採用・労務・経理に関するお役立ち情報

新卒採用の最初のステップである母集団形成は、十分な候補者数を確保するために欠かせません。エントリー数不足による採用長期化を防ぐためにも、「求める人物像」「採用目標数」「選考・評価基準」を明確にし、広報開始前に準備を進めましょう。
母集団形成の手法は多様であり、企業が重視する点や規模感によって最適な方法は異なります。自社に合った手法を選定することが大切です。
本記事では、母集団形成のポイント、手法9選、メリット・デメリットなどをご紹介します。ぜひ今後の新卒採用計画立案などにお役立てください。

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目次
新卒母集団形成とは

新卒採用活動における母集団とは、「自社の求人に興味を持ち応募してくれる人々」を指し、形成とは「集めること」を意味します。したがって、新卒母集団形成とは、自社の求人に関心を持つ応募者のエントリーを集める活動と言えます。
しかしながら、多数の応募者を集めたとしても、採用したい人物像に合致する人材がその中にいなければ意味がありません。採用を成功させるためには、応募者の「量」だけでなく「質」を高めた母集団を形成することが重要です。
母集団形成に着目する際は、単に人数を増やすだけでなく、いかにして自社が求める人物像に効率的にアプローチするかが鍵となります。
採用成功に欠かせない母集団形成とは
新卒採用活動において、母集団形成は採用成功に欠かせない存在です。質の高い母集団を形成することは、最終的な採用成功率の向上に直結します。
そして、それは企業の成長や競争力強化に繋がります。
母集団形成の「量」と「質」の最適なバランス
母集団形成を進める際、企業が直面する大きな課題が「量」と「質」のバランス調整です。応募者数が少なすぎると選考の選択肢が限られてしまい、目標採用人数に到達できないリスクが高まります。
一方で、応募者数を増やすために採用要件を緩和しすぎると、自社にマッチしない人材ばかりが集まってしまいます。結果、書類選考や面接に多大な工数がかかり、一人ひとりの候補者に十分な時間をかけられなくなるのです。
最適なバランスを見極めるには、過去の選考データから各段階での通過率を分析し、最終的な採用目標人数から逆算して必要な母集団規模を算出する必要があります。自社の採用戦略に応じて、就職サイトやダイレクトリクルーティングなど複数の手法を組み合わせながら、量と質の最適なバランスを追求していきましょう。
新卒母集団形成の役割

母集団形成は採用において重要なプロセスですが、なぜこれほどまでに重要なのでしょうか。その理由は、採用プロセス全体における母集団形成の役割から理解することができます。
採用活動の出発点
基本的な採用プロセスは、以下の3つのステップを円滑に進めることで構成されます。
- 『学生を集める』→『企業に惹きつける』→『学生を選定する』
そして、母集団形成は、この中の『学生を集めること』に相当します。つまり、採用活動の出発点と言えるでしょう。
採用活動を行う企業側としても、ある程度自社とのマッチング度合いを見極める必要があるため、応募者の選別は不可欠です。そのためには、母集団形成を効率的に行い、見極めるための選択肢を増やすことが重要となります。
母集団形成に苦戦する企業の現状

しかし、実際には企業の53.2%が、前年と比較してセミナー参加者の減少、あるいは大幅な減少を実感しており、約5割の企業が母集団形成の結果に満足できていない現状から、十分な母集団形成を行うことが難しい状況であることが伺えます。
多くの企業が直面する採用の壁「母集団形成」
母集団形成は、最初のステップでありながら、採用活動全体の成否を左右する極めて重要なポイントです。
実際、採用活動全体における課題として、企業の73.1%が母集団形成を挙げていることからも、2025年卒業予定者の採用においても、2024年卒業予定者の採用から引き続き、多くの企業が「母集団形成」に苦慮している状況が明らかになっています。
これらのことから、「母集団形成」は、採用活動における目標達成を大きく左右する重要なステップと言えるでしょう。
ただし、単にエントリー数を集めれば良いというわけではなく、エントリーした応募者と企業とのマッチング率も非常に重要です。では、具体的にどのように母集団形成を進めていけば良いのでしょうか。

