採用・労務・経理に関するお役立ち情報

2025.06.13 更新日:2025.07.18
この記事の監修者:今 啓亮

この記事の監修者:今 啓亮

第4回 求人情報の設計と発信で「選ばれる会社」に【特別企画:建設業界採用ガイドブック解説】

「募集要項」は“技術情報”ではない

中小建設企業が陥りがちなミスのひとつが、求人情報を「スペックの羅列」としてしか発信していないことです。

  • 施工管理技士2級以上
  • 普通自動車運転免許
  • 月給25万円〜35万円
  • 社会保険完備
  • 週休2日制

たしかに必要な情報ですが、これは例えるなら「商品の性能表」のようなものです。求職者は単なる条件比較をしているのではなく、「この会社に応募したら、どんな未来が待っているか?」を想像したいのです。

この視点が欠けた求人情報は、よほど高待遇か立地条件がよくない限り、他社に埋もれてしまいます。

写真・動画・ストーリーの力

写真・動画・ストーリーの力

採用広報の肝は「共感」と「納得」です。

たとえば次のようなコンテンツは、特に若手や未経験者に響きやすいとされています:

  • 現場の1日のスケジュール(写真や図解)
  • 若手社員のインタビュー(入社の決め手/成長実感)
  • 代表の思いと求める人物像
  • 社内イベントや福利厚生の紹介
  • 工事のビフォーアフター

「知らないから不安」が「なんかよさそう」になるには、視覚的・感情的な情報が欠かせません。

写真は高価なものでなくても構いません。スマートフォンで撮った現場の様子でも、丁寧に構成して伝えるだけで十分効果があります。

また、文字コンテンツだけでなく、1分程度のショート動画(社員のひとことや社内風景)もSNS上では特に有効です。

採用ページは「会社案内」+「採用動線」

採用ページは「会社案内」+「採用動線」

今や自社サイトや採用ページは、最初に見られる「第一印象」です。

  • スマホで見やすいレイアウトになっているか
  • 求人票との情報差がないか
  • 写真や言葉に“温度感”があるか
  • 募集職種がすぐに分かるか
  • 応募までの導線が分かりやすいか

上記を満たしていないと、どんなに魅力的な社風でも応募にはつながりません。

また、建設業界の採用ページでは「中途採用(現場職)」だけでなく、

  • 若手向けのページ(例:高卒・専門卒)
  • 女性社員のインタビュー
  • IT・設計志向人材へのアピール

など、求職者の属性に応じて“切り口”を分けた設計が効果を発揮します。

地方企業こそ「外の視点」を

発信する内容は「当たり前すぎて書かないこと」が最も響きます。

たとえば、

  • 月1回の全社会議で社長が全社員と話す機会がある
  • 新人は半年間、ベテランとペアを組んで現場を回る
  • 資格取得の受験費用や講習代は全額会社負担

これらは企業にとっては当たり前でも、求職者にとっては応募の決め手になり得ます。

だからこそ、発信は“社内ではなく、社外の目線で見直す”ことが大切です。

可能であれば、求職者視点に近い20代社員や外部の採用パートナーと一緒に、コンテンツを整理・設計していくのが理想です。

次回予告

次回は、採用活動の成功確率を大きく左右する「面接・選考」の工夫についてお伝えします。「見極める」だけでなく「惹きつける」プロセスとしての面接設計を、具体例とともに解説します。

この記事の監修者:今 啓亮
この記事の監修者:今 啓亮

まるごと人事として550社以上の企業の採用支援
書籍『「本当にほしい人材」が集まる中途採用の定石』好評発売中

2015年に東京でマルゴト株式会社(旧社名:株式会社ビーグローバル)を創業。
スタートアップから大手企業まで幅広く採用関連のプロジェクトに携わった後、2017年に月額制の採用代行”まるごと人事”の提供を開始。
2021年にバックオフィス代行”まるごと労務””まるごと経理”も開始。
「理想のサービスと理想の職場を同時実現する」を経営理念に掲げ、全員がフルリモートで働くユニークな組織運営を行う。
2022年に本社住所を東京から札幌に移転し、自身も関東から札幌に移住。

出演イメージ

2024年11月、ABEMAの報道番組「ABEMA Prime」に
採用のプロフェッショナルとして出演。
> 出演した番組はこちら

  • X(Twitter)
  • facebook
  • note
  • YouTube

関連記事

新着記事