採用・労務・経理に関するお役立ち情報
ホテル・旅館の採用活動は、応募者数の減少と職種の多様さ、そして担当者の兼任体制という複数の事情が重なり、年々難易度が高まり続けています。
求人を出しても応募が集まらない背景には、賃金や働き方への構造的なデメリットに加え、新卒と中途で大きく異なる市況感、早期離職を招きやすい職場環境など、現場だけでは解決しきれない要因が潜んでいます。
打ち手を体系的に把握したうえで、外部パートナーの活用も視野に入れて採用設計を見直していくことで、限られた予算と人員でも応募数と定着率の改善を目指せると言えるでしょう。
本記事では、ホテル・宿泊施設業界が抱える採用課題から現場レベルで実践できる解決策、代表的な採用手法7選、そしてRPO(採用代行)が担える役割と導入ステップまで解説していきます。
目次
ホテル・宿泊施設業界が抱える採用課題5つ

ホテル・旅館をはじめとする宿泊施設業界では、応募者の絶対数が減っている状況に加え、入社後の早期離職、他業界との待遇比較、不規則な勤務形態、複数職種の同時採用、担当者の兼任体制といった要因が複雑に絡み合っています。
結果として、求人を出しても応募が集まらないという悩みが慢性化しているのが実情です。まずは、業界が直面している5つの代表的な採用課題を順に見ていきます。
1. 採用しても早期離職につながりやすい
宿泊業界の人材定着が難しい背景には、業務内容と心身への負担の大きさがあります。
観光庁が2025年3月に公表した調査によれば、宿泊業から他業界へ離職した人の理由として「自分のしたい業務ができなかった」が20.0%で最多となり、続いて「立ち仕事や重労働で体力的に厳しい」が16.7%、「クレーム対応による精神的ストレス」と「業務量の多さ」がそれぞれ14.0%を占めました。
特に若手層では、スキルアップ機会の不足が離職を後押ししている傾向が読み取れます。同調査では業界内転職の理由として「スキルアップや自身のスキルを活用する機会が不十分」が18.5%にのぼり、給与不満や人間関係と並ぶ主要因として浮かび上がっています。
出典:国土交通省観光庁|宿泊業の人材確保・育成の状況に関する実態調査 概要
2. 賃金・福利厚生で他業界と比較されやすい
宿泊業界では、求職者が応募検討の段階で他業界と条件を比較し、最終的に他産業へ流れてしまうケースが目立ちます。宿泊業・飲食サービス業の平均賃金は産業全体の中で比較的低い位置に属しているケースも多く、求職者の目には条件面で見劣りする業界と映りやすい原因になっています。
加えて、住宅手当や退職金制度といった福利厚生でも、メーカーや金融業と比較されると見劣りする企業は少なくありません。観光庁の調査では、宿泊業からの離職理由として「給料に不満」が11.3%「勤務制度や住宅などの福利厚生に不満」が3.0%挙げられており、待遇面の不満が確実に人材流出の一因となっている事実が示されています。
出典:国土交通省観光庁|宿泊業の人材確保・育成の状況に関する実態調査 概要
3. 夜勤・中抜け勤務など働き方の負担が大きい
宿泊業界特有のシフト構造も、応募ハードルを引き上げる大きな要因です。フロント業務では深夜帯の夜勤が発生し、料飲・調理部門ではランチとディナーの間に長い休憩を挟む中抜け勤務が一般的な施設も多く見られます。生活リズムが崩れやすい働き方は、家庭を持つ層や日勤を希望する若手にとって応募の障壁になりがちです。
観光庁の実態調査でも、業界内転職の理由として「シフト制・夜勤・休日勤務等の働き方が合わなかった」が15.1%を占めており、勤務形態への不満が定着率にも影響を及ぼしている点が明らかになっています。
出典:国土交通省観光庁|宿泊業の人材確保・育成の状況に関する実態調査 概要
4. フロント・清掃・調理など複数職種を同時に採用する必要がある
ホテル・旅館の運営には多様な職種が関わるため、採用担当者は常に複数のポジションを並行して募集せざるを得ません。フロント、客室清掃、調理、レストランサービス、施設管理など、求めるスキルや人物像が職種ごとに大きく異なるため、求人原稿も媒体選定も個別最適化が必要になります。
