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IT人材の離職率は年々増加しており、業界全体における人材不足が深刻化しています。さらにはIT人材の平均年齢は2030年まで上昇の一途を辿ることもわかっています。
本記事では、IT業界の離職率の実態から日米比較による課題分析、そして離職を防ぐ具体的な対策まで、人事・採用担当者の方が今すぐ実践できる戦略を網羅的に解説します。
競争力のある組織を構築するためにぜひお役立てください。

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目次
IT業界における離職率の推移と人材確保の実態
ここではIT業界の離職率の実態を詳しく分析し、日米の比較から見えてくる人材確保の課題を深掘りしていきます。
離職率は増加|慢性的な人手不足を懸念
IT業界の離職率は、日本の平均離職率15.0%に比べると低い水準ですが、近年は業界全体で上昇が続いています。さらに2020年には入職率が上回っていましたが、2021年以降は離職率が入職率を上回る逆転現象が発生しています。
年度 | 離職率 | 入職率 | 差分 |
---|---|---|---|
2020年 | 9.2% | 14.6% | +5.4%(人材増加) |
2021年 | 9.1% | 11.5% | +2.4%(人材増加) |
2022年 | 10.6% | 13.0% | +2.4%(人材増加) |
2023年 | 12.4% | 11.7% | -0.7%(人材減少)※初の逆転 |
参考:雇用動向調査:結果の概要
上記の結果を受け、今後のIT業界全体での慢性的な人手不足が予測されるでしょう。
離職率上昇の背景には、DX需要の急拡大により転職市場の活発化が予測されます。
特に、2022年から2023年にかけての離職率の急上昇(10.6%→12.4%)は、コロナ禍で一時的に控えられていた転職活動の本格化や、より良い条件を求めて転職する人が増えたことも影響しています。
実際に、IT業界で採用に課題が残る企業は、約6割程度であることもわかっており、現在活躍するIT人材の高齢化をふまえ、計画的な人員確保が必要です。
DX推進により即戦力となる人材を求める企業が多いものの、人材獲得の際は新卒採用やポテンシャル採用、また副業人材にも目を向けると良いでしょう。
出典:IT人材の売り手市場は継続、約2割の企業は今年度の採用目標達成に苦戦か
人材確保についてお困りの採用担当者の方は以下の記事も参考にしてください。
人材確保の実態|日本と米国との違い
IT業界における人材量では、日本と米国では大きな違いが存在します。
日本のIT人材は、「大幅に不足している」の割合が多いのに対し、米国ではほとんどが「過不足はない」であり、また、「やや不足している」程度に留まっています。
前提として、米国と日本ではエンジニアの平均年収に300万円程度の差があります。高い年収であればそれだけ人が集まりやすくなりますが、米国はチーム力が強く、年功序列の風土が日本に比べて低いため人材を確保しやすいといえます。
日本と米国で大きく異なるのが「リファラル採用」「アルムナイ採用」を活用している点です。データ上では日本のリファラル採用は少なく見えますが、採用を成功させている企業の多くが、実はリファラル採用で人材を確保しています。
特にエンジニアであれば、採用担当者の知見によって入社前にスキルを見抜くのは難しい場合もあるでしょう。リファラル採用であれば、入社後のフォローもしやすくミスマッチを防げるといった点がメリットです。
アルムナイ採用や採用広報について詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてください。

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エンジニアの離職につながるIT業界の特徴とは?
ここでは、離職率の高いIT企業に共通する3つの特徴を詳しく分析します。これらの課題を理解し改善することが、優秀な人材の定着につながるため読み進めてください。
教育体制が整っていない
社内での人材育成に取り組む企業がある中で、特にベンチャー・スタートアップ企業では教育体制が整っていないケースもあるでしょう。
スキルがあっても、自社で活かす方法がわからなければ入職者にとって大きなストレスとなり、早期離職の原因になり得ます。
実際に、「プロジェクトの進め方や社内ツールの使い方を教えてもらえない」といった理由で成果を出せず、自信を失って離職してしまうケースもあります。
新入社員や中途採用者の採用では、入社後の計画的なオンボーディングが必要です。
スキルアップやキャリアアップについては、個人に委ねる企業が多いですが既存の社員に向けた支援や研修制度も整備すべきでしょう。
入社後のフォローについて以下の記事で解説しています。
所定外労働がある
下請けIT企業では、トラブルの緊急対応・顧客対応による所定外労働が多い傾向があります。
一見年収が低くない場合でも、所定外労働が多い場合は、給与水準が低く感じられ転職を検討するエンジニアが多いのが現状です。実際、ITエンジニアの転職理由に「給与の不満」があります。
厚生労働省の調査によると、IT業界の月平均残業時間は約16.2時間で、特にシステム障害対応やリリース前の追い込み作業によっては、月80時間を超える残業が発生する企業も珍しくありません。
所定外労働を減らせないか業務を見直しつつ、同時に評価指標を明瞭化し、不満を抱かせない取り組みが必要です。残業時間や休みの確保、待遇の見直しをすべきケースがあると認識しておくと良いでしょう。
キャリアサポートをしていない
人材確保における取り組み内容で、日米で差が最も大きい項目は「キャリア支援はしていない(個人に任せている)」で、日本が20.5%に対して米国は3.7%といった結果でした。
日本では企業によるDXを推進する人材の育成に関する支援が遅れているとも言えるでしょう。キャリアサポートが不足している企業は、以下の取り組みが効果的です。
- キャリアパスの整備
- ロールモデルの提示
- 上司以外でキャリアについて相談できる存在(キャリアアドバイザー、メンター等)の設置
キャリアビジョンが明確にわかれば将来像のイメージがしやすく求職者にとっても魅力が伝わりやすいでしょう。

