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採用面接は応募者の採否を決める大事なプロセスです。緊張している応募者の本音を引き出して、応募者のスキルや経験をうまくヒアリングし、効果的な採用に繋げることが重要です。リンクアンドモチベーションの調査によると、就活生が「入社を決めたタイミング」の1位は「面接」でした。
しかし売り手市場が続く採用市場において、面接で採否を決めるだけではなく、応募者をひきつけることも重要です。これらのスキルを身につけ、自社が求める人材を採用するために「面接官トレーニング」が近年注目されています。
この記事では面接官に求められる役割やスキルを整理し、面接官研修のメリットを徹底解説していきます。

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関連動画:【面接設計のコツ】人事が教える!候補者が入社したくなる面接術法
目次
面接官トレーニングとは
面接官トレーニングとは、面接官として必要なスキルや知識を習得するための研修やセミナーを指します。採用面接では、応募者の採否を決めるだけでなく、応募者を惹きつけて志望度を高める役割も求められます。
近年の採用市場は売り手市場が続いており、企業が一方的に応募者を選ぶ時代ではありません。応募者に「入社したい」と思ってもらうため、面接官には高度なコミュニケーション能力や見極め力が必要です。
面接官トレーニングでは、座学やロールプレイング、eラーニングなど様々な手法を通じて、面接官としての基礎知識から実践的なスキルまでを体系的に学びます。自社の採用力を高め、優秀な人材を獲得するために、面接官トレーニングの重要性は年々高まっているといえるでしょう。
面接官トレーニングに関する詳細は、以下の記事でもご覧になれます。

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面接官に求められる役割は「見極め」と「惹きつけ」

まず面接官に求められる重要な役割は、「見極め」と「惹きつけ」です。
具体的には以下の内容が、面接官には求められます。
見極め
- 自社の募集ポジションとマッチする人材か見極める
例)志望理由や今までの経験・スキルを確認する - 応募者をリラックスさせ、応募者の本音を引き出す
例)応募者が話しやすいよう、アイスブレイクで雰囲気を和やかにする
惹きつけ
- 会社の顔として振る舞い、応募者に会社への印象をアップさせる
例)身だしなみや言葉遣い・傾聴など、好かれる振る舞いをする - 適切に会社の魅力を伝え、応募者の会社への志望度を上げる
例)自社の強みや他社との違いなど、独自の魅力を伝える
高度経済成長期までは企業が人を選ぶ、おもに「見極め」の役割が面接官には求められていました。しかし、現代は求職者が企業を選べる「売り手市場」が続いています。
また、若い世代の価値観の多様化も進んでいるため、今までの「企業の立場が強い」画一的な面接では求職者に選ばれることが難しくなってきています。そのため、採用面接時点から応募者に自社の印象を良く見せたり、求職者に自社の魅力をアピールして「選んでもらう」ことが大切です。
特に面接官は応募者にとって「会社の顔」です。いま面接官に求められているスキルを把握し、優秀な応募者を逃がさないようにしましょう。
面接官に必要な5つのスキル