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新卒母集団形成の「落とし穴」と「注意点」

まずは、新卒採用における母集団形成の落とし穴と注意すべき点について確認していきましょう。
人員確保に苦労する母集団形成
母集団形成は採用活動の最初のステップであり、選考プロセスで候補者が減少するため、採用目標人数よりも多くの母集団を集める必要があります。
近年の少子高齢化による労働人口減少などを背景に、新卒採用は売り手市場が継続しており、特に知名度の高くない中小企業にとって、十分な母集団を形成することが課題となっています。
こうした市場環境では、自社の魅力や他社との差別化ポイントを明確に打ち出し、学生からの認知度向上と応募促進を図ることが求められます。
求める人材に出会うための壁
母集団は数を集めるだけでなく質が大事です。数が多くなると選考負担が増し、一人あたりにかけられる時間が減るため、十分な見極めや動機付けが難しくなるからです。だからこそ、自社の採用要件にマッチした質の高い母集団を形成することが求められます。
母集団の質を高めるには、まず採用要件を明確にすることが欠かせません。「どんな人材が自社で活躍・定着しやすいのか」「その人には何を伝えるのが効果的なのか」を見極める必要があります。これらが見えていないと、自社にマッチした候補者を集めることは難しいでしょう。
母集団形成で失敗する3つの典型パターン
母集団形成において、多くの企業が陥りがちな失敗スターンが存在します。
| 失敗パターン | 具体的な状況 | 発生する問題 |
|---|---|---|
| 手法の選択ミス | 就職サイトに掲載すれば応募者が集まると考え、自社のターゲット層が利用していない媒体に多額の広告費を投じてしまう | 学生の就職活動における行動パターンを把握せずに手法を選ぶと、費用対効果が著しく低下する |
| 企業の魅力が伝わらない情報発信 | 事業内容や待遇といった基本情報のみを掲載し、学生が本当に知りたい職場の雰囲気や成長機会、先輩社員の声などを発信していない | 競合他社との差別化ができず、応募につながらない |
| 採用ターゲットの曖昧さ | 経営層と現場で求める人材像が一致していない、または理想を追求しすぎて現実的でない採用要件を設定してしまう | ターゲットが不明確なまま採用活動を進めるとアプローチすべき学生層が定まらず、効果的な母集団を形成できない |
上記の失敗パターンを避けるためには、事前の市場調査やターゲット分析を徹底し、自社に適した採用戦略を構築する必要があります。
新卒母集団形成で得られるメリット

新卒母集団形成で得られるメリットは、主に以下の5点です。
1. 求める人材の確保
近年、少子高齢化に伴う労働力人口の減少により、優秀な学生の獲得競争が激化しています。優秀な人材を獲得するためには、他社との差別化を図り、企業が求める質の高い母集団を形成することが不可欠です。
母集団形成は、単に応募者を集めるだけでなく、自社の理念やビジョンに共感し、将来的に活躍できる人材を戦略的に集めるプロセスと言えます。そのため、しっかりと計画を立てて丁寧に進めることが、新卒採用成功への近道と言えるでしょう。
2. 採用コストを抑える効果
近年、採用活動にかかるコストは増加傾向にあります。具体的には、採用広告費、選考に関連する人件費、内定辞退によって生じる追加コストなど、多岐にわたる費用が発生しています。
質の高い母集団が形成されれば、応募者を選定するプロセスが効率化され、選考にかかる時間と労力を大幅に削減できます。
結果として、採用にかかる総コストを抑制し、採用活動全体の効率化を実現することが可能です。
3. 採用ミスマッチによる早期離職の防止
自社が求める人物像に合致する人材を母集団に形成することで、入社後のギャップを最小限に抑え、採用ミスマッチを防ぐことが可能です。
その結果、社員の定着率向上や離職率の低下にも繋がります。
4. 採用活動の進捗管理と計画的な推進
適切な母集団を形成すれば、採用プロセス全体の進捗状況を数値で把握しやすくなります。各選考段階での通過率や辞退率などのデータを可視化すれば、目標採用人数に対する達成見込みを早期に判断できます。
進捗が遅れている場合は、追加の採用施策を打つべきタイミングや予算配分の見直しを適切に判断できるでしょう。反対に、想定以上に優秀な候補者が集まっている場合は、選考基準の調整や採用人数の増員検討など、柔軟な対応が可能になります。
また、母集団形成の過程で蓄積したデータは、次年度以降の採用計画にも活用できます。過去の実績をもとにより精度の高い採用戦略を立案できるため、年々採用活動の質が向上していくでしょう。
5. 生産性向上と企業の持続的成長
自社の価値観や文化にマッチした人材を継続的に採用できれば、組織全体の生産性が向上します。業務への理解が早く、同僚との協働もスムーズに進むため、早期から戦力として活躍できるでしょう。
定着率の高い人材が増えれば、採用や育成にかかるコストも削減されます。さらに、長期的に勤続する社員が増えるにつれて企業のノウハウや技術が組織内に蓄積され、競争力も強化されるでしょう。
質の高い母集団形成を通じて優秀な人材を確保し続ければ、企業の持続的な成長基盤を築けます。

