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面接において応募者の実力や人柄を正しく見極めるには、緊張を和らげ、リラックスした状態で話してもらうことが大切です。堅い空気のままでは本来の魅力を引き出しにくく、双方にとって不本意な結果になりかねません。
そこで重要なのが、面接冒頭で行うアイスブレイクの活用です。本記事では、アイスブレイクの効果や高めるための工夫、避けるべき話題、さらには状況別の実践ポイントまで、採用担当者が押さえておきたい情報を網羅的に解説します。

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目次
面接時のアイスブレイクの効果とは
応募者の緊張をほぐし本音を引き出す
まず面接時のアイスブレイクの効果として、「応募者の緊張をほぐして本音を引き出すこと」です。
応募者は「面接官からどんな質問をされるのだろう」「不採用になりたくないな」と、面接前は緊張をしていることがほとんどです。
しかし、緊張したままでは面接時に見極めたい「その人らしさ」を引き出すことはむずかしいです。
そこで、アイスブレイクを行うことで緊張を解き、リラックスしてもらうことが出来ます。
このように応募者が本音を話せる状態にすることで、自然なコミュニケーションを図ることができ、双方の理解を深めることができます。
自社に好印象を持ってもらう
また、「自社に好印象を持ってもらう」ことも面接時のアイスブレイクの効果のひとつです。
近年は売り手市場が進んでおり、応募者から「この会社に入りたい」と選んでもらう必要があります。
そのため、応募者にプレッシャーをかけ、機械的に面接を進めてしまうと、応募者の会社に対する志望度が落ちてしまう可能性があります。
そこでまずはアイスブレイクでコミュニケーションを取ることで、応募者からのイメージアップや志望度アップにつながります。
面接時のアイスブレイクに適したタイミングと時間配分
アイスブレイクは会話の潤滑油として機能するため、面接の構成内に無理なく組み込むことが求められます。導入直後の短い時間を活用し、応募者の緊張を和らげることができれば、以降の質疑応答もスムーズに展開できます。
とくに初対面の相手に安心感を与えるには、話題の切り出し方と話す順番が重要です。以下に、適切な開始時刻の目安と、形式に応じた進行の工夫について解説します。
面接開始5分での導入が効果的な理由
面接の冒頭にあたる最初の数分間は、応募者の表情や言葉遣いに硬さが見られることが多く、場の空気にも張り詰めた緊張が漂いがちです。この段階でアイスブレイクを挟むことで、候補者の心をほぐすきっかけを作り出せます。
とくに面接開始から5分以内に軽い雑談を行うことで、相手の警戒心が和らぎ、対話への集中力が高まる傾向にあります。形式ばらずに自然なテンポで会話を進めることで、応募者が素の状態で受け答えできるようになるでしょう。
オンライン面接での時間調整のコツ
オンラインでの面接では、通信環境の確認や操作の不慣れから、冒頭の時間が技術的な対応に費やされがちです。予定開始時刻から数分は接続確認と雑談に充て、形式的な話題で緊張を和らげる工夫が有効です。
あいさつの後に天候や通信状況を尋ねるだけでも、相手に安心感を与える効果があります。また、アイスブレイクの終了タイミングを見極めることも肝心です。
雑談に偏らず本題にスムーズに移行するには、話題の切り替えに目安となる時刻や質問パターンをあらかじめ決めておくとよいでしょう。
面接時のアイスブレイクの効果を高めるポイント
面接時のアイスブレイクが、応募者・採用側双方にとって重要であることをお伝えしました。
では、次にその効果を最大限に高めるためのポイントを3つ見ていきます。
面接参加のお礼を伝える
面接時のアイスブレイクの効果を高めるために、まず応募者に対し面接に参加してくれたことへのお礼を伝えましょう。
数ある企業のなかから自社を選んでくれたことや、面接時間を確保してくれたこと、対面の場合は直接会場へ足を運んでくれたことに対し、感謝を伝えましょう。
