採用・労務・経理に関するお役立ち情報

企業経営を支える経理人材の採用は、近年ますます難易度が高まっています。求人倍率上では人材が多いように見えても、実際に求められる即戦力人材は限られており、中小企業では待遇やキャリアの魅力不足から採用が難航するケースも少なくありません。
さらに専門性や柔軟な働き方への要望が増すことで、採用と育成の両面に課題が生じています。本記事では、経理採用が難しい背景と失敗が招くリスクを整理し、成功へ導く具体的なポイントを解説します。

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経理の採用が難しい現状とは
経理人材の採用は、求職市場の動向や企業規模によって難易度が大きく異なります。以下では、求人倍率の推移や中小企業の事情、採用失敗によるリスクにわけて解説します。
経理職の有効求人倍率と採用市場の変化
経理職は有効求人倍率の数値上では応募者が多いように見えますが、実際には即戦力人材を確保する競争が激化しています。厚生労働省のデータでは経理関連職の有効求人倍率は0.59%と全体平均を下回っていますが、経験豊富な層に限れば採用難易度は高水準のままです。
背景には、専門スキルの高度化や人材流動性の低さがあります。つまり、数値と実態には乖離が存在し、採用現場では適切な人材確保が困難な状況が続いているのです。市場動向を理解し、求める人材像を明確に定義することが大切です。
中小企業ほど採用が難航する背景
中小企業が経理人材の確保で苦戦する理由は、複数あります。待遇条件の差やキャリア形成の魅力度の違いが、大手志向を強める要因となっています。
また、担当者が多岐にわたる業務を担う必要があり、希望者とのミスマッチも発生しやすいのが実情です。さらに、都市部への人材集中やデジタルスキル人材の不足も採用を難しくしています。主な背景は、以下のとおりです。
- 大手に劣る給与・福利厚生面
- 広範囲業務を担うことによる経験との不一致
- キャリアパスの狭さによる若手志望者の少なさ
- 都市部への人材集中と地方流出
- ITやRPA対応人材の不足
経理採用の失敗が企業に及ぼすリスク
経理人材の採用が思うように進まない場合、企業には深刻なリスクが生じます。
人材不足は既存社員への負担を増やし、残業や離職の増加につながる要因です。結果、業務遅延が発生し、さらなる人件費増加という悪循環に陥りやすくなります。
また、チェック体制が不十分になることで会計処理の誤りや不正のリスクが高まり、企業の信用や法的安定性にも影響を与えます。さらに財務情報の遅れは経営判断を鈍らせ、投資機会や市場拡大のチャンスを逃す可能性も否定できません。
採用失敗は単なる人事課題にとどまらず、事業成長全体に波及する重大な経営リスクといえます。