面接官が応募者に「見極め」と「惹きつけ」をするために、必要とされるスキルは以下の5スキルです。
| マナー・対人スキル | 応募者に好印象を与える身だしなみや言葉遣い、適切な立ち振る舞いをする |
|---|---|
| 質問力 | 適切な質問を投げかけて、応募者が求める人材と一致するかを確認する |
| 傾聴力 | 応募者の話に真摯に耳を傾け、話しやすい雰囲気を作り出す |
| 共感力 | 応募者に寄り添って、応募者の本音を引き出す |
| プレゼン能力・動機づけ力 | 応募者に自社の魅力を適切に伝えて、志望度を上げる |
次の項目で順番に見ていきましょう。
マナー・対人スキル
マナー・対人スキルは具体的には、以下の要素を指します。
- 清潔感がある服装や髪型
- 丁寧な言葉遣いや話し方
- 明るい表情で、適度に相槌を打ちながら話を聞く
- 面接のお礼や挨拶をする
- 応募者の目を見て話す
- 適切な距離感を保つ
応募者は面接官を通じて会社の雰囲気や社風を理解しようとします。面接官がだらしない服装や、高圧的な態度で接してしまうと、応募者は会社にあまり良い印象を持ちません。
面接官は「会社の顔である」という意識を持って、誰からも好かれる身だしなみ・振る舞いを心がけましょう。応募者との適切な距離感を保ちながら、リラックスできる雰囲気を作り出す対人スキルも重要です。
質問力
応募者が自社に適切な人材かを見極めるために、書類だけではわからない箇所を深掘りすることが重要です。
具体的には以下の質問内容を投げかけましょう。
| 職歴に関する質問 |
|
|---|---|
| 仕事観に関する質問 |
|
| 自身に関する質問 |
|
| キャリアに関する質問 |
|
その際に面接官は以下の事項を意識することが大切です。
- 端的に分かりやすく質問をすること
- 初めは「はい・いいえ」で答えられる質問から始め、徐々に詳しい内容を聞くこと
- 聞いてはいけない質問をしないこと
特に「聞いてはいけない質問をしないこと」は、応募者の志望度の観点からも大切です。厚生労働省では、公正な採用選考を実施する上で応募者の適性やスキルに関係ない箇所で採否を決めないように呼びかけています。
具体的には以下の質問を避けるようにガイドラインが設定されています。
本人に責任のない事項
- 本籍・出生地に関すること
- 家族に関すること(職業、続柄、地位、学歴、収入など)
- 住宅状況に関すること(間取り、住宅の種類など)
- 生活環境・家庭環境などに関すること
本来自由であるべき事項
- 宗教に関すること
- 支持政党に関すること
- 人生観、生活信条などに関すること
- 尊敬する人物に関すること
- 思想に関すること
- 労働組合や学生運動などの社会運動に関すること
- 購読新聞・雑誌・愛読書などに関すること
何気ない会話でも聞いてしまうような事柄も含まれています。事前にチェックし、質問をしないようにしましょう。
傾聴力
傾聴力とは、応募者の話に真摯に耳を傾け、相手が話しやすい雰囲気を作り出す能力を指します。
面接では、緊張のあまり本来の力を発揮できない応募者も少なくありません。面接官の傾聴力が不足していると、応募者は委縮してしまい、本音や本来の能力を引き出せなくなります。
傾聴力を発揮するには、以下のアクションを実践しましょう。
- 応募者の話を遮らず、最後まで聞く
- 適切なタイミングで相槌を打つ
- 応募者の言葉を要約して確認する
- 話の内容に応じて表情を変える
- メモを取りながらも、適度に目を合わせる
応募者が話している最中にパソコンばかり見ていたり、無表情で聞いていたりすると、話している応募者は「本当に聞いてもらえているのか」と不安になります。
面接官は応募者の話に真摯に耳を傾け、「あなたの話をしっかり聞いています」という姿勢を示す必要があります。適切な傾聴力を発揮すれば、応募者はリラックスして本音を語りやすくなるでしょう。
共感力
面接では、緊張してうまく話せない応募者も多いです。
そのような場合、共感力を活用した以下のアクションで応募者の本音を引き出す必要があります。
- 目を見たり、体を相手に向けて話を聞く
- 適度に相槌を打つ
- 相手の話に対し否定から入らず、まず受け止める
- 最後まで話を聞く
応募者が話している最中にパソコンを注視し続けたり、相槌も打たずに無言で話を聞いたりすると、話している応募者が「話を聞いているのかな」と不安になります。また応募者の受け答えに対して、面接官や会社が求めていることと異なった場合でも、まずは最後まで話を聞きましょう。
そして追加で質問をする場合でも、「なるほど。〇〇さんは〜とお考えなんですね。では〜については、どう考えますか?」と、おうむ返しをして相手の意見を受け止めましょう。このように、面接官には応募者の気持ちや状況に寄り添うことができる共感力も求められます。
プレゼン能力・動機づけ力
応募者を自社に惹きつけるためには、自社の魅力を効果的に伝えるプレゼン能力と、入社意欲を高める動機づけ力が必要です。
面接前に以下の事柄について理解を深め、自分の言葉で説明できるようにしましょう。
- 事業内容
- 会社のミッション・ビジョン・バリュー
- 募集ポジションの仕事内容や求められる役割
- 会社内の雰囲気
- 自社の魅力、強み
- 自社の福利厚生
- 実際に活躍している社員の事例
応募者も事前に確認し、上記の内容について質問をしてくる可能性があります。普段会社に勤務していて何気なく理解している内容でも、言語化して分かりやすく相手に伝えられるように準備しておきましょう。
また、応募者の価値観や希望に合わせて、どの魅力をどのように伝えるかを判断する柔軟性も重要です。画一的な説明ではなく、応募者一人ひとりに響く内容を選んで伝えられる動機づけ力を身につけましょう。