また、新卒採用では学生の関心をエントリーに結びつけられても、中途採用では同じ施設名にも関わらず応募がほとんど集まらないといった現象が起こりがちです。
5. 採用担当者が現場業務と兼任しやすい
中小規模のホテルや旅館では、リソースやコストの問題から専任の採用担当者を置けず、総支配人や女将、フロントマネージャーが現場業務と兼任しているケースが多数を占めます。日中はゲスト対応や売上管理に追われ、求人原稿の見直しや応募者対応は夜間や休日に回さざるを得ないといった声も少なくありません。
兼任体制では、応募者への返信が遅れて辞退を招いたり、媒体ごとの効果測定ができずに広告費が無駄に積み上がったりするリスクが高まります。
ホテル・観光業の採用課題を解決する5つの方法

採用課題の多くは、給与水準の引き上げや大規模な制度改革といった経営層レベルの判断を待たなければ動かせない側面もあると言えます。一方で、現場の採用担当者レベルでも工夫次第で応募数や定着率を改善できる打ち手は確かに存在します。
ここでは、限られた予算と権限の範囲で実践できる、現実的な5つの解決策を紹介していきます。
1. 現状の待遇で採用可能なターゲット(人物像)を再設定する
給与や福利厚生を即座に引き上げられない状況だからこそ、今の条件でも魅力を感じてくれる層へターゲットを絞り込むアプローチが有効です。生活圏の近さを重視する地域住民、未経験から接客スキルを身につけたい第二新卒、子育てが一段落して短時間勤務を希望する主婦層など、自施設の条件と合致する人物像を洗い出すと、訴求メッセージも媒体選定も明確になります。
過去の退職者(アルムナイ)への再アプローチも、有力な選択肢の一つです。観光庁の調査では宿泊業を離れた人のうち20〜40代の約4割が復職意向を持つと回答しており、20代では48.0%、30代では36.2%が「もう一度宿泊業で働きたい」と答えています。現職時の人間関係が良好だった元社員へ声をかけ直す動きは、採用コストを抑えながら即戦力を確保できる打ち手として注目されています。
出典:国土交通省観光庁|宿泊業の人材確保・育成の状況に関する実態調査 概要
2. 業務の切り出しや短時間シフトを導入し、多様な働き方を受け入れる
全社的な働き方改革は経営判断を要するものの、現場レベルでも業務を細分化して短時間シフトを設計する取り組みは可能です。午前中のみの客室清掃、朝食準備の4時間勤務、夕方のチェックイン繁忙帯だけのフロント補助など、業務を細かく切り出すと主婦層やシニア層、スキマバイトワーカーといった層が応募しやすい受け皿が生まれます。
スポットワーカー向けアプリの普及により、1日単位・数時間単位での労働力確保もしやすい環境が整ってきました。フルタイムの正社員採用にこだわらず、複数の短時間スタッフで1ポジションを埋める発想へ切り替えると、応募の母集団を一気に広げられます。
3. ITツールで現場業務と採用業務を省力化する
兼任担当者の工数を圧縮するには、ITツールの導入が現実的な打ち手となります。ATS(採用管理システム)を導入すれば応募者情報の一元管理や選考進捗の可視化が可能になり、媒体ごとに散らばっていた応募データを横断的に把握できる体制が整います。
日程調整の領域では、24時間自動で候補日の提示と確定を行うチャットボット型ツールの活用も広がっています。たとえば「面接コボット」や「リクター」を導入すると、応募から面接設定までを自動化でき、深夜帯にメッセージを送ってくる応募者にも即時対応が可能になります。
4. ターゲットに合わせて採用チャネル(求人媒体や手法)を最適化・多様化する
職種や経験レベルによって有効な採用チャネルは大きく異なるため、画一的な媒体運用から脱却する必要があります。フロントスタッフは大手求人サイト、調理人は業界特化型エージェント、新卒は合同説明会と新卒ナビ、スポット人材はスキマバイトアプリといった具合に、ペルソナごとに最適な接点を設計し直すと応募の質と量の両面で改善が見込めます。
