採用・労務・経理に関するお役立ち情報
「求人を出しても、欲しい人から応募が来ない」
「面接まで進んだのに、現場から『この人は違う』と言われる」
この状態が続く原因は、媒体や求人票の書き方ではなく、誰を採るのかの線引きが社内で決まっていないことにあります。
採用ターゲットとは、自社が採用したい人材を属性・能力・スキル・経験・人柄・勤務条件の6つの軸で線引きした候補者層です。この6つの軸を言語化したものが人材要件で、採用ターゲットは人材要件を満たします。
累計650社以上の採用を支援してきた採用代行「まるごと人事」が、現場で使っている決め方をこの記事にまとめました。採用ペルソナとの違い、決め方の6ステップ、MUST・WANT・NEGATIVEを埋めた2職種の記入例、要件を見直して母集団が変わった2社の事例まで、1本で確認できます。

採用戦略調査レポート
採用市場の変化を背景に、企業がいま何を重視して採用戦略を設計しているのかを調査。「量から質へ」移行する採用の実態と、来期に向けた改善意向を可視化します。
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目次
採用ターゲットとは

採用ターゲットとは、自社が採用したい人材を属性・能力・スキル・経験・人柄・勤務条件の6つの軸で線引きした候補者層です。
この6つの軸を言語化したものが人材要件で、採用ターゲットは人材要件を満たす層を指します。
- 属性:年齢、居住地域、就業状況
- 能力:思考力、学習力
- スキル:技術、知識、資格
- 経験:業界、職種、マネジメント
- 人柄:志向性、価値観、性格
- 勤務条件:給与、勤務地、出社頻度
6つすべてを埋める必要はありません。募集ポジションによって、決め手になる軸は変わります。エンジニア採用ならスキルと経験、店舗スタッフの採用なら属性と勤務条件が先に決まるケースが多く、まず「この募集で外せない軸はどれか」を選ぶところから始めます。
採用ターゲットとペルソナの違いとは

採用ターゲットは「層」、採用ペルソナは「1人」です。人材採用を考える際、必要な候補者層を示す「採用ターゲット」と、理想的な人物像を描く「ペルソナ」を混同することが少なくありません。
両者を切り分けて理解することで、採用活動の精度が高まり、より戦略的に候補者へアプローチできるようになります。ここからは両者の特徴を整理し、それぞれの活用方法を解説します。
採用ターゲットは「属性群」、採用ペルソナは「具体人物像」
採用ターゲットは条件で括った候補者の集団、採用ペルソナはその集団の代表的な1人を、実在する人物のように描いたものを指します。
| 項目 | 採用ターゲット | 採用ペルソナ | 人材要件 |
|---|---|---|---|
| 中身 | 条件で括った候補者の層 | 層の中の代表的な1人 | 層を決める条件そのもの |
| 粒度 | 複数名が当てはまる | 1名だけを描く | 項目単位 |
| 例 | 法人営業3年以上・IT商材の経験あり | 31歳・IT商材の法人営業7年・現職の評価制度に不満 | 法人営業経験3年以上(MUST)/SaaS業界の経験(WANT) |
| これで決めるもの | 出稿する媒体、スカウトの検索条件 | 求人票のキャッチコピー、スカウト文面、面接の質問 | 書類選考の合否基準 |
| 作る順番 | 2番目 | 3番目 | 1番目 |
3つは別々に作るものではなく、同じ情報を粗い順に3回書き直したものと捉えると、社内でも説明が通りやすくなります。
両者を併用することで精度と訴求力が高まる
ターゲットとペルソナを両方そろえると、応募数とマッチ度を同時に上げられます。
ターゲットだけで進めた場合、条件に合う層へ広くアプローチはできるものの、求人広告の表現も面接官の説明も抽象的なままになります。
「風通しの良い職場です」「成長できる環境です」のような、どの会社でも書ける文言になりやすい状態です。
ですが、ペルソナを重ねると書く内容が具体的になります。「入社1年目から新規事業の立ち上げメンバーに入れる」「営業戦略の設計から任せる」のように、その1人が知りたい情報だけ訴求できます。候補者側に「自分に向けて書かれた求人だ」と受け取ってもらえる確率が上がるでしょう。
ターゲットが範囲の広さを担い、ペルソナが訴求の深さを加えます。この2つがそろって初めて、母集団の量と質の両方に手が届きます。
採用ターゲットを設定する4つのメリット

