お役立ち情報
キャッシュレス決済の普及に合わせて、2024年から新しい給与支払いが可能になったことはご存知でしょうか?デジタル給与払いは電子マネーを利用したシステムであり、従来の給与支払いとは違うメリットが多くあります。
この記事では、デジタル給与の基礎知識や変更することで得られるメリット・デメリットをベンチャー・スタートアップの目線で解説します。ベンチャー・スタートアップの経営にも有効な特徴も多く持っていますので、興味がある経営者の方はぜひ最後までご覧ください。
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目次
デジタル給与払いとは?
デジタル給与払いは、デジタルマネー(電子マネー)を会社と従業員の資金移動業者の口座間で移動することで、給与を支払えるシステムになります。
2024年4月30日時点では、PayPay・PayPalなどのキャッシュレスサービスをメイン事業として展開している82社が財務局に登録されています。
そのため、多くの人が日常で利用しているデジタルマネーのほとんどが、デジタル給与払いに対応しているといえるでしょう。
しかし、企業がデジタル給与払いを利用するためには、「指定資金移動業者」という指定が必要になるので注意しましょう。
デジタルマネーを使ったキャッシュレス決済は増加傾向にある
経済産業省の調査によると、2023年のキャッシュレス決済比率は39.3%(126.7兆円)になったことが判明しました。
2010年から2023年までキャッシュレス決済の数値は上昇し続けているため、今後もキャッシュレス決済比率は数値は上昇していくと推測されます。
加えて、経済産業省はキャッシュレス決済比率を2025年までに4割程度にするという政府目標を掲げていることもあり、デジタル給与払いをはじめとするキャッシュ決済に関する政策をどんどん加速させていくと推測できます。
デジタル給与払いを導入する3つのステップ
デジタル給与払いを企業で導入する際には、以下の3つのステップをクリアする必要があります。
- 厚生労働大臣に指定申請し、「指定資金移動業者」の審査を受ける
- 審査がとおり次第、各事業場で労使協定を締結・就業規則の改定を行う
- デジタル給与払いを利用する従業員に対して説明会を開き、同意を得てから施行する
審査には時間がかかるため、即時導入が難しい点には注意が必要です。
また、まだ厚生労働省から具体的な導入方法、手数料など詳細な情報が発表されていないので、厚生労働省の公式ホームページをこまめにチェックするように心がけましょう。
デジタル給与払いのメリットをベンチャー・スタートアップ目線で大解説
デジタル給与払いを導入するか判断するためには、従来の給与支払いでは得られない独自のメリットを把握する必要があります。
ここでは、デジタル給与払いで得られるメリットを3つ解説します。
ベンチャー・スタートアップにも有益なメリットを厳選したので、デジタル給与払いに興味がある経営者のかたは参考にしてみてください。
振込手数料が安くなる可能性がある
電子マネーを活用した給与支払いの方が、銀行振込に比べて振込手数料が安価な傾向が強いです。
ベンチャー・スタートアップは資金が潤沢でない傾向が強いため、コスト削減のメリットは特に大きいといえるでしょう。
さらに、月に複数回の振り込みも可能なので、従業員のニーズにも応えやすい強みもあります。
ポイント還元やキャッシュキャンペーンなど特典を利用できる
デジタルマネーの種類によっては、利用することでポイント還元などお得なキャンペーンを実施していることも多いです。
そのため、デジタル給与払いを活用すると、給与の支払い金額をポイント還元やキャンペーンの対象にできます。
給与の金額によっては恩恵がかなり大きくなるので、基本的に電子マネーを支払い手段にしている人は、デジタル給与払いを希望することも考えられるでしょう。
ベンチャー・スタートアップは、社員の年齢層が若い傾向にあるので、大企業よりも電子マネー支払いを日常的に使用している人の割合が大きい可能性が高いです。
電子マネーの使用者が多いほどデジタル給与払いを希望する人も多くなるため、ベンチャー・スタートアップに適しているシステムであるといえるでしょう。
外国人労働者を雇用しやすい
デジタル給与払いは外国人労働者の雇用ハードルを下げることにもつながります。
在留期間が短い外国人労働者にとって、銀行口座の開設には高いハードルがあったため、銀行振込を利用した給与払いが難しい課題がありました。
しかし、在留期間が短い外国人労働者でも電子マネーは簡単に利用できるので、在留期間が短い外国人労働者でも関係なく給与を支払えます。
デジタル給与払いを導入するとグローバルな就職市場を視野に入れやすくなるので、ベンチャー・スタートアップの人材不足問題も解決できるでしょう。
