採用・労務・経理に関するお役立ち情報

2023.10.13 更新日:2026.02.26
この記事の監修者:今 啓亮

この記事の監修者:今 啓亮

スクラム採用とは?全社で採用を強くする進め方・体制・成功のコツを解説

人材の獲得競争が厳しくなるなかで、採用担当者と現場社員が連携して採用活動を進めていく「スクラム採用」という採用手法が注目されています。

本記事では、スクラム採用とはどのような採用手法なのか、採用活動における現場連携の必要性、スクラム採用のメリット・デメリット、実施手順を詳しく紹介します。

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スクラム採用とは

スクラム採用とは

スクラム採用とは、採用活動を経営陣と採用担当者だけで行うのではなく、現場社員も巻き込んで進めていくことで、大きな成果を生み出そうとする採用手法のことをいいます。

採用管理システム「HERP fire」を運営する、株式会社HERPが提唱したものです。

従来の採用(人事主導)と何が違うのか

従来の採用は、採用担当者が中心となり業務を進める形が一般的です。現場社員は面接協力に留まる場合が多く、判断の主導権は人事側にあります。

一方、スクラム採用では、業務理解を持つ現場社員が意思決定に関与します。採用基準や評価視点が現場寄りになる点が、大きな違いです。両者の主な違いは、以下のとおりです。

  • 人事主導:判断軸が制度や経験中心
  • スクラム採用:判断軸が業務や役割中心

進め方が変わると、候補者との対話の質にも差が生まれます。

“スクラム採用=手法”というより“運用モデル”である理由

スクラム採用は、特定の施策を指す言葉ではありません。日々の採用活動をどのように回すかを示す考え方に近い位置づけです。

媒体選定や選考フロー自体は、従来と大きく変わらない場合もあります。変化が生じるのは、関与する人と判断の流れです。

運用モデルとして捉えられる理由は、以下の点にあります。

  • 採用工程全体に関与者が存在する
  • 状況に応じて役割分担を調整する
  • 継続的な改善を前提に進める

運用視点を持つと、短期成果だけでなく再現性も高めやすくなります。

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スクラム採用が必要とされる背景

スクラム採用が必要とされる背景

採用を取り巻く環境は、数年前と比べて大きく変化しています。人材不足や採用手法の多様化により、人事主導の体制では対応が難しくなりました。スクラム採用が必要とされる背景を理解すると、スクラム採用が求められる理由も明確になります。

採用競争が激化し「選ぶ」から「選ばれる」へ

採用市場では、企業側が候補者を選ぶ立場だけではなくなっています。求職者は複数企業を比較し、働く環境や価値観も重視するのが一般的です。

条件提示だけでは差別化が難しくなり、仕事内容やチームの魅力が重要になります。
現場社員が直接伝える情報は、候補者の判断材料として大きな影響力を発揮するでしょう。

なお、採用環境の変化は、以下の点に表れています。

  • 求職者が情報を主体的に収集する
  • 企業文化や働き方への関心が高まる
  • 面接時の対話が重視される

採用チャネル増加で、人事だけでは回らない

採用活動で使われる手段は、年々増えています。求人媒体に加え、スカウトやリファラルなども一般的になりました。

複数チャネルを並行して運用すると、管理や対応の負荷が高まります。人事部門だけで全工程を担う体制には限界があります。

採用チャネル増加による影響は、以下のとおりです。

  • 候補者対応のスピード低下
  • 情報共有の煩雑化
  • 判断の遅れ

現場を巻き込む体制が、運用負荷の分散につながります。

専門職採用(例:エンジニア)で現場の関与が必須になる

専門職採用では、業務理解の深さが採用成否を左右します。スキルや経験の見極めには、現場視点が欠かせません。

人事担当者だけでは、業務内容や技術要件を十分に把握しにくい場面もあります。

現場社員が選考に関与すると、評価の精度が高まりやすくなります。

専門職採用で現場が求められる理由は、以下のとおりです。

  • 実務に即した判断ができる
  • 技術的な対話が成立しやすい
  • 入社後のイメージを具体的に伝えられる

専門性が高い職種ほど、スクラム採用の効果が発揮されやすくなります。

スクラム採用が向いている企業・向かない企業

スクラム採用が向いている企業・向かない企業

スクラム採用は、すべての企業に適した取り組みではありません。組織規模や採用方針によって、相性には差が生まれます。導入前に向き不向きを整理すると、失敗のリスクも抑えやすくなります。

