採用・労務・経理に関するお役立ち情報

2026.01.25 更新日:2026.01.27
この記事の監修者:今 啓亮

この記事の監修者:今 啓亮

【5ステップで最大化】採用ROIとは?計算式と改善方法、投資対効果の高め方

採用ROIとは何か|投資対効果の基本的な考え方

採用ROIとは何か

採用活動にかけた費用が本当に成果を生んでいるのか、経営層から問われる機会が増えています。人材獲得を単なる経費として捉えるのではなく、企業の未来を創る投資として評価する視点が求められているのです。

ここでは採用ROIの基本的な考え方と、注目される背景について解説します。

ROIの定義と採用活動における意味

ROI(Return On Investment)は、投じた資金に対してどれほどの収益が得られたかを示す指標で、日本語では「投資収益率」や「投資対効果」と表現されます。ビジネス全般で用いられる指標ですが、採用活動に当てはめた場合、募集や選考にかかった費用を単なる支出ではなく、将来的な企業成長を支える人材への投資として位置づけます。

採用した社員が生み出す成果をリターンとして数値化し、かけた費用に見合った結果が得られているかを客観的に評価できる点が特徴です。

なぜ今、採用ROIが重視されるのか

労働人口の減少により、優秀な人材を獲得する競争は年々激しさを増しています。採用コストは上昇を続けており、限られた予算の中で最大限の効果を引き出す必要性が高まっているのです。

さらに経営層からは、単に「何人採用したか」という数字だけでなく、「投じた費用がどれだけのリターンを生んでいるか」という説明責任を求められるようになりました。各施策の費用対効果を正確に把握し、効果の高い手法へリソースを集中させる判断が不可欠になっています。

中小企業こそ採用ROIを意識すべき理由

大企業と比較して予算や人員が限られている中小企業では、採用活動の一つひとつの効率を厳しく見極めなければなりません。リソースに制約があるからこそ、費用対効果の測定は経営に直結する重要な課題となります。

加えて、社員一人が組織全体へ与える影響が大きいため、採用のミスマッチや早期離職が発生した場合の打撃は深刻です。採用ROIを意識した活動を展開すれば、場当たり的な人員補充から脱却し、経営戦略に合致した優秀な人材を戦略的に確保できるようになります。

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採用ROIの算出方法|計算式とコストの内訳

採用ROIの算出方法

採用ROIを活用して投資判断を行うには、正確な計算方法を理解する必要があります。コストの全体像を把握し、リターンをどう定義するかによって、測定の精度は大きく変わるでしょう。

ここでは基本的な計算式から具体的な算出例まで、実務に活かせる知識を解説します。

採用ROIの基本計算式

採用ROIを求める際には、一般的に以下の計算式が用いられます。

(採用による利益 - 採用コスト)÷ 採用コスト × 100(%)

算出された数値が100%を上回れば、投じた費用以上のリターンが得られたと判断できます。数値が高ければ高いほど、投資効率が優れていることを意味するのです。

文献によっては「利益 ÷ 投資額 × 100」というシンプルな式で表現される場合もありますが、いずれも投資対効果を可視化する点では共通しています。まずは自社に合った計算式を選び、継続的に測定できる体制を整えましょう。

採用コストの内訳|外部コストと内部コスト

正確なROI算出には、コストの全容を漏れなく把握する必要があります。採用にかかる費用は、大きく外部コストと内部コストの2種類に分類されます。

採用活動における主なコストの内訳は、以下のとおりです。

外部コスト 内部コスト
  • 求人広告の掲載費用
  • 人材紹介会社への成功報酬
  • 採用イベントへの出展料
  • 採用パンフレットやWebサイトの制作費
  • 適性検査ツールの利用料
  • 採用担当者や面接官の人件費(時間換算)
  • リファラル採用のインセンティブ支給
  • 内定者フォローや研修にかかる費用
  • 応募者の交通費や宿泊費

外部への支払いは把握しやすい一方、社内の人件費は見落とされがちです。選考に関わる社員の工数を時間換算して算入すれば、より実態に即した投資額を把握できます。

採用成果(リターン)をどう定義するか

リターンの数値化は難しい側面がありますが、いくつかの指標を組み合わせて評価します。営業職であれば、採用された社員が創出した売上や粗利益を直接的な貢献として測定できるでしょう。スキル保持者の加入による業務改善や残業代削減といった生産性向上も、定量的なリターンとして扱えます。

さらに定着率が向上すれば、再採用にかかるはずだった費用が不要になり、コスト削減効果が生まれるのです。評価制度における評点やハイパフォーマーの割合といった質的指標も、中長期的な企業価値の向上を測る要素として活用できます。