採用ターゲットを明確にすることで効率的に採用活動を進められます。
下記で4つのメリットについて解説していきます。
1. 求職者のニーズが把握でき、的確なアプローチができる
採用ターゲットが設定できると、採用ターゲットに合わせた自社の魅力や働くメリットを訴求しやすくなります。
求める人材が仕事選びでなにを重要視しているのか、なにを求めているのかといったニーズを想定したうえで、アプローチ方法を考えていきましょう。
また、採用ターゲットがどのような媒体に多く登録しているかを把握できれば、その採用媒体に注力して運用もできるため、運用が効率化されます。その結果、質の高い母集団形成ができるといった効果も期待できるでしょう。
2. 面接官による選考基準のバラつきを低減できる
採用活動は採用担当者だけではなく、面接官を含め複数名で行うプロジェクトです。
採用ターゲットを設定することで、関係者間で自社が求める人材のイメージにズレがなくなります。面接官による選考基準のバラつきを低減できるため、面接の質を一定に担保できる、採用活動に関わる意思決定をスムーズにおこなえるといったメリットがあります。
3. 採用ミスマッチを軽減できる
採用ターゲットの設定によって、採用ミスマッチの軽減も期待できます。
採用活動の目的は採用に至るまでではなく、入社後の定着や活躍を目指すものです。採用できても早期で離職をしてしまえば、企業にとっては大きな損失です。
採用ターゲットが設定されていれば、求職者側にも曖昧でない「求める人材像」を募集要項や求人票などで提示できるでしょう。求職者側の企業選びにおいて、求められるスキルや職場のカルチャーなどを把握しやすくなります。応募や、選考に進むかどうかといった判断材料にもなるため、採用ミスマッチの軽減に役立つと言えるでしょう。
4. 効果的な訴求手法を選定しやすくなる
採用ターゲットを定めることで、自社の魅力を届けるためにどのような訴求方法が最適かを判断しやすくなります。
求職者がどの情報源から仕事探しを行っているのか、どの表現に関心を示すのかといった傾向を把握できれば、求人広告や採用ページ、説明会でのアピール内容を的確に設計できるようになります。ターゲット層に強く響くメッセージの発信により、応募意欲を高める効果が期待できるでしょう。
さらに、効果的なチャネルや訴求手法に資源を集中させられるため、無駄なコストを抑えながら採用活動の成果を高められる点も大きなメリットです。

