採用・労務・経理に関するお役立ち情報

2025.08.12 更新日:2025.08.12
この記事の監修者:今 啓亮

この記事の監修者:今 啓亮

建設業の新3K採用戦略|従来の3Kとの違いと実現に向けた具体策

建設業界は慢性的な人材不足と高齢化が進み、従来の「3K」というマイナスイメージが採用活動の大きな壁となっています。給与や休暇、キャリアの希望を重視した「新3K」が提唱され、業界の魅力を発信する動きが広がっているのです。

本記事では、新3Kの定義と従来の課題、国の支援策や現場での取り組みを整理し、採用強化に向けて実践できる具体策を解説します。さらに、効率的な採用活動を実現するためのアウトソーシング活用についても紹介するので、建設業の採用担当者が抱える課題解決のヒントとしてお役立てください。

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建設業における「新3K」とは

建設業における新3Kとは

建設業界における「新3K」とは、「きつい・汚い・危険」といった従来の負のイメージを払拭し、前向きな価値を提示する新たなキーワードです。国や業界団体が提唱する新3Kには、以下が挙げられます。

  • 給与が良い
  • 休暇が取れる
  • 希望が持てる

新3Kにより、建設業に従事する人が高い収入を得ながらも、しっかりとした休日やライフワークバランスを確保し、将来に向けてキャリアの展望を描ける環境が整いつつあります。各地で週休2日制や適正な工期設定が進み、待遇改善や生産性向上の施策も打ち出されています。

新3Kと従来の3Kとの違い

新3Kと従来の3Kとの違い

従来の3Kは「きつい」「汚い」「危険」というネガティブな要素を示し、建設業が敬遠される主な理由となっていました。一方、新3Kでは「給与」「休暇」「希望」を掲げ、魅力的な労働環境づくりを目指しています

かつては長時間労働や低賃金が常態化し、休暇が取りにくい点も大きな課題でしたが、現在は労務費の適正化や週休2日制度の導入により、待遇が大きく改善されました。また、最新技術の活用で効率化が進み、将来のキャリアや成長を見据えた職場が整いつつあります。

建設業の採用課題と新3Kが注目される背景

建設業の採用課題と新3Kが注目される背景

新3Kが求められる背景には、建設業界特有の構造的な課題があります。慢性的な人手不足や高齢化、そして長年染みついた負のイメージが採用の障壁となっているのです。

ここでは、それぞれの課題がどのように業界に影響してきたのか、そして新3Kがもたらす効果を解説します。

慢性的な人手不足と業界の高齢化

建設業界における人材の供給不足には、就業者の高齢化が進む構造的問題があります。かつてのピーク時から就業者数は大幅に減少し、現場の技術者の多くが高齢層に偏りつつあります

若年層が進んで入職しにくい状況が長年続いたことで、世代交代が進まず、技能の継承や現場の維持にも支障が出ている状態です。さらに、インフラ更新や都市開発の需要が高まる一方で、担い手不足が深刻化し、今後の持続性が問われています。現状に危機感を持ち、抜本的な改革が必要とされるのが新3Kへの転換の大きな理由となっています。

従来の3Kイメージが与える影響

建設業に根付いた3Kのイメージは、若い求職者や異業種からの転職希望者にとって強いマイナス要素となってきました。きつい作業や汚れの目立つ環境、危険な現場という印象が応募自体を遠ざける大きな要因となり、結果として求人倍率が高止まりする状態が続いています。

実際には安全対策や作業環境の改善が進み、労働条件も見直されてきたにもかかわらず、古い認識が払拭されないことが採用活動の足を引っ張っています。負の刷り込みを解消するために積極的に新3Kの価値観を発信し、魅力的な職場であることを示していく必要があるのです。

新3Kが生まれた理由と期待される効果

新3Kの提唱は、これまでの人材難や業界の衰退を食い止め、再び活気ある業界へと転換するための戦略的なメッセージです。給与の改善による経済的満足、休暇取得を可能にすることでの生活の質の向上、さらに将来の成長やキャリア形成に希望を持てる仕組みを整えることで、人材確保を図ります。

新3Kを掲げることで従来とは異なるターゲット層への訴求力が高まり、若年層や女性など多様な人材が集まる流れが期待されます。業界全体が新しい価値観を共有し、前向きな変化を感じられることが、長期的な採用力強化にもつながるのです。

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新3K実現のための国の取り組み

新3K実現のための国の取り組み

建設業界が新3Kを掲げて前進するためには、企業努力に加えて国の支援が欠かせません。制度改革や新技術の普及が後押しとなり、現場の働きやすさが確実に改善されつつあります。

ここでは、具体的に国がどのような施策を進めているのかを3つの視点から紹介します。

働き方改革加速化プログラムの概要

国土交通省が中心となり進めている「建設業働き方改革加速化プログラム」は、長時間労働の是正や週休2日制の推進を目的とした包括的な施策です。業界全体に共通する課題に対して、制度やガイドラインを整備し、企業が取り組みやすい環境をつくることを狙いとしています。

特に、時間外労働の上限規制や適正工期設定の義務化によって、現場の負担軽減が求められています。結果、働く側の意識が変わり、長期的なキャリア形成を見据えて定着する人材の増加が期待されているのです。

労務費見積もり尊重宣言とCCUS活用促進

適正な報酬水準を守るための「労務費見積もり尊重宣言」は、下請企業に対しても適切な賃金を保証する仕組みとして導入されています。企業側が宣言を行い、実施状況を評価する制度によって賃金面の不公平感が減り、モチベーション向上につながるでしょう。

また、建設キャリアアップシステム(CCUS)の活用が奨励されています。現場の技術者一人ひとりの経験やスキルが見える化されることで、成長や昇給の根拠が明確になります。

