の選考を受けているか
- 就職先を決める際に重視すること(年収、働き方、仕事内容など)
このステップは、企業側からの質問が続くことになるので、候補者に「まるで面接のようだ」と感じられないよう、態度や質問の仕方に注意しましょう。
5.企業の紹介
続いて企業の紹介に入りますが、仕事の内容や求人の概要などをただ説明するのではなく、ヒアリングした内容を盛り込んで紹介することが大切です。
たとえば、候補者が「働きやすさ」を重視しているようであれば、どのような社員が在籍しているのか、職場の雰囲気、有給や育児休暇の取得率などを紹介すると、候補者は働く自分をイメージしやすくなります。
また、候補者が今後のキャリアに不安を感じているようであれば、どのような教育・研修、キャリア形成支援制度があるか、どのような職位・職務を目指せるかを伝えると良いでしょう。
6.質疑応答
企業の紹介が終わったら、まずは候補者から企業に対しての質問タイムを設けます。「ここまでの説明で、何か確認しておきたいことはありますか?」「仕事に関すること以外でも大丈夫ですよ」など、企業側から声かけをして、質問しやすい雰囲気を作りましょう。
候補者からの質問タイムの後は、場合によっては企業から候補者への質問タイムを設けます。この時も、候補者が「面接のようだ」と感じないように注意しましょう。
7.今後の案内
候補者が選考に進む意思があるようなら、今後の選考フローを案内します。
次の選考までに間が空きすぎると、候補者の応募意欲が下がってしまったり、他社に流れてしまったりする可能性が高くなりますので、できれば、その場で次の選考の日程を押さえてしまうのが望ましいです。「ぜひ入社してほしい」という候補者に対しては、特別な選考フローを用意するのも良いでしょう。
候補者が選考に進むか悩んでいる場合は、引っかかっていることや不安に感じていることを聞き出し、説明を加えたり、再度カジュアル面談を設定したりして、自社に対する興味が薄れないようにすることが大切です。

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カジュアル面談で聞くべき質問例と伝えるべき情報
形式に縛られないカジュアル面談では、候補者の本音を引き出すための問いかけと、興味を引く情報の選定が鍵を握ります。キャリアの展望や職場に求める要素など、価値観に触れる内容を中心に据えると効果的です。
同時に、仕事内容や評価制度、チームの雰囲気といった具体性のある情報提供が信頼構築につながります。一方通行の説明ではなく、対話の流れを活かして、候補者の関心と自社の魅力を自然に結びつけることが成果につながる要素となります。
カジュアル面談を成果につなげるためのポイント
最後に、カジュアル面談を行う際のポイントを紹介します。
事前準備は入念に
効果的なカジュアル面談を行うためには、事前準備が必要になります。
候補者のニーズに合った情報を提供できなければ、せっかくカジュアル面談を実施しても、候補者の応募意欲を高めることは難しいでしょう。
候補者が知りたい情報を提供できるように、当日までに自社のあらゆる情報を整理しておくことが大切です。
また、事前に候補者に会社案内や自社サイトのURLを送っておくと、カジュアル面談では、それらに載っていない情報の説明や質疑応答に多くの時間を割くことができます。
当日は候補者のことを正しく、素早く把握できるように、あらかじめ候補者のプロフィールもしっかり確認しておき、質問したいこともまとめておきましょう。
企業の現状を正しく伝える
企業の魅力だけでなく、現在抱えている課題や弱みも隠さず候補者に伝えましょう。
こうすることで、相互理解がより深まり、採用ミスマッチの軽減にもつながります。
その課題や弱みを克服するための取り組みや方針などをあわせて伝えると、企業の方向性がより候補者に伝わり、応募意欲の向上につながることもあるでしょう。
対話重視で候補者の本音を引き出す
カジュアル面談では、評価ではなく相互理解を目的とした対話姿勢が重要です。話し手と聞き手のバランスを意識し、一方的な質問の連続にならないよう注意しましょう。
表面的なやり取りで終わらせず、深掘りを通じて候補者の価値観や職業観に自然に触れていくことが、本音を引き出すきっかけになります。相手の話に丁寧に耳を傾ける姿勢は、企業への安心感にもつながり、結果として志望度の向上に寄与します。
候補者に合わせたコミュニケーションスタイルを意識する
面談の効果を高めるには、相手の性格や話し方に応じた柔軟な対応が欠かせません。論理的な説明を好む人には構造的な話題展開を、感情を重視する人には共感を伴う表現を意識すると伝わり方が変わります。
マニュアル通りの対応ではなく、場の空気や相手の反応を見ながら会話のリズムを調整しましょう。求職者ごとの違いを尊重しながら関係性を築く姿勢が、双方にとって満足度の高い面談につながります。柔軟性が信頼を生む要因となります。
カジュアル面談を実施する際の注意点
気軽な対話を目的とするカジュアル面談ですが、適切な運営が伴わなければ誤解や不信感を生む恐れがあります。以下では、実施時に配慮すべき要点を整理し、候補者との信頼関係を損なわない進行のポイントを紹介します。
面接と誤解されないよう事前に趣旨を明確化する
カジュアル面談では評価を行わない意図を、面談の前段階で正しく共有することが求められます。選考とは異なる目的であるにもかかわらず、準備や姿勢が面接と変わらなければ、候補者側に誤解を与える要因になります。
事前に伝える説明では、あくまで情報交換や相互理解を主眼とする旨を明文化し、形式的な印象を排除しましょう。期待と実態にズレがある状態は、信頼関係の構築を妨げます。率直で丁寧な案内が、良質なコミュニケーションの第一歩となります。
候補者に過度な期待を持たせない伝え方に注意する
面談中に企業の魅力を伝える際には、あいまいな表現や過度な演出に注意が必要です。ポジティブな情報ばかりが強調されると、実態とのギャップが入社後の不満につながることがあります。
候補者の期待が過度に高まることで、面談後に選考へ進まなかった場合の落胆や企業への不信感が生まれる可能性も否定できません。事実に基づいた説明と、期待値を調整する伝え方を意識することが重要です。
実施後は適切なフォローアップを欠かさない
面談を終えた後の対応によって、企業の印象は大きく左右されます。内容にかかわらず、一定期間内にお礼や今後の流れに関する連絡を行うことで、候補者に対する誠実さが伝わるでしょう。
連絡が遅れたり途絶えたりすると、信頼が損なわれるばかりか、口コミや評判にも影響を与えるおそれがあります。スピードと内容の両面で配慮したフォローを徹底し、関係継続の意志を示すことが大切です。
カジュアル面談を導入して採用力を強化しよう
柔軟で対話的な場として機能するカジュアル面談は、採用の選択肢として確かな価値を発揮します。候補者の潜在的な興味を引き出し、入社後のミスマッチを防ぐだけでなく、企業に対する信頼や好感度を高めるきっかけにもつながります。
重要なのは、評価を目的としない対話を成立させるための準備と運用、そして丁寧なフォローです。形式にとらわれず相手を理解し、共感と誠意を持って向き合う姿勢が、結果的に採用力の底上げへと直結していくでしょう。

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