複数チャネルを並行運用する場合、各媒体の応募単価や採用単価をデータで比較しながら配分を見直す姿勢も欠かせません。応募が少ない媒体の掲載を止め、効果の高いチャネルへ予算を寄せる運用判断を月次で繰り返すと、限られた採用予算でも成果を最大化できます。
5. 採用広報で施設の魅力を伝える(採用マーケティング)
求職者は応募前にSNSや口コミサイトで施設の実態を調べる行動が当たり前になっており、採用広報の有無が応募率と定着率の両方を左右します。働く環境の良い面だけでなく、夜勤や繁忙期の大変さもあわせて伝える「期待値コントロール」を行うと、入社後のギャップによる早期離職を抑えられます。
加えて、入社後にどのようなスキルが身につき、何年でどんな役割を任されるかを可視化する「成長実感の設計」も定着率向上に効果的です。採用シーン専用に作り込んだ会社紹介資料である「採用ピッチ資料」や、職種別の社員インタビュー記事を整備しておくと、媒体・エージェント・SNSのいずれの接点でも一貫した魅力を伝えられます。
ホテル・宿泊施設の採用手法7選

応募者の母集団形成には、自施設のターゲットと予算規模に合わせた採用手法の選択が欠かせません。現在の宿泊業界では、業界特化媒体から最新のスキマバイトサービス、外部パートナーの活用まで、選択肢が大きく広がっています。
ここでは、ホテル・旅館が活用しやすい代表的な7つの採用手法について、特徴とおすすめのターゲット層を一覧で比較しながら紹介していきます。
| 採用手法 | 特徴 | おすすめのターゲット |
|---|---|---|
| ホテル・旅館特化型求人サイト | 業界経験者や業界志望者が集まる媒体で、訴求の精度が高い | 経験者の中途、ホテル志望度の高い若手 |
| 求人検索エンジン・一般求人サイト | Indeedなど圧倒的な集客力を持ち、未経験層にもリーチできる | 未経験の正社員候補、アルバイト・パート |
| 人材紹介エージェント | 成功報酬型でハイクラス層や専門職にもアプローチ可能 | マネージャー層、調理人、外資系経験者 |
| ダイレクトリクルーティング | 企業側から経験者へ直接スカウトを送れる | 即戦力となる経験者、希少なスキル保持者 |
| リファラル採用 | 社員の人脈を活用した紹介採用で定着率も高い傾向 | マネージャー層、業界経験者 |
| 派遣・スポット人材 | 繁忙期の人手不足に短期間で対応できる | 繁忙期の補助スタッフ、客室清掃、料飲補助 |
| RPO(採用代行) | 戦略設計から実務までを外部パートナーが伴走 | 採用担当者が兼任の施設、複数職種を同時募集する施設 |
1. ホテル・旅館特化型求人サイトを活用する
業界経験者や宿泊業を志望する層が集まる特化型求人サイトは、応募者の質を担保しやすい媒体です。代表例として「おもてなしHR」「ホテル旅館ジョブナビ」などが挙げられ、職種別の検索機能やこだわり条件が業界実態に合わせて設計されています。
掲載料金は一般媒体より割安なケースもあり、業界知識の豊富な編集担当者から求人原稿のアドバイスを受けられる点もメリットです。一方で登録者数自体は大手媒体に劣るため、未経験者や母集団の量を重視する募集には不向きな側面もあります。
2. 求人検索エンジン(Indeed等)・一般求人サイトで露出を増やす
IndeedやGoogleしごと検索、求人ボックスといった求人検索エンジンは、圧倒的なユーザー数を抱えており、業界外の未経験層へもリーチできる強力な手法です。自社サイトの採用ページをクローリングしてもらう無料掲載と、上位表示を狙う有料運用を組み合わせる施設が増えています。
一般求人サイトでは、タウンワークやバイトル、マイナビバイト、リクナビNEXTなどが代表的です。地域密着型のアルバイト募集から正社員採用まで幅広く対応できる反面、競合求人の中で埋もれない原稿設計と、効果測定に基づく運用改善が成果を分けます。
3. 人材紹介エージェントを活用する
