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2025.07.18 更新日:2025.07.18
この記事の監修者:今 啓亮

この記事の監修者:今 啓亮

介護で人材不足に陥るのはなぜ?課題とデータから見た9つの対策を解説

介護業界の離職率は2022年14.4%に比べ2023年は13.1%と下回りました。日本全企業の離職率が15%といった結果からみると、ひっ迫した人手不足とはいえないでしょう。

とはいえ、介護の現場では慢性的な人手不足の問題を抱える事業所も少なくありません

本記事では、数字から見た介護業界の採用実態を見つつ、人手不足の理由や採用活動においての改善策について解説します。

介護業界の採用がうまくいく施策がわかり採用活動に活かせるためぜひ参考にしてください。

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10年後の介護業界は?人手不足の実態をデータをもとに解説

10年後の介護業界は?人手不足の実態をデータをもとに解説

高齢化・少子化はますます進み、介護人材不足や介護スタッフの高齢化などの課題が拭えないでしょう。

ここでは介護業界の人手不足の実態を統計データを基に解説します。

介護業界の採用の実態

介護関係職種の有効求人倍率は依然として高い水準にあり、介護職を希望する求職者の少なさを示しています。
2023年介護業界の採用率は16.9%であり、30%を超える宿泊業・飲食、生活関連サービスと比べると低い水準といえるでしょう。

雇用動向調査と介護労働実態調査における入職率・採用率

参考記事 出典:https://www.kaigo-center.or.jp/content/files/report/2023_jittai_chousagaiyou.pdf

また、令和5年度の度の介護労働実態調査では「介護職員の不足感」が半数以上を超えることからも人手不足の状態であるといえます。

介護業界への志望までの経緯としてハローワークからの紹介が多く、介護職を希望しているわけではないが資格がなくても雇ってもらえやすいといった理由があります。

そのため、そもそも介護職を希望している人が少なく、母集団形成が難しいと感じる企業が多いのが現状です。

以下の記事では母集団形成について詳しく解説しています。

2040年度に向けての取り組み

厚生労働省は、2040年度にかけて57万人程度の介護人材が必要としています。高齢化はさらに進み、医療の進歩に伴い介護を利用する方は増え続けるでしょう。

実際に、国では長期的にみた人材確保に向けて以下の政策や取り組みを行っています。

  • 評価制度を当たり前にする
  • 学生の保護者や進路指導担当者向けに介護理解を促す取り組み
  • 小・中学生に向けて介護の仕事をわかりやすく紹介するためにマンガを作成

