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介護業界の離職率は2022年14.4%に比べ2023年は13.1%と下回りました。日本全企業の離職率が15%といった結果からみると、ひっ迫した人手不足とはいえないでしょう。
とはいえ、介護の現場では慢性的な人手不足の問題を抱える事業所も少なくありません。
本記事では、数字から見た介護業界の採用実態を見つつ、人手不足の理由や採用活動においての改善策について解説します。
介護業界の採用がうまくいく施策がわかり採用活動に活かせるためぜひ参考にしてください。

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10年後の介護業界は?人手不足の実態をデータをもとに解説

高齢化・少子化はますます進み、介護人材不足や介護スタッフの高齢化などの課題が拭えないでしょう。
ここでは介護業界の人手不足の実態を統計データを基に解説します。
介護業界の採用の実態
介護関係職種の有効求人倍率は依然として高い水準にあり、介護職を希望する求職者の少なさを示しています。2023年介護業界の採用率は16.9%であり、30%を超える宿泊業・飲食、生活関連サービスと比べると低い水準といえるでしょう。

特に都市部での人手不足は深刻化しており、全国平均と比べても大きな差が見られます。
| 区分 | 有効求人倍率(令和7年3月) |
|---|---|
| 職業計 全国平均 | 1.16倍 |
| 介護関係職種 全国平均 | 3.97倍 |
| 東京都(介護関係職種) | 7.65倍 |
| 奈良県(介護関係職種) | 5.25倍 |
| 神奈川県(介護関係職種) | 4.10倍 |
出典:厚生労働省「第1回福祉人材確保専門委員会 資料」(2025年5月9日)
また、令和6年度の介護労働実態調査では「介護職員の不足感」が65.2%と前年を上回り、人手不足の状態が続いています。
出典:公益財団法人介護労働安定センター「令和6年度『介護労働実態調査』結果の概要について」
介護業界を志望するに至った経緯として、ハローワークから紹介を受けたことや、介護職を強く希望していたわけではないものの、資格がなくても採用されやすいと考えたことなどが挙げられます。
そのため、介護職を第一希望としている人が少ない傾向にあり、母集団形成が難しいと感じる企業が多いのが現状です。
人手不足が招くリスク(事故の増加・施設閉鎖)
人手不足を放置すると、採用課題にとどまらず事業継続そのものを揺るがすリスクへ発展します。
まず懸念されるのが、見守り不足による「利用者の転倒・事故」です。人員配置がギリギリの状態では、夜勤帯や食事・入浴介助時に複数の利用者を同時対応せざるを得ず、転倒・転落・誤嚥などの重大事故リスクが高まります。
一度事故が発生すれば、家族からの信頼を失うだけでなく、行政指導や風評被害により施設の信用が失墜し、新規利用者の獲得停止やスタッフのさらなる離職を招く悪循環に陥ります。
さらに深刻なのが「事業所の廃止・閉鎖」リスクです。
| 区分 | 2025年実績 |
|---|---|
| 老人福祉・介護事業の倒産件数 | 176件(2年連続で過去最多) |
| うち「人手不足」が原因の倒産 | 29件(前年比45.0%増) |
| 休廃業・解散件数 | 653件(4年連続で過去最多) |
出典:東京商工リサーチ「2025年『老人福祉・介護事業』倒産動向」(2026年1月発表)
人手不足は「経営課題」であるという認識が不可欠です。
2040年度に向けての取り組みと「処遇改善加算」
厚生労働省は、2040年度にかけて約57万人程度の介護人材が必要としています。2022年度の約215万人に対し2040年度には約272万人が必要とされ、高齢化はさらに進み、介護を利用する方は増え続けるでしょう。
実際に、国では長期的にみた人材確保に向けて以下の政策や取り組みを行っています。
- 評価制度を当たり前にする
- 学生の保護者や進路指導担当者向けに介護理解を促す取り組み
- 小・中学生に向けて介護の仕事をわかりやすく紹介するためにマンガを作成
加えて、国は賃金引き上げ策として「介護職員等処遇改善加算」を推進しています。2024年6月の介護報酬改定で従来の3加算(処遇改善加算・特定処遇改善加算・ベースアップ等支援加算)が一本化され、月額賃金のベースアップ重視の制度へと刷新されました。
| 年度 | ベースアップ目標 |
|---|---|
| 2024年度 | +2.5% |
| 2025年度 | +2.0% |
加算を確実に取得・活用し、求職者へ賃上げ実績を発信することも、2040年に向けた人材確保のポイントといえます。
介護業界が人手不足に陥る4つの原因

