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採用を進めていても自社への応募が集まらない、自社の求める人材が応募してくれないといったことはないでしょうか。採用を進める際の最初のステップになる「母集団形成」は、その後の採用活動を左右するといってもよいくらい重要なものであり、採用活動がうまくいっていない場合は一度見直してみるとよいかもしれません。
本記事では、母集団形成とはなにか、中途採用における母集団形成ポイントや課題、方法を説明し、母集団形成がうまくいかない場合の対策までを解説します。
目次
母集団形成とは
母集団形成とはなにかを最初に説明します。
採用活動における「母集団」とは「自社に興味を示している求職者の集団」のことを指します。つまり「母集団形成」とは自社に興味を示してくれる人を増やし、応募してくれる求職者を多く募ることです。
しかし、ただ求職者を集めればよいのではなく、自社の求める人材がいなくてはなりません。そのため、自社と合う人材に興味を示してもらえるように母集団形成を進めていく必要があります。
母集団形成の目的
母集団形成は、応募者数の不足や採用プロセスの遅れなどにより、採用人数が目標数に満たないというリスクを回避するための重要な手段となります。
採用人数が足りなくなることは、従業員の負担増加や業務水準の低下などにつながるため、企業における大きなリスクといえます。
母集団形成では、さまざまな媒体を活用して採用対象となる候補者の層を広げ、応募数を増やすことでより多様な人材を採用することにつながります。
母集団形成がうまくいかない場合には、採用活動の実施の効果検証やフィードバックができていない可能性が考えられます。
中途採用における母集団形成
新卒採用の場合の母集団形成は入社時期や年齢層がある程度決まっているため、スケジュールや求める人材の設定もそれに合わせておこないます。
一方で、中途採用の母集団形成は明確な期日や年齢層は定まってはいません。採用ポジションや人数、採用基準が社内の状況に応じて変わるため、常に一定であるわけではなく、変化とともにあることを理解しておくことがポイントです。
母集団形成の課題
興味を示してくれている人を増やすように情報を発信し、採用ページなどに誘導することができても、「応募数が増えない」といったことが起こり得ます。
自社の求人を見て興味を示してくれても応募までいたらないということは、掲載していた求人や候補者に送ったスカウトメールに魅力が足りない、あるいは競合他社と比べて見劣りするといった可能性が挙げられます。
中途採用の市場では多くの企業が少ない人材を取り合っているため、こうした課題が存在します。他社がどういった発信、採用活動をしているかも確認していく必要があるでしょう。
母集団形成の方法
母集団形成はどのように進めていくのでしょうか。ここでは母集団形成の方法について詳しく解説していきます。
1.採用要件の設定
採用要件とは、自社が求める人材の要件を示したもので、これをもとに選考時の合否を判断します。母集団形成においても採用要件に沿った人材を集める必要があり、採用ポジションや人数、給与など条件面の具体的な設定はもちろん、採用ターゲットの人物像まで明確にすることが重要です。
また、設定した内容は言語化、文章化し、社内での情報共有もおこないましょう。
2.採用手法の選択
母集団形成において、自社の求める人材を集めるには適切な採用手法を選択する必要があります。その際には、自社の求める人材からのニーズや、採用市場の調査もおこないましょう。
以下で、採用手法の一例を紹介します。
採用広告
採用広告とは、自社の採用情報を広告サービスなどに掲載することです。就職や転職を検討している人たちが閲覧するため、一度の利用で多くの人材にアピールすることができます。また、求職者側からの閲覧、応募などのアクションで進んでいくため、掲載するだけで少ない工数で採用を進めていくことができるのが特徴です。
また、広告のなかにも「総合型」と「特化型」があり、目的に応じたプラットフォームを選択することも重要です。総合型はさまざまな職種がまとめられた求人広告サービスであり、多くの人材に対してアピールできるでしょう。特化型は専門の職種がまとめられた求人広告サービスであり、よりピンポイントに求める人材に対してアピールができます。
人材紹介エージェント
人材紹介エージェントでは、採用の専門家と相談しながら自社に合いそうな候補者を探すことができます。他の採用手法と比較して成果報酬が高く、コストは多くかかってしまうものの、候補者とのやりとりまで委託できるサービスも利用すれば工数を減らすことができます。自社に採用専門の人材がいない場合でも安心して利用できることが特徴です。
専門家によって求める人材に沿った候補者に出会えることが期待でき、母集団の質を高めやすいといえるでしょう。その反面で、成功報酬の高さなどから一度に大量の候補者を集めることには不向きといえます。
ダイレクトリクルーティング
ダイレクトリクルーティングとは、スカウトサービスや求人サイトを利用して直接候補者に対してコンタクトをとる採用手法です。候補者の職務経歴やスキルなどから絞り込みをおこなうため、求める人材をピンポイントに集めることができます。多くの人とのタッチポイントになる可能性も高く、母集団の質を高められることが最大のメリットです。
ただし、一人ひとりの候補者に対応が必要なため、スカウトメールや候補者とのやり取りなど工数が非常に多くなるというデメリットがあります。
3.求人原稿を作成する
どの採用手法を利用するとしても、母集団形成の最初のステップは、自社の求人原稿や広告を確認して興味をもってもらうことから始まります。候補者から自社に対する第一印象を決定するものであるため重要なステップです。以下で、求人原稿作成時のポイントを紹介します。
自社独自の強みを「キーワード化」する
自社独自の強みを簡潔にキーワード化することで、原稿を作成する際に自社のことを分かりやすく、印象に残る形で伝えることができます。
