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採用難が続くなか、「採用広報」が注目されています。企業自らが認知を広げ、応募につなげる攻めの採用として注目され、採用広報の重要性が増しています。しかし、「採用広報をどのように始めたらよいのか」、「具体的な進め方がわからない」という疑問を抱える採用担当者様もいるのではないでしょうか。
本記事では、採用広報とはなにか、具体的な進め方や取り組むメリット、実施する際のポイントを解説します。
目次
採用広報とは
採用広報とは、企業が求職者への認知向上と企業理解を促し、応募・採用につなげるための広報活動を指します。
具体的な業務内容や働き方、職場の雰囲気やカルチャー、企業ミッションやビジョンなどのテーマをもとに記事や動画、パンフレットなどを作成し、採用媒体や自社採用ページ、SNSなどでコンテンツとして公開します。
求人広告や人材紹介などと違い、すぐに目に見える成果につながる手法ではありませんが、中長期的に取り組めば自社の認知拡大や求職者の理解度を高め、採用ミスマッチの低減といった効果も期待できます。
採用広報が注目される背景
ここでは、採用広報が注目されている背景を解説します。
1. 転職潜在層に自社の認知を図る必要があるため
売り手市場において優秀な人材を採用するためには、幅広い層への認知の獲得が重要です。
求職者が転職を検討する前から、自社を認知していることで転職先として検討してもらえる可能性が高まるでしょう。
そのため、「ゆくゆく転職をしたい」、「よい職場があれば転職したい」と考える転職潜在層にも自社の認知を図ることができ、人材を確保するために有効な手段と言えます。
2. 求職者の仕事・職場選びが多様化したため
求職者の仕事選びが多様化しているなか、職場の具体的な情報を求職者に発信し、相互理解を進める手段として、採用広報が注目されています。
副業やフリーランス、リモートワークなど働く環境の選択肢が増え、求職者の仕事に対する価値観もさまざまです。
採用広報によって、自社のカルチャーや大切にしている価値観、働き方といった企業理解を深められる情報を求職者に届けることができます。それにより、求職者側が自身にマッチするかを検討できる材料になるでしょう。
3. 求職者が情報の透明性を求めるようになったから
WebメディアやSNSの普及によって、転職活動においても情報の透明性を求められるようになり、採用情報のオープン化が進んでいます。
求職者は会社パンフレットや会社説明会で得られる情報だけでなく、転職サイトや口コミ、SNSなどを通じた実態に伴った情報からも転職先を検討しています。
採用広報によって、自社で働くメリットや魅力だけでなく、採用に関わる情報をオープンに伝えることで、自社からも透明性のある情報を提供できるでしょう。
採用広報のコンテンツ例
ここでは、コンテンツの例を紹介していきます。
採用課題や採用ターゲット、運用体制に合わせて、自社にあったコンテンツを選びましょう。
1. 採用広報記事の作成
採用広報記事とは、社内情報をインタビュー記事やブログ記事などで発信することを指します。
たとえば、経営陣による自社のミッション・ビジョンの解説、社員による仕事のやりがいや具体的な業務内容、組織体制、入社理由など実際に企業で働く社員の声をコンテンツとして作成します。
他のコンテンツと比較しても自社で作成がしやすいため、採用広報にはじめて取り組む際におすすめする方法です。
作成した記事は自社採用サイト、Wantedlyなどのビジネス系SNSや、noteなどのメディアプラットフォームを通じて発信するのが一般的です。
2. 採用ピッチ資料の作成
採用ピッチ資料とは会社説明資料のひとつです。自社が求める人材の応募意欲・志望意欲を高めるだけでなく、採用ミスマッチを防ぐために自社の実態をありのままに伝え、自社理解を深めてもらう役割も持つ資料です。
入社後の働き方や現場の声など、求職者が知りたい情報を網羅した資料とも言えます。