介護の仕事は社会的意義が大きいものの、ネガティブなイメージが根付いており積極的に仕事として選ぶ人は少ないのも現実です。
具体的には、以下の4つの理由が介護業界の慢性的な人手不足の理由といえます。
- 身体的・精神的負担とネガティブなイメージ
- 職場の人間関係のストレス(離職理由1位)
- 業務量に見合わないと感じる給与水準
- 介護業界の実態や魅力が求職者に伝わっていない
4つの原因を知らずに採用活動をしても、求職者には刺さらないためまずはここで原因をおさえておきましょう。
身体的・精神的負担とネガティブなイメージ
「社会的意義が大きい」「仕事にやりがいを感じる」といったポジティブなイメージがある一方で、介護業界には「体力的にきつい」「夜勤がつらい」「精神的負担が大きい」などのネガティブイメージを持つ人もいます。
出典:厚生労働省「福祉・介護に関する意識調査結果とイメージの変化」
現に、介護の仕事で腰痛や手の痛みなど体の不調が生じるケースも珍しくありません。介護をしたことがない人も、イメージするだけで「大変」と感じるはずです。
体力的にきついといったイメージに対しては、以下のような説明を加えると、働いてみようかなと思えるでしょう。
- 介護する側の体の使い方にはテクニックがある
- 一人で無理に行うのではなく本来2人以上でやるべき介護について説明する
力任せに介護をしていると誰しも体に不調が現れます。介護の仕事を伝える際には、現役の介護士に監修を求めるか資料作成を依頼しましょう。
職場の人間関係のストレス(離職理由1位)
介護業界の離職要因として、最も大きな割合を占めているのが「職場の人間関係」です。
公益財団法人介護労働安定センターの「令和6年度 介護労働実態調査」によると、直前の仕事が介護関係だった人の離職理由のうち、「職場の人間関係に問題があったため」が24.7%で1位となっています。賃金や労働時間よりも、対人関係のストレスが離職の決定打になっているのが実態です。
| 離職理由(介護関係の仕事を辞めた人) | 割合 |
|---|---|
| 職場の人間関係に問題があったため | 24.7% |
出典:公益財団法人介護労働安定センター「令和6年度『介護労働実態調査』結果の概要について」
背景にあるのは、慢性的な多忙さから生じるコミュニケーション不足です。労働量や緊急対応に追われ、心のゆとりがなくなることで指示や報告が雑になり、スタッフ間で誤解や不信感が生まれやすくなります。
業務量の偏りを是正し、対話の時間を確保する仕組みづくりが、離職率低下の最重要施策といえるでしょう。
業務量に見合わないと感じる給与水準
介護業界が人手不足に陥る原因に「給与の低さ」があります。労働量に対し、賃金が少ないといった不満につながっています。
給与への不満はあるものの、2040年の人材確保に向けて国も処遇改善に取り組んできました。一方で、全産業平均と介護職の平均給与にはまだ大きな乖離があります。
| 区分 | 平均月給(賞与込み) |
|---|---|
| 全産業平均 | 39.6万円 |
| 介護職員 | 31.4万円 |
| 差額 | 約8.2万円 |
出典:厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」をもとに作成
前年と比べると介護職員の伸び率(+3.6%)は全産業平均(+2.6%)を上回っているものの、依然として月8万円超の格差が残っているのが実情です。処遇改善加算の活用や評価制度の整備によって、自社独自の上乗せ策を講じることが、求職者への訴求力に直結します。
介護業界の実態や魅力が求職者に伝わっていない
株式会社リクルートキャリアが行った福祉・介護に関する意識調査では、介護業界の実態が求職者に伝わっていないといった結果がでています。
出典:厚生労働省「福祉・介護に関する意識調査結果とイメージの変化」
介護業界では「仕事が大変」「残業が多い」といったネガティブなイメージがあるものの、実際は離職率が低く残業時間が少ない介護事業所があるのも事実です。
介護だけではなく、別の事業展開をしている企業も多く、キャリアビジョンが明確に示されている場合もあるでしょう。
求人広告の掲載文では「離職率」「残業」「将来性」について言及すると、求職者の企業理解につながり介護へのポジティブな思考へ変換されることにつながります。
採用成功企業が実践!介護の人手不足を解消する7つの解決策

