採用・労務・経理に関するお役立ち情報

「選ぶ場」から「選ばれる場」へ
中小建設企業の多くが、採用面接を「見極め」の場と捉えています。
- 現場経験はあるか
- 資格はどの程度か
- 礼儀や態度はどうか
もちろん基本的な確認は必要です。しかし現代の採用市場では、面接とは“企業が評価される場”でもあるという認識が重要です。
企業が選ぶのと同じくらい、求職者も企業を選んでいる。この前提に立たない限り、「面接までは来るが辞退される」という事態を繰り返すことになります。
面接で伝えるべきは「働く実感」
求職者が企業に期待しているのは、「働いたらどうなるのか」「どんな日々が待っているのか」という具体的なイメージです。
しかし実際の面接では、
- 事業内容や会社沿革の説明だけで終わってしまう
- 現場の話が抽象的(「やりがいがある」「地域密着型」など)
- 選考スケジュールや制度説明に終始する
ということがよくあります。これでは、求職者の志望度を高めるのは難しく、他社と比較されれば埋もれてしまいます。
たとえば、「実際の1日の流れ」「一緒に働く上司・同僚の話」「入社後3ヶ月で任される仕事」などを、面接の場で丁寧に伝えることで、「この会社で働く自分」の解像度が高まり、入社意欲を高めることができます。
評価項目の可視化とフィードバック設計
面接時に「何を見ているか」を求職者が分からないと、不信感につながります。評価ポイントは事前に言語化し、社内で共有しておくのが理想です。
- 素直さ・吸収力・誠実さ
- 協調性・報連相・現場での立ち振る舞い
など、自社にとって大切な観点を明文化し、できれば評価シートに落とし込むと属人化を防げます。
また、最終的に不採用となった場合でも、簡単なフィードバックを返すことで、企業への信頼感が高まることもあります。特に若年層では、「なぜ落ちたか分からない」という体験がネガティブなクチコミにつながりやすいため注意が必要です。
面接官トレーニングは“最重要”投資
面接は、会社の第一印象を決める場でもあります。しかし、多くの企業では、面接官が「現場の経験者」や「社長」の一存で任命され、面接に関する研修や情報共有が不十分なことがあります。
- 質問内容が毎回バラバラ
- 聞いてはいけないNG質問(年齢、家族構成など)をしてしまう
- 圧迫的・一方的な面接になってしまう
こうした問題は、採用の歩留まりを大きく下げてしまいます。
面接官に対する「マインドセット」「面接設計」「質問スクリプト」「ロールプレイ研修」などは、採用成功のための最重要投資といえます。
また、面接官を固定せず、できれば複数名(例:現場社員+経営層)で行うことで、求職者の安心感や視野も広がります。
オンライン選考は“手抜き”ではない
コロナ禍以降、オンライン面接は一般化しましたが、建設業界ではまだ対面主義が根強い傾向があります。
しかし、特に遠方からの応募や若年層との初期接点としては、一次面談のオンライン化は非常に有効です。
- 時間的制約が少なく、日程調整がしやすい
- 求職者にとって心理的ハードルが低い
- お互いに「会うべき相手か」を判断できる
もちろん、現場見学や最終面接は対面が好ましいですが、“選考の第一歩”を軽くするという視点は大切です。
また、オンラインならではの工夫(事前資料の共有/社員紹介動画の活用など)も併せて行うと、「しっかり準備してくれた会社」という印象を与えることができます。
次回予告
次回は、採用活動の“要”である「定着・育成」について解説します。
現場で育つ仕組み、辞めないための支援、そして人が育つ職場文化づくりのヒントをお届けします。
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