採用ピッチ資料は自社の採用サイトに掲載する他、選考前に自社理解を深めてもらう、カジュアル面談時の会社説明資料に使うなどさまざまな活用ができます。
参考:https://marugotoinc.jp/blog/recruitmentpitch/
3. 採用動画の作成
代表や社員のインタビュー、オフィスの様子などを動画コンテンツとして制作し、採用広報に活用することも可能です。近年ではYouTubeをはじめとした動画サイトでの動画視聴が広がり、採用に特化した動画を制作し、活用する企業も増えています。
テキストや写真だけでは伝えるのが難しい社内の雰囲気や社員の様子などを動画上でわかりやすく伝えられるのが特徴です。
採用動画は、自社の採用サイトに掲載する、会社説明会で活用するほか、動画サイトで公開したりSNSで拡散するといった活用方法があります。
採用広報コンテンツの発信方法
ここでは実際に作成したコンテンツをどのように発信するのかを紹介していきます。
1. 採用サイトでの発信
採用サイトとは、自社で運用する採用に特化したサイトです。
求職者に向けて、採用情報や自社で働くうえでの魅力を伝えることが目的です。
一方、自社サイトは顧客や株主に向けて、企業に関する網羅的な情報を伝える役割を持つため、採用サイトとはターゲットも役割も異なります。
採用サイトは自社で運用を行うため、コンテンツやデザインなどを自由に決めることができ、より自社で働く魅力やメリットを訴求しやすいと言えるでしょう。
2. 採用オウンドメディアでの発信
採用オウンドメディアに採用広報記事やブログを掲載することで、自社の魅力を自由に発信できるため、求職者の志望度の醸成や企業理解度の向上が期待できます。
オウンドメディアとは、広義では、ホームページやブログなど自社が所有するメディア全般を指しますが、ここでは、企業が運営するウェブマガジンやブログをオウンドメディアと呼びます。
掲載する内容としては、ミッションやビジョンの解説、オフィスの様子や社内イベントの様子を紹介するブログ記事や実際に働く社員の声などが挙げられます。
また、エンジニア採用を強化するために「テックブログ」を活用する企業もあります。テックブログとはIT系企業が自社の技術や開発手法を開示しているブログです。
エンジニア向けに特化したブログを運用することで、活用している技術や開発のフローなど具体的な情報を提供し、実際に働くイメージを持ってもらうことが期待できます。
3. SNSでの発信
採用広報のツールとして、SNSでの発信も挙げられます。ここではプライベート等でも使用することのある一般的なSNSとビジネスSNSの2種類に分けて解説します。
一般的なSNSでの発信
SNSとは、ソーシャルネットワーキングサービス(Social Networking Service)の略です。ユーザーが自由に情報を発信でき、ユーザー同士でつながりを持つことが可能なコミュニティサイトです。
代表的なサービスとしてFacebook、TwitterやInstagram等が挙げられます。
SNSは多くの人が日常的に使っているツールであり、シェア機能によって投稿が拡散されると、幅広い層に情報を届けることができます。求人サイトや人材紹介とは異なり、将来的に転職を検討する転職潜在層へ情報が届くこともあるでしょう。
また、日常的に使われているツールだからこそ、より親しみやすさを感じることができる手法と言えます。ただし、不特定多数の目に留まる可能性があるため、投稿には気を遣う必要があります。
ビジネスSNSでの発信
ビジネスSNSとは、ビジネスに特化したSNSを指します。
ビジネスで得た人間関係から情報収集を行ったり、ビジネスパーソン同士で交流したりすることが可能です。さらにビジネスSNS上でのつながりを発展させ、事業開発や営業活動、採用活動に役立てられる点も特徴です。
代表的なビジネスSNSとして、WantedlyやLinkedin、Eightなどが挙げられます。
ビジネスSNSは、自社のプロフィールページを作成したうえで運用を行います。自社の基本情報だけでなく、採用広報記事やブログなどを掲載し、自社の魅力を発信することが可能です。