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採用ターゲット設定のステップ

ここでは、採用ターゲットを設定する際の各ステップを解説していきます。
1. 採用の目的とゴールを明確にする
採用ターゲットを決める前の大前提として、自社が「なぜ採用を行うのか」という目的とゴールを整理しましょう。
例えば「新規事業の立ち上げを牽引するリーダー候補が必要」なのか、「既存部署の欠員補充のため、定着率の高い即戦力が必要」なのかによって、求める人物像の軸は大きく異なります。事業戦略や現場の課題と照らし合わせて採用目的を言語化することで、最適なターゲット設計の土台が完成します。
2. 人材要件を決める(基本項目の洗い出し)
人材要件とは、自社が求める人材のスキルや人柄、志向性を言語化したものです。採用活動をおこなううえで基準となる、重要な要素です。
人材要件は、入社後に任せたい業務に必要なスキルや経験、また自社のカルチャーなど、さまざまな項目から設定します。
設定にあたっては、下記の項目をもとに整理するとよいでしょう。
- 能力(学力、思考力)
- スキル(技術、知識、資格)
- 経験(企画、実務、マネジメント)
- パーソナリティ(志向性、価値観、性格)
- 属性(性別、年齢、居住地域)
- 勤務条件(給与、出勤の有無)
たとえば、法人向けのコンサルティング営業職で経験者を採用したい場合、下記のようなイメージで人材要件を洗い出していきます。
- 相手のニーズや課題を的確に汲み取るヒアリング力をもった方
- 課題解決に向けて自立して思考し、ニーズに合わせて提案する力をもった方
- 法人営業経験が3年以上の方
- パワーポイントでの提案書作成スキルをもった方
- 関係者と気持ちのよいコミュニケーションがとれる方
また、設定する際には要件が細かすぎたり厳しすぎたりしても、候補となる人材が限られてしまい、採用に苦戦する可能性があります。
そういった場合には、以下のように条件に優先付けをするとよいでしょう。次のステップにて説明します。
3. MUST・WANT・NEGATIVE条件で優先度を明確にする
条件は、MUST・WANT・NEGATIVEの3つに仕分けます。
- MUST:この条件を欠く応募者は書類選考で見送る、絶対条件
- WANT:あれば採用の決め手になるが、なくても育成でカバーできる条件
- NEGATIVE:入社後に業務上の支障が出ると判断できる、避けたい条件
MUSTかWANTかで迷ったときは、「この条件を欠く応募者を、書類選考で全員見送れるか」と自問してください。Yesと答えられない条件はWANTです。
NEGATIVE条件は、「社風に合わなそう」ではなく、入社後の業務上の支障を具体的に説明できる行動や経験で書きます。「手順が決まっていない業務で着手が止まる」「変更の多い環境でパフォーマンスが落ちた経験がある」のように書けば、面接官が違っても同じ判断ができます。
なお、次の項目は、厚生労働省が「公正な採用選考の基本」で採用選考の際に把握しないよう求めている事項です。NEGATIVE条件には入れられません。
〈本人に責任のない事項〉
- 本籍・出生地に関すること
- 家族に関すること(職業、続柄、健康、病歴、地位、学歴、収入、資産など)
- 住宅状況に関すること(間取り、部屋数、住宅の種類、近隣の施設など)
- 生活環境・家庭環境などに関すること
〈本来自由であるべき事項〉
- 宗教に関すること
- 支持政党に関すること
- 人生観、生活信条などに関すること
- 尊敬する人物に関すること
- 思想に関すること
- 労働組合(加入状況や活動歴など)、学生運動などの社会運動に関すること
- 購読新聞・雑誌・愛読書などに関すること
例外は、職業経験を問わず、若年者を期間の定めのない雇用で募集する場合など、省令で決められたケースに限られます。「若手が欲しい」という意図は、年齢ではなく「職業経験は問わない」「入社後に育てる前提」のように、仕事の条件に置き換えて書いてください。
4. 採用ペルソナを決める
採用ペルソナとは、自社が求める人材の典型的な人物像を指します。
採用ペルソナの設定によって、求人広告や募集文で訴求したいポイントが明確になり、採用ターゲットのニーズや価値観に合った求人を作成できます。
設定にあたっては、氏名、年齢、性別、居住地、業種、部署、役職、年収、趣味、特技、家族構成、生い立ち、休日の過ごし方などといった情報から、どのような経緯で応募にいたったのか、仕事に対してなにを希望しているのかといった背景まで考えていきます。その人物が実在しているかのようにイメージをして人物像を設定していくのがポイントです。
また、下記のような採用ペルソナシートを活用すれば、漏れがなく、わかりやすく情報を把握できるようになります。採用ペルソナの設定に役立ててみてください。
5. 現場担当者とすり合わせを行う
採用ターゲットは、経営・現場・人事の3者が同じ要件表を見て合意してから確定させます。3者は見ている時間軸が違うため、同じ「優秀な人」という言葉でも中身がずれます。
| 立場 | 求めがちな人物像 | 人事が聞き返す質問 | 要件表への落とし方 |
|---|---|---|---|
| 経営 | 将来の幹部候補、事業を伸ばせる人 | 3年後に、どの仕事を任せたいですか? | 任せたい仕事からWANT(マネジメント経験など)を決める |
| 現場責任者 | すぐ任せられる即戦力 | 入社1か月目に、どの業務を1人で回してほしいですか? | 初月の業務からMUST(経験・スキル)を決める |
| 人事 | 採用市場にいて、母集団を作れる人 | この条件で、媒体の検索結果に何人出てきますか? | 該当者が少なければ、MUSTの一部をWANTへ移す |
すり合わせの場では、過去に活躍した社員と、早期に辞めた社員の違いも並べてください。「こういう人は合わなかった」という事実が、NEGATIVE条件の材料になります。人事の役割は、3者の言葉を同じ要件表の言葉にそろえることです。
6. 競合分析や市場データを活用し都度アップデートする
採用ターゲットは一度設定すれば終わりではなく、市場環境や採用競合の動向に応じて更新していく必要があります。自社と同じターゲットを狙う競合他社がどのような条件で募集しているかを分析し、自社の採用要件に無理がないか、アプローチ手法が有効かを客観的に見直すことが可能です。
例えば、応募数の推移や市場のトレンドデータを定期的に確認することで、自社の募集条件が適正かどうかを判断できます。定期的なアップデートを行うことで、採用ターゲットが現実に即したものとなり、時代の変化や労働市場に対応できる持続的な採用基盤を築けるでしょう。
採用ターゲットの設定をより具体的にする方法とは