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新卒母集団形成のステップ

新卒採用担当者が母集団形成を進める上での基本的な手順をご紹介します。
各ステップにおいて押さえるべきポイントを参考に、効果的な母集団形成を進めていきましょう。
1. 採用計画を練る
新卒採用活動の計画段階として、まず採用目標、採用スケジュール、求める職種、採用人数といった基本的な項目を明確に設定します。次に、事業戦略や組織の現状を踏まえ、採用すべき人材像(ペルソナ)を具体的に定義します。さらに、採用活動にかかる予算や実施体制なども考慮が必要です。
2. 採用目的の明確化と採用ターゲットの設定
採用活動を本格的に開始する前に、なぜ新卒採用を行うのか目的を明確にします。将来の幹部候補を育成したいのか、組織の若返りを図りたいのか、特定部門の人員を補充したいのかによって、求める人材像は大きく変わります。
採用目的が定まったら、次に具体的な採用ターゲットを設定しましょう。活躍している社員の特徴を分析し、学歴、専攻、性格、価値観などを詳細に洗い出します。ターゲット設定では、理想を追求しすぎて現実離れした要件にならないよう注意が必要です。
3. 企業の魅力を伝える求人情報
採用計画に基づき、まずは求める人物像、職務内容、給与といった基本情報を具体的に記載します。加えて、応募者が魅力を感じるよう、企業のビジョンや強みなども効果的にアピールします。さらに、具体的な応募方法や今後の選考スケジュールなども、応募者が迷わないように分かりやすく明記することが重要です。
4. 企業認知度を高める取り組み
母集団形成のためには、まずインターネット広告や求人情報サイト、SNSなどを通じて、自社の求人情報を幅広く発信します。また、大学や専門学校への訪問、キャリアイベントへの参加といったオフラインでの活動も有効な手段となります。そして、企業説明会やインターンシップなどを開催し、自社の魅力を直接伝える機会を設けることも、効果的なアプローチです。
5. 応募者対応と選考プロセス
選考プロセスとして、提出された応募書類を厳正に審査する書類選考を行い、通過された方には面接へと進んでいただきます。続く面接では、応募者のスキルや経験に加え、人物像や適性なども含めて総合的な判断を行います。そして、選考結果は適宜応募者の方へ通知し、選考過程の透明性を確保します。
6. 内定辞退を防ぐためのフォローアップ
内定承諾から入社までの間は、内定者との綿密なコミュニケーションを図ることが大切です。同時に、入社前に必要な研修やオリエンテーションに関する情報などを適切に提供します。そして、内定者が抱えるであろう不安を軽減できるよう、きめ細やかなサポートを実施することも、内定者フォローにおいて大切な要素です。
7. 採用データの分析と継続的改善
採用活動が一段落したら、各採用チャネルごとの応募数、選考通過率、内定承諾率などのデータを収集し分析します。どの手法が効果的だったのか、どの段階で候補者が離脱したのかを数値で把握すれば、次年度の採用戦略に活かせるでしょう。
分析結果をもとに、採用手法の見直し、求人情報の改善、選考プロセスの最適化などを継続的に行います。PDCAサイクルを回し続ければ、年々母集団形成の精度が向上し、採用成功率を高められます。
母集団形成における成功の秘訣