人手不足に陥らないためには、今いる社員が気持ちよく働けること、これから入社する人に向けた取り組みが必要です。ここでは、採用がうまくいっている企業が実際に取り組んでいる人手不足の解決策を7つ解説します。
1.働きやすい環境づくりと業務効率化(ICT・ロボット・福祉用具の導入)
採用を成功させている事業所は、ワークライフバランスのとれた働き方を実現しています。働き方の設計においては「残業が少ない」「有給休暇をとりやすい」「シフトがきつくない」の3点が実現できるとよいでしょう。
これらを実現するには、スタッフの確保とあわせて「業務効率化」が不可欠です。実際に働く人からは「設備が古い」「導線が悪く業務効率が悪い」といった声も多く、改善の余地は少なくありません。近年は以下のようなツール・設備の導入によって、現場負担の軽減と離職率低下を両立させる事業所が増えています。
| 種別 | 具体例 | 主な効果 |
|---|---|---|
| ICT・記録の電子化 | 介護記録ソフト、タブレット入力 | 記録業務の時間短縮、情報共有の迅速化 |
| 介護ロボット | 移乗支援機器、見守りセンサー | 身体的負担の軽減、夜勤中の見守り強化 |
| サーベイツール | 組織サーベイ、ES調査ツール | 組織課題の見える化、人間関係トラブルの早期発見 |
| 高機能な福祉用具 | 衝撃吸収マット、離床センサー | 転倒・転落事故の予防、見守り負担の軽減 |
導入コストはかかるものの、長期的には人件費削減・離職率低下・事故リスク低減につながり、求人時に「離職率の低さ」「働きやすさ」を打ち出す材料にもなります。物品配置の見直しなど、コストをかけない改善から着手するのも有効です。
2.仕事の魅力ややりがいを感じられるような取り組み
ネガティブなイメージの強い介護業界ですが、人手不足に困っていない事業所は介護の魅力を、さまざまな採用手法を用い訴求しています。
たとえば、以下のような内容を伝えると介護の魅力が伝わりやすいため参考にしてください。
- 介護が楽しいと感じる場面をスタッフへインタビューした内容の掲載
- 利用者が感じるスタッフへの思い(感謝)
- 介護スタッフが笑顔で働いている様子の画像や映像
普段から、利用者や家族にアンケートを実施しスタッフへフィードバックしてモチベーションが上がるように取り組んだり、指摘についてはスタッフの意見交換会を開き振り返りを行うことでチーム力やスタッフ間のコミュニケーションを高めるのも効果的です。
求職者が介護の仕事・事業所に魅力を感じられるよう取り組んでみてください。
以下の記事では採用広報の成功事例を紹介しています。
3.評価制度の見直し
「介護職に将来性はある?」と言われているのも事実です。介護職は需要が高いにもかかわらず、特別な資格取得の必要がなく意欲があれば就職しやすい傾向があります。
ですが、定年を迎えるまで介護の現場で働き続けるのは重労働であるため、現実的ではないと考える方もいるでしょう。
また介護業界は賃金が低いといったイメージも高いため評価制度や資格取得支援への取り組みがあると求職者は魅力に感じやすいといえます。
評価制度を見直し、職員に公開することでモチベーションアップにつながり、さらには採用率上昇も期待できるでしょう。
以下の記事では介護の求人媒体について詳しく解説しています。求人サイトによって資格取得サポートを行っているため参考にしてください。
4.社内外での研修の受講
研修に参加したいと思っても休みの時間を使って受講できるスタッフばかりではありません。
ワークライフバランスが重要視される現代において、時間外の社内外研修に共感は得られづらいでしょう。
研修に参加したいといった向上心あるスタッフを評価するためにも、業務時間内で研修を受けられるよう調整したり外部研修への参加希望者には参加費の(一部)負担の検討がおすすめです。
