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採用活動で企業が求人をおこなううえで、重要な役割を担うのが募集要項です。
自社が求める人材にアプローチし、応募につなげるためには書き方に工夫が必要です。
本記事では、募集要項とはなにか、必要な項目や記入例、書き方のポイントを解説します。ぜひポイントを押さえて、魅力的な募集要項を作成しましょう。
募集要項とは
募集要項とは、求人に関連する応募条件や給与、勤務時間などを記載した文書です。ただし、募集要項には記載しなくてはならない項目があり、職業安定法によって定められています。
作成した募集要項は自社の採用サイトや、採用媒体などに掲載します。
企業の第一印象を決めると言っても過言ではなく、求職者が応募するかどうかを判断するうえで重要な役割を果たすと言えるでしょう。
求職者からの応募を促すためには、必ず記載する項目にくわえて、求職者が知りたい項目を入れたり、自社の魅力を的確に訴求したりすることが重要です。
募集要項の項目と書き方
募集要項には、職業安定法によって定められた項目があります。また、それ以外にも求職者が知りたいポイントとして記載をおすすめする項目も紹介します。
記載が必要な項目
募集要項に必ず記載する項目は下記の13項目です。
- 業務内容
- 契約期間
- 試用期間
- 就業場所
- 就業時間
- 休憩時間
- 休日
- 時間外労働(※裁量労働制を適用する場合は、その旨を記載する必要があります)
- 賃金(※固定残業代を適用する場合は、基本給や時間外手当など支給額の詳細を記載しなければなりません)
- 加入保険
- 募集者の氏名または名称
- 受動喫煙防止措置の状況
- 派遣労働者として雇用する場合はその旨
記載をおすすめする項目
下記は必須項目ではないものの、求職者が知りたいポイントです。記載することで、他社の募集要項との差別化が期待できます。
- 働き方に関する内容(有給消化率・平均残業時間・リモートワークの有無・副業の可否)
- スキルアップ支援に関する内容(社内研修制度・資格取得支援)
- 社内の雰囲気(男女比・平均年齢・職種別の人数比・中途採用比率)
- 給与に関する内容(昇給の有無やタイミング・賞与の有無)
募集要項の記入例と項目別の書き方
ここでは募集要項の記入例と項目別の書き方を解説します。
募集要項の記入例
雇用形態 | 正社員 |
業務内容 | デジタルマーケター |
応募要件 | ■必須要件 ■歓迎要件 |
契約期間 | 期間の定めなし |
試用期間 | 入社後3ヶ月(試用期間中も待遇に変更なし) |
給与 | 年収500~600万円 ※経験、能力に応じて当社規定により決定します |
昇給 | 昇給年1回 |
福利厚生 | ■賞与年2回 |
教育・研修制度 | ■スキルアップ手当 |
勤務地 | 東京本社および自宅 |
勤務時間 | 9:00~18:00 |
休日・休暇 | 完全週休2日制(土・日)、祝日 |
その他 | ■現状はリモートワークとオフィス出社を併用した勤務です |
項目別の書き方
募集要項のポイントとなる項目について、書き方を解説します。
1. 業務内容
業務内容は求職者が入社後に「どのような業務に従事するのか」をイメージできるよう、具体的に書きましょう。
職種だけではなく、求めている経験、スキルにくわえ、業界、事業内容、扱う商品や具体的な業務内容も記載することで、働くイメージがつきやすくなります。
業務を詳細に想定できると、自身のスキルをどのように活かせるか、どのようなメリットがあるのかを検討でき、応募するかどうかの判断がしやすくなると言えるでしょう。
2. 応募要件
応募要件には、応募にあたって求職者に求める能力を記載します。
応募要件には、必須要件と歓迎要件を設定しましょう。必須要件は募集職種において、業務を遂行するために最低限必要な条件です。選考基準にも関わる項目のため、求めるスキルや能力、経験は具体的に記載する必要があります。
一方、歓迎要件は募集職種において、あると望ましい条件です。もっていると望ましいスキル、経験にくわえて、志向性や人柄などの項目が挙げられます。
必須要件、歓迎要件はなるべく少なくすることが、応募数を増やすポイントです。
3. 試用期間
試用期間を設けている場合には、期間を記載しましょう。