上記のいずれも、介護業界に対する悪いイメージを払拭するための取り組みであることがわかります。

介護業界の採用担当者は、2040年に向けて人材確保が必要です。

以下の記事では人材確保を実現するポイントについて詳しく解説しています。

介護業界が人手不足に陥る3つの原因

介護業界が人手不足に陥る3つの原因

介護の仕事は社会的意義が大きいものの、ネガティブなイメージが根付いており積極的に仕事として選ぶ人は少ないのも現実です。

具体的には、以下の3つの理由が介護業界の慢性的な人手不足の理由といえます。

  • 介護業界に対するイメージが悪い
  • 給与が低く感じる
  • 介護業界の実態が求職者に伝わっていない

3つの原因を知らずに採用活動をしても、求職者には刺さらないためまずはここで原因をおさえておきましょう。

介護業界に対するイメージが悪い

「社会的意義が大きい」「仕事にやりがいを感じる」といったポジティブなイメージがある一方で、介護業界には以下のようなネガティブイメージを持つ人もいます。

介護サービス業のネガティブイメージ

出典:https://www.mhlw.go.jp/content/12201000/000359997.pdf

現に、介護の仕事で腰痛や手の痛みなど体の不調が生じるケースも珍しくありません。介護をしたことがない人も、イメージするだけで「大変」と感じるはずです。

体力的にきついといったイメージに対して以下のような説明を加えると、働いてみようかなと思えるでしょう。

  • 介護する側の体の使い方にはテクニックがある
  • 一人で無理に行うのではなく本来2人以上でやるべき介護について説明する

力任せに介護をしていると誰しも体に不調が現れます。
介護の仕事を伝える際には、現役の介護士に監修を求めるか資料作成を依頼しましょう。

給与が低く感じる

介護業界が人手不足に陥る原因に「給与の低さ」があります。労働量に対し、賃金が少ないといった不満につながっています。

給与への不満はあるものの、2040年の人材確保に向けて国も処遇改善に取り組んできました。以下の賃金の推移を見れば一目瞭然です。

賃金構造基本統計調査による介護職員の賃金の推移

出典:https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001144293.pdf

人材確保のためには国も賃金をあげざるを得ないと考えることもできるでしょう。

介護業界の実態が求職者に伝わっていない

株式会社リクルートキャリアが行った福祉・介護に関する意識調査では、介護業界の実態が求職者に伝わっていないといった以下のような結果がでました。

介護業界の実態については求職者に伝わっていない観点が多い

出典:https://www.mhlw.go.jp/content/12201000/000359997.pdf

介護業界では「仕事が大変」「残業が多い」といったネガティブなイメージがあるものの、実際は離職率が低く残業時間が少ない介護事業所があるのも事実です。

介護だけではなく、別の事業展開をしている企業も多く、キャリアビジョンが明確に示されている場合もあるでしょう。

求人広告の掲載文では「離職率」「残業」「将来性」について言及すると、求職者の企業理解につながり介護へのポジティブな思考へ変換されることにつながります。

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採用がうまくいっている企業が実践している介護人手不足への9つの解決策

採用がうまくいっている企業が実践している介護人手不足への9つの解決策

人手不足に陥らないためには、今いる社員が気持ちよく働けること、これから入社する人に向けた取り組みが必要です。こちらの章では、採用がうまくいっている企業が実際に取り組んでいる人手不足の解決策を9つ解説します。

1.良い人間関係の構築

介護へのネガティブなイメージとして「身体的精神的な負担が大きい」といった項目が多くを占める中、退職理由の1位は職場の人間関係への問題です。

介護業界は、労働量や多忙な状況から心のゆとりがなくなり周囲とうまくコミュニケーションが取れず、人間関係の悪化につながるケースが多く見受けられます。

コミュニケーションに気を付けるのも前提として重要ですが、個々の業務負担の増加や限られたスタッフだけが忙しいなどといった状況を防ぎ、業務量を調整できるような事業所での取り組みが良好な人間関係をうむでしょう。

2.ワークライフバランスがとれた働き方の設計

「残業が多い」イメージが強い介護業界ですが、採用を成功させている事業所はワークライフバランスのとれた働き方を実現しています。

ワークライフバランスが取れた働き方の設計の際には、以下が実現できるといいでしょう。

  • 残業が少ない
  • 有給休暇をとりやすい
  • シフトがきつくない

残業も休みの調整にも、スタッフの確保が必須です。中には、子育てや家族の介護でフルタイムで働けないスタッフもいるため柔軟な働き方を示すのも重要といえます。

3.仕事の魅力ややりがいを感じられるような取り組み

ネガティブなイメージの強い介護業界ですが、人手不足に困っていない事業所は介護の魅力を、さまざまな採用手法を用い訴求しています。

たとえば、以下のような内容を伝えると介護の魅力が伝わりやすいため参考にしてください。

  • 介護が楽しいと感じる場面をスタッフへインタビューした内容の掲載
  • 利用者が感じるスタッフへの思い(感謝)
  • 介護スタッフが笑顔で働いている様子の画像や映像

普段から、利用者や家族にアンケートを実施しスタッフへフィードバックしてモチベーションが上がるように取り組んだり、指摘についてはスタッフの意見交換会を開き振り返りを行うことでチーム力やスタッフ間のコミュニケーションを高めるのも効果的です。