新卒採用において、母集団形成は採用成功に直結する非常に重要なフェーズです。では、どのように母集団形成を成功させるのでしょうか。
採用ターゲットペルソナの設定
まずは、どのような学生層にアプローチしたいか、ターゲットを明確に設定することが重要です。
ターゲットとなるペルソナが確定したら、その学生たちが興味を引くような情報やメッセージ(打ち出しやコピーなど)を発信するようにしましょう。
こうすることで、企業が求める学生からの応募につながる可能性が高まります。
多様な媒体で企業認知度を高める
どれだけ素晴らしい事業や企業力があっても、知名度がなければ、学生からの応募は期待しづらいのが現状です。
発信する情報が準備できたら、各種新卒採用ナビサイトなどへの広告掲載を行い、企業の認知度を高める必要があります。
特に、大手のナビサイトに掲載することは、知名度向上に大きく貢献します。
学生の就活トレンドを押さえる
最後に重要なのは、新卒学生がどのように就職活動を行っているか、その状況を把握することです。
学生の動向は、年度や業界によって様々です。
そのため、自社が採用したい学生たちがどのような行動をとっているかをリサーチし、その結果に基づいた採用活動を行うことで、学生からの応募を効果的に集めることができます。
新卒採用ならではの「育てる」意識を持つ
新卒採用では、中途採用と異なり即戦力を求めるのではなく、将来的な成長を見据えた「育てる」意識が重要です。
学生は社会人経験がないため、選考段階から企業理解を深める機会を提供し、入社後の活躍イメージを持ってもらう必要があります。
インターンシップや座談会、社内見学会などを通じて、学生と継続的に接点を持つよう心がけましょう。時間をかけて自社の魅力を伝え、学生の志望度を段階的に高めていく取り組みが、質の高い母集団形成につながります。
スケジュール設計とスピード感の重要性を知る
新卒採用では、広報解禁や選考開始時期など一定のスケジュールが存在するため、競合他社の動向を意識した計画が欠かせません。
優秀な学生ほど早期に内定を獲得する傾向にあるため、母集団形成から選考までのスピード感が採用成功を左右します。
スケジュールを逆算して設計し、各フェーズで必要な準備を早めに完了させておきましょう。また、学生からの問い合わせや応募に対しては、迅速かつ丁寧な対応を心がけます。スピード感のある採用活動が、学生の志望度維持と内定承諾率の向上につながります。

