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近年、Metaの「Quest」シリーズが販売台数2,000万台を突破し、Appleも初のXRデバイスを発表するなど、メタバースへの注目がますます高まっています。
メタバースの活用は、ゲームやSNSといった代表的な用途にとどまらず、企業の採用活動にも広がっていることをご存じでしょうか。
この記事では、採用活動にメタバースを活用するメリットに加え、具体的な5つの活用方法や成果を上げるポイントをご紹介します。
この記事を読めば、採用活動におけるメタバースの基本情報をまとめて把握できますので、ぜひ最後までご覧ください。

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目次
メタバース採用とは
現代の就職活動において、Z世代の学生は従来の就活サイトに加え、YouTubeやSNSを活用して情報収集を進めています。電通の調査によると、約6割がSNSを利用しており、就職先を選ぶ上で「社内の風通しの良さ」を最も重視していることが明らかになりました。
しかし、オンライン採用活動には課題も多く、Web面接やWebセミナーに参加する学生の約半数が「企業や従業員の雰囲気がわかりにくい」と不安を感じています。
こうした不安を解消するツールとして注目されているのが、メタバース(仮想空間)です。アバターを通じて交流できるメタバースは、匿名性や親密感によって企業と学生双方のコミュニケーションを円滑にします。伊藤忠商事のような大手企業もVR空間での採用活動を導入し始めており、今後は採用活動に特化したメタバースツールの普及も進むでしょう。
Z世代が新卒採用に与える影響
Z世代が新卒採用にどのような影響をもたらしているか、詳しく見ていきましょう。
新卒採用の変化とZ世代の台頭
近年、新卒採用市場は大きく変化しており、その中心にはZ世代の存在があります。スマートフォンやインターネットが当たり前の環境で育った彼らは、デジタルネイティブ世代と呼ばれています。
この世代は、従来の紙媒体や対面中心の採用手法ではなく、デジタルでインタラクティブなアプローチを好みます。リアルな説明会や面接に加え、オンラインでの情報提供やエンゲージメントが重要視されるのはこのためです。彼らにとって、デジタル環境での即時性や双方向性は、企業選びの大事な要素となっています。
Z世代の価値観と働き方
Z世代は、自己表現と多様性を重視します。社会的な意義や持続可能性を考慮した仕事を求め、ワークライフバランスも大切にします。また、デジタルツールを使った協業に慣れており、自己成長や学びの機会を積極的に求めます。キャリアパスの透明性を重視し、自身の成長が実感できる企業に魅力を感じる傾向があります。
Z世代へのアプローチ方法
Z世代に効果的にアプローチするためには、SNSやデジタルマーケティングの活用が不可欠です。企業の文化や価値観を共感させるようなメッセージを、ビジュアルコンテンツやインタラクティブな体験を通じて発信することが重要です。
また、口コミやレビューを重視するため、従業員の声や実際の職場環境をリアルに伝えることが求められます。こうした背景から、「メタバース採用」が注目され始めています。メタバースを活用した会社説明会やバーチャルオフィスツアーは、企業の雰囲気をリアルに伝え、社員とのリアルタイムな質疑応答を通じてエンゲージメントを深める有効な手段です。
企業がメタバース採用を導入するメリット
メタバース採用には、企業にとってどのようなメリットがあるのでしょうか。
リーチできる候補者数の増加
企業側の1つ目のメリットは、より多くの候補者にアプローチできることです。
メタバースでの説明会は、海外留学中の学生や、交通費の負担から都心部へのアクセスが難しい地方の学生など、従来の対面形式ではリーチできなかった学生にも会社の魅力を伝える機会を生み出します。
候補者の本音を引き出しやすい
アバターを通じた顔出しなしのコミュニケーションは、候補者と企業担当者双方の心理的なハードルを下げ、活発な会話を促します。これにより、従来のオンライン面接よりも深い相互理解を築くことができます。
他社と差別化
メタバースを採用活動に取り入れる日本企業は増えつつあり、専門ツールの提供も始まっています。しかし、アメリカなどの企業と比較すると、まだ導入している企業は少ないのが現状です。
このため、メタバース採用を行うことで、企業の先進性をアピールし、他社との差別化を図ることができます。
不安を解消し、安心感を提供できる
動画やSNSだけでは伝わりにくい会社の雰囲気や働く社員の姿をリアルに再現できるため、候補者の不安を解消できます。これにより、安心してエントリーしてもらうことができます。
企業イメージの向上
企業側の3つ目のメリットは、メタバースを会社説明会に活用することで、企業イメージを向上できる点です。
先進的なテクノロジーを柔軟に取り入れる企業であることをアピールできるため、ブランド力の強化に繋がります。
開催コストが削減できる
会社説明会や合同説明会をメタバースで開催すれば、会場の設営費や運営費、候補者の交通費・宿泊費などを削減できます。また、会社見学やインターンシップも、日程調整や対応社員の選出の手間が軽減されるため、効率的な採用活動が可能になります。
企業がメタバース採用を導入する際のデメリット
