採用・労務・経理に関するお役立ち情報

IT業界での人材確保をめぐる競争は、激化の一途を辿っています。人材不足により、ITシステムを運用・保守できなければ、企業は市場競争で大きく出遅れるリスクを抱えてしまうでしょう。
本記事では、IT業界における人材不足の実態を深掘りし、企業への深刻な影響、人材不足への具体的な対策まで、採用担当者が知っておくべき情報を網羅的に解説します。
DX推進が企業存続の鍵となる今、一刻も早い対策を講じましょう。

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目次
IT業界における人材不足の実態
専門性が高いIT分野では、優秀な人材をめぐる企業間の競争が激化しています。経済産業省の調査によると、2030年には最大79万人のIT人材が不足すると予測されており、この数字は企業の採用戦略に大きな影響を与えています。
採用状況と求職者の実態を把握することで、自社の人材不足における課題解決につながるため、ぜひ参考にしてください。
採用に成功している企業が積極的に活用している採用手法は、攻めの採用といわれる「ダイレクトリクルーティング」です。一方で、企業の認知度が低くないものの、応募数が伸び悩み、採用段階が進まない場合は、企業側の採用要件が厳しい可能性もあることも認識しておくべきでしょう。
採用課題がある企業は、優秀な人材獲得へ向けて早急な対策を講じることをおすすめします。
以下の記事では、ダイレクトリクルーティングで、自社にマッチした人材を採用するためのポイントについて解説しています。
求職者の動向
現状、働いているIT人材の約4割が「転職活動中」または「検討中」と回答しています。
実際に転職した人の中の約6割が年収アップし、そのうち4人に1人は100万円以上の増額も実現してます。
出典:リクルートエージェント「転職市場の展望【2020年版】」
リクルートエージェント「2019年10-12期 転職時の賃金変動状況」
年収増加が見込まれ、エンジニアの約4割は転職を検討していても、積極的に活動しているわけではありません。
転職に踏みきれない理由として以下が挙げられます。
- 現在の企業や仕事内容に満足している
- 収入の継続性や安定性を重視したいから
- 転職活動が面倒だから
- 転職が成功するかどうか不安だから
- 転職市場で通用するスキルがないと思うから
上記の転職したくない理由がある一方で、転職を決意した人は給与面や仕事内容への不安が大半です。良い条件を提示できれば採用の可能性は高まるとも認識できます。
参考:デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進に向けた 企業とIT人材の実態調査

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IT業界の人材が不足している理由
将来的なIT人材の不足が示唆されている昨今、大手企業の中には、高待遇で優秀な人材を囲い込む動きも見られます。
効果的な採用戦略を立案し、いち早く人材を獲得するためにも、IT業界の人材がなぜ不足しているかについて理由を深掘りします。
IT需要の拡大
多くの企業がITシステムを外注していますが、DXの取り組み推進により、自社でのIT人材の獲得が喫緊の課題です。
出典:DX動向2024-深刻化するDXを推進する人材不足と課題
DXを推進する人材の中でも「ビジネスアーキテクト」「データサイエンティスト」が大幅に不足しています。
※ビジネスアーキテクト:DX の取組み(新規事業開発/既存事業の高度化/社内業務の高度化、効率化)において、目的設定から導入、導入後の効果検証までを、関係者をコーディネートしながら一気通貫して推進する人材
※データサイエンティスト:DX の推進において、データを活用した業務変革や新規ビジネスの実現に向けて、データを収集・解析する仕組みの設計・実装・運用を担う人材
下記においては特に人材が不足しています。
- AI
- Iot
- クラウド
- セキュリティ
システム障害が起こりやすいレガシーシステムを運用・保守できる人材も限られているため、システムの刷新が必要でしょう。
そのため、単純な開発スキルだけでなく、ビジネス理解を併せ持つ複合的な人材への需要が急激に高まっています。
現役IT人材の高齢化
IT業界では、ベテラン人材の高齢化が進んでいます。特に50歳以上の転職者数はスキルの高さから年々増加しています。
出典:50歳以上のITエンジニアの転職が5年で4.3倍に 背景には「2025年の崖」問題 老朽化したシステムの維持・刷新に不可欠な人材の需要が高まる | 株式会社リクルート
50歳以上のIT人材は、クラウドのオープン化に伴う移行経験や、コミュニケーション力の高さがうかがえます。経験豊富なIT人材が定年退職や転職でいなくなると企業にとっては痛手といえるでしょう。
IT人材不足が企業に与える影響
SuperVUCA(不安定で不確実で複雑で曖昧な状況のその先)と呼ばれる現代において、IT人材の不足は企業経営に打撃を与えるでしょう。
ここでは以下2点についてどのような影響があるか解説します。
市場競争力の低下と事業機会の逸失
IT人材が不足すると、システムの運用・保守に直接的な影響が出る可能性が高まります。
DX推進の遅れは、競争環境での優位性を失い、新たな市場機会を逃す原因となるでしょう。IT人材が不足すると、システムの運用・保守に直接的な影響が出る可能性が高まります。
IT人材不足により業務の自動化が進まなければ、手作業が増え企業全体の生産性を低下させるでしょう。
「経済産業省の『DXレポート』によると、DXの遅れにより2025年以降、年間最大12兆円の経済損失が生じる可能性があるとも警告されています。
新たなITシステムの導入において、現場から批判的な声もあるといった企業もありますが、DX化が実現されないと大きな経済損失が生じる可能性が高いと認識しておくべきです。
参考:DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~
システム障害対応とイノベーション創出の停滞
IT人材のスキル不足によって、高度化するITシステムに対し情報セキュリティ対策が十分に実施できないケースも生じるでしょう。
システム管理が適切にされていない場合、サイバー攻撃のリスクが増大し、顧客データ流出や、ひいてはビジネス停止の危険性も生じます。
実際に、大手企業でもシステム障害により数時間のサービス停止で数億円の損失を被るケースも発生しています。
またシステム管理だけでなく、激しい変化が続く現代において、継続的なイノベーション創出ができない企業は淘汰される危険性もあるでしょう。実際に、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による影響で、多くの企業が事業継続の危機に直面しました。
そのような中、優秀なIT人材がいる企業では、仕組みの再構築や新たな取り組みの実現により、業績悪化の時期を乗り越えさらなる飛躍をとげています。
IT業界の人材不足は、経営に直結すると言えるほど深刻な問題です。