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「5W1H」に沿った母集団形成の設計方法

母集団形成において検討すべき事項を「5WIH」のフレームワークで整理しました。
何のために新卒採用を行うのか
毎年行っているという理由だけで新卒採用を実施していると、その進め方も特に工夫なく従来通りになってしまいがちです。しかし本来、企業ごとに新卒採用の目的は異なり、その目的が毎年同じであるとは限りません。
自社の文化を深く理解し、将来の幹部候補として育成したいのか。あるいは、未経験ならではの新しい視点を取り入れ、組織の活性化を図りたいのか。このように、新卒採用を行う目的によって、どのような学生をターゲットとするか、そして学生に伝えるべきメッセージも変化します。
それが母集団形成の設計における軸となるため、新卒採用に関わる関係者間で、事前に認識を一致させておくことが求められます。
誰を、何人採用したいか具体的に
母集団形成を設計する上で、どのような学生をターゲットとするか、その「Who」(どのような学生か)を明確に定義することが大事です。採用手法やコンテンツの内容はすべて、「どのような学生がターゲットか」を基準に検討を進めます。
まずは、どのような学生に入社してほしいのか、採用要件を整理することから始めましょう。次に、その採用要件を満たす学生が、どのような点に興味を持ち、何を就職活動の軸としているかなど、詳細な人物像(ペルソナ)を具体的に考えていきます。
この人物像を具体化する際に、以下の3点に注意が必要です。
- 理想像を過度に追求しない
- 抽象的な表現に終始しない
- 採用担当者だけで決めつけない
ターゲットとする学生像を定めたら、続いて何人を採用するのか目標人数も決めておきましょう。目標とする採用人数によって、必要となる母集団の規模が変わってくるからです。
いつ学生と出会うか
新卒採用には大まかなスケジュールがあり、基本的には卒業年度に入る直前の3月1日の広報解禁に合わせて、母集団形成の活動が本格化するケースが多く見られます。
一方で、近年はインターンシップも母集団形成において欠かせない手段となっています。ターゲット学生が、学業などと並行してどのようなスケジュールで就職活動を進めているかを把握し、最適なインターンシップの実施時期を検討する必要があります。あえて母集団形成のタイミングを他社とずらす、という方法も有効です。夏季インターンや3月の広報解禁時は学生の活動が活発になる一方、競合企業も多くなりますが、ターゲット学生によっては、比較的競合が少なくなる秋採用や通年採用との相性が良いケースも見られます。
また、直接的な採用活動が解禁される以前から、SNSやオウンドメディアなどを活用し、自社の認知度向上を図る活動も母集団形成に繋がるアプローチです。
どこで学生に出会うか
「Who」(ターゲット)を踏まえ、母集団形成の手法を検討します。数多くある手法の中から、最も重視すべきは、ターゲット学生に接触できる可能性です。この点、新卒社員や内定者へのヒアリングも参考にすると有効でしょう。
その上で、一つの手法に偏らず、多様な手法を組み合わせるようにします。不特定多数向けか特定層向けか、オンラインかオフラインかなど、各手法の特性を考慮して選定します。
また、最新のトレンド把握も欠かせません。学生の行動変化に対応するためです。
各手法のコストや必要な工数も異なります。そのため、予算や人的リソースも考慮して最終的に決定します。
何の情報を学生が知りたいか
手法を決定したら、伝える内容を検討します。自社の魅力や他社との違い、学生の不安解消情報など、事前に整理しておくとスムーズでしょう。その検討にあたっては、企業視点だけでなく、ターゲットの学生が何を知りたいかを考えることが肝心です。
また、他社との違いを考える際も、事業上の競合だけでなく、ターゲット学生が他にどんな会社を見ているかを考慮します。
こうした内容を検討する際には、実際の社員や内定者の声を聞くと有効でしょう。伝えたい内容のベースができたら、それを各手法に合わせてチューニングします。
どのように魅力を伝えるか
どのような文章やデザインにするか、といった「How」(表現方法)を検討するのは、他の要素が固まった最後に行います。「挑戦的なメッセージを出したい」「カッコいい採用サイトを用意したい」といった『How』先行の考え方で進めると、本来の目的から外れ、失敗につながる可能性があります。あくまでも、ターゲットとする学生に対して、採用手法やコンテンツの内容を踏まえ、どのような表現が最も適切かを考えるべきです。
また、こうした表現の検討については、自社だけで完結しようとせず、ある程度は専門家の知見を借りるべき領域でもあります。「Who」(ターゲット)と「What」(伝える内容)が明確に整理されていれば、それをパートナー企業に伝えることで、「How」(表現方法)が意図と大きくずれる可能性は低くなります。