【ベンチャー・スタートアップは注意したい】デジタル給与払いのデメリット
デジタル給与払いは新しい制度であるため、導入すると思わぬデメリットが発生する恐れもあります。
ここでは運用するうえで注意したい、デジタル給与払いのデメリットを3つ紹介します。
ベンチャー・スタートアップにも関係するデメリットをまとめましたので、ぜひ参考にしてください。
給与払い業務が増える
デジタル給与払いを導入すると、支払い方法が従業員ごとに異なる可能性が高くなるので、給与払い業務が増える可能性が高いです。
そのため、企業の状態によってはデジタル給与払いを導入したことをきっかけに、担当社員がキャパオーバーになってしまうことも考えられます。
ベンチャー・スタートアップは一人経理である傾向が高いなど、管理部門の人材が不足していることも珍しくありません。
導入する前に労務担当社員のタスク量を把握し、業務量を増やしても問題ないか確認することをおすすめします。
管理する書類やデータが増える
デジタル給与払いを導入するには、利用する従業員の口座情報や同意書が必要になります。
そのため、労務が管理するデータ量が増えてしまうデメリットが発生します。
加えて、同意書や支払い方法によっては、書類を新規作成する必要があるので、導入するにはある程度の作業リソースが必要です。
ベンチャー・スタートアップは一人経理である傾向が高いことからも、管理部門の人材が不足していることも珍しくなく、対応が難しい場合も多いです。
セキュリティのリスクが高い
電子マネーはスマートフォンにインストールされたアプリで利用するため、アプリなどが使えなくなったら利用できなくなるデメリットがあります。
さらに、デジタルマネーは比較的簡単に送金ができてしまうことから、不正出金などの被害に合うリスクも高くなります。
そのため、デジタル給与払いは従来の給与支払いよりもセキュリティが弱い傾向が強いです。
従業員が安全にデジタル給与を利用するためにも、導入した企業によっては情報モラル教育を実施する必要がある点には注意が必要です。
デジタル給与払いを導入する3つのポイント
デジタル給与払いをスムーズに導入するためには、以下の3つのポイントを抑えておくことが重要です。
準備する手続きによっては、申請を怠ってしまうとペナルティが課せられてしまうものもあります。
不要なリスクを発生させないためにも、導入しようと考えているベンチャー・スタートアップのかたは、以下のポイントをしっかり把握しておきましょう。
必要な資料を事前に把握しておく
給与デジタル払いは全従業員ではなく希望者にのみ必要な対応になるので、利用者の同意書を提出する必要があります。
しかし、同意書は2024年7月時点では定まった様式がないため、自社で準備する形になります。
ベンチャー・スタートアップなど作成するリソースを取るのが難しい場合は、厚生労働省で公開されている同意書のフォーマット(資金移動業者口座への賃金支払に関する同意書)
を利用すると良いでしょう。
就業規則(給与規定)の変更届を忘れずに提出する
給与の支払方法は、給与規定への明記が義務づけられている「絶対的記載事項」に該当します。
そのため、給与デジタル払いを導入する場合は、就業規則(給与規定)に項目やルールを追記する手続きが必要です。
就業規則を変更するには変更届出が必要であり、届出を怠ってしまうと30万円以下の罰金が課されることもあるので注意しましょう。
給与払いツールが対応しているか確認する
給与払いツールを使用している場合は、デジタル給与払いに対応しているか必ず確認しましょう。
外部に給与関連の業務を委託している場合も同様で、委託先が対応しているか確認する必要があります。
もし対応していない場合は、早急に他のツールや委託先を検討しましょう。
デジタル給与払いはベンチャー・スタートアップでも活用できる制度
この記事では、デジタル給与の基礎知識や変更することで得られるメリット・デメリットをベンチャー・スタートアップの目線で解説しました。
デジタル給与払いは独自のメリットがあり、ベンチャー・スタートアップに恩恵が高い傾向が強いです。
しかし、導入には入念な準備が必要なので、ある程度リソースが必要です。
ベンチャー・スタートアップでリソースに不安を感じる場合は、アウトソーシングを検討してみると良いでしょう。
「まるごと労務」はベンチャー・スタートアップ向けの多彩なサービスを提供していますので、アウトソーシング先にお悩みのかたはぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。
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