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スタートアップやベンチャー企業のエンジニア採用の現状と課題│解決案や成功事例を紹介

事業を拡大するには優秀なエンジニアの確保はマストです。しかし、スタートアップやベンチャー企業では採用担当者などの社内リソースが十分でなく、採用活動に注力できないこともあるでしょう。
今回は、昨今のエンジニア採用の現状や課題、スタートアップやベンチャー企業におけるエンジニア採用の解決案、おすすめの採用手法、成功事例についてそれぞれ紹介します。

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目次
エンジニア採用の現状

まずは、エンジニア採用の現状について見ていきましょう。
IT人材の需給ギャップと2030年問題
経済産業省が2019年3月に公開した「IT人材需給に関する調査」によると、IT人材の需要は今後も拡大する一方で、少子高齢化に伴う人口減少が見込まれることから、IT人材の需要が供給を上回ることが示唆されています。
IT人材の需要と供給の差、いわゆる「需給ギャップ」は、2030年には最大で約79万人に拡大する可能性があるともいわれています。このように、日本社会が抱える少子高齢化問題が、IT人材不足につながっており、エンジニアの採用難にも関係していると考えられます。
エンジニア職の有効求人倍率から見る「売り手市場」
厚生労働省が2023年5月に発表した「一般職業紹介状況(令和5年4月分)」によると、エンジニア職が含まれる「情報処理・通信技術者」の有効求人倍率(パートを含まない数値)は1.64で、すべての職業の有効求人倍率1.18を上回っています。
「有効求人倍率」は、求職者1人に対しての求人数の割合を示しており、倍率が1.0を超えると求職者1人あたり1件以上の求人がある状態を表しています。
つまり、2023年5月時点で、求職者1人あたり1.64件の求人がある状態となり、エンジニア職では売り手市場の傾向が顕著といえるでしょう。
転職顕在層と潜在層の実態
エンジニアの採用市場において、転職活動を積極的に行っている「転職顕在層」は全体のわずか数%程度にすぎません。一方で、約半数以上のエンジニアが「より良い仕事があれば転職したい」と考えているものの、具体的な転職活動は行っていない「転職潜在層」であるというデータがあります。
転職潜在層は現職に大きな不満があるわけではないものの、魅力的な機会があれば転職を検討する可能性を持つ人材です。スタートアップやベンチャー企業がエンジニア採用を成功させるためには、求人広告を掲載して応募を待つだけの受動的なアプローチではなく、潜在層に対して企業側から積極的にアプローチする能動的な採用手法が不可欠となります。
特に、ダイレクトリクルーティングやスカウトサービスを活用することで、転職顕在層だけでなく、より幅広い優秀な人材との接点を持つことが可能になるのです。
スタートアップやベンチャー企業のエンジニア採用における課題