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新卒母集団形成のアプローチ方法

現在、多くの企業がナビサイトをはじめとする多様なサービスを活用し、母集団形成に取り組んでいます。
以下、実際に効果があり、各企業が採用している代表的な母集団形成の方法について解説していきます。
1.就職サイト
就職サイトは、母集団形成において非常に効果的なツールであり、多くの企業に活用されています。
例えば、マイナビやリクナビといった歴史あるナビサイトは、すでに多くの学生に認知されており、広範な学生層にリーチすることが可能です。
一方で、多くの企業が利用している分、自社の情報が埋もれてしまいやすいというデメリットがあります。重要なのは、その「掲載の仕方や工夫」です。
オプション機能などを活用することで、検索結果の上位に表示されやすくなったり、他にも設定次第で学生に検索されやすくなる場合もあります。
2.新卒エージェント
新卒人材紹介(新卒エージェント)の最大のメリットは、何と言っても成果報酬型であるため、採用に至るまでコストが発生しない点です。
一方で、一人あたりの採用コストは比較的高く、提供会社にもよりますが、100万円前後の費用がかかる場合もあり、この点がデメリットとして挙げられます。
3.合同企業説明会/イベント
学生と直接コミュニケーションを取りたい企業には、合同企業説明会が有効な選択肢となります。
自社単独での開催に比べ、一度に多くの学生が集まるため、より多くのターゲット学生と直接出会うことができます。ただし、参加企業に大手が多い場合、中小企業は自社ブースへの集客に苦慮する可能性があります。
4.インターンシップ
インターンシップは、学生に実際の業務を体験してもらいながら、自社の魅力を直接伝えられる有効な母集団形成手法です。
1dayから数週間、長期では数ヶ月にわたるプログラムまで、企業の目的や体制に応じて期間を設定できます。学生は職場の雰囲気や業務内容を肌で感じられるため、入社後のギャップが少なく、志望度の高い母集団を形成できるでしょう。
一方で、プログラムの企画・運営には相応の準備と工数が必要です。受け入れ体制の整備や現場社員の協力が不可欠であり、学生の満足度を高めるためには質の高いコンテンツ設計が求められます。
一方で、プログラムの企画・運営には相応の準備と工数が必要です。受け入れ体制の整備や現場社員の協力が不可欠であり、学生の満足度を高めるためには質の高いコンテンツ設計が求められます。
5.ダイレクトリクルーティング
ダイレクトリクルーティングとは、企業がターゲットとする学生に直接アプローチする採用手法です。最大の魅力は、学生一人ひとりに合わせたスカウトメールを送付することで、企業が本当に求める学生に質の高い働きかけができる点にあります。
このような質の高いアプローチは学生からの高いレスポンスに繋がりやすいですが、その反面、運用には多大な時間を要するという側面もあります。
6.ソーシャルリクルーティング
ソーシャルリクルーティングとは、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)を活用した採用手法です。SNSの影響力が増大している現代において、適切な運用方法を理解していれば、採用活動に有効活用することが可能です。
ソーシャルリクルーティングの最大のメリットは、実質的に無料で運用を開始できる点ですが、一方で、成果を出すまでには長い時間を要する可能性もあります。
7.マッチングイベント
合同企業説明会よりも小規模で開催されるマッチングイベントは、中小企業や採用予算が限られている企業にとって有効な選択肢です。
一度のイベントあたりの参加者が平均50人程度であるため、企業知名度が高くなくても、企業の魅力や事業の強みなどをしっかりと学生に伝えることができます。
多くの学生と接触機会を持てる一方で、採用に直接つながる可能性が比較的低い傾向にある、という点は注意が必要です。
8.オウンドメディア
オウンドメディア(企業自身が所有・運営するウェブサイトやブログなど)を充実させることも、採用活動において有効な手段です。
文字数や画像といった形式の制限が比較的少なく、発信したい情報を自由に掲載できるというメリットがありますが、一方で、構築したメディアを学生に認知させ、情報にたどり着いてもらうための集客やプロモーションが別途必要となる点がデメリットとして挙げられます。
9.学内セミナー
学内セミナーは、ターゲット大学を訪問し自社説明会を開催する形式で、ローコストかつ効率的な母集団形成につながります。
ただし、出展依頼が多く、誘致が難しい場合もあります。長期的な視点で大学へ辛抱強くアプローチすることは、将来の採用を考える上で有効な施策です。
こうしたセミナーにおいて、学生の心に響くアピールとして有効なのは動画活用です。企業の理念や社員の活躍をストーリー仕立てでエモーショナルに伝えることで、学生の関心を引きつけることができます。
10.リファラル採用
リファラル採用とは、社員が自身の友人や知人に、自社への入社を推奨する採用手法です。この手法は、主に中途採用において有効に機能する傾向があります。
リファラル採用のメリットとしては、採用コストの削減に加え、内定辞退率や離職率を低く抑えられる点が挙げられます。現役社員からの推薦という信頼性も相まって、リファラル報酬制度を設けている企業もあるほど効果的な手法と言われています。
母集団形成の一部を社員が担うため、人事担当者の負担軽減にも繋がります。
母集団形成を増やすための具体的施策