向いているケース

スクラム採用に向いている企業の傾向は、以下のとおりです。

  • 現場と人事の距離が近い
  • 採用を全社課題として捉えている
  • 採用基準を柔軟に見直せる

スクラム採用は、現場と人事が連携しやすい企業で効果を発揮します。組織内の情報共有が比較的スムーズな環境で、導入しやすいでしょう。

特に、採用人数が限られている企業や成長途中の組織と相性が良い傾向があります。現場社員が採用に関わる意識を持ちやすい点も特徴です。

向かないケース

スクラム採用が定着しにくい企業の特徴は、以下のとおりです。

  • 現場が採用に関与しづらい
  • 意思決定が属人的になりやすい
  • 運用ルールの整備が後回しになる

スクラム採用は、現場の協力が前提となる取り組みです。業務負荷が高い環境では、参加へのハードルが上がりやすくなります。

採用判断を人事部門に一任したい企業では、運用が形骸化しやすくなるでしょう。
役割分担やルール設計が曖昧な場合も、混乱が生じやすいため注意が必要です。

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スクラム採用のメリット5選

スクラム採用のメリット

ここからは、スクラム採用を導入することでどのようなメリットが得られるのかについて解説していきます。

採用力が向上する

たとえば、「応募がなかなか集まらない」という課題があるなら、スクラム採用を導入することで、現場社員のつながりを活用して転職潜在層にもアプローチできるようになるので、採用の幅が広がり、求める人材に出会いやすくなるでしょう。

また、採用がうまくいかない場合、採用基準が自社に合っていないという可能性も考えられます。

どのような人材が現場に必要かは、現場社員が一番わかっているはずです。現場社員に採用基準の作成段階から参加してもらうことで、より適切な採用基準を設定できるようになります。

さらに、先ほどお伝えしたように、現場社員に採用活動に参加してもらうことで、募集するポジションの仕事内容や魅力が候補者に伝わりやすくなり、候補者のスキルの見極め精度も向上するため、自社にマッチする人材を採用しやすくなるでしょう。

ミスマッチを減らせる

スクラム採用では、現場社員が選考に深く関わるため、入社後のミスマッチを抑えやすくなります。実際の業務内容や求められる役割を理解している現場社員が面接に参加するため、スキルや志向のズレを早い段階で見極められるでしょう。

また、現場社員自身の言葉で仕事内容や働き方を伝えられるため、候補者も入社後のイメージを具体的に描きやすくなります。結果として、期待値のズレが少ない状態で採用が進み、定着率の向上も期待できるでしょう。

採用担当者の負担を軽減できる

従来の採用では、採用に関する業務のほとんどは採用担当者に任されるため、採用担当者に大きな負担がかかります。

特にベンチャーやスタートアップは、社員数自体が少ないことが多いため、一人の採用担当者にかかる負担が大きくなりがちです。

採用担当者に負担がかかりすぎると、採用活動を計画通り進められなくなったり、候補者への連絡漏れや面接のダブルブッキングなどのミスが発生したりするリスクも高くなります。

現場社員に採用プロセス全体にかかわってもらうことで、採用担当者の負担を軽減できるため、採用活動の質も向上するでしょう。

社員のエンゲージメントの向上につながる

スクラム採用を導入することで、現場社員は採用活動を通して、自社の目指すところや魅力を再認識できます。

自社への理解が深まり、エンゲージメントの向上が期待できるでしょう。

エンゲージメントが向上すれば、仕事内容や魅力が候補者により伝わりやすくなり、自社にマッチする人材を採用できる確率も高まります。

さらに、スクラム採用で採用された社員は、現場社員が採用活動に参加している姿を見ているため、採用活動への参加意欲が高くなりやすい傾向があります。

「スクラム採用の実践により社員のエンゲージメントが向上」→「自社にマッチする人材を採用」→「採用した人材もメンバーに加えてスクラム採用を実践」という好循環を生み出すことができれば、更なる人材の獲得につながるでしょう。