具体的な計算例で理解する

実際の数字を用いて計算プロセスを確認しましょう。ある企業が営業職を1名採用するため、広告費や人件費を含めて合計200万円のコストをかけたとします。

入社した社員が1年間で500万円の粗利益を生み出した場合、採用による利益は300万円(500万円-200万円)となります。ROIは「300万円 ÷ 200万円 × 100 = 150%」と算出され、投資額の1.5倍のリターンが得られたと評価できるのです。

もし業績貢献の500万円を分子として計算すれば(500万円÷200万円×100)、250%という表現になります。自社の評価基準に合わせて計算方法を統一しましょう。

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採用ROIを最大化する7つの戦略

採用ROIを最大化する7つの戦略

採用ROIを高めるには、コストを抑えながら質の高い人材を獲得し、長く活躍してもらう仕組みが必要です。

ここでは、実務で取り組める採用ROI戦略を7つ紹介します。自社の状況に合わせて優先順位をつけ、段階的に導入していきましょう。

リファラル採用の強化によるコスト削減

社員からの紹介によって候補者を獲得するリファラル採用は、求人広告や人材紹介会社への手数料を大幅に削減できるため、外部コストの抑制に直結します。紹介する社員が自社の文化や業務内容を理解した上で推薦するため、入社後のミスマッチが起きにくく、定着率も高い傾向にあるのです。

長期的に見れば、早期離職による再採用コストも発生しにくくなり、ROI向上に大きく貢献します。制度を機能させるには、紹介のインセンティブ設計だけでなく、社員が誇りを持って知人を紹介したくなる職場環境の整備が欠かせません。

無料・低コストメディアの戦略的活用

ハローワークやIndeedの無料掲載枠、SNSを活用したソーシャルリクルーティングなど、費用をかけずに求職者へリーチできる手段は数多く存在します。有料広告への依存度を下げられれば、採用単価(CPA)を直接的に引き下げられるのです。

無料メディアでも、募集要項の書き方や更新頻度を工夫すれば、十分な応募数を確保できます。FacebookやX(旧Twitter)、InstagramといったSNSでは、企業の日常や社員の声を発信し続けられるため、共感を持った層からの自発的な応募を促せるでしょう。

ダイレクトリクルーティングの導入

ダイレクトリクルーティングは、企業が求職者データベースから直接スカウトメッセージを送る手法です。人材紹介会社を経由した採用では高額な成功報酬が発生しますが、ダイレクトリクルーティングであればその費用を回避できる可能性があります。

自社で候補者を厳選できるため、求めるスキルや経験にマッチした層へピンポイントでアプローチでき、母集団の質を高められるのです。初期段階では担当者の工数がかかりますが、ノウハウが蓄積されれば効率的な運用が可能になり、中長期的なコスト削減とROI向上を実現できます。

採用広報とオウンドメディアの活用

自社のWebサイトやブログ、SNSアカウントで継続的に情報を発信する取り組みは、長期的に応募者を集める「資産」となります。企業の理念や働く環境、社員のリアルな声を伝え続ければ、価値観に共感した層が自然と集まるようになるのです。

母集団の質が高まれば選考の通過率も向上し、有料広告への依存度を下げられます。さらに内定承諾率の向上にもつながるため、中長期的な視点で見れば採用コスト全体の削減効果は非常に大きいでしょう。

ミスマッチ防止策の徹底

入社後すぐに離職が発生すれば、それまでに投じた費用が回収できないばかりか、再度募集をかけるコストが追加で発生します。ROIを著しく低下させる最大の要因が、採用のミスマッチなのです。

選考段階で業務の大変な側面や課題も正直に伝えるRJP(リアリスティックジョブプレビュー)や、カジュアル面談の導入によって、入社後のギャップを最小限に抑えられます。候補者が現実的な期待値を持った状態で入社すれば、定着率は大幅に向上するでしょう。

短期的には内定辞退が増える懸念もありますが、長期的なROIを重視すれば必須の取り組みです。

採用DXの推進による業務効率化

ATS(採用管理システム)を導入すれば、応募者情報の管理や面接日程の調整を自動化でき、人事担当者や面接官の工数を大幅に削減できます。

内部コストの圧縮は、ROI向上に直結する重要な要素です。システム化によって候補者への連絡スピードが上がれば、選考体験の質も向上し、優秀な人材の選考辞退を防げます。

初期投資は必要ですが、採用活動の規模が大きい企業ほど費用対効果は高くなるでしょう。データの一元管理によって分析の精度も上がり、継続的な改善活動を支える基盤となります。