4. noteでの発信
メディアプラットフォームであるnoteでの発信も採用広報において、有効なツールのひとつです。
法人向けのサービス「note pro」はフォーマットが決まっておらず、自社のロゴやテーマカラーなどを独自に設定できるため、自由度の高い発信が可能です。
契約企業向けのセミナーやサポートなどの導入後の支援も充実しているため、安心して利用できるツールです。
採用広報に取り組む4つのメリット
ここでは、採用広報に取り組む4つのメリットを紹介します。
1. 応募者数の向上
採用広報に注力することで、幅広い求職者に対して自社の認知を広めることができます。
たとえば、転職潜在層に情報が届くことで、転職潜在層が転職のタイミングで自社を転職先として検討する可能性が出てきます。結果的により質の高い母集団の形成が期待でき、採用ターゲットからの応募数向上にもつながるでしょう。
2. 求職者の志望意欲の向上
採用広報に取り組むことで、応募前や選考途中の求職者に対して、自社の理解を促すことができ、志望意欲が高める効果を期待できます。
たとえば、カジュアル面談の前に採用広報記事や採用ピッチ資料を読んでもらえれば、求職者の自社理解が進んだ状態で面談ができます。会社説明以外に時間を割くことができ、相互理解を深められれば志望意欲の向上にもつなげられるでしょう。
3. 採用ミスマッチの低減
採用活動は入社して終わりではなく、入社後に定着し活躍することがゴールです。採用した人材が入社前後のギャップによって早期離職をしてしまえば採用成功とは言えません。
入社前後のギャップをなくすためにも、採用広報によって事業・組織の課題や、働くうえで求められる素質、職場の雰囲気といった幅広い情報を求職者に伝えることが重要です。
求職者側で自身にマッチしているか、選考に進むかどうかの判断材料が増えることで採用ミスマッチの低減も見込めます。
4. 採用コストの削減
採用広報によって自社が求める人材からの応募数向上や、採用ミスマッチの低減が期待できます。
採用広報の取り組みを通じて求職者の自社理解を促すことで、面接時の会社説明にかかる時間を短縮できたり、求職者のスクリーニングができたりするため、より自社にマッチした人材からの応募を見込めます。
結果的に採用コストの削減が期待できると言えるでしょう。
採用広報に取り組む際の課題と対応策
採用広報に取り組むメリットは多くあるものの、始めるにあたってはハードルがあるのも事実です。
ここでは新たに採用広報を始める際の課題と対応策を紹介します。
1. コンテンツ制作やメディアの立ち上げにコストがかかる
採用広報記事の制作や採用オウンドメディアの立ち上げには一定以上のコストがかかります。
たとえば、メディアを新たに立ち上げ、外部に委託する場合、一般的には数十万〜数百万円の費用が発生すると言われています。メディア立ち上げ後も継続的に採用広報のコンテンツを作成し、効果的に活用するためにはPDCAを回して改善を行う必要があります。
コンテンツの制作にあたっては、社員インタビュー実施に向けた企画や調整、写真撮影、ページのデザインチェックや修正など、担当者の業務負荷もコストとして考慮すべき点です。
また、メディアを立ち上げる際には採用広報に取り組む目的をあらかじめ整理したうえで、費用対効果を検討しましょう。
2. 運用を続けるためのノウハウやリソースが必要
採用広報は中長期的な施策です。求人広告や人材紹介などとは異なり、すぐに目に見える成果につながるわけではありません。
取り組みを続けるためにはノウハウやリソースの確保が必要です。
ノウハウ面においては、社内に採用広報に関する知見のある人材がおらず、コンテンツの企画や内容のクオリティ担保が難しいケースや、デザインや内容の可否判断ができないといったケースもあります。
またリソース面でも、自社の採用広報で発信を続けるためにはコンテンツの制作や発信の作業などに継続的な工数が必要です。
採用広報に関する知見をもった外部パートナーに一部の業務を委託してノウハウを補う、社内で役割分担を決めて運用体制のリソースを確保するなど対応を検討しましょう。