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経理採用が難しい理由4選
即戦力となる経験者が市場に少ない
経理職は応募者数を募っているように見えても、実際に必要とされるのは即戦力となる経験者です。ところが市場には十分な人材が流通しておらず、競争が激しくなっています。
要因としては、経理人材が同じ職場に長く勤める傾向や、大手企業に優秀な人材が吸収される構造が挙げられます。さらに、生産年齢人口の減少が中堅層の不足を深刻化させています。
需要と供給のギャップは拡大を続け、採用活動を難航させているのが現実です。求めるスキルを持つ人材が限られる中で、採用戦略を柔軟に変化させることが不可欠になります。
求職者が待遇・働き方にシビアになっている
経理人材は待遇条件や職場環境に対して敏感に反応し、条件に合わなければ早期に転職を検討するケースが増えています。特に給与や福利厚生に関する基準は厳しく、大企業が提示できる水準との差が中小企業の採用を阻む一因となっています。
さらに、ワークライフバランスや長期的なキャリア形成に関する期待値も高まり、評価制度が不透明だと不満を抱きやすくなるでしょう。経理職の将来性を不安視する声もあり、人気の低下が進んでいることも見逃せません。
業務の専門性が高く、未経験者の育成に時間がかかる
経理業務には会計基準や税務知識、財務管理の理解が不可欠であり、さらに会計ソフト操作や分析力も必要とされます。未経験者を採用しても即戦力化には長期間の研修と実務経験が必要であり、数年単位の育成コストを覚悟しなければなりません。
教育担当者の負担が増大し、組織全体の効率低下を招くこともあります。加えて経理は一つのミスが重大な損失につながるため、正確性と慎重さが強く求められる職種です。
近年はITリテラシーやデータ分析力、内部統制への対応など必要スキルが広がっており、教育体制を整備できない企業では採用難が長期化する可能性があります。
リモート対応や柔軟な働き方のニーズが増加している
働き方に対する意識変化も、経理の採用を難しくしています。多くの求職者は在宅勤務やフレックスタイム制度を求めていますが、経理業務は財務データの取扱いや内部統制の都合上、出社が前提となる企業が多い状況です。
さらに決算期など繁忙期には現場での対応が求められるため、柔軟な勤務を希望する人材と折り合いをつけるのが難しくなります。地方在住者にとってはリモート勤務が機会拡大の要素になり得るものの、多くの企業はまだ体制整備が不十分です。
働き方の選択肢を提示できない企業は求職者から敬遠されやすく、人材確保における競争力を失いやすくなっています。
経理人材を採用する際に見るべきスキル
経理担当者の採用においては、専門性だけでなく、変化に対応できる柔軟性や組織との調和力も見極める必要があります。以下の視点を通して、重要なスキルを確認しましょう。
簿記や会計基準への対応力
経理職の根幹をなすのは、簿記や会計基準に関する深い理解と実務での応用力です。特に、変動する制度に柔軟に適応できることが重要となります。
企業における会計業務では、財務諸表の作成や決算業務、税務対応など多岐にわたる領域を扱うため、基礎知識のみならず業種や企業規模に応じた実務経験が不可欠です。業界特有のルールへの理解や、自社で採用している会計ソフトの操作経験も採用時の評価ポイントとなります。
また、会計制度や税制の改正は頻繁に発生するため、常に学び続ける姿勢が求められます。採用時には、資格の有無だけでなく、日々の変化に適応しながら知識を更新していける実践的な力を備えているかを問いましょう。
DX・クラウド会計への対応力
経理分野における業務改革が進む今、デジタルツールを活用し、業務の最適化を図る力は必須です。従来の紙やエクセルを用いた処理から脱却し、クラウドベースの会計ソフトやERP、RPAなどのツール導入が進む中、実務で扱える人材の価値が高まっています。とりわけ、以下のようなスキルが重視されます。
- クラウド会計ソフトの利用経験
- ERP・RPAなど業務自動化ツールの操作スキル
- データ分析を通じた業務改善の提案力
- 新しいITツールへの適応スピード
業務効率化を支える存在として、単なる操作能力だけでなく、ツールを使って業務全体を見直す視点も必要とされます。新システムへの切り替えや社内のデジタル変革をリードできる資質があれば、経理部門全体の生産性向上に寄与するでしょう。
正確性・責任感・コミュニケーション力
数値を扱う職種において慎重さと誠実さは欠かせない資質であり、同時に周囲との円滑な連携も求められます。
経理業務は、企業の財務状況を正しく反映させるため、1円の誤差も許されない厳密な作業が続きます。そのため常に高い精度を保つ集中力と、プレッシャーの中でも冷静に対処できるメンタルの強さが必要なのです。
また、他部門との連携や外部専門家との調整業務も多く、伝える力や聞く力が職務遂行の質を左右します。加えて、業務フローの改善提案や数字を読み解いて経営課題を洗い出す視点を持つことで、単なる作業者を超えた貢献が可能となります。
責任感ある行動と周囲との協働を通じて、組織全体を支えられる人材を採用しましょう。

