採用・労務・経理に関するお役立ち情報

不動産業界では、人材の定着が長年の課題とされてきました。とくに若手層の早期離職や営業職の高離職率は、多くの企業にとって頭を悩ませる問題です。
職場環境の過酷さや評価制度の偏りなど、さまざまな要因が離職率の高さに影響を及ぼしています。優秀な人材を確保し、長く働いてもらうためには、まず現状を正確に把握することが必要です。
本記事では、不動産業界の離職率の実態やその背景をひも解きながら、企業として実践すべき改善策を紹介します。採用活動の質を高め、社員の定着率を向上させるためのヒントになれば幸いです。

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目次
離職率とは
採用活動を進めるうえで、離職率は非常に重要な指標です。ここでは、離職率の基本的な定義や計算方法について解説します。不動産業界の実情を正確に把握するためにも、まずはこの概念を正しく理解しておきましょう。
離職率の定義と基本的な考え方
離職率とは、一定期間内に在籍していた従業員のうち、退職した人数の割合を示す数値です。人材の定着状況を評価するうえで欠かせない尺度とされ、採用活動の成果や労働環境の良し悪しを見極める指標にもなります。
たとえば、3割近い数値であれば定着に課題があると判断できるでしょう。業界ごとの特性や従業員の勤務形態を踏まえたうえで、数値の意味を冷静に分析する必要があります。
人員の安定確保を目指す企業にとって、離職率の把握は避けて通れないポイントといえるでしょう。
離職率の計算方法
離職率の算出には「離職者数 ÷ 平均在籍者数 × 100」以下の式を用います。
たとえば、ある年に退職した従業員が15名、同年の平均在籍者数が120名だった場合、離職率は以下のとおりです。
平均在籍者数は、年初と年末の在籍者数の平均をとることで求めるのが一般的です。経営指標として離職率を活用する際は、算出の前提や集計期間を明確にしておくことが欠かせません。継続的に同じ基準で追跡することで、改善の効果も測定しやすくなります。
不動産業界の離職率の実態
不動産業界における離職率は「高い」と語られることが多いものの、実際のデータを見ると他業種と比較して特別に高いわけではありません。ここでは、業界平均との比較や、イメージとの乖離について解説していきます。
業界平均との比較で見る不動産の離職率
厚生労働省の統計によると、不動産業界の離職率はおおむね13〜15%程度で推移しています。たとえば令和5年度では13%台となっており、全業種平均の15.0%よりもやや低い水準です。
一方で、生活関連サービス業や娯楽業などは20%を超えているため、不動産業界が特段高いとはいえません。たしかに営業職に限定すればやや高めに見える傾向もありますが、全体で見れば中間層に位置しています。
定量データに基づいて冷静に判断することが、誤った先入観を排除するうえで重要となります。
出典:厚生労働省|令和5年雇用動向調査結果の概要「産業別の入職と離職」不動産業界の離職率が「高い」と誤認されやすい理由
不動産業界が離職率の高い業種と見なされがちなのは、過去の労働環境や報道の影響が大きいと考えられます。たとえば、過重労働やパワーハラスメントが取り沙汰された事例がメディアで紹介され、悪い印象だけが残るケースも少なくありません。
さらに、高額な取引を扱う特性上、責任の重さやストレスの大きさも誤認の要因となります。しかし、最近では労働時間の見直しや福利厚生の充実が進んでおり、実態は以前とは異なってきています。
採用戦略を見直す際には、実情に即した情報を基に判断することが重要です。
不動産業界で離職率が高くなる要因
採用担当者が離職率を下げるには、まず職場から人材が離れていく背景を明確にする必要があります。不動産業界には構造的な課題がいくつも存在するため、ここからは主な原因について具体的に解説します。
業務量と長時間労働の常態化
不動産営業は顧客対応・資料作成・契約業務など多岐にわたる業務を日々抱えています。たとえば内覧の調整や問い合わせへの即時対応など、予測不能な対応が多い点も特徴です。
そのため、日中の業務では対応しきれず、残業や休日出勤が慢性化してしまうケースも見られます。こうした状況が続けば心身に疲労が蓄積し、離職の決断につながる可能性が高まります。
業務の集中や属人化を避けるには、チーム全体での負荷分散やタスクの可視化が欠かせません。業務量の平準化を図ることが、安定した定着率の実現に直結します。
休日が不規則・取りにくい仕組み
不動産業界では、顧客の都合に合わせて土日祝日に稼働することが一般的です。そのため、週末の休暇取得が難しく、ライフスタイルとのミスマッチが発生しやすくなります。
また、繁忙期には連休取得が制限されることもあり、働き手にとっては自由な休暇設計が困難な環境と映ります。
さまざまな要因が長期的なストレスとなり、家庭や私生活との両立を諦める人も出てきます。勤務体系の見直しや事前申請による休日調整の柔軟化を実現できれば、職場環境への満足度を高めることが可能です。
ノルマ圧力や評価制度の偏り
営業成績が重視される不動産業界では、売上目標の達成が給与や評価に直結する仕組みが多く見受けられます。とくに未経験者に対しても高い成果を求める傾向が強く、精神的なプレッシャーが日常的にかかりやすくなります。
成果を重視するあまり、努力やプロセスを軽視する評価制度では、モチベーションの維持が難しくなるのも現実です。公平性を欠いた人事評価が社員の不満につながり、やがて退職に至る要因となることもあります。
評価制度の偏りを是正するには、個人の成長やチームへの貢献も反映できる多角的な評価軸を整える必要があります。
他業種に比べたIT化の遅れ
不動産業界では、紙ベースの資料管理や電話中心の顧客対応など、アナログな業務が根強く残っています。業務効率が上がらず、社内外との連絡や情報共有に時間がかかることが、長時間労働の一因にもなっています。
ほかの業種では当たり前となったクラウド管理や自動応答システムの導入が遅れており、作業の煩雑さが離職意欲を刺激する場面も少なくありません。業務ツールの見直しを行い、デジタル化を推進することで社員の負担軽減と業務の標準化を図れます。