採用ターゲットの設定は具体的であるほど効果があります。ここでは採用ターゲットをさらに具体的にするためのポイントを紹介します。
1. 社内で活躍している社員を参考にする
社内で既に活躍している社員は、自社が求める理想の人材と言えるでしょう。
そのため、社内で活躍している人材がもつスキルや志向性、価値観を分析することが重要です。
特にスキルや経験といった定量的な要素だけでなく、人柄や性格といったパーソナリティの部分も把握できると、採用ターゲットをより具体化することに近づきます。
2. 適性検査によって実際に活躍している社員の傾向を把握する
適性検査を活用して、自社で活躍する人材の要件を統計的に洗い出すのもよいでしょう。
適性検査とは、一般的には人間性や性格、価値観などのパーソナリティや思考力や論理性、数値能力などを測定するテストです。企業においては働くうえで必要な適性を確認するテストを指します。
自社で活躍する人材がもつ素質を把握し、人材要件を決める際に参考にすることで、より自社に合った採用ターゲットの設定ができ、入社後の活躍にもつながるでしょう。
3. 活躍人材との共通点・傾向を見える化するフレームワークを使用する
採用ターゲットを具体化する方法として、社内で成果を上げている社員の特徴を整理し、フレームワークを使って見える化する手法があります。
- スキル
- 経験
- 価値観
- 行動特性
上記の切り口で既存社員を分析し、共通点や傾向を一覧化することで、採用ターゲット像をより客観的に把握できます。
人事部門だけでなく現場マネジャーや経営層の意見を取り入れながらフレームワークを用いると、多角的な観点から整理でき、認識のずれも防げるでしょう。抽象的なイメージだけに頼らず、可視化した情報を基に検討することで採用基準の再現性が高まり、採用の一貫性が強化される点がメリットです。