母集団の規模を拡大させるには、応募者が集まらない根本原因を特定し、適切な対策を講じる必要があります。また、単一の採用チャネルに依存せず、複数の手法を戦略的に組み合わせれば、より効果的な母集団形成を実現できるでしょう。
さらに、知名度やブランド力で劣る中小企業でも、独自の強みを活かした戦略を展開すれば、大手企業と同等の成果を生み出せます。
応募者数が集まらない原因と対策
応募者が思うように集まらない企業には、共通する課題が存在します。最も多い原因は、求人情報の露出不足です。どれほど魅力的な企業であっても、学生の目に触れる機会がなければ応募には至りません。求人媒体への掲載だけでなく、SNSでの情報発信や大学訪問など、接点を増やす取り組みが求められます。
次に挙げられるのは、企業の魅力が十分に伝わっていない点です。基本的な募集要項のみを掲載し、職場の雰囲気や成長機会、働く社員の声などを発信していない企業は、学生の興味を引けません。写真や動画を活用し、リアルな職場環境を伝えれば応募意欲を高められるでしょう。
採用要件が厳しすぎる場合も、応募者数の減少を招きます。理想を追求するあまり現実的でない条件を設定すると、該当する学生が極端に少なくなります。必須条件と歓迎条件を分けて整理し、間口を広げる工夫が必要です。
複数チャネルの効果的な組み合わせ方
採用チャネルには、それぞれ異なる特性とターゲット層が存在します。効果的な母集団形成を実現するには、各チャネルの強みを理解し、目的に応じて組み合わせる戦略が重要です。
代表的なチャネルの組み合わせ例は、以下のとおりです。
- 認知拡大フェーズ:就職サイト掲載+SNS発信+合同説明会出展
- 関係構築フェーズ:インターンシップ開催+オウンドメディア運用
- 選考フェーズ:ダイレクトリクルーティング+新卒エージェント活用
認知拡大には、幅広い学生層にリーチできる就職サイトやイベントが適しています。関心を持った学生との関係を深めるには、インターンシップやオウンドメディアを通じた継続的な情報提供が効果的でしょう。
優秀な学生を確実に獲得する段階では、ダイレクトリクルーティングで個別アプローチを強化します。採用予算や工数を考慮しながら、自社に最適な組み合わせを見つけていきましょう。
中小企業が大手に負けない母集団形成戦略
知名度やブランド力で大手企業に劣る中小企業でも、独自の戦略を展開すれば質の高い母集団を形成できます。重要なのは、大手企業と同じ土俵で戦わず、自社ならではの強みを明確に打ち出す姿勢です。
中小企業の強みとして挙げられるのは、経営陣との距離の近さや裁量権の大きさ、幅広い業務経験を積める環境などです。入社後すぐに責任ある仕事を任されたい学生や、経営に近い立場で働きたい学生にとって、魅力的な環境となります。求人情報や説明会では、若手社員の成長事例や具体的なキャリアパスを丁寧に伝えましょう。
また、特定の大学や学部に絞った戦略的アプローチも有効です。ターゲット大学への定期訪問や学内セミナーへの参加を通じて、継続的に接点を持ち続けましょう。地道な活動の積み重ねが、将来的な採用成功へとつながっていきます。