「需要に対して数が足りない」というエンジニア採用の現状を踏まえて、スタートアップやベンチャー企業におけるエンジニア採用の課題について見ていきましょう。
大手企業との待遇面での競合
優秀な人材を採用したいと考えるのはどの企業も同じです。特に、大きな需給ギャップが発生しているエンジニアを採用するためには、大手企業とも競合しなければなりません。
大手企業と競合した場合、スタートアップやベンチャー企業は、事業の実績や安定性、福利厚生といった条件面で不利になりがちです。
また、大手企業よりも知名度が低いことから、そもそも求職者に自社を認知してもらえない可能性も十分に考えられます。
採用ノウハウとプロセスの未整備
「事業を立ち上げたばかり」「採用の実績が少ない」といった状態のスタートアップやベンチャー企業の場合、採用ノウハウが不足しているケースが多々あります。
採用は「にわか仕込み」でおこなえるものではありません。例えば、下記のような要素を含めて採用戦略として明確化しなければ、売り手市場のエンジニア人材を採用するのは難しいでしょう。
- 事業計画と紐づけた採用計画
- ペルソナ設定
- 競合他社との差別化ポイント など
採用ノウハウが乏しい場合、採用力の低下につながる懸念があります。
知名度・認知度の不足
スタートアップやベンチャー企業の最大の課題の一つが、企業としての知名度・認知度の低さです。日本国内には約2,000社のスタートアップ企業が存在するといわれており、自社の存在を求職者に知ってもらうことは容易ではありません。
求人サイトに募集情報を掲載しても大手企業の求人に埋もれてしまい、優秀なエンジニアの目に留まらないケースが多く見られます。また、転職を検討しているエンジニアは、企業の安定性や将来性を重視する傾向があります。そのため、知名度が低い企業は選考対象から外されてしまう可能性が高くなるのです。
課題を克服するためには求人掲載だけに頼るのではなく、自社から積極的に情報を発信し、企業の魅力や事業内容を認知してもらう取り組みが不可欠です。
限られた採用予算と母集団形成の困難さ
スタートアップやベンチャー企業は資金調達のフェーズによって採用に充てられる予算が限られているケースが多く、大手企業のように潤沢な採用コストをかけることが難しい状況にあります。
人材紹介会社への高額な成功報酬(年収の30〜35%が相場)や、求人広告の大規模な出稿、採用イベントへの継続的な参加などは、予算面での制約から実施が困難です。結果、採用チャネルが限定され、十分な母集団を形成できないという悪循環に陥りがちです。
限られた予算の中で効果的な採用活動を展開するためには、コストパフォーマンスの高い採用手法を選択し、戦略的に運用していく必要があります。リファラル採用やSNSを活用した情報発信など、低コストで実施できる施策を組み合わせることが重要です。
技術的魅力の訴求不足
エンジニアが転職先を選ぶ際、技術的な魅力は給与や待遇と同等、あるいはそれ以上に重視される要素です。しかし、スタートアップやベンチャー企業の中には、使用している技術スタックや開発環境、取り組める技術的課題について十分に訴求できていないケースが見られます。
特に、レガシーな技術を使用している場合や最新技術への投資が十分でない場合、技術志向の強いエンジニアからの関心を集めることが困難になります。また、開発組織の体制や技術的な意思決定プロセスが不明確だと、エンジニアにとって「成長できる環境」として魅力的に映りません。
自社の技術的な強みを明確に言語化し、エンジニアが興味を持つ情報を積極的に発信することが、優秀な人材を惹きつけるために必要不可欠です。
専任採用担当者の不在とリソース不足
スタートアップやベンチャー企業では、専任の採用担当者を配置できず、経営者や現場のエンジニアが採用業務を兼務しているケースが多く見られます。本来の業務と並行して採用活動を行うため、候補者への対応が遅れたり、選考プロセスの設計が不十分になったりするリスクがあります。
また、採用担当者の経験不足により、適切なスカウトメールの作成や、候補者の志望度を高めるコミュニケーションができず、優秀な人材を逃してしまうケースも少なくありません。書類選考や面接日程の調整、候補者フォローなど、採用活動には想像以上の工数がかかるため、リソース不足は深刻な課題となります。
採用プロセスの効率化や採用代行サービスの活用など、限られたリソースの中で最大限の成果を出すための工夫が求められます。

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スタートアップならではのエンジニア採用の強みと訴求ポイント

大手企業との競争において不利に見えるスタートアップですが、エンジニアにとって魅力的な独自の強みを多く持っています。ここでは、スタートアップならではの訴求ポイントについて解説します。
技術選定の自由度と裁量権の大きさ
スタートアップやベンチャー企業では、エンジニアが技術選定において大きな裁量を持てる環境が整っています。大手企業のように既存システムとの互換性や社内の承認プロセスに縛られず、プロジェクトの要件に最適な言語やフレームワークを自ら選択できます。
TypeScriptやGo、Rustといった最新技術の導入も、現場のエンジニアの判断で迅速に決定可能です。また、アーキテクチャ設計やインフラ構成についても、エンジニア自身が主体的に関わり、技術的な意思決定を担えます。
少人数組織だからこそ、一人ひとりの技術的な判断が事業全体に与える影響も大きく、自分の選択がプロダクトの成長に直結する実感を得られます。
成果主義の評価制度とキャリア成長の速さ
年功序列ではなく、個人の成果や貢献度を重視する評価制度を採用しているスタートアップが多く存在します。年齢や社歴に関係なく実力次第で早期にリーダーポジションを任されたり、重要なプロジェクトの中心メンバーとして活躍できたりします。
大手企業では数年かかるようなキャリアステップも、スタートアップでは1〜2年で実現可能です。事業の急成長に伴い組織も拡大していくため、マネジメント経験を積む機会も豊富にあります。
また、フレックスタイム制やリモートワークなど、柔軟な働き方を導入している企業も多く、成果さえ出せば働く時間や場所に縛られません。自分の実力を正当に評価してほしい、スピード感を持ってキャリアアップしたいと考えるエンジニアには最適な環境です。
ゼロからプロダクトを構築できる環境
技術的負債のないクリーンな状態からプロダクトの基盤を設計・構築できる経験は、エンジニアにとって貴重なキャリア資産となります。スタートアップではレガシーシステムの保守に追われるのではなく、最新のベストプラクティスを取り入れながら理想的なアーキテクチャを実現できます。
- データベース設計
- API設計
- フロントエンド・バックエンドの技術選定
上記に挙げる開発の上流工程から一貫して携われるため、エンジニアとしての技術的な幅が大きく広がります。
また、プロダクトの成長に伴い、スケーラビリティやパフォーマンスの課題に直面する機会も多く、実践的な問題解決能力が身につきます。
事業への貢献実感とストックオプションの可能性
少人数体制のスタートアップでは、エンジニア一人ひとりの仕事が事業成長に与える影響が大きく、自分の開発した機能がユーザー数の増加や売上向上に直結する実感を得られます。経営陣との距離も近く、開発の優先順位や事業戦略についても直接議論できる環境が整っています。
また、多くのスタートアップではストックオプション制度を導入しており、将来的なIPOやM&Aが実現すれば、大きな経済的リターンを得られるでしょう。現時点での給与水準は大手企業に及ばなくても、事業の成功によって得られるキャピタルゲインは数千万円から数億円規模になる場合もあります。
スタートアップやベンチャー企業におけるエンジニア採用の解決案