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採用ターゲットに向けたアプローチ方法

採用ターゲットの設定をしたら、自社で働く魅力やメリットについて「なにを」、「どこで」訴求するかを検討していきます。
ここでは訴求すべき内容の考え方や採用媒体の選定方法について解説します。
1. 採用ペルソナのニーズをもとに訴求するポイントを検討する
自社が求める人材からの応募を促し、採用につなげるためには、募集文や求人広告で自社の魅力や働くメリットを採用ターゲットに届ける必要があります。
あらかじめ訴求するポイントを整理しておくことで伝えたいメッセージに一貫性が生まれます。
訴求するポイントを洗い出す際には、採用ペルソナが転職先に求める要素はなにかを考え、自社で提供できる価値を言語化しましょう。
たとえば、採用ペルソナのニーズと、それに対応した訴求内容は以下のようなものが考えられます。
求職者のニーズ | 魅力として訴求する要素 |
|---|---|
キャリアアップ |
|
柔軟な働き方 |
|
裁量の大きさ |
|
自社が求める人材がもつニーズにマッチした魅力を訴求することで、採用成功の確率を高められるでしょう。
2. 採用ターゲットの傾向をもとに、アプローチ先を選定する
自社が求める人材を採用につなげようとしても、求人を掲載する媒体やアプローチ方法がマッチしていなければ成果にはつながりにくいです。
たとえば、採用媒体においても、若手や第二新卒が多く登録している媒体、ハイレイヤー人材が多く登録している媒体などさまざまな特徴があります。
採用ターゲットの傾向を把握し、「どのような転職サイトに登録しているのか」、「どのようなツールを使って転職活動をおこなうのか」を考えましょう。さらに、採用競合がどの媒体に出稿しているかを分析し、自社の強みが最も活きるアプローチ先を選定することが成功の鍵となります。
3. 採用手法ごとに響く情報の伝え方を工夫する
同じ魅力を訴求する場合でも、採用手法によって適した伝え方は変わります。例えば、求人広告では限られた文字数で端的に強みを示すことが求められる一方、会社説明会やカジュアル面談ではエピソードやストーリーを交えて具体的に語るほうが効果的です。
SNSや動画を活用する場合には、視覚的な要素やリアルな社員の声を加えることで共感を得やすくなります。採用手法ごとに候補者が受け取る情報量や接触時間は異なるため、それぞれに適した表現や強調ポイントを設計することが重要です。
媒体の特徴や候補者の関心に合わせて情報を届ける工夫をすることで、採用ターゲットへの訴求力を一段と高められるでしょう。
採用ターゲット設定でよくある失敗と回避策

