お役立ち情報
リソースが限られているベンチャーやスタートアップにおいては、採用や労務管理、人事評価といった人事業務を担当する社員が一人しかいないというケースも少なくありません。
「ひとり人事」とは、このように組織や企業の人事業務を一人で担当している体制のことをいいます。
本記事では、ひとり人事に多い5つの悩みと、それらを解決するためにできることを紹介します。
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目次
ひとり人事に多い悩み
まずは、ひとり人事に多い5つの悩みを紹介します。
1.仕事を教えてくれる人がいない
人事の部署には自分一人だけしかいないため、直属の上司が人事の仕事を深く理解できていない幹部や役員であるケースも多く、仕事を教えてくれる人がいないということがあります。そのため、いつでも誰かに相談をしたり、アドバイスをもらったりすることができないことがあり、「この判断で間違っていないだろうか」「考えが偏っていないだろうか」と、不安を感じるケースもあるようです。
2.社内に相談相手がいない
人事は個人情報を取り扱う部署であるため、仕事の悩みを他の部署の社員に相談することができません。
また、直属の上司が人事の仕事の経験がない幹部や役員であるために、キャリアに関する悩みも、誰にも相談できずにいる人が多いです。社内に悩みを話せる相手がいないため、不安や孤独を感じることがあります。
ちなみに、ひとり人事のキャリアパターンとしては、社内でそのままCHRO(最高人事責任者)になる人は、現状あまり多くはないようです。
ベンチャーやスタートアップの場合、人事の仕事は採用がメインである場合が多いと思います。
キャリアとしては、そのまま採用に力を入れて採用責任者となるか、ビジネスサイドに異動して新しい経験を積むといったパターンが考えられます。
または、社外で新たな挑戦をするという道もあります。
3.業務負担が大きい
一口に「人事業務」といっても、毎月の給与計算、労務管理、採用業務、人材育成など、さまざまなものがあります。
ひとり人事は、これらをすべて一人でこなさなければならないため、どうしても業務負担が大きくなります。
特にベンチャーやスタートアップは、就業規則や採用戦略、人材育成プログラム、福利厚生や人事評価制度などが整っていないことも多く、これらを整備するのに時間と労力がかかり、手一杯になってしまうことが多いようです。
負担がかかりすぎると、疲れやストレスがたまり、パフォーマンスが低下したり、ミスが発生したりする可能性も高くなります。
しかし、人事業務をこなせるのは社内で自分一人しかいないため、体調不良時などでも休みにくいと感じている人が多いようです。
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4.採用がうまくいかない
前項でお伝えしたように、人事の仕事にはさまざまなものがありますが、ベンチャーやスタートアップなど成長過程にある企業では、まずは採用業務をメインに任されることが多いと思います。
認知度が低く、リソースも限られているベンチャーやスタートアップが人材を獲得するためには、しっかりと採用戦略を立てたうえで候補者にアプローチをして、自社に魅力を感じてもらうことが重要です。
そのためには、人事も企業のビジョンや起業までのストーリーを理解し、経営陣と同じ目線と熱量で採用戦略の策定に取り組む必要がありますが、これに難しさを感じているひとり人事が多いようです。
また、求人票の作成、書類選考、面接、内定者フォローなど、採用活動は工数が多いため、一人では手が回らないというのも、ひとり人事に多い課題の一つです。
5.人事評価をどうすべきかわからない
ベンチャーやスタートアップでは、人事評価制度が整っていないことも多く、経営陣とひとり人事だけで話し合って社員を評価しているという企業も少なくありません。
それで社員が納得しているのであれば問題ありませんが、企業規模を拡大していくつもりなら、きちんとした人事評価制度を整備するべきでしょう。
わかりやすい人事評価制度があることは、企業の魅力の一つにもなります。
人事評価制度を整備し、それを採用活動でアピールすることで、応募が集まりやすくなるといった効果も期待できるでしょう。
しかし、「人事評価制度をどのように設計すればいいのかわからない」「こなすべき業務が多すぎて人事評価制度を整備する時間がない」と悩むケースも多いようです。
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ひとり人事の悩みを解決するためにできること