近年の売り手市場により、応募者側もたくさんの候補会社から選んで面接を受けています。
まずは面接参加のお礼を伝え、応募者に良い印象を与えましょう。
応募者の目を見て、笑顔で話す
また、応募者の目を見て笑顔で話すことで、面接時のアイスブレイクの効果を高めることができます。
「面接だから」と応募者に対し過度にプレッシャーを与える必要はありません。
双方の理解を図る場として、気持ちの良いコミュニケーションを取ることを心がけることが重要です。
選考の結果には影響しないことを応募者に伝える
最後に、「選考の結果に影響しないこと」を伝えることで、さらに面接時のアイスブレイクの効果を高めることができます。
「選考の結果に関連するのでは」と応募者に思わせてしまうと、応募者の緊張が解けず、本音を引き出すことが難しくなってしまいます。
面接官から先に「アイスブレイクの内容は選考に影響しない」と伝えることで、応募者もリラックスでき、アイスブレイクの目的を達成することができます。
面接官も自己開示して距離を縮める
応募者の緊張をほぐすには、面接官自身の人となりを示すことが効果的です。自己紹介や趣味、最近の出来事など、あえて個人的な情報を少し開示することで、相手は壁を感じにくくなります。
一方的な質問のやりとりでは関係性が築きにくいため、会話の中に自分の話を織り交ぜることで、双方向のやりとりがスムーズになるでしょう。距離が縮まることで、応募者はよりリラックスし、自然な受け答えがしやすくなります。
クローズドクエスチョンから始める
会話の導入では、答えやすい質問から始めることが相手の安心感につながります。たとえば「移動は順調でしたか?」など、選択肢が明確なクローズドクエスチョンを用いると、応募者も無理なく返答できるでしょう。
やりとりが数回続いた後に、少しずつ自由度の高い質問に展開することで、会話に自然なリズムが生まれます。初対面において緊張を感じやすい面接という場面では、答えやすさを重視した問いかけが、心理的なハードルを下げる効果を発揮します。

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面接時に効果的なアイスブレイク例6選
ここでは、面接時に効果的なアイスブレイクの話題を6つ、ご紹介します。
応募者の趣味・特技に関する質問
面接時に効果的なアイスブレイク例の一つ目は、「応募者の趣味・特技に関する質問」です。
履歴書の「趣味・特技欄」に記載があることも多く、聞きやすい質問です。
しかし「趣味はトレーニングなんですね!」と話題に入ってしまうと「面接が突然始まった」と唐突な印象を与えてしまい、相手を緊張させてしまいます。
まずは面接官から「わたし最近トレーニングにハマっていまして。〇〇さんも、トレーニングが趣味なんですか?」と自己開示をしてみましょう。
そうすることで、応募者も自分のことを話しやすいと感じ、自然にリラックスすることができます。
天気に関連する質問
二つ目は「天気に関連する話題」です。
天気の話題は当たりさわりなく、誰でも話しやすい話題です。
特に応募者が遠方から来社する場合や、オンライン面接では、意外に盛り上がることがあります。
また、天気に関連して話題を応募者が住んでいる場所の話にも広げやすいので、まず天気の話題から始めてみるとスムーズにアイスブレイクしやすいでしょう。
当日の交通手段に関する質問
三つ目は「当日の交通手段に関する話題」です。
応募者が勤務する可能性のある場所で面接をする場合、入社後の通勤のイメージを共有することができます。
ただし、「あの路線は混んでいてしんどいですよね」「〇〇駅って利用しづらくないですか?」などネガティブな話をすることは避けましょう。
通勤に関して否定的な話題を投げかけてしまうと、応募者が入社後の通勤イメージを持ちづらくなったり、辞退に繋がってしまう可能性もあります。
そこで「〇〇駅って出口があって少しわかりづらいですよね。大丈夫でしたか?」「〇〇を目印に来ていただくとスムーズですよ」と、応募者に対し気遣ったり、簡単なアドバイスをすると、応募者も安心します。