また、試用期間中の労働条件や給与形態、福利厚生などが正規雇用後と異なる場合には、求職者との齟齬を防ぐために記載が必要です。
4. 就業場所(勤務地)
オフィス出社が前提となる場合は、勤務地となる市区町村や最寄駅などの詳細な情報を記載します。
職種によっては複数の就業場所が発生する場合もあるため、転勤があるかどうか、期間ごとに就業場所が変わるかどうか、といった内容も分かりやすく記載しましょう。
また、近年ではリモートワークを導入する企業も増えています。リモートワークの有無や、出社の頻度も併せて明記しましょう。
募集要項を書く際の4つのポイント
求める人材にアプローチをするためには、自社がどのような企業なのか、どのような人材を求めているのかを募集要項で明確に記載することがポイントです。
ここでは書き方のポイントを4つ解説します。
1. 採用ターゲットを明確にする
はじめに採用ターゲットを明確にしましょう。
採用ターゲットを明確にすることで自社が求める人材に向けて、効率的なアプローチがきるだけでなく、採用ミスマッチの抑制も期待できます。
採用ターゲットは、募集職種において求められる能力、スキルや経験、望ましいパーソナリティなどの要件をもとに、対象を絞り込んで設定していきます。
対象を絞り込むことで、適切な採用媒体を選定できたり、訴求するポイントを明確にできたりするため、採用コストの適正化につながります。
また、求職者側で応募するかどうかの判断がしやすくなり、自社が求める人材からの応募を増やす効果も期待できます。
2. 自社の魅力を具体的に伝える
応募を促すためには、自社ならでは魅力を明確に伝え、他社との差別化を図ることが重要です。
求職者は多くの求人から企業を選んでいます。他社との違いを明記することで数ある求人のなかから求職者の目に留まり、応募してもらえる可能性を高められるでしょう。
そのためには、自社の魅力はなにかを整理し、言語化しておく必要があります。魅力の項目としては、会社・事業の成長性、仕事のやりがい、カルチャーやオリジナルの制度などさまざまな要素が挙げられます。
整理した要素から、とくに訴求したいポイントを募集要項に記載しましょう。
また、記載する際には伝えたいポイントをそのまま書くのではなく、数字やエピソードなどの具体的な情報を交えるとイメージがしやすく、魅力が伝わりやすくなります。
下記の例を参考にしてみてください。
もとの文章 | 変更した文章 |
早くからマネジメントに挑戦できます | 入社3年でマネジメント職として活躍している人材も多くいます |
事業成長中です | 3年連続増収増益。前年度比130%の成長率です |
残業が少ないです | 月の残業時間は平均10時間です |
3. 端的にわかりやすく伝える
求職者は業界知識や専門知識がないなかで募集要項を見ている場合や、短時間での情報収集を目的に閲覧している場合もあります。
そのため、応募を判断するうえで必要な情報をひと目で把握できるように専門用語や難しい表現はできるだけ避け、だれにでも伝わる表現を使いましょう。
募集要項から自社で働くイメージをもてると印象に残りやすく、応募してもらえる可能性を高められます。
4. 求職者が知りたいポイントを記載する
自社が訴求したい魅力だけでなく、求職者が知りたいポイントを記載することで募集要項の効果を高められます。
たとえば、「記載をおすすめする項目」で紹介した内容は、有給消化率、リモートワークや副業の可否、研修の有無、社内の雰囲気などは、実際に働くうえで求職者に直接的に関わる情報となり、知りたいポイントとなるでしょう。
募集要項を書く際の注意点
募集要項には、男女雇用機会均等法や職業安定法、雇用対策法によって記載が禁じられている項目があります。下記の項目は記載が禁じられているため、注意が必要です。
- 性別による制限
- 年齢による制限
- 適正と能力に関係がない事柄による差別(※家族環境、生活環境、思想信条による差別など)
- 嘘や誇張表現
下記で性別と年齢について記載方法の注意点を解説します。
性別を限定する表現
企業には性別に関わりなく平等な雇用の機会を設けることが求められているため、募集要項に性別を限定するような表現を記載することは、禁止されています。
下記のような表現は該当となるため注意しましょう。
- 「看護婦」「セールスマン」「○○レディ」など一方の性別のみを表す言葉を使うこと