企業がメタバース採用を導入する際のデメリットは、主に以下の2つが挙げられます。
導入の難しさ
メタバースの利用には、企業側の適応が求められます。特に、新たなスキルや知識の学習、専門的な技術準備など、導入初期にはコストが発生する可能性があります。スムーズな導入のためには、専門知識を持つスタッフや外部の支援が必要となることもあるでしょう。
構築にかかる時間と労力
メタバース環境の構築には、時間と労力がかかります。特に初期段階では試行錯誤が必要になるため、事前の綿密な計画と準備が重要です。長期的な視点での投資と、継続的な運用体制を構築することが求められます。
候補者がメタバース採用に参加するメリット
メタバース採用には、候補者にとってどのようなメリットがあるのでしょうか。
説明会参加の手間と時間を削減
最大のメリットは、候補者が説明会に参加する手間や時間を大幅に削減できる点です。
従来の対面形式の説明会と比べて、会場への移動時間や交通費、身支度の手間などがなくなるため、参加者の負担が大きく軽減されます。
心理的なハードルが下がる
アバターを介してコミュニケーションを取るため、対面やZoomでの面接に比べて心理的なハードルが下がります。顔出しなしで参加できるため、容姿に左右されることなく、自分の能力や人柄をアピールできます。
ミスマッチを軽減できる
メタバースでは、会社や社員の雰囲気をリアルに再現できます。従来のオンライン説明会では伝えきれなかった企業の魅力を、動画や3Dコンテンツなどの多様な方法で深く理解できるため、入社後のギャップを防ぐことができます。
楽しみながら就活できる
メタバースは、候補者が楽しみながら説明会に参加できるという大きな特徴があります。
自宅から匿名かつ顔出しなしで参加できるため、スーツを着用して参加する対面の説明会に比べて心理的な負担が軽減されます。メタバースならではの没入感の高い体験を通して、純粋に企業のコンテンツを楽しむことができる点が大きな特徴です。

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メタバースを活用した採用活動のタイプ
メタバースは、以下のような採用活動のシーンで活用されています。
1. メタバース会社説明会
会社説明会は、候補者が企業を理解するための重要な機会です。しかし、対面での開催は遠方の候補者にとって移動や金銭的な負担が大きくなります。
メタバース会社説明会は、インターネット上の仮想空間で行われるため、場所を選びません。また、24時間365日公開することも可能で、好きなタイミングで参加できます。従来のオンライン説明会では伝わりきらなかった、オフィスの雰囲気や社員の様子などもリアルに再現できるため、入社後のギャップを軽減できます。
2. メタバース合同説明会
合同説明会は、多くの企業が一度に集まるイベントですが、場所や時間の制約があります。
メタバース合同説明会では、仮想空間に各社のブースを設置し、候補者はアバターで自由に移動しながら、興味のある企業の情報を集められます。動画や資料を使った説明に加え、リアルな質疑応答も可能です。対面形式のような偶発的な出会いが生まれやすいのもメリットです。
3. メタバース面接
Zoomなどのオンライン面接は手軽ですが、伝えられる情報量に限界があります。
メタバース面接は、どこからでも参加できるオンライン面接の利点を活かしつつ、アバターを介したより現実世界に近いコミュニケーションを可能にします。候補者は移動コストを削減でき、顔出しなしで参加できるため、心理的な負担も軽くなります。企業と候補者双方の相互理解を深めるのに役立ちます。ただし、全ての面接工程をメタバースで実施するのではなく、一部の工程で使い分けるのが現実的です。
4. メタバース会社見学(バーチャルオフィスツアー)
対面の会社見学は、企業の予定に合わせて参加者が現地に足を運ぶ必要があり、日程調整が難しいという課題があります。
メタバース会社見学なら、仮想空間にオフィスを再現することで、参加者は好きな場所から好きな時間にアクセスできます。対面のようにコミュニケーションを取りながらリアルな雰囲気を伝えられるため、採用アプローチの範囲も広がります。
5. メタバース仕事体験(バーチャルインターンシップ)
従来のインターンシップは、日程調整や対応社員の確保に手間とコストがかかります。
メタバース仕事体験は、仮想空間にオフィスや現場を再現することで、参加者は高い没入感と臨場感を味わいながら仕事内容を体験できます。「実際に働いてみたら違った」というミスマッチの減少が期待できます。また、参加人数や業務内容に制限がなく、危険な作業現場なども安全に体験してもらうことが可能です。
メタバースで効果的な企業ブランディング
メタバースを採用に活用することで、効果的な企業ブランディングを進めることができます。
メタバースを活用した採用アプローチ
多くの求職者にアプローチするためには、仮想空間での業務体験など、参加者が積極的に関われるコンテンツが必須です。アバターを介した会話やチャットなど、メタバースならではの機能を活用し、求職者が参加したくなるような工夫を凝らしましょう。
先進的なメタバースを導入することで、他社との差別化を図り、企業のブランドイメージを向上させることができます。
メタバース活用による人材確保
メタバースは人材確保においても有効なツールです。仮想空間を常に開放しておけば、求職者はいつでも自由に企業情報を得ることができます。さらに、タイミングが合えばすぐに面接を行うことも可能です。