エンジニア採用における課題を踏まえて、ここからは、スタートアップやベンチャー企業におけるエンジニア採用の解決案を紹介します。
採用計画の立案と求める人物像を明確にする
エンジニア採用を成功させるためには、まず明確な採用計画を立案し、求める人物像を具体的に定義することが重要です。「とにかく優秀なエンジニアが欲しい」という漠然とした方針では採用活動の方向性が定まらず、効果的な施策を打つことができません。
事業計画と連動した採用計画を策定し、どのポジションに、どのようなスキルや経験を持つ人材が、いつまでに何名必要なのかを明確にしましょう。そのうえで、以下の採用要件を具体的に設定します。
- 技術スキル(必須スキル・歓迎スキル)
- 業務経験
- 人物像(価値観・志向性)
また、現場で活躍している既存のエンジニアをモデルケースとして分析することで、より現実的で精度の高いペルソナ設定が可能になります。採用要件には優先順位をつけ、「MUST条件(必須)」「WANT条件(あれば望ましい)」「NEGATIVE条件(不要)」を整理することで選考時の判断基準が明確になり、採用担当者間での認識のズレも防げます。
ダイレクトリクルーティングに取り組む
ダイレクトリクルーティングとは、企業側から求職者に直接アプローチをする採用方法です。大手企業や実績豊富な同業他社と比べて知名度が低いスタートアップやベンチャー企業でも、ダイレクトリクルーティングを活用することで知名度に左右されずに自社を認知してもらえるメリットがあります。
また、転職潜在層(転職を意識しているが積極的に転職活動をおこなっていない層)へアプローチできるため、母集団形成に役立ちます。
具体的なダイレクトリクルーティングの手法には、後述する「スカウト採用」「ソーシャルリクルーティング」「リファラル採用」などがあります。
エンジニアへの訴求ポイントを整理する
各メディアやSNSなどで発信する際は、エンジニアが注目する情報を盛り込むことで、自社に興味を持ってもらうことに繋がります。そのためには、自社が開示できる求人情報のうち「エンジニアに魅力を感じてもらえるポイントは何か」を検討する必要があります。
特に、スタートアップやベンチャー企業がアピールしやすいポイントとして、ビジネスモデルや事業の成長性、エンジニア個人が成長できるポイント、経営陣との距離の近さなどが挙げられます。
求職者が「エンジニアとして自分がこの職場でどのように活躍できるのか」をイメージできるように情報を整理したうえで訴求することが、自社への興味関心を獲得することにつながります。また、エンジニアを適切に評価できる体制が整っていることを伝えることも大切です。
カルチャーフィットを見極める
採用後に活躍してもらうには、カルチャーフィット(組織文化や風土へ適応できるか)が大切です。大手企業よりも社員数が少なく、事業の変化スピード・成長スピードが早い傾向にあるスタートアップやベンチャー企業では、環境変化に適応し、自分自身も柔軟に変化できる人材が求められます。
採用フローに「カジュアル面談」などを組み込み、候補者の価値観を掘り下げたり、ワークショップなどを実施して自社のカルチャーを肌で感じてもらう機会を作ったりしながら、カルチャーフィットを見極めましょう。自社の掲げるミッション・ビジョンに共感してくれる人物は、カルチャーフィットの度合いも高いといえます。
採用プロセスのスピード化と効率化を図る
優秀なエンジニアは複数の企業から同時にアプローチを受けているケースが多く、選考プロセスが遅れると他社に流れてしまうリスクが高まります。スタートアップやベンチャー企業がエンジニア採用で成功するためには、採用プロセスのスピード化と効率化が不可欠です。
書類選考の結果通知は可能な限り即日で行い、面接日程の調整も候補者の都合を最優先に迅速に対応しましょう。また、面接回数を必要最小限に抑え、1回の面接で複数の評価項目を確認できるよう面接設計を工夫することも効果的です。
さらに、選考フローの各段階で評価基準を明確化し、面接官間での情報共有をスムーズに行える体制を整えることで、判断のスピードと精度を両立できます。候補者とのコミュニケーションも丁寧かつ迅速に行い、選考状況や次のステップについて常に透明性を保つことで候補者体験の質を高め、志望度の向上にもつながります。