採用後の育成・オンボーディングまで強くなる

スクラム採用では、採用段階から関わった現場社員が入社後の育成にも携わりやすくなります。候補者の強みや課題を把握した状態で受け入れが進むため、配属後の指導やフォローをスムーズに行えます

また、採用時に築いた関係性が早期からの信頼につながり、職場への適応も進みやすくなるでしょう。結果として立ち上がりのスピードが上がり、戦力化までの期間短縮も期待できます。

スクラム採用のデメリット5選

スクラム採用のデメリット

スクラム採用を導入することでさまざまなメリットが期待できますが、スクラム採用には課題(デメリット)もあります。

現場社員の負担が増加する

スクラム採用を導入すると、現場社員は通常の業務に加えて採用活動を行うことになります。

さらに、効果的な採用活動を行うために、現場社員は面接やカジュアル面談の進め方なども学ばなくてはなりません。

そのためスクラム採用では、どうしても現場社員の負担が大きくなってしまいます。

現場社員の負担が大きくなりすぎると、通常の業務が予定通り進められなくなったり、ミスが発生したりするリスクも高くなります。

現場社員に負担がかかりすぎないように、採用担当者は、通常の業務と採用活動のバランスを考慮して、採用活動全体を設計しなければなりません。

採用活動への意識を統一するのが難しい

スクラム採用を導入すると、採用活動にかかわるメンバーが増えることになるため、採用活動に対する意識の統一が難しくなるという課題があります。

「求める人物像」の理解度や、採用活動に対する意欲にバラつきがあると、大きな成果を上げるのは難しくなります。

そのため、採用担当者と現場社員とが十分にコミュニケーションをとることにくわえ、採用担当者が現場の声を聞き、求める人物像を理解し、まとめあげる努力が必要です。

情報管理が難しくなる

スクラム採用では採用活動に関わる人数が増えるため、情報管理の難易度が高まります。

候補者情報や評価内容が個人単位で共有されると、認識のズレや情報の抜け漏れが生じやすくなるでしょう。

情報共有の仕組みが整っていない場合、選考判断にばらつきが出る可能性もあります。採用担当者が中心となった、情報を一元管理できる体制づくりが欠かせません。

コストがかかる

採用管理システム(ATS)や各種ツールを活用することで、情報の管理や共有もスムーズに行えるようになります。

これらのツールの導入費用、さらに情報漏洩対策や、現場社員への研修の実施など、スクラム採用を始めるにはコストがかかります。

経営陣と採用担当者だけで採用活動を行う場合よりもコストが増える可能性がありますので、スクラム採用の導入を検討しているなら、コスト面も十分考慮することが大切です。

成果が属人化しやすい

スクラム採用では、特定の現場社員のスキルや経験に成果が左右されやすくなります。採用活動が一部のメンバーに依存すると、ノウハウが社内に広がりにくくなるでしょう。

担当者の異動や退職が発生した場合、採用の質が安定しなくなる恐れもあります。再現性を高めるためには、評価基準や進め方を言語化し、共有する取り組みが重要です。

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【6ステップ】スクラム採用の実施手順

スクラム採用の実施手順

実際にスクラム採用を導入することが決まったら、以下の手順で進めていくとよいでしょう。

1.スクラム採用を実施する目的を共有する

経営陣と採用担当者、現場社員が一丸となって採用活動を進めていくために、まずはスクラム採用を行う目的や必要性を共有して、社内に浸透させましょう。

先述のように、スクラム採用を導入すると、採用担当者だけでなく現場社員の負担も増えることになります。

採用は全社的な課題であると認識したうえで取り組んでもらわなければ、忙しさから不満が生まれる可能性があります。

目的や必要性に加えて、「現場に本当に必要な人材を採用できる」などスクラム採用に取り組むメリットと、具体的な活動の手順を伝えると、現場社員の理解を得やすくなるでしょう。