人材紹介エージェントは成功報酬型で、採用が決まるまで費用が発生しない点が中小施設にも使いやすい仕組みです。フロントから料飲、調理まで幅広く扱う業界特化エージェントとして「フーズラボ・ホテルズラボ(株式会社クオレガ)」や「おもてなしHR(株式会社ネクストビート)」などが知られ、ホテル業界の現場事情を理解した担当者から候補者を紹介してもらえる傾向があります。
語学力が必須となるラグジュアリーホテルや外資系ブランドのポジションでは、「Specialized Group」のように外資系ホスピタリティ領域に強みを持つエージェントが活用されるケースもあります。やり取りが英語のみで完結するエージェントもあるため、社内の対応体制との相性を確認したうえで選定する姿勢が欠かせません。
4. ダイレクトリクルーティングで経験者に声をかける
ダイレクトリクルーティングは、データベースに登録された候補者へ企業側から直接スカウトを送る能動的な採用手法です。ビズリーチやdodaダイレクト、Wantedlyなどのプラットフォームを通じ、即戦力となる経験者へ自社の魅力を個別に届けられます。
スカウト文面の作り込みや返信対応に工数がかかる反面、媒体掲載では出会えない潜在層へリーチできる点が大きな強みです。マネージャー層や希少なスキルを持つ料飲・調理人など、応募を待っているだけでは出会えない人材の獲得手段として、業界内でも導入が進んでいます。
5. リファラル採用(社員紹介)を促進する
リファラル採用は、現職社員の人脈を活用して候補者を紹介してもらう手法で、採用コストを抑えつつ定着率も高めやすい特性があります。社員が自施設の実態を理解したうえで紹介するため、入社後のミスマッチが起こりにくく、紹介者・被紹介者の双方の満足度も高まる傾向にあります。
ホテル業界は人の異動が口コミで広がりやすい狭い世界であり、特にマネージャー層や中堅以上の経験者の採用ではリファラルが有効に働くケースが多い傾向にあります。誰と働けるかが転職判断の重要な要素になる層ほど、信頼できる元同僚や知人からの紹介に動かされやすいためです。紹介インセンティブ制度の整備と、紹介しやすい雰囲気づくりが運用成功のポイントとなります。
6. 派遣・スポット人材(スキマバイト)で繁忙期に対応する
繁忙期の人手不足や急な欠員には、派遣会社やスポットワーカー向けアプリの活用が即効性のある選択肢です。タイミーやシェアフル、メルカリ ハロといったスキマバイトサービスでは、数時間〜1日単位での労働力をマッチングでき、客室清掃や朝食バイキングの補助、宴会セッティングなどに活用が広がっています。
正社員採用と異なり長期的な育成は難しい一方、固定費を増やさずに繁閑差を吸収できる点は大きなメリットです。常駐スタッフとスポット人材の役割分担を明確にし、当日来た人でも迷わず動ける業務マニュアルを整えておくと、サービス品質を保ちながら柔軟な体制を構築できます。
7. RPO(採用代行)で採用活動を外部化する
RPO(Recruitment Process Outsourcing)は、採用業務の一部または全部を専門会社へ委託する手法で、近年宿泊業界でも導入が広がっています。求人媒体の運用、応募者対応、面接日程調整、エージェントとのやり取り、選考フロー改善の提案までを外部パートナーが担うため、兼任担当者の負荷を大幅に軽減できます。
派遣との違いは、単純な作業代行ではなく、戦略設計から実行・分析・改善までを採用のプロが伴走する点にあります。複数職種を同時に募集する施設や、採用ノウハウを社内に持たない施設にとって、即効性と再現性の両方を兼ね備えた選択肢として位置づけられています。
RPO(採用代行)がホテル採用で担える主な業務6つ

RPOは応募者対応や日程調整といった「作業の代行」だけを担うサービスと誤解されがちですが、実際には採用戦略の設計から選考フローの改善提案まで、採用成果に直結する領域を幅広くカバーします。ホテル・宿泊施設特有の課題に精通したパートナーと組めば、現場の負担を減らしながら採用力そのものを底上げできます。
ここでは、ホテル採用においてRPOが担える代表的な6つの業務を順に紹介していきます。
1. 現状の振り返りと採用戦略の設計