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IT業界の離職率低下に向けた具体的な取り組み
IT業界では離職率の高さが深刻な課題となっており、その解決策として働き方の改革が急務となっています。ワークライフバランスの実現や柔軟な働き方を推進することで、結果的に人手不足の解消と離職率の低下につながるでしょう。
以下のDX人材確保における課題を踏まえたうえで必要な取り組みについて解説します。
スタートアップ企業で採用に関する悩みがある方は以下の記事を参考にしてください。
柔軟な働き方の実現
柔軟な働き方を実現するには以下のような取り組みが効果的です。
- 育児休暇の取得しやすい環境整備
- 短時間勤務制度の導入
- 在宅勤務
- フレックス制度
- 副業の許可
育児休暇の期間は法定の範囲内で会社が上限を設定できますが、従業員が期間を決められるような配慮が必要です。期間の決定においても、出産前ではなく復帰したいと思う数か月前など、育児状況によって決められるような仕組みづくりができれば、より魅力的にうつるでしょう。
また、在宅勤務を可能にする場合、困ったことがあった際にすぐ解決できるようなチャットツールなどを活用するのが有効です。
全ての従業員の要望を叶えるのはほぼ不可能です。あらかじめ受け入れられる条件を決めておくと良いでしょう。
採用基準の設定
採用基準を設定することで、求職者が求人票やオファー文をみた際、選びやすくなります。求人情報やオファー文が未経験歓迎といった抽象的な表現では、候補者にとっては魅力的にうつりません。
例えば、未経験者歓迎とするなら、入社後やキャリアアップ研修について記載したり、未経験からのキャリアビジョンの一例を示すと入社後のイメージがつきやすいでしょう。「本当に未経験でも大丈夫かな」といった求職者の不安を払拭できるといえます。
求人情報をみて求職者が「自分が求められている」と思えるくらい採用ターゲットを明確化する必要があります。
注意点として、すべての求職者がワークライフバランスを重視しているわけではありません。
特に、フルコミットしてほしいベンチャー・スタートアップ企業は、「所定外労働が多いが高給与」「やりがい重視」など事実と異なることは記載せず、欲しい ほしい人材が集まるような求人情報を書くべきです。
スピーディーな採用活動で人材獲得を促進したい採用担当者の方は以下の記事を参考にしてください。
独自サービスの開発
下請け企業は長時間労働や所定外労働が増えがちです。待遇を良くするといっても限界があるでしょう。
独自サービスがあれば、企業の特徴を明文化しやすいメリットがあります。自社サイトも充実し、求職者に魅力的にうつることから母集団形成も容易になるでしょう。
独自サービスを開発するには、まずリソースの確保が必要です。トレンドや顧客ニーズの深掘りも重要であり、サービス開発後は運用・保守も必要なため緻密な計画立案が求められます。
業務の一部を外部委託したり副業人材も視野に入れることでと、リソース不足やスキル不足については解決できるでしょう。
社員へのフォロー
変化の激しいIT業界にチャレンジしようと入職したものの、実際に働いてみて心身ともに負担を感じる人は一定数生じます。
特に入社後すぐは細やかな声かけによるフォローを欠かさず、離職の意向がないか確認する必要があるでしょう。
業務負担を感じている場合は、丁寧にヒアリングを行い、単に業務量が多いのか、業務手順で不明点があるのかなど原因を深掘りする必要があります。
入社後の研修制度やフォロー体制はあらかじめ確立しておきましょう。
採用代行(RPO)サービスの導入
IT業界では人材確保が難しく、大手は待遇改善がしやすい一方で、中小企業は採用に苦労するケースも少なくありません。
採用活動の成功には、十分なリソースとノウハウが必要となります。
採用代行(RPO)サービスなら、長年培ったノウハウとさまざまなスキルを活かして自社の採用を成功させます。採用担当者が兼務している場合や経験の浅い担当者、なかなか人が集まらないなど採用に課題がある企業は外部サービスの導入がおすすめです。
以下の記事では、おすすめの採用代行会社を紹介しています。
IT業界の離職率は増加傾向|対策を講じ人材を確保しよう
IT業界の離職率を上昇させる要因として、教育体制の不備や過度な所定外労働、キャリアサポートの欠如が挙げられます。日本企業全体の課題でもあるため、早急に対策を講じれば他社との差別化もでき求職者にとって魅力的にうつるでしょう。
また、人材確保のためには一つの採用手法ではなくいくつかの手法を使いこなす必要があります。米国で主流になっている「リファラル採用・アルムナイ採用」も効果的です。
リソースとノウハウが必要な採用においては、採用代行サービスの活用も検討することをおすすめします。
「まるごと人事」なら、候補者への丁寧なレスポンスや面接日時の設定、わかりやすい募集要項やスカウトメールの作成、採用広報活動のサポートなどを、企業ごとに専任のサポートチームが支援します。
採用に関する相談を無料で受け付けています。自社の魅力を最大限に打ち出し、企業の採用担当者の負担や工数を減らしながら、効率的なIT人材採用を進めましょう。

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