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スタートアップやベンチャー企業におけるエンジニア採用におすすめの採用手法

スタートアップやベンチャー企業におけるエンジニア採用の課題を解決するために、おすすめの採用手法を紹介します。
スカウト採用
スカウト採用は、企業が求職者にアプローチする「ダイレクトリクルーティング」のひとつです。求職者からの応募を待つのではなく、企業側から求める人物像に近い人材へ直接「スカウトメール」を送りアプローチし、きめ細やかなコミュニケーションを通じて応募意欲を高めていくのが特徴です。企業側からアプローチするため、自社の知名度や認知度に左右されづらいといえます。
ソーシャルリクルーティング(SNS採用)
Twitter・Facebook・InstagramなどのSNSを用いた採用活動を「ソーシャルリクルーティング(SNS採用)」といいます。若い世代を中心に今や人々の生活の一部となっているSNSは、情報の拡散力が高く、低コストで幅広い層にアプローチできる可能性があります。また、自社のSNSアカウントからの情報発信を通じて、自社の活動やミッション・ビジョンを伝えやすいのも特徴です。
リファラル採用
リファラル採用は、自社の社員や関係者から候補者を紹介してもらう採用手法であり、ダイレクトリクルーティングのひとつです。特に、スタートアップやベンチャー企業の立ち上げ期においては、リファラル採用によって初期メンバーを集めるケースも少なくありません。
実際に現場で働いている社員からの紹介であるため、選考段階でカルチャーフィットしている可能性が高く、採用コストが低い点も特徴です。
スタートアップやベンチャー企業に特化した求人サイト
求人サイトを活用するのであれば、スタートアップやベンチャー企業に強みのある求人サイトがおすすめです。例えば、Wantedly (ウォンテッドリー)やGreen(グリーン)などが挙げられます。
企業の知名度や安定性よりも、成長性などを重視するユーザーが多く登録している傾向にあるため、効果的に自社の求人情報を届けることができます。
採用広報・テックブログでの情報発信
採用広報やテックブログを通じた継続的な情報発信は、知名度の低いスタートアップやベンチャー企業がエンジニアとの接点を作るうえで有効な手法です。自社の技術スタックや開発環境、エンジニアの働き方やプロジェクトの裏側などを発信することで、企業の技術力や文化を求職者に伝えられます。
特にテックブログは、エンジニアが情報収集のために日常的にチェックするメディアです。技術的な課題解決の記事や新技術の導入事例などを発信することで、技術志向の高いエンジニアからの関心を集められます。また、note・Zenn・Qiitaなどのプラットフォームを活用すれば、初期コストをかけずに情報発信を始められます。
継続的な発信により、転職を考えていない潜在層にも自社の存在を認知してもらえるだけでなく「技術に真摯に取り組んでいる会社」というブランドイメージの構築も可能です。
外部人材の活用(フリーランス・業務委託)
正社員としてのエンジニア採用が難航している場合、フリーランスや業務委託といった外部人材の活用も有効な選択肢です。働き方の多様化により、正社員としての雇用にこだわらず、フリーランスとして複数のプロジェクトに関わりたいと考えるエンジニアも増えています。
外部人材の活用には、以下のメリットがあります。
- 即戦力として迅速にプロジェクトに参画してもらえる
- 必要な期間・スキルに応じて柔軟に契約できる
- 正社員採用と比較してコストを抑えられる
- 採用戦略の立案
- 求人票の作成
- スカウト送信
- 候補者対応
- 面接日程調整
- 選考プロセスの管理
- MUST条件(絶対に必要なスキル・経験)
- WANT条件(あれば望ましいが必須ではない要素)
- リソース不足により残業が発生しやすい
- 開発環境が十分に整っていない
- 事業の方向性が変わる可能性がある
また、まずは業務委託として協業し、お互いの相性を確認したうえで正社員登用を検討するという段階的なアプローチも可能です。
クラウドソーシングサービスやフリーランス向けのマッチングプラットフォームを活用することで、幅広いスキルを持つエンジニアと出会えます。事業の成長フェーズや予算に応じて、正社員採用と外部人材活用を組み合わせた柔軟な体制構築を検討しましょう。
採用代行サービス(RPO)の戦略的活用
採用ノウハウやリソースが不足しているスタートアップやベンチャー企業にとって、採用代行サービス(RPO:Recruitment Process Outsourcing)の活用は採用活動を効率化し成果を最大化するための選択肢です。
採用代行サービスでは、以下に挙げる採用活動の一部または全体を専門家に委託できます。
特にエンジニア採用に特化したサービスを選ぶことで、技術スキルの見極めやエンジニアに響く訴求ポイントの設計など、専門性の高い支援を受けることが可能です。
また、採用代行を通じて蓄積されたノウハウは、将来的に自社の採用力向上にもつながります。
エンジニア採用における重要な注意点とリスク回避

