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応募が集まらない、が当たり前?
中小建設企業の採用において、最も多く聞かれる悩みのひとつが「そもそも応募が来ない」というものです。
実際、厚生労働省の有効求人倍率(2024年2月時点)では、建設・採掘業は4.62倍と全業種中でも突出して高く、地域によっては10倍を超えるエリアもあります。これは、1人の求職者を10社以上で取り合っている状況を意味します。
特に地方や専門特化型の企業においては、「採用活動しても反応ゼロ」という事態が慢性化しており、それ自体を受け入れてしまっているケースすらあります。しかし本来は、「応募が来ない」のは構造の問題であり、改善可能な余地があります。
求人チャネルの使い分けが鍵
現在、建設業における求人チャネルは多様化しています。以下のような種類があります:
- ハローワーク
- 求人サイト(無料・有料)
- 人材紹介会社
- スカウト(ダイレクトリクルーティング)
- 自社サイト・採用ページ
- SNS(Instagram、Xなど)
- リファラル(社員紹介)
- 職業訓練校・高校・専門学校との連携
実際には「ハローワークだけで運用」「紹介会社に任せきり」といった偏りが多く、母集団形成に広がりが出ないのが現状です。
また、チャネルごとに適したターゲット像が異なるにもかかわらず、訴求内容を一律にしてしまうことも失敗要因です。たとえば「未経験者歓迎」と書きながら、熟練技能者の写真ばかりでは、求職者の心理的ハードルが上がってしまいます。
若手・女性・未経験者…新しい母集団のつくり方
応募数が伸びない背景には、採用ターゲットを自社都合で決めすぎているという点もあります。
これからは下記のような層の検討が不可欠です:
- 未経験・異業種からの転職者
- 育児がひと段落した主婦層
- ITや設計志向の強い若手
- 外国人材(特定技能・実習制度)
これらをターゲットにするなら、発信内容や使うチャネルも変える必要があります。
例えば、SNSでは「仕事と家庭の両立」「現場のやりがい」「人間関係のよさ」などが響きます。また、“ハードルを下げた導線設計”(現場見学歓迎/簡単応募フォーム)も重要です。
“量”よりも“濃さ”を重視した採用戦略へ
限られたリソースの中で最も効果的なのは、「マッチする人材」と出会う確率を高めることです。
そのためには、自社の強みや価値観を明確に打ち出す必要があります:
- 「手刻み技術が残る唯一の工務店」
- 「地域に根ざしたインフラ維持の仕事」
- 「社長と距離が近く、若手にもチャンスがある」
これらは、テキストだけでなく写真・動画・社員インタビューで伝えると効果的です。
「求人票=会社案内」という意識をもつことで、応募率は確実に変わってきます。
次回予告
次回は、応募してきた求職者に“選ばれる”ために不可欠な「求人設計・情報発信の技術」について解説します。
募集要項・写真・採用サイトなど、具体的な改善ポイントをお伝えしていきます。
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