採用広報の進め方とポイント
ここでは採用広報記事の進め方と各ステップのポイントを解説していきます。
1. 採用広報の目的を設定する
自社の採用における課題は何かを考え、採用広報の目的を明確にしましょう。はじめに目的を設定することで、なにを、どのように発信するかを的確に検討しやすくなります。
たとえば、「求職者の業務理解が不足していて、面接で業務に関する質問が多く説明に時間がかかっている」という課題がある場合、現場の社員インタビューで1日のスケジュールや具体的な業務内容などを伝える記事を作成し、面接前に理解を深めてもらう目的が考えられます。
また、「自社が求める人柄や志向性にマッチした応募が少ない」という場合であれば、自社のカルチャーや職場の雰囲気、大切にしている価値観が伝わる記事を作成して、発信することも有効です。
目的の設定にあたっては、解決したい課題を起点に考えましょう。
2. 採用ペルソナを設定する
目的が決まったら、採用ペルソナの設定を行いましょう。
採用ペルソナとは、自社が求める人材の典型的な人物像を指します。人物像を設定することで、コンテンツで伝えるメッセージをより的確にするためです。
設定にあたっては、年齢、現在の職業、保有スキル、家族構成、趣味、性格、学歴などを具体的に想定し、「現職にどのような課題を感じているのか」、「仕事になにを求めているのか」、「当社のなにに魅力を感じて応募してくるのか」といった詳細までをイメージします。
採用ペルソナを設定することで、なにを、どのように伝えるかを考えやすくなります。
参考:https://marugotoinc.jp/blog/recruitment-persona/
3. 発信する内容を決める
内容を決める際には、最初に決めた目的からズレないことがポイントです。
記事の目的を念頭においた上で、自社で働くメリットや募集職種の魅力を考えていきます。魅力を洗い出す際は下記の視点から参考にしてみるとよいでしょう。
- 会社:ミッション・ビジョンの背景は何か/経営陣はどのような思いを持っているのか
- 業務内容:だれと・どのような仕事をするのか/やりがいは何か
- 事業内容 :事業の成長性はあるのか/どのような規模感なのか/業界ではどのような立ち位置なのか
- 社員 :どのような社員が働いているのか
- 文化 :会社で大切にしているバリューは何か/どのようなカルチャーや雰囲気なのか
情報を整理したら、採用ターゲットが知りたい情報を盛り込みましょう。
たとえば、成長中の企業でより裁量権をもって仕事をしたいと考える求職者に対しては「事業の成長性」、「仕事のやりがい」などを訴求するといった内容が考えられるでしょう。
4. 発信する方法を決める
採用ターゲットと発信内容が決まったら、どのような方法で情報を届けるかを決めます。
自社サイト、採用オウンドメディア、SNSなど、採用広報の目的に応じて適切な発信方法を検討しましょう。
採用広報のポイントを押さえ、自社に合った採用広報活動を行いましょう
採用難が続くなか、採用活動をより効果的に進めるために、採用広報の重要性は増していると言えるでしょう。
採用広報によって、求職者に向けて職場としての認知を高めることや、自社理解を促すことができ、求める人材からの応募を促す効果が期待できます。また、自社理解を深めることで採用ミスマッチの低減も見込めます。
多くのメリットがある採用広報ですが、実行にあたっては採用担当者の業務負荷の増えたり、知見の不足によってコンテンツづくりが難航したりといった懸念があります。
リソースやノウハウが必要な採用広報こそ、専門の知見を持った外部のパートナーに依頼するのも選択肢のひとつです。「まるごと採用広報」なら、採用課題のヒアリングからインタビューの実施、記事の納品までを一貫して依頼することが可能です。
採用広報への取り組みでお困りの際は、ぜひ「まるごと採用広報」にお問い合わせください。
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