エンジニア採用を成功させるためには、適切な採用条件の設定や情報開示が欠かせません。ここでは、採用活動で陥りがちな失敗を防ぐための注意点とリスク回避策を解説します。
現実的な採用条件の設定(MUST/WANTの明確化)
理想を追い求めすぎた採用条件は応募者の幅を狭め、採用難易度を大幅に高めてしまいます。「フルスタックで全ての技術に精通している」「5年以上の実務経験必須」といった高すぎる要件設定は、優秀な候補者を遠ざける原因となります。
採用要件を設定する際は、以下を明確に分けましょう。
例えば、基本的なプログラミングスキルと学習意欲をMUST条件とし、特定のフレームワーク経験やリーダー経験をWANT条件とするなど、柔軟な設定が重要です。また、未経験者でも育成前提で採用するという選択肢も検討する価値があります。
求人票の技術用語は正確な表記を徹底する
エンジニアは技術用語の正確性に非常に敏感であり、求人票の表記ミスは企業の技術レベルへの不信感につながります。「JavaScript」を「Java Script」と記載したり、「React」を「react」と小文字で表記したりするだけで「技術を理解していない会社」という印象を与えてしまいます。
プログラミング言語やフレームワーク、ツール名は、公式サイトに記載されている正式名称を必ず確認し記載しましょう。
また「AWS」「GCP」「Azure」などのクラウドサービスや、「Docker」「Kubernetes」などのインフラツールについても同様です。人事担当者が求人票を作成した後は、必ず現場のエンジニアにレビューを依頼し、技術的な正確性を担保する体制を整えましょう。
ネガティブ情報の開示とミスマッチ防止
採用したい気持ちが先行し、良い面ばかりを伝えてしまうと、入社後のギャップによる早期離職のリスクが高まります。スタートアップやベンチャー企業では、以下のようなネガティブな側面も存在します。
選考段階で、現在抱えている技術的な課題や組織の未整備な部分、事業の不確実性について率直に伝えましょう。正直な情報開示により、候補者は納得感を持って意思決定でき、入社後の定着率向上につながります。
また「カジュアル面談」の機会を設け、候補者が気軽に質問できる場を用意するのも効果的です。
入社後のオンボーディング体制の整備
採用活動は内定承諾で終わりではなく、入社後の定着とパフォーマンス発揮まで見据える必要があります。特にスタートアップでは、少人数体制のため一人ひとりの早期立ち上がりが事業成長に直結します。
入社前から、開発環境のセットアップ手順やプロジェクトの背景資料を共有し、初日からスムーズに業務を開始できる準備を整えましょう。
また、メンター制度を導入し、技術的な質問や業務上の相談ができる体制を構築します。初月は週次で1on1ミーティングを実施し、困りごとや不安を早期にキャッチアップするのも効果的です。
オンボーディング期間中の目標設定と振り返りを丁寧に行い、新入社員が組織の一員として活躍できる環境を整備しましょう。 エンジニア採用媒体15選比較&活用ガイド 代表的な15のエンジニア採用媒体を徹底比較!目的別のおすすめ活用シナリオも紹介
スタートアップのエンジニア採用成功事例4選

