採用・労務・経理に関するお役立ち情報

2025.09.10 更新日:2025.09.10
この記事の監修者:今 啓亮

この記事の監修者:今 啓亮

医師の採用方法|おすすめの求人媒体と採用成功率を高める施策について解説

医師の有効求人倍率が2.38倍という厳しい採用環境の中、多くの医療機関が優秀な医師の確保に苦戦しています。

実際に、働き方改革により医師のワークライフバランス重視の傾向が強まっており、地域による給与格差や勤務条件が採用の成否を左右する重要な要因です。

本記事では、最新の医師採用データを基に、おすすめの求人媒体や採用成功のための具体的な6つのポイントについて詳しく解説します。

自院の採用課題における解決策の抽出や、求める医師を確保するための実践的な戦略立案にお役立てください。

採用計画のたて方でお悩みの採用担当者の方は以下の記事を参考にしてください。

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医師の採用における現状

採用コンサルティングの選び方

医師採用を成功させるためには、まず業界全体の現状を正確に把握することが重要です。

本章では、最新の求人倍率データと全国47都道府県の給与実態を詳しく分析します。これらのデータを活用すると、競合医療機関に対する優位性を確保し、効果的な条件設定に役立ちます。

有効求人倍率は2.38倍

令和5年7月の医師採用における有効求人倍率は、常勤フルタイムで2.38倍、非常勤で1.41倍であり、常勤での採用が喫緊の課題です。常勤での採用が難しい背景として、医師の時間外労働や休日労働があります。

時間外労働や休日労働を改善するため、2024年4月より「医師の働き方改革」による取り組みが開始されました。実際には取り組みが始まったものの、病院常勤勤務医の約4割が年960時間超、そのうち約1割が年1,860時間超の時間外・休日労働をしているのが現状です。
参考:職業別<中分類>常用計 有効求人・求職・求人倍率 (令和5年7月)

全産業でワークライフバランスを重視する働き方を求められる中、医師業界でも同様の傾向が見られます。

特に女性医師は育児や介護を理由に時短勤務や非常勤勤務を選択するケースが増加しており、常勤医師の確保がより困難になっています。

年齢階級別にみた時短常勤、非常勤となっている理由
出典:女性医師の勤務環境の現況に関する調査報告書

ワークライフバランスを重視した働き方を求める医師が増えてきているのは間違いないですが、向上心高く仕事にコミットしたいと思う医師も珍しくありません。

データを踏まえつつ、どのような人材に入職してもらいたいかを考え人材要件を確定する必要があるでしょう。首都圏と地方の求人倍率格差は1.5倍以上であり、地方では独自の魅力付けが不可欠です。

求人募集文で自院の魅力づけができているか確認したい場合は以下の記事を参考にしてください。

給与の実態

一般病院における令和4年度の医師の平均年収は、令和3年度と比較しほぼ同水準です。
医療従事者でも薬剤師や看護師、医療技術員の平均年収は前年度と比較し2〜8万円上昇しているにもかかわらず、医師に限って年収が上がっていない現状も把握すべきといえます。

平成27年度から令和4年度の平均年収比較については以下のとおりです。

平均年収比較
出典:第24回医療経済実態調査 結果報告に関する分析

また、都道府県によって平均給与の差が生じています。
下記は、2023年の医師の給与統計を降順にしたものです。医師採用における提示金額の参考にしてください。

平均年収比較
出典:第24回医療経済実態調査 結果報告に関する分析


都道府県 きまって支給する現金給与額【千円】 所定内給与額【千円】 年間賞与その他特別給与額【千円】
沖縄県1,4541,3561,095
北海道1,3601,2931,517
青森県1,3571,207528
鳥取県1,3261,225822
群馬県1,2871,0752,222
山形県1,2741,0601,159
埼玉県1,2201,1271,310
愛知県1,2121,0661,429
福島県1,2091,0432,552
滋賀県1,206982919
新潟県1,186989647
東京都1,1831,1151,009
高知県1,1771,0011,836
富山県1,1671,0431,977
静岡県1,1669851,124
兵庫県1,1579981,267
熊本県1,1471,051470
秋田県1,1121,0221,155
長崎県1,1109721,118
神奈川県1,1109271,616
広島県1,1079582,491
岩手県1,1031,008934
三重県1,1039541,192
愛媛県1,0979521,635
大分県1,0959991,672
全国1,0919501,276
香川県1,0768402,079
佐賀県1,0708981,656
宮崎県1,0611,029415
宮城県1,0618991,972
長野県1,0538732,032
山口県1,0428451,837
徳島県1,0218131,754
福井県1,015892798
島根県1,0148952,176
奈良県1,006913842
京都府998859759
大阪府9957941,295
千葉県9808671,204
山梨県974705481
福岡県9688361,044
岡山県9567812,029
和歌山県955857393
栃木県9408081,746
岐阜県8917441,188
茨城県879750240
鹿児島県827717677
石川県762698205