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経理の採用を成功させる4つのポイント
経理人材の採用を成功させるには、待遇や育成方法だけでなく、選考プロセスや評価基準も重要です。以下4つの観点を踏まえることで、組織に適した人材を確保できる可能性が高まります。
給与・待遇の見直しと魅力的な求人づくり
採用市場で優秀な人材を確保するためには、給与水準や福利厚生を適切に整備し、求人内容にわかりやすく反映させることが求められます。報酬が競合に劣れば応募数が減少するため、相場を把握し納得感のある提示が必要です。
待遇面だけでなく、リモート勤務やフレックスタイムといった柔軟な働き方を示すことも応募意欲を高めます。さらに、キャリアパスや教育制度を具体的に示すことで、将来性を重視する応募者に安心感を与えられます。
曖昧な求人は入社後の不一致につながるため、詳細情報を提示し、働くイメージを持てる環境を整えることが重要です。
未経験採用と育成プログラムの活用
経験者の採用が難しい場合には未経験者を対象に採用活動を展開し、体系的に育成する戦略が効果的です。人物重視の選考を取り入れることで、意欲的な人材を確保できる可能性が広がります。
採用後には、簿記資格取得支援やOJT研修を導入し、短期間で業務を習得できる仕組みを整えることが有効です。さらに、教育担当者の配置や業務マニュアルの提供により、学習環境を充実させれば戦力化のスピードも加速します。
育成にはコストがかかりますが、自社に合った人材を一から育てることで、定着率が高まり長期的な安定につながります。
採用基準の明確化と面接フローの最適化
優秀な人材を見極めるには、採用基準を言語化し選考プロセスを合理化することが不可欠です。求める人物像を明示し、採用チーム内で共有すれば評価基準のズレを防げます。
具体的には、必須スキルと歓迎スキルを区別することで、候補者を適切に比較できる仕組みが整います。また、実務経験の確認項目を整理し、企業規模や業種に応じてマッチ度を判断することも効果的です。面接フローの工夫例は、以下を参考にしてください。
- 結果通知を迅速に行う
- 企業の魅力を面接中に伝える
- 現場社員との質疑応答を実施する
採用過程を最適化することで候補者の志望度を高め、入社後のギャップを軽減できます。
スキル評価に役立つアセスメントや適性テストの導入
面接だけでは判断が難しい能力や適性を補う手段として、テストの導入が有効です。アセスメントや適性診断を活用すれば、以下を客観的に可視化できます。
- 数値感覚
- 思考力
- 問題解決
特に未経験者の採用時には、ルーチン業務への適応度やITスキルを事前に測定することで、早期にミスマッチを防げるでしょう。さらに、既存社員の特性を数値化し基準化すれば、選考に一貫性を持たせられます。
採用担当者の主観に依存せず、客観的な判断材料を得ることで、組織に適した人材を効率的に見極められます。
経理の採用でよくある失敗と回避策
経理人材の採用は競争が激しく、要件設定やフロー設計を誤ると成果につながりません。下記の失敗事例と対策を理解することで、採用活動を効果的に進められます。
採用要件が高すぎて応募が来ない
採用基準を細かく設定しすぎると、条件に該当する人材が著しく限定され、応募が集まりにくくなります。特に中小企業では幅広いスキルを要求しがちで、結果的に応募者が敬遠する要因になるでしょう。
要件を分けて整理し、必須条件と歓迎条件を切り分ければ、応募のハードルを下げられます。さらに、募集要項には使用ツールや担当業務を明確に記載し、ミスマッチを減らす工夫も欠かせません。
加えて、未経験人材を採用し、研修を通じて育成する選択肢を持つことで、応募の裾野を広げることが可能になります。
業務属人化により早期で離職してしまう
経理業務が個人依存になると担当者に大きな負担がかかり、モチベーション低下や早期離職につながる危険性があります。属人化は組織全体のリスクを高めるため、採用活動においても警戒すべき課題です。
改善には待遇や働き方の見直しに加え、評価制度や教育体制の整備が有効です。具体的には、以下の取り組みが効果的です。
- マニュアル作成による業務標準化
- 残業削減や柔軟な勤務形態の導入
- 公正な評価制度の策定
- 成果に応じた報酬制度の構築
属人化を防ぎ、業務を分散させることで負担を軽減できます。明確な仕組みを整えることが、離職防止と定着率向上の両立につながります。
採用スピードの遅れで優秀な人材を取り逃す
優秀な経理人材は市場で常に需要が高く、複数の企業に同時応募する傾向があります。そのため、内定を提示するまでに時間がかかると、他社に先を越されやすくなります。
対策としては、面接日程の調整を迅速に行い、結果通知をできる限り早めることが重要です。また、面接を単なる選抜の場ではなく、自社の魅力を伝える場として活用すれば応募者の志望度を高められます。
さらに、採用サイトや口コミ情報を整備し、事前に候補者が安心できる情報を提供することも効果的です。待ちの姿勢ではなく、エージェントやダイレクトリクルーティングを通じて積極的に人材へアプローチする戦略が成果を高めるうえで重要視されます。
まとめ
今回は、経理職の採用の難しさについて紹介してきました。
経理人材の採用は、専門性の高さや即戦力へのニーズ、さらに中小企業特有の待遇面の制約も重なり、難易度が年々高まっています。採用活動に十分なリソースを割けない企業では、結果的に人材確保が遅れ、経営全体へ悪影響を及ぼすリスクも少なくありません。
経理の採用課題を乗り越えるためには、求人手法の工夫や待遇・環境改善が重要な施策となります。
また、それに加えて、外部の力を取り入れることも有効です。まるごと人事では経理をはじめとする採用課題に伴走し、アウトソーシングを通じて効果的な人材確保を支援しているので、ぜひ一度問い合わせのうえ利用をご検討ください。

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