選考プロセスの最適化

不要な面接回数を削減したり、書類選考の基準を明確化したりすれば、採用スピードを上げられます。選考期間が長引けば、優秀な候補者が他社に流れてしまう機会損失が発生するのです。プロセスの無駄を省けば、選考に関わる社員の時間的コスト(内部コスト)も圧縮できます。

ただし、スピード重視で質を落とせば本末転倒になるため、各選考ステップの目的を明確にし、必要十分な評価ができる設計を心がけましょう。オンライン面接の活用や、一次面接の録画選考なども、効率化の選択肢として検討できます。

データドリブンな分析で改善する採用ROI

データドリブンな分析で改善する採用ROI

採用活動の成果を最大化するには、感覚や経験則だけでなく、データに基づいた客観的な判断が求められます。各プロセスを数値で可視化し、課題を特定して改善を繰り返す仕組みが必要です。

ここではデータを活用した分析手法と、継続的な改善サイクルの構築方法を解説します。

採用KPIの設定と追跡方法

ROIを改善するには、採用活動全体を細かく分解し、各段階を管理する指標(KPI)の設定が不可欠です。応募数だけを追うのではなく、CPA(応募単価)、CPO(内定単価)、各選考ステップの通過率、内定承諾率、定着率といった複数の指標を時系列で追跡します。数値の推移を観察すれば、どの工程に課題があるのかを客観的に特定できるのです。

例えば内定承諾率が低下している場合は魅力付けやフォロー体制に問題がある可能性が高く、書類選考の通過率が極端に低ければ募集要件の見直しが必要でしょう。

ATSを活用したファネル分析

応募から入社まで、各段階での歩留まり率をATS(採用管理システム)で可視化する手法です。書類選考・一次面接・最終面接・内定・入社承諾といった各ステップで、どれだけの候補者が次へ進んでいるかを数値で把握できます。

ファネルの形状を見れば、どこで候補者が離脱しているかが一目瞭然です。内定後の辞退が多ければ内定者フォローの強化が必要になり、一次面接の通過率が低すぎる場合は評価基準の見直しが求められます。

チャネル別の費用対効果測定

求人媒体、人材紹介会社、リファラル採用、SNS、ダイレクトリクルーティングなど、複数のチャネルを併用している場合は、それぞれの費用対効果を比較分析する必要があります。各チャネルごとに「投じたコスト」と「採用数」「採用した人材の質(定着率や評価)」を突き合わせるのです。

採用チャネル別の効果測定項目は、以下のとおりです。

  • 投資額:チャネルごとの総コスト
  • 応募数:各チャネル経由の応募者数
  • 採用数:実際に入社に至った人数
  • 採用単価:投資額 ÷ 採用数
  • 定着率:入社後1年以内の在籍率
  • パフォーマンス:入社後の評価や業績貢献度

IBMでは、チャネル分析によって効果の低い媒体への投資を30%削減し、全体のROIを25%向上させた事例があります。効果の高いチャネルへ予算を集中させれば、限られたリソースで最大の成果を引き出せるでしょう。

BIツールによるデータ可視化

Excelでの手作業による管理では、リアルタイムな状況把握や複雑な分析に限界があります。BIツールやATSのダッシュボード機能を活用すれば、採用活動の状況を視覚的に把握できるのです。

グラフや図表を用いて一目で理解できる形式にすれば、経営層へのROI報告の説得力が増し、予算の妥当性を証明しやすくなります。また、異常値やトレンドの変化にも素早く気づけるため、問題が深刻化する前に対処できるでしょう。

入社後のパフォーマンス分析

真の採用ROIは、入社後の活躍まで含めて評価すべきです。GoogleやSalesforceといった先進企業では、面接時の評価データと入社後のパフォーマンス評価や昇進スピードを紐付けて追跡しています。分析を重ねれば、「高いリターンを生む人材」に共通する傾向やパターンを特定できるのです。

得られた知見を採用基準へフィードバックすれば、投資の精度を継続的に高められます。評価制度における評点や売上貢献度、プロジェクトの成功率など、複数の指標を組み合わせて多角的に分析しましょう。

継続的なPDCAサイクルの構築

データ分析は一度実施して終わりではなく、定期的に見直し続ける必要があります。半年から1年の単位でチャネル別のROIを再算出し、市場環境の変化に合わせて投資配分を最適化していくのです。

  • Plan(計画)
  • Do(実行)
  • Check(評価)
  • Action(改善)

上記のサイクルを回し続ける姿勢が、採用ROI最大化のポイントです。四半期ごとに振り返りの場を設け、データに基づいた議論を行えば、組織全体の採用力が底上げされるでしょう。

