採用・労務・経理に関するお役立ち情報

採用は最大の広報活動である
人材獲得競争が激化するなか、採用活動は単なる人員確保ではなく、企業のあり方や価値観を外部に伝える重要な広報活動になっています。
たとえば求人票には、職種や待遇だけでなく、企業理念や代表メッセージ、働く人の声が掲載されるのが当たり前になっています。なぜなら、求職者は給与や勤務地だけでなく、「どんな会社か」「どんな人がいるか」を重視しているからです。
求職者との最初の接点が求人情報である以上、採用活動は企業の第一印象を決定づける極めて重要なブランディング機会といえるでしょう。
自社らしさを伝えるストーリーテリング
自社の魅力を伝えるには、数値や制度の紹介だけでなく、「ストーリー」を通じた訴求が効果的です。
たとえば:
- 地域密着の建設企業が、災害復旧にどのように貢献してきたか
- 若手社員が入社から3年でどんなキャリアを歩んだか
- 現場監督と大工の信頼関係が、どのように築かれているか
といった「人」を主役にした物語を発信することで、読んだ人の心に残る印象を与えることができます。
これは、いわゆる「採用広報」の領域であり、SNSやnote、YouTubeなどを活用したコンテンツ発信が有効です。
「自社らしい言葉で、自社の人を紹介する」ことが、ブランディングとしての採用の第一歩です。
ブランディングとしての採用DX
採用活動のオンライン化が進むなか、デジタルを活用したブランディングの重要性が高まっています。
- 自社採用サイトの整備(スマホ対応・職種別ページ)
- 動画コンテンツによる社員紹介・1日の仕事紹介
- エントリーフォームの簡素化
- 応募後の自動返信やステップ通知
こうした一連の導線を整えることで、求職者の体験価値(Candidate Experience)が向上し、企業への印象が大きく変わります。
また、オンライン面談ツールやMA(マーケティングオートメーション)を活用すれば、応募者情報の一元管理や温度感に応じた対応も可能になります。
「採用のやり方」が、企業の先進性や信頼性を判断する材料になる時代です。だからこそ、採用におけるデジタル活用はブランディングそのものと言えるでしょう。
採用は企業の「鏡」である
応募者は、面接時のやり取り、メール対応の速度、Webサイトの見やすさなど、さまざまな接点から企業の本質を感じ取っています。
つまり採用とは、「自社をどう見せるか」だけでなく、「自社がどうあるか」が問われる鏡のような活動です。
一貫した世界観と誠実な情報発信が、共感を呼び、マッチする人材との出会いにつながります。
中小企業こそ、トップの想いや現場の人間関係など、「顔が見える魅力」を打ち出すことで、大手企業とは違った採用ブランディングが可能になります。
連載のまとめに代えて
この連載では、建設業界における採用課題とその打開策について、10の切り口からお届けしてきました。
- 人手不足と高齢化の実態
- 採用フローとつまずきトラップ
- 人的資本経営と評価制度
- 多様性人材の活用
- データとPDCA
そして本稿では、採用を経営とブランディングの起点として捉える視点をご紹介しました。
変化の激しい時代だからこそ、「人をどう迎え入れ、育てていくか」が企業の未来を決定づけます。
この連載が、皆さまの現場での実践に少しでも役立つことを願っています。
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