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IT業界の人手不足における対策
ここでは、深刻化するIT人材不足に対し、企業が今すぐ取り組める4つの対策を紹介します。
採用戦略の見直し
IT人材を採用するには、自社の採用力が求められます。採用を成功させるためには、まずは採用戦略の見直しが必要です。
採用戦略を立案する際は、以下の手順で進めましょう。
- 採用したいターゲットと採用基準を決める
- 自社の強みを明確に捉える
- 自社が打ち出すべき価値を明確にする
- 採用手法の洗い出し
- 採用スケジュールとKPIを決める
- 優先すべきアクションを決める
競合他社との待遇競争に焦点を当てがちですが、重要なのは求職者が企業理念やカルチャーに共感し、理想とする働き方が実現できると感じてもらうことです。
反対に、採用ターゲットを明確化せずに表面的な言葉で求人情報を掲載しても候補者は集まりにくいでしょう。
蓄積された採用ノウハウを活用しきれているかも再確認すべきです。
正社員採用だけでなく、副業人材の活用も検討すると良いでしょう。
採用戦略を立案するための具体的な手順やフレームワークについて詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてください。
業務効率化を図る
人員確保のための予算を、業務効率化のためのシステム導入に当てるのも、人手不足の対策といえます。RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)やAIツールの導入によって、手間が省けるでしょう。
データ入力やパターン化された業務が削減でき、新たに人材を獲得する必要がなくなる可能性も高まります。例えば、請求書処理の自動化により月40時間の工数削減を実現した企業や、チャットボット導入で問い合わせ対応を50%効率化した事例があります。
注意点として、システムを導入する際は現状の課題は何かを抽出し、業務プロセス自体を見直した上で検討をしましょう。
外部業者に委託する
情シス業務との兼任や新たに採用する予算が取れない場合は、IT業務を専門の外部業者に委託するのも方法の一つです。
外部委託なら、幅広い業務にも対応でき、サービスによってはアドバイスを求めることも可能です。
委託できるIT業務は以下のとおりです。
- ヘルプデスク
- コンサルティング
- 情シス業務
- 技術・開発
プランによっては業務の一部のみ、または運用まで全てを委託するなどさまざまです。
自社のIT人材が戦略的なコア業務に集中できるよう、外部委託も視野に入れると良いでしょう。
自社でIT人材を育成する
IT業界の採用では即戦力に目が向きがちですが、すでに自社で経験豊富な人材がいる場合は、ポテンシャル採用も一つの手です。
自社でIT人材の育成をする場合は、メンター制度や研修制度の導入や見直しのきっかけにもなります。勤続年数が増えたりキャリアアップできれば自社の強みとなるでしょう。
また、既存の営業職や事務職からIT職種への職種転換を支援することで、企業理解の深い人材を確保できる利点もあります。
ただし、すぐに辞めてしまえば採用コストも余計にかかってしまうため、細やかなフォローは欠かさないといった配慮が必要です。
優秀なIT人材の確保と定着で競争力を維持し人手不足に講じよう
IT人材の不足は、企業の経営課題に直結すると言えるでしょう。今後も予測困難な時代を生き抜き、さらなる業績向上を実現するには、優秀なIT人材を自社で確保することが不可欠です。
既存従業員のエンゲージメント向上と新たな人材獲得の両輪で取り組み、システム開発の内製化を目指すと良いでしょう。
まずは自社の課題を把握し、実行できる対策を講じ人材確保に取り組んでください。

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