5.上司との定期的な面談の実施
離職率を下げるためにも、定期的な面談の実施をおすすめします。なぜなら、仕事に追われていると不満や悩みがあってもなかなか話す時間を確保できずに溜め込んでしまい、退職を選択するスタッフもいるからです。
仕事の悩みだけでなく、子育てや介護がある場合、一時的に家庭と仕事の両立が難しくなるケースがあり、仕事をしているからプライベートがうまくいかないと感じる方も少なくありません。
プライベートや仕事での悩みを把握することで、改善策を見出せる場合もあるため定期的に面談を実施し、スタッフ・上司間の信頼度を高めておきましょう。
加えて、人間関係の改善策として有効なのが「ハラスメント等の相談窓口の設置」です。直属の上司には言いづらいパワハラ・セクハラ・職員間トラブルを匿名で相談できる窓口があると、問題の早期発見・早期対応が可能になります。社内に専任担当を置く方法のほか、外部の専門機関へ委託する方法もあり、小規模事業所でも導入のハードルは下がっています。
6.外国籍労働者の受け入れ
人材確保に困っている事業所は外国人労働者にも目を向けるといいでしょう。公益財団法人介護労働安定センターが行った令和5年度介護労働実態調査では、外国人労働者を受け入れていない事業所のうち45.1%が前向きに検討しているという結果が出ています。
出典:公益財団法人介護労働安定センター「令和5年度 介護労働実態調査」
なかでも注目したいのが、在留資格「特定技能」の活用です。技能実習やEPAと比べて即戦力として現場に入りやすく、以下のようなメリットがあります。
- 採用しやすく業務の幅が広い(身体介護を含む幅広い介護業務に従事可能)
- 2025年4月21日に訪問介護も解禁され、活躍領域が拡大
- 法令上の制限なく一人夜勤が可能で、シフト編成の自由度が高い
- 政府は2024〜2028年度の5年間で介護分野に最大13万5,000人の受け入れを見込む
出典:厚生労働省「外国人介護人材の訪問系サービスへの従事について」
採用の際には在留期間の確認や言語レベルに合わせた研修内容も考慮しましょう。
7.採用戦略の強化と適切なターゲット設定
人手不足だからといって、採用要件から外れた人材の確保は避けるべきです。採用段階で適正を見極めないと早期離職につながり、余計な採用コストとなってしまいます。良い人材に出会えるよう、採用ターゲットやペルソナの設定が大切です。
加えて、近年は「待ちの採用」から「攻めの採用」への転換が重要視されるようになりました。求人媒体への掲載だけでなく、SNSやブログツールを活用し、施設の魅力やポジティブな日常を発信することで潜在層にもアプローチできます。
| ツール | 活用例 |
|---|---|
| Wantedly(ストーリー機能) | 職員インタビュー、理念や文化の発信 |
| note | 現場エピソード、研修レポート |
| Instagram・X | 日常風景の写真・動画、イベント告知 |
「働く人の顔が見える発信」を続けることで、求人広告だけでは伝わらない雰囲気を届けられ、応募者の質と量を改善できます。
まとめ

介護業界の離職率は年々減少傾向にあるものの、人手不足を課題とする事業所もまだまだ多くあるでしょう。
本記事では、介護業界の実態や課題、すぐに実践できる7つの解決策について解説してきました。
とはいえ、数多くの採用手法や媒体があるため選択に悩み、使いこなせずコストばかり発生する事業所も珍しくありません。
「まるごと人事」なら豊富な経験・実績から証明されたノウハウで採用でのお悩みを解決します。業界問わず相談をお受けするためまずはお気軽にお問い合わせください。

介護職員の定着率を高める福利厚生アイデア10選
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