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不動産業界の離職率を下げるための対策
定着率を改善するためには、職場環境や制度の根本的な見直しが必要です。ここでは、不動産業界で効果が期待される改善施策を4つの観点から紹介します。
労働環境の見直しと業務分散
退職を招く要因としてもっとも多いのが、過重労働です。たとえば、営業担当がすべての業務を一手に担う構造では、負荷が集中してしまいます。業務の棚卸しを行い、バックオフィスやサポート人員と役割を分担することで、負荷軽減が実現できます。
また、月間労働時間の上限設定やフレックス制度の導入も有効です。職場全体で働き方の見直しを進めることで従業員の満足度を高め、離職率の低下につなげられます。
評価制度・報酬体系の再設計
業績だけに偏った評価制度では、真面目に働いても報われないという不公平感が募ります。成果に加えて、プロセスやチーム貢献度も反映される仕組みに改めることが重要です。
たとえば、顧客満足度や社内での協力姿勢を評価軸に組み込むことで、幅広い人材が活躍しやすくなります。報酬面においても、固定給とインセンティブのバランスを調整し、短期成果に偏らない体系づくりが求められます。
ITツールの導入による効率化
業務効率を大幅に改善する手段として、ITツールの活用が欠かせません。物件情報の管理やスケジュール調整を手作業で行う体制では、どうしても非効率が生じます。
たとえば、顧客情報を一元化するCRMや、電子契約システムを導入することで、事務作業の負担が軽減されます。さらに、AIによるマッチングやチャットボットの活用も、問い合わせ対応の工数削減につながる施策です。
デジタル化によってルーティン業務を自動化すれば、社員は提案活動などの本質的な業務に集中できます。
エンゲージメント施策の導入
職場への帰属意識やモチベーションを高めるには、日常的なコミュニケーションの質が重要です。たとえば、上司からの承認や感謝を伝える仕組みを整えることで、社員のやる気を持続させやすくなります。
具体的には、月次のサーベイやサンクスカード、1on1ミーティングなどが効果的です。組織全体で信頼関係を築くことにより、孤独感や不安を抱えにくくなります。
目標の共有や成功体験の共有も、チームの一体感を醸成する要素です。人間関係を良好に保つ施策を通じて、心理的安全性の高い職場が実現されます。
アウトソーシングの利用で離職率低下をより堅実に
採用担当者が多忙を極める不動産業界では、離職率の改善と同時に採用活動の効率化も求められます。
とくに、採用計画の立案から媒体選定、応募者対応まで一人で担う体制では、ミスや対応遅れが発生しやすいでしょう。採用業務を外部に委託すれば、現場の負担を軽減し、社員の定着向上につながります。
不動産業界にも精通した「まるごと人事」では、業界特性を踏まえた人材戦略を提案し、採用実務まで一貫して支援します。限られたリソースでも高品質な採用活動が可能となり、定着率の向上と組織の安定が実現するでしょう。
まとめ
不動産業界で離職率を改善するには、業務負荷の分散や評価制度の見直し、ITの活用、エンゲージメント強化など多角的な対策が欠かせません。また、採用担当者自身の業務負担が過大になれば、適切な採用活動や定着支援も難しくなります。
採用業務を業界特化型のサービスにアウトソースすることで、人的リソースを最適化しながら採用の質を保てます。不動産業界に精通した「まるごと人事」なら、戦略立案から実務運用まで一貫して任せられるため、採用と定着の両面で安定した成果が見込めるでしょう。
離職率の低下を本気で目指すなら、外部パートナーの力を活用する判断が有効です。

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