休日の過ごし方に関する質問
四つ目は「休日の過ごし方に関する話題」です。
応募者に聞くだけではなく自分も話すことで、お互いに自己開示ができ、リラックスした雰囲気を作ることができます。
通常の土日以外にも、長期休みが近い時期であれば、どのような休日を過ごしたかを聞いてみてもよいでしょう。
ただし、長期休みに関する話題だと出身地や家族に関する話題に触れることもあります。
以下で解説するNG例には気をつけて、話をすることを心がけましょう。
最近のニュースやトレンドに関する質問
五つ目は、最近のニュースやトレンドに関する質問です。
時事性のある話題は、相手との会話のきっかけを作るのに適しています。たとえば「最近話題になっていた〇〇はご覧になりましたか?」といった問いかけは、日常の延長線上で話せるテーマとして緊張を和らげる効果があります。
また、ニュースに対する意見や感じ方から価値観の一端が垣間見えるため、人物理解にもつながるでしょう。
出身地や訪れた場所の質問
六つ目は、出身地や訪れた場所に関する質問です。出身地や旅行経験など、土地にまつわる話題は親しみを感じやすく、面接の冒頭での会話に適しています。
「ご出身は〇〇とのことですが、どんなところですか?」や「最近どこかにお出かけされましたか?」といった質問は、思い出や体験に基づいた会話を引き出しやすく、表情が柔らかくなるきっかけにもなります。
さらに、面接官との共通点が見つかれば話題が広がり、場の空気も自然と和らぐでしょう。
面接でのアイスブレイクNG例6選
面接時のアイスブレイクで効果的な話題があるように、一方で話すことがあまり好ましくない話題もあります。
アイスブレイク時に自然と聞いてしまう可能性もありますので、下記の事前にNG例6つ読んでいただき、注意するようにしましょう。
出身地・本籍地に関する質問
まず一つ目は「出身地・本籍地に関する質問」です。
この質問は「本人に責任のない事項」として労働基準監督署により「採用選考時に配慮すべき事項」に含まれているため、聞かないようにしましょう。
出身地や本籍地は応募者本人が選ぶことができない事柄で、職業の適性や能力には関係がないことです。
つい流れで「出身はどちらなんですか?」と聞いてしまいそうになると思いますが、応募者から話がない限りこちらからは聞かないようにしましょう。
また、住んでいる場所の詳細や住居の間取りといった話題も避けるようにしましょう。
家族に関する質問
二つ目は、「家族に関する質問」です。
この話題も応募者の適性や能力には関係せず、応募者本人が変えることができない事項です。
家族構成だけではなく、家族の職業・学歴・病歴・収入・資産などについても触れないようにしましょう。
また、「結婚のご予定はありますか?」「お子さんのご予定はありますか?」などの質問は男女雇用機会均等法に抵触したり、ハラスメントと捉えられる恐れがあります。
このような質問は、特に結婚や出産などのライフスタイルの変化を機に退職することが多い女性に、不利になってしまう可能性がある質問です。
男女共に同じ質問をしていても、一方の性については採用・不採用の判断に影響がなく、他方の性についてはその返答が採用・不採用の判断要素となるような場合は、採用において性別を理由として差別していることになります。
家族の話題はアイスブレイクにしやすいネタですが、採用面接の場では避けた方が良いでしょう。
宗教・思想に関する質問
厚生労働省の指針により、「個人の思想は職場において配慮されるべき事項」とされています。
具体的には、大阪労働局の「就職差別につながるおそれのある不適切な質問の例」によると、「思想・信条や宗教、支持する政党、人生観などは、信教の自由、思想・信条の自由など、憲法で保障されている個人の自由権に属することがら」であり、それを採用選考に持ち込むことは、基本的人権を侵すことであると述べられています。
また、宗教だけではなく、「普段はどんな本を読みますか?」「尊敬する人はどなたですか?」などの質問も、個人の思想を聞き出す質問になってしまいます。