賃金構造基本統計調査令和2年以降 一般_都道府県別_職種(特掲)DB | 統計表・グラフ表示のデータを降順にしたものを筆者が作成

きまって支給する現金給与額:労働契約、労働協約あるいは事業所の就業規則などによってあらかじめ定められている支給条件、算定方法によって6月分として支給された現金給与額をいう。手取り額でなく、所得税、社会保険料などを控除する前の額である。
所定内給与額:きまって支給する現金給与額のうち、超過労働給与額を差し引いた額をいう。
年間賞与その他特別給与額:調査実施年の前年1年間(原則として1月から12月までの1年間)における賞与、期末手当等特別給与額(いわゆるボーナス)をいう。
引用:賃金構造基本統計調査で使用されている主な用語の説明

医師の給与・待遇を改善するには以下の支援事業や助成制度の活用をおすすめします。

  • 労働時間を削減するための取り組みで発生した下記の費用の一部が助成される 
    • デジタル画像診断システムの導入
    • 内視鏡自動洗浄機の導入
    • コンサルティング料
    • 人材確保に向けた取り組み
    • 労働者に対する研修・周知・啓発活動
      
  • 令和7年度 医療施設等経営強化緊急支援事業 
    • ICT機器等の導入による業務効率化
    • タスクシフト/シェアによる業務効率化
    • 給付金を活用した更なる賃上げ
    •  
     

参考:
令和7年度働き方改革推進支援助成金について
補助金|医業経営
医政発 0401 第5号 令和7年4月1日 各 都道府県知事 殿 厚生労働省医政局長 (公 印 省 略

医師の採用における実態を把握し、自院の採用計画を立案してください。

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医師採用でおすすめの求人媒体5選

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効率的に医師の採用を成功させるなら、求人媒体の活用がおすすめです。医師に特化した求人媒体5社の特徴を表にしました。

サービス名 特徴 求人 利用者数 費用 返金制度 厚生労働大臣認可 オファー
マイナビDOCTOR 50年以上の歴史があるマイナビグループが運営 20,000法人以上 年間200万人以上 完全報酬制
理論年収の20〜35%
日数により変動 候補者への直接連絡は不可
医師転職ドットコム 採用後の定着率94.6%
求人サイトに掲載可
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リクルートドクターズキャリア 日経メディカルonlineと連携 8/8現在 16,158件
非公開1万件以上
会員数23万人 初期費用5万円
3つのプランあり
記載なし 記載なし 直接オファーOK
20項目から絞り込み可能
M3キャリアエージェント 求職医師の情報を毎週配信
求人サイトに掲載可
記載なし 会員数33万人以上 想定年収の25〜30% 記載なし 記載なし 直接オファーOK
民間医局 全国に16拠点を持つ
医師・医学生の登録者数は年々増加
18,000法人 会員数17万5千人 成功報酬 職業紹介が成功した場合における当該求職者の年間賃金の100% 日数により変動 記載なし

登録者数が多くても、自社の地域における求職者や求職志望度がどの程度なのかは抑えるべきポイントです。

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医師の採用を成功させるための6つのポイント

医師の採用を成功させるための6つのポイント

医師の採用は一般職種と異なり、専門性の高いアプローチが必要です。

ここでは医師採用を成功させるための具体的な方法を6つのポイントに分けて、戦略立案から実際の人材獲得、定着までの一連のプロセスを網羅的に解説します。

人材確保についてより詳しく知りたい方は以下の記事も参考にしてください。

自院のブランディングを強化する

自院のブランディングを強化するなら「インナーブランディング」を作り上げる必要があります。

自院の魅力や病院理念について理解しているかを、理事長や院長を始めとして、医師や看護師などの現場で働くスタッフから以下の項目をヒアリングしましょう。

  • 当院を選んだ決定的な理由
  • 他院と比較して感じる当院の強み
  • 働き続けたいと思う具体的な要因
  • 同僚に推薦したいポイント

これらの回答を分析し、採用サイトや求人広告に反映することで、求職者との認識のズレを防ぎ、ミスマッチを避けられるでしょう。

ブランディングについては以下の記事を参考にしてください。

勤務希望地を超えた採用アプローチを行う

実際に、希望する勤務地から離れたエリアでの採用成功例もあります。
独身だけでなく、家庭があっても単身赴任を選択する医師も珍しくありません。

地方採用では、、以下のような条件を提示することで、遠方からの応募を促進できます。

  • 新幹線通勤の交通費全額支給
  • 転居費用・敷金礼金の全額負担
  • 家族帯同支援制度
  • 月数回の帰省費用補助(単身赴任の場合)

自社の魅力を打ち出したうえで、距離的デメリットを上回る魅力的な条件と職場環境を提示すると良いでしょう。

採用ターゲットを明確にする

求める人材を獲得するには、採用ターゲットを明確にする必要があります。
募集文作成にあたり、「やりがいを重視」と「ワークライフバランスを重視」ではアピール内容が異なります。