採用ターゲットを定めることは、採用活動の精度を高めるために欠かせません。ただし、設定の仕方を誤ると、かえって成果を損ねる要因になります。代表的な失敗例と防止の工夫を把握することで、採用活動の実効性を高められます。以下では、具体的な失敗事例と解決の視点を解説します。
条件を広げすぎてターゲットが曖昧になる
採用ターゲットを設定する際、幅広い条件を盛り込みすぎると、対象がぼやけてしまう傾向があります。誰でも当てはまる要件になれば、自社の特性や求人の魅力を正しく訴求できなくなるため、応募の質が低下する恐れがあります。
効果的に人材を惹きつけるためには優先順位を明確にし、必要不可欠な条件と付加的な条件を整理して分けることが大切です。明確なターゲット像を維持することで自社に合う人材が自然と集まりやすくなり、母集団の精度が高まるでしょう。
条件を絞り込みすぎて母集団が形成できない
ターゲットを明確にするあまり、条件を細かく絞り込みすぎるのもよくある失敗です。必須要件(MUST条件)が多すぎると、労働市場に該当する候補者がほとんど存在しなくなり、応募自体が集まらなくなってしまいます。
これを回避するためには、MUSTとWANTを厳密に切り分け、MUST条件は絶対に譲れない必要最小限の項目に絞ることがコツです。適切な広さの「間口」を持たせることで、十分な母集団を形成できるようになります。
「理想像」ばかりを追い現実との乖離が起きる
採用ターゲットの策定では、完璧な人材像を理想として描きすぎる場合があります。理想像を過度に追求すると、実際の労働市場との間に大きなギャップが生じ、応募者が集まらない状況に陥るでしょう。
現実的な候補者層を把握し、自社の魅力や成長機会と組み合わせて考える姿勢が重要です。理想を持ちながらも、柔軟に条件を調整することで、潜在的にマッチする人材と出会う可能性が広がります。
ターゲットを絶対視しすぎて優秀な人材を見逃す
設定した採用ターゲットを「絶対的な採用基準」として固執してしまうと、要件には完全に当てはまらないものの、別の領域で突出したスキルやポテンシャルを持つ想定外の優秀な人材を見逃してしまう可能性があります。
ターゲットはあくまで選考の「目安」として活用しましょう。要件と少し異なるバックグラウンドを持つ候補者からの応募があった場合でも、柔軟な評価ができるよう、現場や面接官と事前に対応方針をすり合わせておくことが大切です。
面接・現場とすり合わせが不十分になる
採用ターゲットを決めるプロセスで現場部門や面接担当者との連携が不十分な場合、ターゲット像の理解に差異が生じやすくなります。評価基準や求める資質が統一されなければ、選考過程で判断がぶれ、採用の質が低下するでしょう。
円滑な採用を実現するには、現場の声を反映し、具体的な行動特性や成果イメージを共有することが欠かせません。現場との認識を合わせることで、採用ターゲットがより実効性の高い基準となり、選考全体の一貫性も強化されます。
採用ターゲットの決め方でよくある質問
現場と人事で「欲しい人」の認識がずれたまま選考が始まらないためにも、ここで紹介するよくある質問を確認しましょう。
採用ターゲットとは何ですか?
採用ターゲットとは、自社が採用したい人材を属性・能力・スキル・経験・人柄・勤務条件の6つの軸で線引きした候補者層です。この6つの軸を言語化したものが人材要件で、採用ターゲットは人材要件を満たす層を指します。
採用ターゲットと採用ペルソナの違いは何ですか?
採用ターゲットは「層」、採用ペルソナは「1人」です。ターゲットは「法人営業3年以上の20代後半〜30代前半」のように条件で括った集団像を指し、ペルソナは「31歳・IT商材の法人営業7年・現職の評価制度に不満」のように具体的な1人まで描き込みます。ターゲットで求人媒体とアプローチ先を決め、ペルソナで求人票の表現と面接の質問を決めます。
採用ターゲットはどうやって決めますか?
採用ターゲットは6ステップで決めます。
- 採用の目的とゴールを明確にする
- 人材要件を6つの軸で洗い出す
- MUST・WANT・NEGATIVE条件で優先度を明確にする
- 採用ペルソナを決める
- 現場担当者とすり合わせを行う
- 競合分析や市場データを活用し都度アップデートする
MUST条件はいくつまで絞ればよいですか?
数を先に決める必要はありません。「この条件を欠く応募者を、書類選考で全員見送れるか」にYesと答えられる条件だけをMUSTに残してください。「あったほうがいい」で止まる条件はWANTに移します。この基準で仕分けると、結果として3つ前後に収まる求人が多くなります。
採用してはいけない人材(NEGATIVE条件)はどう決めますか?
NEGATIVE条件は、入社後の業務上の支障を具体的に説明できる行動・経験で書きます。「社風に合わなそう」といった書き方では面接官ごとに解釈が割れるため、選考基準として機能しません。
なお、以下の項目は厚生労働省が採用選考で把握してはいけない事項として挙げている項目です。
本籍・出生地、家族、住宅状況、生活環境、宗教、支持政党、人生観、尊敬する人物、思想、労働組合や社会運動、購読新聞・愛読書
募集しても応募が来ないのは採用ターゲットのせいですか?
応募が来ないときは、採用ターゲットの3点を先に確認してください。①MUST条件が多すぎて労働市場に該当者がいない ②求める条件と提示している給与・働き方が市場と釣り合っていない ③ターゲットが登録していない媒体に出稿している、の3つです。媒体を増やす前に、要件表を見直すほうが早く効きます。
採用ターゲットを設定して採用活動を効率的に進めましょう

採用ターゲットとは、自社が採用したい人材を属性・能力・スキル・経験・人柄・勤務条件の6つの軸で線引きした候補者層です。 この線引きが1本あるだけで、求人票に書く条件、スカウトの検索軸、面接で見る観点、書類選考の合否基準がそろいます。
決め方は6ステップです。本章で解説したステップで行えば、要件表は今日のうちに書き出せます。
一方で、要件表を作ったあとの媒体選定、スカウト送信、日程調整までを兼任のまま回すのは、現実的に難しい場面があります。「まるごと人事」は、採用ターゲットの設計から媒体運用・スカウト・面接調整までを月額制で代行しています。650社以上の支援実績から、貴社の採用課題に合う進め方を一緒に整理するところから始められます。

採用戦略調査レポート
採用市場の変化を背景に、企業がいま何を重視して採用戦略を設計しているのかを調査。「量から質へ」移行する採用の実態と、来期に向けた改善意向を可視化します。
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