どれだけ魅力的な原稿だったとしても読んでもらうことができなければ意味がありません。そのため、自社をあらわすような印象的なキーワードを作りましょう。キーワードは他の媒体や自社の宣伝など幅広く利用でき、ブランディングにもつながります。
簡潔で具体的な内容を心がける
求人原稿で伝えたいことは「自社の求めているもの」「自社が提供できるもの」の2つになります。候補者に必要な能力(自社の求めているもの)や、得られる対価(自社が提供できるもの)を明確にすることで、候補者も企業の内情や実際の働き方のイメージがつきやすく、応募につながりやすくなるでしょう。
根拠のあるアピールをする
論理性があり、具体的な数字で示せるような根拠をもってアピールをおこなうことも重要です。
現在どのような事業に取り組んでおり、どれだけの利益を出しているのか、現在の従業員数は何人なのか、どれくらいの給与を支払うことができるのか、具体的に示すようにしましょう。
論理性をもって事業に取り組んでいることを示すことができれば求職者が自社のイメージがしやすく、納得感や安心感にもつながります。
母集団形成をより効果的におこなうためのポイント
ここでは、より効果的に母集団形成をおこない、継続していくために重要となるポイントを4つ解説します。
1.定期的な原稿の見直し
求人広告などに使用する原稿は一度完成させたら終わりではなく、定期的に見直す必要があります。自社の内情、採用市場も常に変化し続けているため、どれだけ時間をかけて作った原稿であっても改善すべき点は出てくるものです。また、母集団形成がうまくできていない場合、原因究明のきっかけにもつながることがあります。
2.さまざまなコンテンツの利用
自社をアピールするにあたって、記事コンテンツの発信や、映像や写真、音声を利用した、さまざまなコンテンツを利用することも効果的です。こうした幅広い発信をおこなうことで、候補者とのタッチポイントを増やすことができます。
たとえば、求人広告に興味がなくても自社のコンテンツには興味を持ってもらえる可能性もあり、応募の意思が高まるかもしれません。
良いコンテンツを発信することで、自社の認知拡大、母集団形成への効果があり、ブランディングの強化にもつながります。
3.素早く丁寧なコミュニケーションをとる
候補者からの連絡に対しては、素早く、丁寧な返信を心がけ、なるべくならテンプレートを使用した対応は避けるのがよいでしょう。
「複数の内定が出ている」「転職活動を急いでいる」などの校正者の場合には、入社意欲を維持し、内定辞退を防ぐことにもつながります。
4.社内で意識・情報の共有をする
採用に取り組むチーム全体、あるいは企業全体で意識、情報の共有をおこなうことも重要です。
共有できていないと業務中の連携がうまくいかないケースがあります。また、面接の際には候補者も企業側を観察しているため、情報把握の差や、意識の差が見えてしまわないように注意が必要です。
母集団形成がうまくいかない際におこなうべきこと
母集団形成を始めたものの望んだ結果が得られなかった場合に確認すべき点を4つ紹介します。
データの分析
母集団形成に関するデータを収集し、分析することで、改善点を見つけることができます。媒体からクリック率や反応率などのデータを抽出し、なにが原因で母集団形成がうまくいっていないのかを分析して特定したうえで、改善するための施策を講じましょう。
ターゲットの見直し
ターゲットとなる層を見直し、より適切な人物像や属性を設定することで、母集団形成を成功に近づけることができます。それに伴って求人広告や自社コンテンツを再確認し、求職者が求める条件や魅力が正確に伝わるように修正することも重要です。
また、ターゲットを広げて転職潜在層にアプローチすることも効果的です。転職顕在層は多くの企業の採用対象になるため成果が出ないことも少なくありませんが、転職潜在層であればライバルが少ないため母集団形成につながりやすいという特徴があります。また、ほとんどの大学生が就職活動をするため転職顕在層が多くを占める新卒採用とは異なり、中途採用では潜在層に働きかけることで得られる効果が大きくなります。
媒体の変更
母集団形成に利用している媒体が求職者にとって魅力的ではない場合、効果的に採用活動をおこなうことができません。母集団形成ができていないと感じた場合には、適切な媒体を選択できているかを再検討し、必要に応じて変更することが重要です。求める人物像や自社に合う求職者が魅力を感じ、利用する可能性が高い媒体を選択しましょう。
メッセージの改善
求人広告や自社コンテンツ、採用ページなどに記載しているメッセージが、求職者にとって魅力を感じられないものになっていると母集団形成につながりにくくなります。より魅力的なメッセージを作成するために、既存のメッセージの見直しや、新しいメッセージの作成を検討すると良いでしょう。その際にはターゲットの見直しによって変化した点、媒体を変更した場合はその媒体の特性などを踏まえてメッセージを作成し直します。
またABテストをおこなって効果を検証することも重要です。母集団形成に使用しているターゲットや媒体が適切か見直し、メッセージを改善したものを再度テストすることで、より効果的な母集団形成を実現することができます。
母集団形成は綿密な準備と丁寧な運用と改善の先にある
母集団形成は採用活動の最初の一歩であり、大きな課題の一つでもあります。効果的な母集団形成をおこなうためには、採用要件の定義から時間をかけて準備をしたうえで、方針に沿って進めていかなくてはなりません。
また、結果が芳しくない場合には、原因を追究し、対策を取る必要があります。また、一見うまくいっている場合でも定期的に見直し、改善できる点がないかを探しましょう。
ぜひ、この記事を参考に母集団形成をおこない、円滑に採用活動を進めていきましょう。
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