では、紹介したような悩みを解決するにはどうすればよいのでしょうか。ここからは、解決のためのヒントを紹介します。
経営陣と向き合う
まず最も大切なのは、経営陣としっかり向き合うことです。経営陣と定期的にミーティングを行うなどして、経営陣の思いと人事の方針を密に共有しましょう。
さまざまな人事業務をこなすのは人事の部署に所属する社員の仕事ですが、「人」は企業の財産です。
「人」に関する課題は、人事だけでなく企業全体で考えていかなければならない課題といえます。
「すべて自分で解決しなければ」と一人で抱え込まずに、経営陣を巻き込み、一緒に進めていきましょう。
経営陣にも、「人に関する課題=全社的な課題」という認識を持ってもらうことが大切です。
他部署の社員ともコミュニケーションを図る
採用を成功させるためには、他部署の社員とコミュニケーションをとることも重要です。
他部署の社員に「なぜ自社に入社を決めたのか」「自社のどこが良いと思ったか」などをヒアリングすることで、自社の魅力や求める人物像が明確になります。
これらを改めて整理することで、採用ミスマッチも起きにくくなるでしょう。
また、社員とコミュニケーションをとると、社員が企業に求めていることや、現在の自社の課題も見えてきます。
社員の声を反映させれば、より良い人材育成プログラムや人事評価制度を設計できるでしょう。
定期的に1on1ミーティングを実施するなどして、他部署の社員の意見を聞いてみてはいかがでしょうか。
外部サービスや便利なシステムを活用する
ひとり人事の業務負荷を減らすために、人事業務の一部をアウトソーシングするのも一つの方法です。
委託先によっては、ただ業務を任せられるだけでなく、専門的なサポートが受けられるものもあります。
または、業務を効率化できるシステムを導入したり、便利なサービスを利用したりするのもよいでしょう。
たとえば、次のようなシステムやサービスがおすすめです。
- 採用管理システム(ATS)
採用業務を効率化するためのシステムです。求人票の作成や候補者情報の管理、候補者とのやりとりなど、採用に関するさまざまな業務をシステム上で行えるようになります。 - タレントマネジメントシステム
社員に関する情報を一元的に管理できるシステムです。社員の情報を正確に把握できるだけでなく、データを分析して人材育成や人材配置に役立てることもできます。 - 採用代行(RPO)
採用に関する業務の一部、または全部を、企業に代わり実施してくれるサービスです。採用のプロに任せることで、採用工数を削減できるだけでなく、採用活動の質の向上も期待できます。
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社外のネットワークを広げる
ひとり人事は、社内に仕事やキャリアについて相談できる相手がいないため、孤独を感じてしまいがちです。
人事関連の研修やセミナーに参加して、社外で人事の仕事に就いている知り合いを作ってみてはいかがでしょうか。
社外のネットワークを広げることで、人事の悩みを共有できるだけでなく、他社の情報や、新しいサービスに関する情報などが得られることもあります。
自社の役に立つ情報を持ち帰れば、業務もよりスムーズに進められるようになるでしょう。
2人目の人事を採用する
自分自身や、自分の家族の健康を犠牲にするほど、仕事で無理をしてはいけません。
現状、無理がかかっていると感じるなら、経営陣に2人目の人事の採用が必要なことを伝えましょう。
業種や企業の状況にもよりますが、社員が60名近くいるなら、そろそろ2人目を検討してみても良い頃といえます。もちろん、もっと早いタイミングでも構いません。
2人目の人事を採用するとなると、その分コストが発生します。
予算的に難しそうであれば、営業や広報など他の部署と兼任というプランを提示してみるのもよいでしょう。
2人目はまだ早いという場合であっても、自身のキャリアを考えるうえでも、「今後どのようなHRチームを作っていきたいか」は、早い段階から考えておくことをおすすめします。
重要なのは「ひとりで解決しようとしない」こと
ひとり人事は経営者からかけられる期待も大きく、自分に代わって人事業務を行える人が社内にいないため、「すべて一人でこなさなければ」と、悩みや疲れをためこんでしまう傾向があります。
しかし、「人」は企業の財産であり、「人」に関する課題は企業全体の課題です。
一人で抱え込まず、経営陣を巻き込み、他部署の社員の力も借りながら業務を進めていきましょう。
人事業務を助けてくれる便利なシステムやサービスも多数ありますので、これらの活用も検討してみてください。
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