メタバースを活用して自社を魅力的にアピールすることで、全国各地の優秀な人材の確保につながるでしょう。
メタバース採用でのコスト削減
従来の採用活動では、人件費、交通費、会場費など多くのコストがかかりますが、メタバース採用ではこれらの削減が可能です。
自社独自のメタバース空間を構築するにはコストがかかりますが、既存のツールや制作会社を利用すれば、開発や運用の費用を抑えられます。中には無料で利用できるサービスもあります。
他社との差別化を図りつつ、コストを考慮しながらメタバースを活用していくことが良いでしょう。
企業がメタバース活用で成果を上げるポイント
企業がメタバースを活用して成果を上げるためには、以下の5つのポイントが大事です。それぞれ詳しく見ていきましょう。
1.最新の市場動向・ノウハウのキャッチアップ
1つ目のポイントは、最新の市場動向やノウハウを把握することです。
デバイスの進化、ユーザーの動向、そして先進的な事例を常にチェックし、自社が取り組むべき活用方法や成果につながるポイントを押さえた上で、メタバース活用に着手しましょう。
メタバースの導入には一定の予算と工数が必要となるため、成功確率の高い戦略を立てるためには、こうした最新情報の把握が不可欠です。
2.目的の明確化と戦略の立案
2つ目のポイントは、メタバースを活用する目的を明確にし、骨太な戦略を立てることです。
単発で終わってしまうケースが散見されますが、これではPDCAサイクルを回せず、大きな成果につながりません。
「どのような経営課題を解決したいのか?」「なぜメタバースでなければならないのか?」といった明確な目的を整理した上で、中長期的な視点から事業のあり方や自社の強みを活かすための戦略を立案しましょう。
3.ユーザーファーストな企画・UX設計
3つ目のポイントは、ターゲットとなるユーザーにとって、価値のある企画とユーザー体験(UX)を設計することです。
企業側の都合だけで設計されたメタバースは、ユーザーに利用されず、目的を達成できません。
「メタバースならではの高い体験価値を提供できているか」「利用する上での手間や負担は大きくないか」といった観点を踏まえ、ユーザー目線でのUX設計を心がけましょう。
4.アジャイルアプローチによる推進
4つ目のポイントは、アジャイルアプローチでプロジェクトを進めることです。
メタバース市場はまだ成長段階にあり、多くの企業が最適な活用方法を模索しています。計画と実行を短いスパンで繰り返し、仮説検証のサイクルを何度も回すことが、プロジェクトを机上の空論で終わらせないために重要です。
5.強力な開発・運用体制の構築
5つ目のポイントは、強力な開発・運用体制を構築することです。
高いユーザー体験と事業性を両立させるメタバースを開発し、マーケティングを含めた運用を実施しましょう。メタバースの開発と運用には幅広い知識と技術が求められるため、外部のベンダーなどを活用して、不足しているリソースや専門知識を補うことも有効です。
メタバース採用のオンライン活用方法
VRの活用
よりリアルな体験を提供するため、VR(仮想現実) を活用する企業もあります。
VRゴーグルを装着することで、360度の映像や音響効果により、現実世界に近い臨場感を体験できます。これにより、まるで実際にその場にいるかのような没入感を提供できるでしょう。
アバターの役割
アバターは、仮想空間内で参加者の代わりとなるキャラクターです。参加者自身の個性を反映させることができ、アバターを介して作業やコミュニケーションを行います。
また、合同説明会のように多くの求職者が集まる場では、プライバシーを保護する役割も果たします。
効果的な運用方法
時間と場所の制約がないメタバースは、採用活動の期間が限られる学生からの支持を得やすい傾向にあります。
そのため、24時間365日いつでもアクセス可能なバーチャルオフィスを自社ホームページなどで公開する方法がおすすめです。これにより、学生は自分の都合に合わせて企業情報を知ることができます。
メタバース採用の導入を検討すべき企業の特徴
知名度の低い企業
学生や求職者の集客力は、企業の知名度に左右されがちです。しかし、メタバース採用なら、コンテンツの面白さや工夫次第で、知名度に関係なく多くの学生や求職者を集めることが可能です。
ITに強い人材を求める企業
メタバース採用は、企業の先進性を効果的にアピールできるため、新しい技術に興味を持つ学生や求職者の注目を集めやすいでしょう。そのため、IT分野に秀でた人材を獲得したい企業にとって、メタバース採用は非常に有効な手段となります。
まとめ
今回は、メタバースでの就職活動に興味がある方や、メタバースでの採用活動を検討している人事担当者向けに、そのメリットや課題、成果を上げるポイントをご紹介しました。今後、メタバースの可能性はさらに広がり、面接や就職活動の形も大きく変化していく可能性があります。
「まるごと人事」 は、企業の採用活動を包括的にサポートするサービスです。
採用戦略の立案から、求人媒体の選定、面接代行まで、貴社の採用課題に合わせて最適なソリューションをご提案します。先進的なメタバース採用を含め、新しい採用手法にご興味がありましたら、ぜひお気軽にご相談ください。

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