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ポテンシャル採用とは、人材の潜在能力(ポテンシャル)を評価して採用する方法です。一般的に中途採用などではスキルや業務経験、資格などを採用の判断基準としますが、ポテンシャル採用では今後の成長性や将来的に身につくであろう能力を判断基準とします。
今回は、ポテンシャル採用の特徴や、メリット・デメリット、成功させるポイントについて解説します。
目次
ポテンシャル採用とは?
「potential(ポテンシャル)」とは「可能性」や「潜在的な力」を意味する言葉です。
ポテンシャル採用は、人材の伸びしろや潜在的な能力、人柄などのポテンシャルを見込んで採用する方法を指し、学歴・業務経験・前職などを問わず「未経験OK」とするケースが多いです。
ポテンシャル採用の対象に明確な定義はありませんが、企業の将来を担う人材の育成を目的としているケースも多いため、新卒や第二新卒をはじめとした25歳前後までの若い層がメインターゲットとなります。
中途採用や新卒採用との違い
新卒採用とポテンシャル採用にはどのような違いがあるのでしょうか。
業務経験よりも潜在能力を見込んで採用する点では、ポテンシャル採用は新卒採用と似ています。しかし厳密には、ポテンシャル採用と新卒採用は異なります。
新卒採用の対象者になるのは、これまで正社員として就業経験がない、高校・大学・専門学校の卒業予定者です(一部企業では、大学卒業後3年以内の既卒者も、新卒採用の枠とする場合があります)。
新卒採用の対象者は限られており、採用活動の解禁時期や、内定出しのタイミングにもルールがあります。一方、ポテンシャル採用には対象者の定義がなく、おおむね20代全般が採用対象となり、就業経験の有無も問われないことがほとんどです。
では、中途採用とポテンシャル採用に違いはあるのでしょうか。
最も大きな違いは「即戦力を重視するかどうか」です。中途採用では、すでに就業経験がある20代~30代がメインターゲットとなり「経験やスキル、資格などを生かして、入社後に即戦力として活躍してもらえるか」が重要な判断基準となります。
一方、ポテンシャル採用では、募集時にスキルや経験、資格などを不問とする場合も多く、社内での育成を前提として「将来的に自社で活躍できるか」を重視します。
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ポテンシャル採用が必要とされる背景
ポテンシャル採用が必要とされる背景には、少子高齢化による働き手の減少と、それに伴う売り手市場化があります。人材のなかでも、特にスキルや経験が豊富な即戦力人材は、多くの企業においてニーズが高いため、獲得競争が起きやすくやすくなります。中途採用において即戦力人材を獲得する難易度は高いといえるでしょう。
また、新卒採用も売り手市場であり、人材獲得が難しくなっているといわれています。
浜銀総合研究所によると、新卒の人口は2022年以降減少すると予測されることから、2021年頃から新卒採用が徐々に難しくなるといわれています。
一般的に新卒となる22歳の人口は2020年以降減少トレンドに入り、2030年には2020年と比べて13.4万人の減少が見込まれています。(参照:「『新卒採用の2021年問題』は本当に起こるのか?」|浜銀総合研究所)
このように中途採用における即戦力人材の確保や、新卒採用が難しくなってきているなか、ポテンシャル採用であれば、採用ターゲットの幅が広がります。即戦力人材ではなくても、長期的な目線で育成することを前提とすれば、企業の将来を担う人材を採用しやすくなります。
また、ポテンシャル採用は、ベンチャー企業やスタートアップにも適している場合があります。大手企業のように給与や福利厚生などにおける高待遇を提示しづらいベンチャー企業やスタートアップでも、採用の間口を広げることで母集団を形成しやすくなるためです。
また、ポテンシャル採用を活用することで、ベンチャー企業やスタートアップに不可欠な「主体性」や「課題解決力」「柔軟性」がある人材を採用できる可能性があります。
ポテンシャル採用のメリット
ポテンシャル採用には多くのメリットがあります。ここでは4つのメリットについて解説します。
採用の間口が広がる
上述した通り、新卒採用では卒業年度などが限定され、中途採用では「即戦力になるかどうか」を基準とするため対象から外れる人材が出てきます。しかし、新卒採用・中途採用どちらの基準にも当てはまらない人材でも、潜在的なスキルや人柄などが自社にマッチしており、将来的に活躍できるポテンシャルを秘めている人材もいるでしょう。
ポテンシャル採用であれば、対象者の幅を広げることで採用の難易度が下がるだけでなく、見込みのある人材を取りこぼしづらくなります。
新卒採用と比べて育成コストを抑えられる
ポテンシャル採用には社会経験のある人材も含まれます。社会人としての基礎的なマナー(挨拶やメールの書き方など)や、業務ツールの使い方などが身についている場合も多いため、社会人経験のない新卒採用と比較すると、育成コストが抑えられる場合があります。
企業文化を浸透させやすい
ポテンシャル採用では、社会人経験が比較的浅い若手人材や、職種経験がない人材を採用することが多いといえます。そのため、他社の企業文化や仕事の進め方などに染まりきっていないことも多く、柔軟に自社の企業文化や業務の進め方に対応してもらえるメリットがあります。
自社の企業文化を浸透させやすいことで、社員共通の指針ができ、社員それぞれが自主的に判断し行動しやすくなります。さらに業務の目的が明確化し、モチベーションを保ちやすいという利点もあります。
社内の世代交代につなげられる
ポテンシャル採用の対象者は、20代~30代の若い世代が中心です。ポテンシャル採用で若手人材を育成していくことで、将来的にベテラン社員の退職後に自社を担っていくことができるでしょう。