- 「総合職は男性◯名、女性◯名」など男女別の採用人数を決めて募集・採用すること
- 写真やイラストで、一方の性に偏った職場を表現すること
そのため「看護婦」ではなく「看護師」、「セールスマン」ではなく「営業職」と記載するなど、性別を限定しない表現への変更が必要です。
年齢を限定する表現
企業には年齢に関わらない均等な雇用の機会の提供が求められているため、年齢に明確な制限を設ける表現の記載も禁止されています。
応募に際して一定の基準を設けている場合であっても、年齢は明記せず「求める能力・スキル」を記載します。
下記のような表現は抵触してしまうため、改善案とあわせて確認しましょう。
例①「企画職 若い方限定」
→(改善案)おもに20代をターゲットとした化粧品の企画であることを明記し、市場調査やユーザー視点での商品開発をおこなう観点から、ターゲットの年齢層に近い人材の募集であることが伝わる文言を入れる
例②「法人営業職 30歳以下」
→(改善案)長期のキャリア形成を目的とした募集である旨を明記し、若手・第二新卒の募集であることが伝わる文言を入れる
2024年の法改正への対応
今回、職業安定法施行規則の一部が改正されて、2024年4月1日より、求職者等に対して明示しなければならない労働条件に、次の項目が追加されます。
- 従事すべき業務の変更の範囲
- 就業場所の変更の範囲
- 有期労働契約を更新する場合の基準(通算契約期間、更新回数の上限を含む)
記載が必要な項目 | 記載例 |
業務の内容 | (雇入れ直後)人事業務 (変更の範囲)人事、総務、経理業務 |
就業の場所 | (雇入れ直後)北海道本社 (変更の範囲)北海道内、〇〇支社、在宅勤務 |
契約期間 | 期間の定めあり (2024/4/1~2025/3/31) 契約の更新:有 (契約満了時の業務量により判断) 更新上限:有 (通算契約期間の上限4年/更新回数の上限3回) |
業務の内容(変更の範囲)、仕事の内容(変更の範囲)等について、求職者は採用の段階から確認できるようになります。
今までは、求職者は入社して仕事を行いながら将来のキャリアプランを検討する傾向が強かったと考えられます。今回の法改正により、今後は入社前に既に自身のキャリアを描き、その上で働く会社を決める人々が増えることが予想されます。
企業側にとっては、具体的なキャリアプランが示されない場合、労働条件を採用段階から明確に提示することは非常に困難だと感じることでしょう。企業規模に関わらず、労働者から選ばれる企業となるためには、よりジョブ型採用などの採用戦略も取り入れていくことが重要です。
その対応策として、以下の点に注目することが望ましいです。
- 求職者が入社前に業務内容や仕事の範囲を理解できるように情報提供を行う
- 企業側が明示的なキャリアプランを提示し、労働条件を把握しやすくする
- 社労士などの専門家に依頼して、労働条件やキャリアプランに関するコンプライアンスを確保する
これらの取り組みにより、労働者が自分のキャリアを見据えた選択をしやすくなるだけでなく、企業も適切な労働者を確保しやすくなります。
募集要項完成時のチェックリスト
募集要項が完成したら下記のチェックリストをもとに、抜け漏れがないかを確認しましょう。
- 記載すべき項目に漏れはないか
- 求職者が知りたい項目が網羅されているか
- 記載が禁じられている項目はないか
- 求める人物像は明確になっているか
- 応募要件記載されている要件は具体的か
- 自社の魅力は言語化されているか
- 魅力は数字や事例、エピソードなどで具体的に訴求できているか
- 他社との差別化ができているか(自社ならではの魅力を訴求できているか)
- 端的でわかりやすい表現になっているか
ポイントを押さえて、魅力的な募集要項を作成しましょう
本記事では募集要項とはなにか、記入例や書き方のポイント、記載にあたっての注意点などを解説しました。
募集要項は、求職者が応募するかどうかを判断するうえで、最初に確認する重要な役割を果たします。
記載する項目には注意が必要ですが、自社の魅力や業務、働き方に関する具体的な情報を入れたりすることで効果的な募集につながります。
ぜひ本記事で紹介したポイントを参考に、魅力的な募集要項を作成し、採用活動に役立ててください。
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