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2025.06.19 更新日:2025.07.18
この記事の監修者:今 啓亮

この記事の監修者:今 啓亮

第7回 人事評価とキャリア支援:成長を可視化する仕組みとは【特別企画:建設業界採用ガイドブック解説】

「頑張っても報われない」をなくす

多くの中小建設企業では、評価制度があっても、実際には年功序列や主観で判断されがちです。

  • 評価基準が曖昧
  • 何を頑張れば評価につながるか分からない
  • 直属上司の印象だけで決まる

こうした状況では、「頑張っても意味がない」という空気が生まれ、モチベーション低下や離職につながります。

評価制度は、社員の成長と組織の成果を両立させる「道しるべ」であるべきです。

評価の目的は「成長支援」である

評価=査定というイメージが根強いですが、本来の目的は、「成長支援」です。

・いまどこにいて、
・何ができていて、
・次にどこを伸ばすべきか

を見える化することで、自分の現在地と進むべき方向を明確にできます。

そのためには、評価項目の明文化と、等級(グレード)による段階整理が有効です。

例)施工管理職のグレードイメージ:

  • グレード1:材料管理、KY活動、図面理解
  • グレード2:安全・工程管理、打合せ同席、帳票作成
  • グレード3:現場リーダー、発注者対応、原価管理

このように「成長の階段」を可視化すると、現場で育つ・活躍するイメージが持てるようになります。

「主観ゼロ」は無理でも、納得感はつくれる

完全に主観を排除する評価は不可能です。しかし、「何を見ているか」を明確にすることで、納得感ある評価は可能です。

  • 職能スキル(技術力、図面理解、安全意識)
  • 業務成果(原価率、工期遵守、受注件数)
  • 行動特性(報連相、後輩指導、当事者意識)

このように複数の軸でバランスよく評価し、「1on1面談」でフィードバックを行うことで、評価の透明性が高まります。

フィードバックは、褒める・課題を示す・期待を伝えるの3点を意識すると、相手の納得度が高まります。

キャリア面談は“短期志向”を防ぐ機会

若手社員ほど「とりあえず3年」「この現場が終わったら辞めよう」といった短期的なキャリア観にとらわれがちです。

そこで重要なのが、半年〜1年ごとのキャリア面談です。業務評価とは別軸で、

・今後やってみたいこと
・得意・不得意の実感
・将来像のイメージ

などを、本人の言葉で整理する時間を設けることで、「この会社で成長できそう」という感覚を育てます。

また、「本人の希望」と「会社の計画」のすり合わせを行う場としても機能します。

評価と処遇はどうつなげる?

「評価はするけど、給与は変わらない」という状態では、意味を持ちません。評価→等級→処遇(昇給・昇格)という流れを明示しましょう。

  • 等級が上がれば手当が増える
  • 役割が変われば職位が変わる
  • スキルによって給与が上下する

といったルールを明確にしておくことで、社員の納得感や挑戦意欲につながります。

また、定期昇給と成果昇給を分ける設計をすると、公平性が高まります。

例:

  • 定期昇給:年1回、在籍年数に応じて一律昇給
  • 成果昇給:評価結果に基づいて個別加算

このように、評価が働き方・処遇・キャリアとつながることが、制度定着のカギとなります。

次回予告

次回は、「多様性時代の採用視点」というテーマで語ります。

この記事の監修者:今 啓亮
この記事の監修者:今 啓亮

まるごと人事として550社以上の企業の採用支援
書籍『「本当にほしい人材」が集まる中途採用の定石』好評発売中

2015年に東京でマルゴト株式会社(旧社名:株式会社ビーグローバル)を創業。
スタートアップから大手企業まで幅広く採用関連のプロジェクトに携わった後、2017年に月額制の採用代行”まるごと人事”の提供を開始。
2021年にバックオフィス代行”まるごと労務””まるごと経理”も開始。
「理想のサービスと理想の職場を同時実現する」を経営理念に掲げ、全員がフルリモートで働くユニークな組織運営を行う。
2022年に本社住所を東京から札幌に移転し、自身も関東から札幌に移住。

出演イメージ

2024年11月、ABEMAの報道番組「ABEMA Prime」に
採用のプロフェッショナルとして出演。
> 出演した番組はこちら

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