RPO支援の起点となるのが、現状把握と中長期の採用戦略設計です。過去の応募数・選考通過率・入社後定着率といった採用データを職種別・媒体別に分解し、どの工程に課題があるかを定量的に明らかにしていきます。
把握した課題を踏まえ、年間採用人数・職種構成・予算配分・採用手法のミックスを設計し直す動きへつなげます。経営層が描く事業計画と現場の人員ニーズをすり合わせ、現実的かつ達成可能な採用ロードマップへ落とし込む役割を、第三者目線で担えるのがRPOの強みです。
2. 職種ごとのターゲットとペルソナの設計
ホテル運営では職種ごとに求める人物像が大きく異なるため、フロント・客室清掃・調理・料飲といったポジション別にペルソナを設計する必要があります。RPOでは、現場ヒアリングと既存社員の傾向分析を組み合わせ、活躍人材の共通点を言語化していきます。
ペルソナが定まると、媒体選定や訴求メッセージ、面接で見極めるべき項目までが一気通貫で設計できます。たとえば、夜勤を厭わない若手フロントスタッフと、子育て中の主婦層の清掃スタッフでは、刺さる訴求軸が180度異なるため、職種別の打ち手を設計し分けるノウハウが成果を左右します。
3. 第三者目線で行う企業の魅力の棚卸しと求人作成
長年同じ施設で働く社員にとって当たり前になっている魅力は、求人原稿に書かれにくい一方で、求職者からは高く評価されるケースが少なくありません。RPOは外部の視点から現場を取材し、施設独自の強みや働く面白さを言語化して求人原稿へ反映していきます。
求人作成の段階では、給与・休日・福利厚生といったハード条件だけでなく、職場の人間関係や成長機会、地域とのつながりといったソフト面の魅力を訴求軸に組み込む工夫も施します。書き手が変わるだけで応募数が2倍以上に伸びる事例もあり、原稿の質そのものが採用成果を大きく左右します。
4. 求人媒体の運用・エージェントコントロール
複数媒体を同時に運用する場合、応募単価や採用単価を媒体別にモニタリングし、効果の高いチャネルへ予算を寄せる運用判断が欠かせません。RPOは日次・週次で数値を追いながら、原稿差し替えや掲載プランの見直しを継続的に行います。
人材紹介エージェントを併用している場合は、エージェント各社への求人要件の伝達、推薦候補者のフィードバック、定例ミーティングといったコミュニケーション業務もRPOが代行できます。複数社のエージェントへ同じ温度感で情報を共有する手間が解消されると、推薦の質と量の双方が向上していく傾向にあります。
5. 応募者対応・面接日程の調整
応募から面接までのリードタイムが長引くほど辞退率は跳ね上がるため、迅速で丁寧な応募者対応は採用成果の生命線となります。ホテル業界は「まずは会ってみる」という人柄重視の方針で面接の間口を広げる傾向があり、その反面でドタキャンや辞退率の高さが課題となるケースが見られます。
RPOでは応募から24時間以内の連絡や夜間・休日対応の体制を整え、候補者の温度感を下げない運用を実現します。一次面接通過の連絡時に面接官からの応援コメントを添えるなど、細やかな応募者対応によって候補者の入社意欲を高め、承諾率の改善につながるケースもあります。
6. 採用データの分析と選考フローの改善
採用活動を継続的に改善するには、応募数・面接設定率・選考通過率・内定承諾率・入社後定着率といった指標を段階別に可視化し、ボトルネックを特定する作業が欠かせません。RPOは毎月の定例レポートで進捗を共有し、歩留まりの悪い工程に対する改善提案までを担います。
歩留まり改善の具体策として、選考フロー内に店舗での見学や一部業務の就業体験を組み込み、候補者と現場の双方がミスマッチを早期に察知できる仕組みを提案するケースもあります。他社への離脱を防ぐ目的で、二次面接の担当者へ権限委譲を行い、懸念がなければその場で即日内定を出すといったスピード重視の選考フローへ改善を支援する事例も見られます。

採用力偏差値シミュレーター
あなたの会社の採用力偏差値はいくつ?<br>数値で採点し、ボトルネックと改善策をアドバイスします!