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新卒母集団形成の成功事例5選

母集団形成を成功させている企業には、独自性のある施策を展開している共通点があります。ここでは、ユニークな採用手法で大規模な母集団を構築した企業や、高い内定承諾率を実現した企業の事例を紹介します。
事例1:サバイバルインターンで1万人集客(株式会社アローリンク)
株式会社アローリンクは、採用コンサルティングやDX推進支援を提供する兵庫県の企業です。同社が実施する「サバイバルインターン」は、毎年多くの学生が参加を希望する人気コンテンツとなっています。
インターンシップの内容は、オンライン形式のグループディスカッションです。飛行機が南の島に不時着し、食料も電波もない状況から脱出する方法をグループで考案します。採用コンサルティング企業ならではの斬新な設計が、学生の興味を強く引きつけました。
結果として累計1万人以上の学生が参加し、圧倒的な規模の母集団形成に成功しています。エンターテインメント性と実践的な課題解決を組み合わせた設計が、学生の心を掴む要因となりました。企業の事業内容を体感できるインターンシップは、認知度向上と志望度醸成の両面で高い効果を発揮します。
事例2:エゴサーチ採用で820名形成(面白法人カヤック)
面白法人カヤックは、SNSマーケティングやゲーム開発、eスポーツ事業など多彩な領域で活躍する企業です。同社の「エゴサーチ採用」は、履歴書の代わりにGoogle検索結果を活用する斬新な手法として注目を集めました。
応募者は自分の名前や作品名など、検索で上位に表示されるワードを提出します。検索結果がそのままエントリーシートとなるため、普段からWeb上で情報発信している学生にとって応募しやすい仕組みです。
採用手法の主な特徴は、以下のとおりです。
- 対象者:日常的にWeb上で活動や作品を発信している人材
- 応募方法:自己PRとなる検索ワードを1つ提出
- 選考基準:検索結果に表示される活動実績や発信内容
エゴサーチ採用により820名以上の母集団を形成し、7名の内定・入社につながりました。企業の「面白い」という理念を体現した採用手法が、多様な人材との出会いを生み出しています。
事例3:キャンプ面接で内定承諾率100%(株式会社NOVEL)
株式会社NOVELは、学生とキャンプをしながら選考を進める「キャンプ面接」を実施し、参加者全員が内定承諾する驚異的な成果を収めました。自然の中でリラックスした雰囲気を作り出し、企業と学生が本音で語り合える環境を整えています。
キャンプ面接では、食事の準備や火起こしなど共同作業を通じて、学生の人柄や協調性を自然な形で見極められます。通常の面接室では見えにくい素の姿や対応力を把握できるため、採用ミスマッチを防げるでしょう。
参加した学生は企業文化や社員の人柄を深く理解できるため、入社後のギャップが生じにくくなります。体験型の選考プロセスは学生の記憶に強く残り、志望度を大幅に高めるうえで効果的です。内定承諾率100%という結果は、企業と学生の相互理解を深める取り組みの重要性を示しています。
事例4:顔採用でエントリー2倍増(株式会社伊勢半)
化粧品メーカーの株式会社伊勢半は、「顔採用」という名称で話題を集め、前年比2倍のエントリー数を獲得しました。一見すると容姿で選考するように思われますが、実際には「表情の豊かさ」や「笑顔の魅力」を重視する採用手法です。
化粧品業界では、顧客とのコミュニケーション能力や表現力が重要視されます。豊かな表情を持つ人材は、ブランドの魅力を効果的に伝えられるため、業界特性に合った採用基準となっています。
インパクトのある採用手法の名称は、SNSやメディアで大きく取り上げられ、企業の認知度向上に貢献しました。賛否両論を呼ぶ手法ではありますが、業界特性と結びつけた明確な採用方針を示せば、共感する学生からの応募増加につながります。採用手法自体がブランディングとなり、母集団形成を加速させた好例です。
事例5:留年採用で多様な人材確保(株式会社東急エージェンシー)
広告代理店の株式会社東急エージェンシーは、「留年採用」を導入し、多様なバックグラウンドを持つ人材の母集団形成に成功しました。留年経験を持つ学生を積極的に受け入れる姿勢を明示し、従来の新卒一括採用では出会えなかった人材層へアプローチしています。
留年した学生の中には、学業以外の活動に打ち込んだ経験や、困難を乗り越えた強さを持つ人材が存在します。画一的な評価基準ではなく、個々の経験や能力を多面的に評価する採用方針が、ユニークな人材との出会いを生み出しました。
採用基準を柔軟に設定すれば、競合他社が見過ごしている優秀な人材を獲得できます。多様性のある組織づくりを目指す企業にとって、従来の枠にとらわれない採用手法は、新たな母集団開拓の可能性を広げる有効な戦略となります。
まとめ

母集団形成は、優秀な人材確保において欠かせない活動です。効果的に母集団を形成・拡大するためには、綿密な計画、多様なアプローチ、そして長期的な視点が求められます。
本記事でご紹介した方法を参考に、自社の状況に合わせてカスタマイズすることで、質の高い母集団を持続的に形成・拡大していくことが可能になるでしょう。

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