また、若手人材を積極的に採用し、社内で育成していくことで、社内に新しい視点や価値観などが生まれやすくなります。社内の世代交代を進めることで、時代に合った新しいアイデアが生まれたり、ベテラン社員にとっての刺激となったりする可能性もあるでしょう。
ポテンシャル採用のデメリット
一方で、ポテンシャル採用には以下のようなデメリットもあります。
中途採用よりも育成コストがかかる
ポテンシャル採用のデメリットとして、即戦力人材と比較して育成コストがかかる点が挙げられるでしょう。
ポテンシャルを見込んで採用した人材は、業務未経験のパターンも多いです。社会人経験があれば、社会人としての基礎知識やマナーなどを備えていることもありますが、業務を遂行するための知識やスキルに関しては、入社後に基礎から社内で育成する必要があります。
例えば、新人研修やOJT、メンター制度などを整えておき、入社後に業務に慣れてもらうまでサポートを徹底する必要があります。研修やメンターなどの対応をする現場社員のリソース確保を含めて、コストがかかる点に注意が必要です。
ミスマッチにつながる可能性もある
ポテンシャル採用では、人材側に業務経験がない場合や、社会人経験が少ないことも多いため、応募の際に、自社の業務内容や仕事環境をイメージしきれていない可能性もあります。そのような場合、実際に入社したあとにミスマッチが発生する可能性が高くなるでしょう。
例えば、以下のようなミスマッチが起こる可能性があります。
- 繁忙期が予想以上に忙しく、体力がもたない
- 上司や同僚とコミュニケーションがとりづらかった
- コミュニケーションをとりながら業務を進めると思っていたら、個人作業が多かった
- 想像していたよりも残業時間が多かった
このようなミスマッチを避けるために、選考時・入社後に企業がすべきことについて、詳しくは以下の記事からお読みください。
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ポテンシャル採用を成功させるポイント
最後に、ポテンシャル採用を成功させるためのポイントを解説します。
自社が求めるポテンシャルを明確にする
一口に「ポテンシャル」や「伸びしろ」といっても、その言葉の定義は企業によって異なるはずです。
「将来的に活躍できるポテンシャルを感じられる人材」のように抽象的な定義で選考を進めてしまうと、採用担当者によって判断基準がぶれたり、結果的にミスマッチにつながりやすくなったります。
一例ですが、以下のポイントを踏まえて、自社における「ポテンシャル」の定義を具体化しておくことが重要です。
- 将来的にどのような業務を任せたいのか
- ○年後までにどのようなスキルを身につけてほしいか
- どのような人柄や性格が自社のカルチャーにマッチするか
業務内容を具体的に伝えてミスマッチを防ぐ
上述した通り、ポテンシャル採用では、業務未経験の人材を採用することも多いため、採用後、実際に業務に携わったときに「思っていた仕事と違った」といったミスマッチが発生する可能性があります。
選考段階で、できるだけ具体的に業務内容や職場環境について伝え、ミスマッチが起こらないようにすることが重要です。求人内容や面接では、入社後のイメージができるような情報を中心に伝えるとよいでしょう。
例えば、以下のような情報を伝えておくことで、入社後のイメージを持ちやすくなります。
- 1日の仕事のおおまかな流れ
- 繁忙期と閑散期それぞれの残業時間
- 配属される部署の人数
- チーム体制やコミュニケーションのとり方
- オフィスの様子 など
採用広報の一環として、SNSやブログ、自社のWebサイトなどを活用して定期的に情報を発信するのもおすすめです。
オフィス内の様子や社内イベントの様子、実際に働いている社員のインタビューなどを、写真や動画などを活用して発信するとことで、自社で働くイメージが明確になりミスマッチ防止につながります。
関連記事:https://marugotoinc.jp/blog/recruitingpr/
教育体制を整えておく
ポテンシャル採用は、時間をかけて人材育成をしていくことを前提とした採用方法です。新人研修やOJT、研修などの教育体制を整えておきましょう。
また、教育担当の社員のリソース確保や、業務量の調整も必要です。また、入社後の教育とあわせて定期的な面談を実施したり、メンター制度を取り入れたりするなどサポートも必要です。
キャリアビジョンを確認する
キャリアビジョンを確認しておくことも重要です。ポテンシャル採用の対象者のなかには、社会人経験が少ない人や、新卒入社した企業を早期退職している人も含まれます。
ポテンシャル採用後にミスマッチを感じ早期退職になることを防ぐためにも、選考段階で、その人材のキャリアビジョンを確認しておきましょう。
【キャリアビジョンの一例】
- ○○の業務に関わりたい
- 将来的にはマネジメントにも挑戦したい
- 海外で働きたい
その際、人材のキャリアビジョンをヒアリングするだけではなく、企業側が自社で実現可能なキャリアを提示することが、ミスマッチ低減には欠かせません。
自社に入社することで叶えられるキャリアや、社員に期待するスキルや役割などを伝えておきましょう。キャリアを提示する際は、「〇年後にマネジメントを任せたい」など、おおよその時期も提示することでよりイメージを持ってもらいやすくなります。
ポテンシャル採用で、将来を担う貴重な人材確保を
人材の経歴やスキルよりも、今後発揮されるであろう潜在的なスキルや、人柄などのポテンシャルを見込んで採用する「ポテンシャル採用」。
採用の判断基準を明確にし、教育体制を整える必要がありますが、自社にマッチし、自社の将来を担う「人財」を確保しやすくなるメリットがあります。
ポテンシャル採用を検討している方は、ぜひ本記事で紹介した内容を参考にしてください。
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