ホテル採用でRPO(採用代行)を活用するメリット・デメリット

RPOの導入を検討する際には、得られる効果と注意すべきリスクの両面を理解しておく必要があります。メリットだけを期待して契約すると、社内ノウハウの蓄積が進まなかったり、現場との温度差が生まれたりといった事態を招きかねません。
ここでは、ホテル・宿泊施設がRPOを活用する際のメリットとデメリットを5つずつ整理し、デメリットに対する具体的な対策もあわせて紹介していきます。
RPOに頼む5つのメリット
ホテル採用でRPOを活用する主なメリットは、以下のとおりです。
- 兼任担当者の工数を大幅に削減し、現場業務へ集中できる
- 業界知見を持つプロのノウハウを即時に取り入れられる
- 複数職種・複数媒体の同時運用に対応できる
- 採用データの可視化と歩留まり改善が継続的に進む
- 繁忙期・閑散期に応じて柔軟にリソースを増減できる
最大のメリットは、現場と兼任している採用担当者の工数を圧縮し、本来注力すべきゲスト対応やマネジメント業務へ時間を振り向けられる点にあります。応募者対応や媒体運用といった日々の実務をRPOへ委ねると、月数十時間規模の工数削減につながる事例もあります。
加えて、業界経験豊富なRPO担当者が伴走することで、自社単独では到達しづらいレベルの採用設計や改善提案を取り入れられる点もメリットです。SaaSツールの導入支援とRPOを組み合わせれば、現場のオペレーション効率化から人材確保までを一気通貫で進められ、採用と現場改善の両面で成果を出すケースも見られます。
RPOに頼む5つのデメリットと対策
RPO活用時に注意すべきデメリットと、それぞれに対応する対策は以下のとおりです。
| デメリット | 対策 |
|---|---|
| 社内に採用ノウハウが蓄積されにくい | 定例ミーティングで判断根拠や運用知見を共有してもらう |
| 現場の温度感が候補者へ伝わりにくい | 面接官コメントや現場写真を提供し、原稿や連絡文へ反映してもらう |
| 委託費用が固定で発生する | 委託範囲を業務単位で切り分け、自社対応との配分を最適化する |
| 機密情報や個人情報の取り扱いリスク | NDA締結とアクセス権限管理を契約初期に整備する |
| 委託先との認識ズレが起きやすい | 週次の進捗共有と月次の数値レポートで認識を揃え続ける |
社内の知見やノウハウを蓄えたり、双方で認識の食い違いを防ぐためにも、週次や月次の定例ミーティング機会を設けてコミュニケーションを図ることで「運用判断の背景」まで共有してもらう姿勢が重要となります。
現場の温度感が候補者へ伝わりにくいという課題に対しては、面接官の一言コメントや現場の雰囲気が分かる写真・動画を積極的にRPOへ共有し、応募者対応や求人原稿へ反映してもらう運用が効果的です。委託範囲の見直しや認識合わせを定期的に行えば、デメリットの多くは事前に抑え込めます。

採用代行(RPO)基本マニュアルを無料公開
採用代行(RPO)の基本やメリット/デメリット、シーン別の活用方法がわかる!採用にお悩みの方は是非チェックしてみてください!
【5ステップ】ホテル・宿泊施設がRPO(採用代行)を導入する流れ

RPOの導入を成功させるには、いきなり業者選定から始めるのではなく、自施設の採用課題と委託範囲を明確にしてから動き出す必要があります。事前準備を丁寧に進めるほど、契約後の認識ズレや想定外の追加費用を防ぎやすくなります。
ここでは、ホテル・宿泊施設がRPOを導入する際に踏むべき5つのステップを順に解説していきます。
1. 採用したい職種と人数を整理する
RPO導入の最初の作業は、向こう半年〜1年で採用したい職種と人数を具体化する工程です。フロント正社員2名、客室清掃パート5名、調理人1名といった具合に、職種別・雇用形態別・採用時期別の採用計画を一覧化します。
採用人数を可視化する段階で、現場ヒアリングを通じて欠員予測や離職リスクの高いポジションも洗い出しておくと、後工程の戦略設計が精緻になります。事業計画と連動した採用計画になっているかを経営層と確認する作業も並行して進めると、社内の合意形成もスムーズに運びます。
2. 採用課題とボトルネックを洗い出す
採用計画が見えたら、過去の採用活動を振り返り、どの工程でつまずいているかを分析してみましょう。応募数が足りないのか、面接設定率が低いのか、内定承諾段階で辞退が多いのかによって、RPOへ任せるべき業務が大きく変わってくるためです。
特に、媒体別の応募単価、職種別の選考通過率、入社後3ヶ月・6ヶ月時点の定着率といった指標を可能な範囲で集計しておくと、RPO候補会社との打ち合わせが格段に進めやすくなります。データが揃わない場合でも、現場担当者の感覚値を整理しておくだけで議論の起点になります。