収入面と評価制度の両面で納得感のある働き方が実現し、人材の流出を防ぐことが可能になるのです。

週休2日制度や適正工期の確保

労働時間の是正と休日確保の両立を目指す施策として、週休2日制度の導入が積極的に進められています。発注者に対しても工期の見直しや調整を促し、休日が確保できるスケジュールで工事が進むようガイドラインが整備されています。

さらに、天候や現場の事情に応じた柔軟な工期設定が可能となるよう、評価制度への加点要素として反映される仕組みも整いました。休日が安定的に取れる環境を整えることで、家族やプライベートの時間を持ちやすくなり、業界に対するイメージ改善にも貢献します。

新3Kの実現に向けた採用強化策

新3Kの実現に向けた採用強化策

新3Kを現場で実現するためには制度の整備にとどまらず、企業ごとの採用戦略を強化する視点が必要です。

職場環境の見直しから人材の多様化、DXの活用まで、具体的な取り組みを進めることで魅力ある企業として選ばれる可能性が高まります。ここでは、採用力を高めるための実践策を紹介します。

働きやすい職場環境の整備と広報

求職者に選ばれるには、現場環境の改善を実施したうえで外部にしっかりと伝える広報が重要です。安全性を高める設備投資や、男女問わず利用できる更衣室や休憩室の整備など、具体的な改善例を用意することで安心感を与えやすくなります。

また、自社ホームページや採用ページで働きやすさを可視化し、写真や動画を通じて伝える工夫も有効です。実際に現場で働く社員の声や、業務の様子をリアルに伝えることで、応募への心理的ハードルを下げる効果が期待されます。

若手・女性・多様な人材の採用促進

採用市場が競争的になる中、特定の層だけに頼るのではなく、幅広い人材へのアプローチが不可欠です。若年層へのアピールでは、キャリアパスの明示や成長できる仕組みが強みとなります。

一方で、女性の採用促進に向けては、柔軟な勤務形態やライフイベントを考慮した制度整備が効果的です。さらに外国人材やシニア層の活用も視野に入れ、多様な人材を戦力化する取り組みが求められます。各層ごとにニーズに合った条件や魅力を用意し、ターゲット別のメッセージを発信する戦略が、採用活動の成果を左右するポイントになります。

建設DXや生産性向上による負担軽減

業務負担を軽くするための建設DXの推進も、採用戦略に直結します。ICT施工やBIM、VRなどのデジタル技術は、現場作業の効率化を進め、従来の重労働のイメージを刷新する手段です。

データの可視化や自動化が進むことで人的ミスの削減や無駄の排除が実現し、現場でのストレスが軽減されます。加えて、遠隔監督やクラウド管理の導入により、業務の柔軟性が増し、働く人の負担感が下がります

最新技術を取り入れる姿勢を採用広報で強調することで、先進的で魅力ある企業という印象を与えやすくなるでしょう。

定着率を高めるキャリア支援制度

採用後の定着率を上げる取り組みも、採用活動全体の成果に直結します。新人研修やOJTを充実させ、早期戦力化を支援する仕組みが不可欠です。

また、中長期的なキャリア形成を支援するための資格取得支援やスキルアップ研修を設けることで、働きながら成長できる環境が整うでしょう。現場の声に耳を傾けながら、柔軟に制度を改善していく姿勢が、社員のモチベーション維持につながります。

まとめ

まとめ

今回は、建設業界が打ち出している「新3K」の定義、国が実施している具体策、そして企業側がそれを受けてどのような取り組みをしていくべきかについて紹介してきました。

国をあげての取り組みではあるものの、企業側の仕組みがそれに伴って改善されていなければこの施策は意味を成しません。この新しいイメージをより広めていくために、自社でどういう課題があるのかを明確にし、改善に向けて積極的に取り組んでいく必要があります。

とはいえ、このキーワードはまだ完全に浸透しておらず、建設業界の採用担当者は、新3Kを打ち出していても、いまだ人材確保が難しく、業務過多に陥りやすいのが現状です。特に求人設計から応募者対応までを一手に担うと日常業務への負担が増し、採用の質が低下しやすくなります。

状況を打開する有効な手段が、専門企業によるアウトソーシングです。採用に特化した外部パートナーを活用することで、効率的に質の高い人材を確保しやすくなります。

「まるごと人事」は、建設業界の採用ニーズにも対応可能な月額制の代行サービスを提供しています。ペルソナ設計や媒体選定、スカウト運用・面接調整・採用広報までを一貫して支援するため、採用担当者が本来の業務に集中できる環境が整います。

建設業特有の採用課題を理解したうえで、柔軟な設計や迅速な対応が可能な点が強みです。人材不足に悩む建設業界において、最適なパートナーとして採用活動の成果向上を力強く後押しします。

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この記事の監修者:今 啓亮
この記事の監修者:今 啓亮

まるごと人事として560社以上の企業の採用支援
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2015年に東京でマルゴト株式会社(旧社名:株式会社ビーグローバル)を創業。
スタートアップから大手企業まで幅広く採用関連のプロジェクトに携わった後、2017年に月額制の採用代行”まるごと人事”の提供を開始。
2021年にバックオフィス代行”まるごと労務””まるごと経理”も開始。
「理想のサービスと理想の職場を同時実現する」を経営理念に掲げ、全員がフルリモートで働くユニークな組織運営を行う。
2022年に本社住所を東京から札幌に移転し、自身も関東から札幌に移住。

出演イメージ

2024年11月、ABEMAの報道番組「ABEMA Prime」に
採用のプロフェッショナルとして出演。
> 出演した番組はこちら

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