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定着率向上で長期的ROIを高める施策

定着率向上で長期的ROIを高める施策

採用活動は人材を獲得して終わりではなく、入社後に長く活躍してもらうまでが真の成果です。早期離職が発生すれば、それまでの投資は回収できません。

ここでは定着率を高め、長期的な視点で採用ROIを最大化する施策を解説します。

早期離職がROIに与える影響

入社後すぐに離職が発生した場合、募集や選考にかけた採用コストはもちろん、入社後の教育コストも回収できないまま損失となります。特に短期間での離職は、再度同じポジションを埋めるための再募集コストが追加で発生するため、ROIは極端に悪化するのです。

例えば200万円かけて採用した人材が3ヶ月で退職すれば、投資はゼロリターンどころかマイナスになります。さらに既存社員の業務負担増加や、採用担当者の疲弊といった目に見えないコストも見逃せません。

価値観適合性を重視した評価指標

スキルや経験だけで採用を決めると、企業文化とのミスマッチが起きやすくなります。企業の理念や価値観への共感度(カルチャーフィット)を測る独自の評価指標を選考に組み込みましょう。

トヨタ自動車やユニクロといった企業では、価値観適合性を丁寧に確認するプロセスを導入し、離職率の大幅な低減に成功しています。能力が高くても価値観が合わなければ、早期離職や組織への不協和音につながるのです。

面接での質問設計や、適性検査ツールの活用によって、長く活躍できる人材を見極められれば長期的な採用投資の回収率が飛躍的に高まります。

オンボーディングプログラムの強化

入社直後の不安を解消し、スムーズに職場へ馴染めるよう支援する仕組みが、オンボーディングプログラムです。メンター制度の導入や、定期的な1on1ミーティングを通じて、新入社員の疑問や悩みを早期にキャッチアップできます。孤立感を抱えたまま放置されれば、早期離職のリスクは高まるのです。

業務の進め方だけでなく、社内の人間関係構築や企業文化の理解を促す内容を盛り込めば、早期戦力化も実現できます。リターンを最大化させるには、採用した人材が本来持つ力を最大限発揮できる環境を整える必要があるのです。

インナーブランディングによる組織基盤の整備

「どのような人材を、どんな価値観で迎え入れるか」という採用の考え方を、社内全体で共有する取り組みがインナーブランディングです。組織内部の価値観を明確にし、採用は単なる経費ではなく「未来への投資」であるという文化を育てます。

現場の社員が採用の重要性を理解すれば、新入社員の受け入れ姿勢も変わり、定着支援が自然と加速するのです。経営層から現場まで一貫したメッセージを発信し続ければ、採用した人材が働きやすい環境が整い、本質的なROI向上を実現できます。

まとめ

まとめ

採用ROIの向上は、単なるコスト削減ではなく、採用を経営の「戦略的投資」として最適化していくプロセスそのものです。データドリブンな分析によってプロセスを可視化し、適切なチャネル選択とミスマッチ防止、さらに入社後の活躍支援までを一貫して行えば、企業の持続的な成長を支える強固な人材基盤を築けます。まずは自社の採用コストとリターンの現状を数値化し、改善サイクルを回していく体制を整えましょう。

採用ROIを高める取り組みには、専門的な知見と継続的な運用体制が求められます。自社だけで対応が難しい場合は、外部の採用支援サービスを活用する選択肢も有効です。「まるごと人事」では、採用戦略の設計から実務運用、データ分析に基づく改善提案まで、ROI最大化に向けた採用活動を一貫して代行しています。月額制で柔軟に利用でき、600社以上の支援実績から得たノウハウを活かして貴社の採用課題に伴走しますので、ぜひ一度ご相談ください。

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この記事の監修者:今 啓亮
この記事の監修者:今 啓亮

まるごと人事として600社以上の企業の採用支援
書籍『「本当にほしい人材」が集まる中途採用の定石』好評発売中

2015年に東京でマルゴト株式会社(旧社名:株式会社ビーグローバル)を創業。
スタートアップから大手企業まで幅広く採用関連のプロジェクトに携わった後、2017年に月額制の採用代行”まるごと人事”の提供を開始。
2021年にバックオフィス代行”まるごと管理部”(労務プラン・経理プラン)も開始。
「理想のサービスと理想の職場を同時実現する」を経営理念に掲げ、全員がフルリモートで働くユニークな組織運営を行う。
2022年に本社住所を東京から札幌に移転し、自身も関東から札幌に移住。

出演イメージ

2024年11月、ABEMAの報道番組「ABEMA Prime」に
採用のプロフェッショナルとして出演。
> 出演した番組はこちら

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