ここでは、実際にエンジニア採用で成果を上げているスタートアップ企業の事例を紹介します。
BASE株式会社:CTOによるラブレター型スカウトの実践
ECプラットフォーム「BASE」を提供するBASE株式会社は、2016年の大型資金調達を機にエンジニア採用を本格化させました。採用活動の中心となったのは、CTO自らが候補者一人ひとりに向けて送る「ラブレター型」のスカウトメールです。
定型文ではなく「なぜあなたに注目したのか」「あなたに何をしてほしいか」「自分たちはどんな環境を提供できるか」を丁寧に記載し、候補者への本気度を伝えました。加えて、テックブログでの技術情報発信やエンジニアイベントへの積極参加など、プル型の採用広報活動も並行して実施しました。
スタートアップならではのカルチャーや事業ビジョンを明確に打ち出すことで、共感するエンジニアを集めることに成功し、創業初期の10人以下から全社員の約4割をエンジニアが占める組織へと成長を遂げています。
freee株式会社:リファラル採用で社員の半数を獲得
クラウド会計ソフト「freee」を展開するfreee株式会社は、創業初期の知名度が低い時期に、リファラル採用を積極的に活用して人材獲得に成功しました。
同社が重視したのは、「友人を呼ぶハードルを下げる」「採用の重要性を社員全員で共有する」「協力者への感謝を明確に示す」という3つのポイントです。具体的には、カジュアル面談の機会を多く設け、友人を気軽に誘いやすい雰囲気を作りました。
また、全社ミーティングで採用の重要性を経営陣が繰り返し伝え、社員一人ひとりが採用活動に参画する意識を醸成しています。紹介してくれた社員には、金銭的なインセンティブだけでなく、感謝の気持ちを言葉で伝える文化も大切にしました。
結果として、一時期は社員の約半数をリファラル採用で確保し、カルチャーフィットした優秀な人材を低コストで採用する仕組みを確立しています。
株式会社EventHub:採用代行活用でエンジニア・デザイナー採用成功
イベント管理SaaS「EventHub」を開発・運営する株式会社EventHubは、コロナ禍での事業急拡大に伴いエンジニアとデザイナーの早急な確保が必要となりました。しかし、社内に採用ノウハウやリソースが不足していたため、採用代行サービス「まるごと人事」を導入します。
担当者がチーム体制で支援に入り、スカウトメールの再送信や過去に選考が進まなかった候補者へのリマインド連絡など、きめ細やかなフォローを実施しました。
また、候補者とのコミュニケーションにおいて、キャンディデイトエクスペリエンス(候補者体験)の質を重視し、丁寧な対応を徹底しました。
結果、エンジニア1名、UI/UXデザイナー1名の内定獲得に成功し、採用代行を活用した効率的な採用活動のモデルケースとなっています。
株式会社スタディスト:マッチングインタビューで離職率5%を実現
マニュアル作成・共有ツール「Teachme Biz」を提供する株式会社スタディストは、採用後の定着率向上に注力し、現在の離職率5%という低水準を維持しています。同社が導入したのが、選考プロセスに組み込まれた「マッチングインタビュー」です。
面接終了後に5〜10分程度の時間を設け、希望年収や福利厚生、働き方など、面接では質問しにくい条件面について詳しく説明します。また、会社が提供できる価値を再確認し、希望職種の体験制度やマネージャー任用プロセスの透明化など、入社後のキャリアパスを明確に示しました。
候補者が入社後のイメージを具体的に持てるよう、ネガティブな情報も含めて率直に伝える姿勢を貫いています。
エンジニア採用の現状と課題を知り、自社に最適な採用プロセスを実行しよう

昨今のエンジニア市場は売り手市場であり、スタートアップやベンチャー企業は大手企業や同業他社との差別化を図り、優秀な人材を確保する必要があります。求めるエンジニア人材を採用するには、自社における採用課題を理解し、自社にマッチした採用手法を取り入れることが大切です。
「まるごと人事」は、採用の設計から運用、改善までのほぼすべての業務を、最短1ヶ月契約で採用のプロに任せられます。専任の採用担当者がいない場合や、採用ノウハウが乏しい場合、採用プロセスに時間を割けない場合などは、ぜひまるごと人事を活用してみてはいかがでしょうか。

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