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面接官トレーニングの内容

面接官に求められるスキルはすぐに身につけられるものばかりではありません。
そこで「面接官トレーニング」を取り入れることで、効率的にそれらのスキルを伸ばすことができます。
面接官トレーニングには以下の種類があり、複数の手法を組み合わせた研修プログラムを提供しているサービスも多いです。
自社の課題に合ったサービスを選ぶようにしましょう。
座学
面接の基本について理解を深めるための手法として、座学・セミナー研修があります。
- 面接官の役割や求められるスキル
- 最近の応募者の傾向
- 採用面接の一般的な流れ
- 採用面接でのNG行為
- 話し方のコツ
ロールプレイング
ロールプレイングは、面接官役・応募者役に分かれて実演しましょう。
- アイスブレイク
- 応募者への深掘り質問
- 身だしなみ・言葉遣いのチェック
動画・eラーニング
動画で学んだことを、eラーニングで確認する方法もあります。
- NG質問に関するクイズ
メンターシップ・OJT
経験豊富な先輩面接官が実践を通して指導します。
- 実際の面接への同席
- 面接後のフィードバック
- 評価基準のすり合わせ
- 質問テクニックの習得
- 応募者対応の実践的なアドバイス
面接官マニュアル・評価シートの活用
標準化されたツールを使って面接の質を均一化します。
- 面接の進め方を記載したマニュアル
- 評価項目を明確にした評価シート
- 質問例を整理したチェックリスト
- NG質問をまとめた注意事項
- 面接官の心得を記載したガイドライン
面接官トレーニングのメリット4選

面接官トレーニングには、4つのメリットがあります。
- 面接での評価基準を統一できる
- 採用ミスマッチを削減できる
- 内定承諾率アップ・早期離職の防止につながる
- 企業ブランド・イメージが向上する
順番に各項目について紹介します。
面接での評価基準を統一できる
面接官トレーニングを実施することで、採用基準が統一でき、面接官が誰であっても優秀な人材を採用することが可能になります。採用基準や面接方法が明確に言語化できていないと、面接官の主観的な判断に委ねられ、評価にバラツキが生じやすくなります。
そこで、面接官研修を受けることにより、面接官が統一された認識を持つことができ、採用における属人化を防ぐことができます。
採用ミスマッチを削減できる
面接官トレーニングを通じて見極め力が向上すれば、自社に合わない人材の採用を防げます。研修で学んだ質問テクニックや評価基準を活用すれば、応募者の価値観や志向性を正確に把握できるようになります。
また、面接官が自社の魅力や仕事内容を正しく伝えられるようになれば、応募者側も入社後のイメージを明確に持てます。双方の理解が深まれば、入社後の「思っていた仕事と違う」「社風が合わない」といったミスマッチを減らせるでしょう。採用ミスマッチの削減は、早期離職の防止や採用コストの削減にもつながります。
内定承諾率アップ・早期離職の防止
研修で面接官の振る舞い・共感力を磨くことで、応募者の企業イメージをアップさせ、内定承諾率を下げることが可能です。応募者は面接官を通して、企業のイメージを見極めます。そのため、面接官の言動次第で、応募者からの自社に対する企業イメージ・志望度は変化します。
また自分の言葉で適切に自社の魅力を伝えることで、同時に応募者の自社への理解が深まり、入社後のギャップを埋めることも可能です。その結果、内定承諾率を上げること・また入社前後のイメージ相違による早期離職を防ぐことができます。
企業ブランド・イメージが向上する
研修で面接官の振る舞い・共感力を磨けば、応募者の企業イメージをアップさせ、内定承諾率を高められます。応募者は面接官を通して、企業のイメージを見極めます。面接官の言動次第で、応募者からの自社に対する企業イメージ・志望度は変化します。
自分の言葉で適切に自社の魅力を伝えられれば、同時に応募者の自社への理解が深まり、入社後のギャップを埋められます。内定承諾率を上げられるだけでなく、入社前後のイメージ相違による早期離職を防げるでしょう。