自社が求める人材のスキルや人柄、志向性を具体的に言語化し、人材要件と採用ペルソナを決めましょう。

効果的な医師採用には、以下のような募集する人材の明確な要件定義が必要です。

  • 専門分野・経験年数
  • 求めるスキルレベル
  • 価値観(キャリア重視 or ワークライフバランス重視)
  • 勤務形態の希望
  • 将来的なキャリアビジョン

例えば「消化器内科・経験5年以上・地域医療に貢献意欲のある医師」といった具体的なペルソナ設定により、的確なアプローチが可能になります。

キャリアアップや裁量の大きさなども明記すると、求職者にとって参考になるでしょう。

具体的な採用ターゲットの設定は以下の記事を参考にしてください。

条件面の待遇は徐々に提示する

給与や各諸手当などの待遇面は、始めから好条件を提示せず、求職者の志望度に応じて、段階的に提示する戦略が効果的です。

先に好条件を出すと、一見すぐに人材を確保できると思いがちですが、自院の理念や採用への思いを伝え共感性が高まってからではないと、ミスマッチが発生する可能性が高いといえます。

採用段階が進み入職を決めかねているタイミングで良い条件を提示すると、求職者の決意が固まりやすいでしょう。

入社後のフォローはこまめな声かけを

医師の早期離職を防ぐには、入職から3ヶ月間の集中的なフォローアップが重要です。一般的に、入社後数ヶ月は離職希望が高まりやすい傾向があります。

医師間のコミュニケーションはもちろん、看護師や薬剤師など、他職種とのスムーズな連携が図れる環境を構築するために以下の取り組みが有用です。

  • メンター制度による1対1の相談体制
  • 週次の定期面談(最初の1ヶ月)
  • 他職種との連携研修プログラム
  • 診療フロー・院内システムの段階的習得支援

風通しの良い職場なら、困った際に一人で抱えず相談もしやすいはずです。早期離職を防ぐことが採用コスト削減につながります。

採用代行(RPO)サービスの導入

医師の採用がうまくいかず、またリソースが割けない場合、採用代行サービスの導入を検討すると良いでしょう。医師採用に特化したRPOサービスの導入は、専門性の高いノウハウと効率性を同時に獲得できる有効な手段です。

採用代行サービスなら、自院に変わってノウハウを持つ経験豊富な採用担当者が下記の業務を担います。

  • 専門性を理解した候補者スクリーニング
  • 医療業界のトレンドを踏まえた採用戦略立案
  • 内定辞退防止のためのフォロー施策

医師の採用なら直接オファーが効果的ですが、リソースを割くといったデメリットも把握しておくべきでしょう。サービス導入で採用コストを削減し、コア業務に注力できるといったメリットもあります。

リソースが不足していると採用段階が進むのに時間がかかります。候補者の志望度を落とさないためには、スピード感も大事です。

採用代行サービス導入の際は、医師採用の実績・成功事例、医療業界への理解度、フォロー体制の充実度を重視して選定しましょう。

以下の記事では、採用代行サービスを比較しています。

医師の採用方法は直接オファーが効果的

医師の採用方法は直接オファーが効果的

医師の採用を成功させるには求人媒体を活用しつつ直接オファーをすることが重要です。

そのためにもまずは以下の3つを実施しましょう。

  • 自院の採用力を客観視
  • 適切な求人媒体の選択
  • 採用プロセスの最適化

新型コロナウイルス感染症(Covid-19)をきっかけに、採用段階において全てオンラインで選考を完結させる医療機関も増えてきています。
しかし、職場環境やスタッフ間のコミュニケーションを通した活気ある雰囲気が強みであれば、見学や対面での面談を貫くのも一つの戦略です。

医師の採用方法はコンサルタントと密な連携を図りながら直接オファーを出し、効率的に成功させましょう。

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この記事の監修者:今 啓亮
この記事の監修者:今 啓亮

まるごと人事として560社以上の企業の採用支援
書籍『「本当にほしい人材」が集まる中途採用の定石』好評発売中

2015年に東京でマルゴト株式会社(旧社名:株式会社ビーグローバル)を創業。
スタートアップから大手企業まで幅広く採用関連のプロジェクトに携わった後、2017年に月額制の採用代行”まるごと人事”の提供を開始。
2021年にバックオフィス代行”まるごと管理部”(労務プラン・経理プラン)も開始。
「理想のサービスと理想の職場を同時実現する」を経営理念に掲げ、全員がフルリモートで働くユニークな組織運営を行う。
2022年に本社住所を東京から札幌に移転し、自身も関東から札幌に移住。

出演イメージ

2024年11月、ABEMAの報道番組「ABEMA Prime」に
採用のプロフェッショナルとして出演。
> 出演した番組はこちら

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