2.採用要件を言語化する

スクラム採用では、採用担当者と現場社員が同じ基準で人材を判断できる状態を整える必要があります。感覚や経験だけに頼った採用では、評価の軸が人によって異なってしまうでしょう。

現場社員が感じている業務上の課題や期待値を整理し、スキルや経験として言葉に落とし込みます。業務内容や役割を具体化すると、候補者との認識のズレも生まれにくくなります。

採用要件が曖昧なままでは、選考基準に一貫性を持たせられません。事前に要件を言語化すると、採用活動全体の精度が高まります。

3.採用プロセスを分解し、担当を割り振る

スクラム採用では、採用業務を一人に集約せず、プロセスごとに役割を分けて進めます。母集団形成や面接・評価・クロージングなどを整理し、担当範囲を明確にしましょう。

役割が曖昧な状態では、対応漏れや判断の遅れが起きやすくなります。各メンバーが動きやすくなるよう、誰がどの工程を担うのかを決めておきましょう。

採用担当者は全体の進行管理を担い、現場社員は判断が必要な場面に集中します。
役割分担を行うと、採用活動のスピードと質の両立がしやすくなります。

4.スクラム採用の体制を構築する

スクラム採用をうまく進めていくために、押さえておきたいポイントが3つあります。

  1. 採用担当者と現場社員、現場社員同士で十分にコミュニケーションをとる
  2. オペレーション業務を効率化して、コア業務に注力する
  3. データを蓄積し、課題の特定に活用する

実際に採用活動を始める前に、これらの体制を整えましょう。コストも考慮しながら、採用管理システム(ATS)や、各種ツールの活用も検討してみてはいかがでしょうか。

5.運用ルールを決める

スクラム採用を安定して進めるためには、共通の運用ルールを整える必要があります。
評価の観点や情報共有の方法を決めずに進めると、判断にばらつきが生じやすくなります。

面接後のフィードバック方法や、意思決定の流れを整理しておきましょう。
ルールが定まっていない状態では、現場社員の負担も増えやすくなります。

あらかじめ運用の型を作ると、採用活動が属人化しにくくなります。

6.計画を立て、実行に移す

スクラム採用の体制を構築できたら、採用計画を立てます。

冒頭で、スクラム採用は「採用手法」と紹介しましたが、どちらかというと採用活動への「取り組み方」といえます。

スクラム採用を導入しても、採用活動のプロセス自体に大きな変化はありません。これまでの採用計画をベースにしながら、「現場目線」で新たな計画を立ててみましょう。

ただ、効果的な採用活動を行うために、現場社員に対して採用に関する教育(説明会、面接の進め方など)は行わなくてはならないので、これは計画のなかに新たに追加してください。

採用計画が策定できたら、計画通りに実行します。定期的に振り返りを行い、計画の見直しを行うことも大切です。

いかに現場社員を巻き込めるかが採用成功のポイント

まとめ

企業も候補者から「選ばれる」時代になっています。

求める人材を獲得するためには、より広い層にアプローチして良質な母集団を形成し、候補者のスキルを正しく見極めることが重要です。

このためには、現場社員をいかに巻き込めるかがポイントになります。より良い採用活動を行いたいと考えているなら、スクラム採用の導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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この記事の監修者:今 啓亮
この記事の監修者:今 啓亮

まるごと人事として610社以上の企業の採用支援
書籍『「本当にほしい人材」が集まる中途採用の定石』好評発売中

2015年に東京でマルゴト株式会社(旧社名:株式会社ビーグローバル)を創業。
スタートアップから大手企業まで幅広く採用関連のプロジェクトに携わった後、2017年に月額制の採用代行”まるごと人事”の提供を開始。
2021年にバックオフィス代行”まるごと管理部”(労務プラン・経理プラン)も開始。
「理想のサービスと理想の職場を同時実現する」を経営理念に掲げ、全員がフルリモートで働くユニークな組織運営を行う。
2022年に本社住所を東京から札幌に移転し、自身も関東から札幌に移住。

出演イメージ

2024年11月、ABEMAの報道番組「ABEMA Prime」に
採用のプロフェッショナルとして出演。
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