3. 任せたい業務範囲を決める
RPOの委託範囲は、応募者対応のみの限定的なスコープから、戦略設計を含むフル委託まで幅広く設定できます。自社のリソース状況と社内に残したいノウハウ領域を踏まえ、委託する業務と社内で担う業務の線引きを事前に決めておく姿勢が重要です。
委託範囲を決める際の目安は、以下のとおりです。
| 委託パターン | 委託する主な業務 | 向いている施設 |
|---|---|---|
| 部分委託(実務代行型) | 応募者対応、面接日程調整、スカウト送信含む媒体運用等 | 戦略は社内で持ち、実務工数だけを減らしたい施設 |
| 中間委託(運用伴走型) | 部分委託の業務に加え、エージェント管理、求人原稿改善等 | 採用ノウハウを補強したい施設 |
| フル委託(戦略含む包括型) | 戦略設計、ペルソナ設計、採用チャネルの選定〜選考歩留まりの改善に必要な全工程 | 専任担当者がいない、スキルが追いついていない等、採用設計から実務まで任せたい施設 |
業務範囲が曖昧なまま契約すると、想定外の追加費用やサービス品質の低下を招きやすくなります。メモレベルの簡単な内容でもよいので、依頼したいと考えている業務範囲を文書化したうえで、候補会社のサービス説明を聞いてみましょう。自社のニーズに沿った支援が受けられるのか確認・ディスカッションする進め方が望ましいといえます。
4. ホテル・観光業への理解があるRPO会社を比較する
委託範囲のイメージが固まったら、ホテル・観光業界での支援実績を持つRPO会社を3社程度に絞って比較検討に入ります。一般的なRPOと業界特化型のRPOでは、媒体選定の引き出しや候補者へ刺さる訴求軸の精度が大きく異なるため、業界知見の有無は重要な判断軸となります。
比較時のチェックポイントとしては、料金体系(月額固定型か成果報酬型か)、担当者の業界経験年数、レポーティング頻度、対応可能な業務範囲、契約期間と解約条件などが挙げられます。実際に商談を進める段階では、自社の課題を伝えた際に具体的な改善仮説を提示できるかどうかも、相性を見極める重要な要素になります。
5. 定例レポートをもとに改善を続ける
契約開始後は、月次の定例レポートと打ち合わせを軸に改善サイクルを回していきます。応募数・面接設定率・選考通過率・内定承諾率・入社後定着率といった指標を段階別に確認し、ボトルネックがあれば原稿差し替えや媒体配分の見直し、選考フローの調整を打ち手として実行します。
レポートを受け取って終わりにせず、現場担当者・経営層・RPO担当者の三者で改善方針をすり合わせる場を設けると、施策の実行スピードが加速します。半年〜1年の運用を通じて蓄積された知見を社内へ移管していけば、契約終了後も自走できる採用組織の構築につなげていけます。
まとめ
ホテル・宿泊施設業界の採用は、早期離職、待遇面での他業界比較、不規則な勤務形態、複数職種の同時募集、担当者の兼任体制という5つの課題が絡み合い、応募者を集めること自体が難しくなっています。観光庁の最新調査でも、業務内容や心身への負担、スキルアップ機会の不足が離職を加速させている実態が浮き彫りになりました。
打開策としては、現状の待遇で響くターゲットの再設定、短時間シフトの導入、ITツールによる省力化、採用広報による期待値コントロールといった現場レベルで取り組める施策が有効です。
複数職種を抱えながら採用担当者が現場と兼任している施設では、戦略設計から実務改善までを伴走するRPO(採用代行)が現実的な選択肢になります。マルゴト株式会社では、ホテル・宿泊業界の支援実績で培った知見をもとに、採用活動全体を一気通貫でご支援が可能ですので、お悩みがありましたらお気軽にお問い合わせください。

採用代行(RPO)基本マニュアルを無料公開
採用代行(RPO)の基本やメリット/デメリット、シーン別の活用方法がわかる!採用にお悩みの方は是非チェックしてみてください!
CATEGORYカテゴリ
TAGタグ
関連記事
メタバース採用とは|Z世代に効果的な活用法、メリットや成功する5つのポイントを紹介
- 採用企画
『オヤカク』とは|注目される理由と6つの実践方法をご紹介!
- 採用企画
- 採用オペレーション
採用競合とは|調査・分析の方法からベンチマーク対象の決め方、差別化戦略まで解説
- 採用企画
物流業界の人手不足を解消するRPO(採用代行)という手段|失敗しない導入ステップと比較ポイント
- 採用企画
- 採用代行
ベンチャー・スタートアップの採用が難しい理由と解決策を紹介
- 採用企画
新卒採用におけるペルソナ設計の重要性|実践方法と成功のコツを解説
- 採用企画