求職者が介護の仕事・事業所に魅力を感じられるよう取り組んでみてください。

以下の記事では採用広報の成功事例を紹介しています。

4.設備や環境整備

実際に働く人の声を聞くと「設備が古い」「導線が悪く業務効率が悪い」といった意見も聞かれるため、改善できることがないか検討しましょう。

近年では介護ロボットを活用する事業所も増えています。導入コストはかかるものの、長期的にみて人件費削減になるのは大きなメリットといえます。

介護ロボットといった費用がかかることだけでなく、以下のような身近な環境や設備を改善することから始めましょう。

  • 物品の場所や配置を変え、スムーズな導線をつくる
  • 物品の不足感をなくす
  • 介護記録の電子化などで業務の効率化を図る

環境や設備を整えることでスタッフの職場への満足度が上がり離職率も低くなり、採用の際に離職率の低さを大きく打ち出せるでしょう。

5.評価制度の見直し

「介護職に将来性はある?」と言われているのも事実です。介護職は需要が高いにもかかわらず、特別な資格取得の必要がなく意欲があれば就職しやすい傾向があります。

ですが、定年を迎えるまで介護の現場で働き続けるのは重労働であるため、現実的ではないと考える方もいるでしょう。

また介護業界は賃金が低いといったイメージも高いため評価制度や資格取得支援への取り組みがあると求職者は魅力に感じやすいといえます。

評価制度を見直し、職員に公開することでモチベーションアップにつながり、さらには採用率上昇も期待できるでしょう。

以下の記事では介護の求人媒体について詳しく解説しています。求人サイトによって資格取得サポートを行っているため参考にしてください。

6.社内外での研修の受講

研修に参加したいと思っても休みの時間を使って受講できるスタッフばかりではありません。

ワークライフバランスが重要視される現代において、時間外の社内外研修に共感は得られづらいでしょう。

研修に参加したいといった向上心あるスタッフを評価するためにも、業務時間内で研修を受けられるよう調整したり外部研修への参加希望者には参加費の(一部)負担の検討がおすすめです。

7.上司との定期的な面談の実施

離職率を下げるためにも、定期的な面談の実施をおすすめします。なぜなら、仕事に追われていると不満や悩みがあってもなかなか話す時間を確保できずに溜め込んでしまい、退職を選択するスタッフもいるからです。

仕事の悩みだけでなく、子育てや介護がある場合、一時的に家庭と仕事の両立が難しくなるケースがあり、仕事をしているからプラベートがうまくいかないと感じる方も少なくありません。

プライベートや仕事での悩みを把握することで、改善策を見出せる場合もあるため定期的に面談を実施し、スタッフ・上司間の信頼度を高めておきましょう。

8.外国籍労働者の受け入れ

人材確保に困っている事業所は外国人労働者にも目を向けるといいでしょう。
公益財団法人介護労働安定センターで行われた、令和5年度介護労働実態調査では以下のような結果がでました。

  • 13.4%の事業所は外国人労働者を受け入れていない
  • 受け入れていない事業所の中でも45.1%が前向きに検討している

今後外国人労働者の受け入れ方針については次のグラフの結果となりました。

外国籍労働者の今後の受け入れ方針

出典:https://www.kaigo-center.or.jp/content/files/report/2023_jittai_chousagaiyou.pdf

外国人労働者一人目の採用にふみ切る際にハードルが高く感じる事業所もあると思いますが、まずはコミュニケーションに問題がなく意欲の高い外国人労働者を雇ってから二人目以降の採用を考えるといいでしょう

外国人労働者を雇う際には、在留期間の確認や言語レベルに合わせた研修内容も考慮しましょう。

以下の記事ではポテンシャル採用について詳しく解説しています。

9.採用の段階で適正の見極め

人手不足にあるからといって、採用要件から外れた人材の確保は避けるべきです。採用段階で適正の見極めをしないと早期離職につながり余計な採用コストとなってしまいます。

採用コストを削減し、良い人材に出会えるよう採用ターゲットやペルソナを設定することが大切です。

以下の記事では採用計画の立て方や実際に立案するための9STEPについて詳しく解説しています。

まとめ

まとめ

介護業界の離職率は年々減少傾向にあるものの、人手不足を課題とする事業所もまだまだ多くあるでしょう。

本記事では、介護業界の実態や課題、すぐに実践できる9つの解決策について解説してきました。

とはいえ、数多くの採用手法や媒体があるため選択に悩み、使いこなせずコストばかり発生する事業所も珍しくありません。

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この記事の監修者:今 啓亮
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2015年に東京でマルゴト株式会社(旧社名:株式会社ビーグローバル)を創業。
スタートアップから大手企業まで幅広く採用関連のプロジェクトに携わった後、2017年に月額制の採用代行”まるごと人事”の提供を開始。
2021年にバックオフィス代行”まるごと労務””まるごと経理”も開始。
「理想のサービスと理想の職場を同時実現する」を経営理念に掲げ、全員がフルリモートで働くユニークな組織運営を行う。
2022年に本社住所を東京から札幌に移転し、自身も関東から札幌に移住。

出演イメージ

2024年11月、ABEMAの報道番組「ABEMA Prime」に
採用のプロフェッショナルとして出演。
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