面接の場ではこのような話題は避けた方がベターです。
他社の選考状況に関する質問
4つ目は「他社の選考状況に関する質問」です。
アイスブレイクでいきなり聞いてしまうと、「選考に関係があるのでは」と応募者をより緊張させてしまう可能性があります。
まずは別の話題で気持ちをリラックスさせ、面接の後半で確認してみる方が良いでしょう。
プライバシーに深く踏み込む質問
応募者の個人的な領域に過度に踏み込んだ質問は、場の空気を悪化させる原因になります。たとえば家族構成や結婚の有無、住まいの詳細といった情報は、面接で話すことに抵抗を感じる方も少なくありません。
緊張を解くつもりであっても、相手が「詮索されている」と感じることで心理的な距離が生まれ、かえって本音を引き出しにくくなってしまいます。
政治・経済・宗教など意見が分かれる質問
価値観がわかれやすいテーマを扱うと、応募者に無用なストレスを与えてしまう恐れがあります。たとえば「最近の政治についてどう思いますか?」や「信仰している宗教はありますか?」といった質問は、個人的な信念や立場を問うものとなり、回答を避けたいと感じる方も多いものです。
面接の目的は応募者の人柄や能力を見極めることにあるため、意見が対立しかねない話題は避けるべきです。
【シチュエーション別】面接官が押さえておきたいアイスブレイクの工夫
面接の形態や応募者の属性によって、適したアイスブレイクの内容や話し方には違いがあります。環境や相手の立場を踏まえた配慮がなければ、緊張を和らげるどころか逆効果になるかもしれません。
ここでは、よくある3つの面接シーンに合わせて、面接官が意識したい工夫や注意点を具体的に解説します。
オンライン面接でのアイスブレイクの注意点
画面越しの面接では、対面と比べて表情や雰囲気が伝わりにくく、会話の間合いも掴みにくくなりがちです。そのため、雑談を始める前に音声や映像の状態を確認し、応募者が安心して参加できる環境を整えることが欠かせません。
また、最初の問いかけでは通信状況や背景に関する軽い話題が効果的です。相手がリラックスできるように笑顔を意識し、聞き取りやすい声量で話すことも重要です。
共通の話題が見つかりづらい場合には、時事的な話題やオンラインならではの工夫について触れるのも有効でしょう。
グループ面接で活用できる共通テーマの選び方
複数の応募者が同席するグループ面接では、個別対応よりも全体の空気づくりが鍵になります。全員に共通するテーマを用いたアイスブレイクによって、参加者間の緊張をやわらげるとともに、一体感を生むことが可能です。
たとえば「最近ハマっていること」や「学生時代に力を入れたこと」など、誰でも答えやすい題材を選びましょう。面接官が最初に自身のエピソードを交えて語ると、発言しやすい空気を作れます。
順番を工夫し、回答のプレッシャーを与えない進行を意識することも円滑な運営につながります。
中途採用と新卒採用での話題の使い分け
採用区分によって、応募者の価値観や関心事には大きな違いがあります。新卒の場合は学生生活や就職活動のエピソードが話しやすいテーマとなりますが、社会人経験のある中途採用では、仕事観やキャリアに関連した話題の方が親和性が高まります。
たとえば「最近の職場で印象に残った出来事」など、本人の経験に即した質問が効果的です。形式ばらず、応募者の背景を踏まえたアプローチが信頼関係の構築に寄与します。
まとめ
アイスブレイクは、面接官の一言や話題の選び方によって効果が大きく左右される要素です。適切なタイミングで心理的な壁を取り払えれば、応募者の本音や潜在的な魅力を引き出すことが可能になります。
そ対面・オンライン・グループなど、シチュエーションごとに配慮すべき点を押さえたうえで、場に応じた言葉を選ぶ意識が求められます。安心して話せる空気づくりこそが、ミスマッチのない採用を実現する第一歩となるのです。

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