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効果的な面接官トレーニング実施のポイント5つ

面接官トレーニングの効果を最大化するには、計画的な実施と継続的な改善が欠かせません。闇雲にトレーニングを実施しても、期待する成果は得られないでしょう。
効果的なトレーニング実施には、以下5つのポイントを押さえる必要があります。
自社の採用課題を明確化する
トレーニングを始める前に、自社が抱える採用上の課題を洗い出す必要があります。「面接官によって評価がバラバラになっている」「内定辞退率が高い」「入社後の早期離職が多い」など、具体的な課題を特定しましょう。
課題が明確になれば、解決に必要なトレーニング内容も自ずと決まってきます。たとえば評価のバラツキが課題なら評価基準の統一研修を、内定辞退が課題なら惹きつけ力向上の研修を重点的に実施します。現状分析を丁寧に行えば、限られた時間とコストで最大の効果を得られるでしょう。
トレーニング目標と評価基準を設定する
トレーニングを実施する際は、達成すべき目標と評価基準を事前に設定しましょう。「面接官全員が統一された評価基準で判断できるようになる」「応募者満足度を20%向上させる」など、具体的な数値目標を掲げます。
目標設定の際は、以下の要素を明確にすると効果的です。
| 設定項目 | 具体例 |
|---|---|
| 達成目標 | 内定承諾率を現状の60%から75%に向上させる |
| 評価指標 | 面接満足度アンケートスコア、選考通過率の標準偏差 |
| 達成期限 | 3ヶ月後の次回採用シーズン開始まで |
| 測定方法 | 月次での面接データ分析、応募者アンケート実施 |
明確な目標があれば、トレーニングの進捗状況を客観的に把握できます。目標達成に向けた軌道修正も容易になり、効率的なスキル向上が実現するでしょう。
実施後の効果測定とフィードバックを実施する
トレーニング実施後は、必ず効果測定とフィードバックを行いましょう。「研修を受けた面接官の評価のバラツキが縮小したか」「応募者からの評価は向上したか」など、設定した目標に対する達成度を確認します。
効果測定には、面接データの分析、応募者アンケート、面接官へのヒアリングなど複数の手法を組み合わせます。数値データだけでなく、定性的な意見も収集すれば、改善点が明確になるでしょう。測定結果は面接官にフィードバックし、良かった点と改善すべき点を共有します。
面接官同士の認識をすり合わせる
面接官トレーニングでは、面接官同士で認識をすり合わせる機会を設けましょう。同じ応募者の面接動画を見て評価を話し合ったり、求める人材像について議論したりする時間が有効です。
認識のすり合わせを行えば、「この応募者のどこを評価すべきか」「どの程度のレベルなら合格とするか」といった判断基準が統一されていきます。ベテラン面接官の視点を新人面接官が学べる機会にもなるでしょう。定期的にすり合わせの場を設ければ、面接官全体のレベルが底上げされ、評価の精度も向上します。
継続的な改善とアップデートを行う
面接官トレーニングは一度実施して終わりではなく、継続的な改善が必要です。採用市場のトレンドは常に変化しており、応募者の価値観や求める情報も年々変わっていきます。
半年に一度は研修内容を見直し、最新の採用動向や自社の課題に合わせてアップデートしましょう。新しい面接手法や評価ツールが登場したら、積極的に取り入れる姿勢も大切です。また、面接官から「もっと学びたい内容」をヒアリングすれば、ニーズに合った研修を提供できます。
継続的な改善とアップデートを重ねれば、常に最適な状態で面接官トレーニングを実施でき、採用力の維持・向上を実現できるでしょう。
まとめ

今回は面接官に求められる役割やスキル、面接官研修のメリットについてご紹介しました。
売り手市場の現在、面接官には「採否を決める見極め」だけではなく、「応募者をひきつけるスキル」も必要です。面接官研修でこのスキルを身につけることで、面接官による採用のバラツキを減らし、必要な人材を無駄なく採用することができます。
しかし、「他の業務に時間を取られて、面接官研修をする時間がない」「より多くの人材を採用するため土日も採用面接をしたいが、対応できるメンバーがいない」など、面接官研修で解決できないことも中にはあります。
ぜひ気軽に「まるごと面接代行」にお問い合わせください。

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