採用・労務・経理に関するお役立ち情報

2025.05.05 更新日:2025.12.15
この記事の監修者:今 啓亮

この記事の監修者:今 啓亮

【段階別】新卒採用の課題12選|市場の現状やおすすめ採用手法も紹介

「求める人材が来ない」「そもそも学生に見つけてもらえない」「内定辞退が目立つ」など、多くの企業が新卒採用に課題を抱えています。

企業は、変化し続ける新卒採用の環境に適応しながら、将来の成長を左右する優秀な人材を確保していく必要があります。

そのためには、新卒採用における課題とその根本原因を明確に捉え、解決策を実行することで「採用力」を向上させることが不可欠と言えるでしょう。

本記事では、現在の新卒採用を取り巻く環境、企業が直面する一般的な課題とその解決策を解説するとともに、新卒採用の課題を克服した事例をご紹介します。

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目次

新卒採用の現状

新卒採用の現状図解

現在、新卒採用市場は様々な要因が複雑に絡み合い、変化し続けています。

売り手市場による人材獲得競争の激化

少子高齢化による労働人口の減少を背景に、1人の求職者を複数の企業が奪い合う「売り手市場」が続いています。

リクルートワークス研究所の「大卒求人倍率調査(2023年)」(※1)によると、2023年卒の大卒求人倍率(※2)は1.58倍と、新型コロナウイルス感染症の影響下でも高水準を維持しています。

このような売り手市場においては、人材獲得が困難となるため、企業の採用競争は激化します。就活生に選ばれるためには、多様な工夫が求められるでしょう。

特にエンジニアをはじめとする理系人材のニーズは増加傾向にあります。優秀なスキルを持つ人材を獲得するためには、他社との差別化を図る魅力的なアピールポイントが必要です。

出典:リクルートワークス研究所「大卒求人倍率調査(2023年)」

※2:大卒求人倍率=求人総数÷民間企業就職希望者数

早期選考の普及

早期選考は、企業の新卒採用活動に大きな影響を与えています。

ベンチャー企業や外資系企業を中心に、インターンシップやイベントの参加者に対し、従来の就職活動ルールで定められた時期よりも早期に内定を出す動きが目立っています。

早期選考は新卒採用活動の早期化を招くことから、企業の新卒採用環境は今後ますます厳しくなると考えられます。

採用チャネルの多様化

新卒の採用チャネルは多岐にわたっています。

従来は就職サイトを通じた母集団形成が主流でしたが、より効率的な採用を目指し、「ダイレクトリクルーティング」や「マッチングイベント」といったターゲット特化型の採用手法を導入する企業が増えています。

さらに、学生の活動時期が早期化している現状を踏まえると、自社の採用ターゲットの動向に合わせて適切な手法やサービスを選定することが重要です。

企業規模別にみる採用難易度の違い(中小企業6.50倍vs大企業0.41倍)

新卒採用市場では、企業規模によって採用難易度に大きな格差が生じています。

リクルートワークス研究所の「大卒求人倍率調査(2025年卒)」によると、従業員数300人未満の企業の求人倍率は6.50倍に達しました。一方で、従業員数5,000人以上の大企業では0.41倍にとどまっています。

中小企業では1人の学生を複数の企業が取り合う状況が続いており、採用競争は極めて厳しい環境にあります。知名度や待遇面で大企業に劣る中小企業にとって、学生との接点創出や自社の魅力発信が重要な課題です。

大企業と中小企業の求人倍率の差は約16倍にも及び、企業規模による採用格差は年々拡大傾向にあります。中小企業が優秀な人材を獲得するには、独自の強みを明確に打ち出す戦略が不可欠でしょう。

2025年卒の求人倍率1.75倍が示す市場環境

2025年卒の大卒求人倍率は1.75倍となり、前年の1.71倍から上昇しました。

求人倍率の上昇は、企業の採用意欲が高まっている一方で、学生数は少子化の影響により減少し続けている状況を示しています。企業側の求人総数は増加傾向にあるものの、民間企業への就職を希望する学生数は限られています。

業界別に見ると、IT・情報通信業界や建設業界では特に高い求人倍率を記録しており、人材確保の競争が激化していると判断できるでしょう。反対に、金融・保険業界では比較的低い倍率となっており、業界による差も顕著です。

求人倍率1.75倍という数字は、平均的な学生1人に対して1.75社分の求人枠がある状態を意味します。学生優位の売り手市場が継続しており、企業は採用戦略の見直しを迫られています。

学生の志向変化と企業選びの新基準

近年、学生が企業を選ぶ際の基準に大きな変化が見られます。

従来重視されていた「安定性」や「知名度」に加えて、「成長機会」「働きがい」「ワークライフバランス」を重視する学生が増加しています。

特にZ世代と呼ばれる若年層は、企業の社会的価値や環境への配慮、ダイバーシティへの取り組みにも関心を示します。単なる給与や待遇だけでなく、企業の理念や価値観への共感を重視する傾向が強まっているのです。

リモートワークやフレックスタイム制度など、柔軟な働き方を提供する企業への注目度も高まっています。学生の価値観の多様化に対応し、企業は自社の魅力を多角的に発信する必要があるでしょう。

新卒採用を振り返る際に重視する5つのポイント

新卒採用を振り返る際に重視する5つのポイント

採用目標と計画の再確認

まず最初に行うべきは、当初の採用目標と計画の再確認です。既に課題として認識している点があるかもしれませんが、問題点はそこだけとは限りません。

採用計画の達成度合いを測るため、目標人数、予算、イベント数、広報活動といった採用コスト、そして各選考段階における歩留まり率など、数値化できる要素は正確にデータ化しておきましょう。

振り返るべき主な項目は以下の通りです。

  • 全体の目標(予算、採用予定人数、採用コスト)
  • 採用フロー(母集団形成、会社説明会、面接など各選考段階)

また、数値化が難しい要素、例えばターゲットとする人材像や具体的な人材要件なども、可能な限り詳細に言語化しておくことで、検証時の精度が高まります。

目標と実績のズレを分析

次に、採用目標や計画と実際の結果との間に生じたギャップを把握します。採用フローの各段階におけるデータを詳細に分析してください。

そして、「なぜ、このようなギャップが生じたのか?」という問いに対し、その要因を徹底的に洗い出し、整理します。最初のステップで採用目標や計画を具体的に明確化しておくことで、結果と要因のより精緻な洗い出しと分析が可能になります。

要因を特定し、データで検証

次に、「なぜ、このような結果になったのか」という問いに対し、洗い出した要因に基づいて因果関係の仮説を立て、データを検証しながら分析を行います。

各プロセスの計画と結果の分析だけに目を向けてしまうと、「一次面接の合格者に対して二次面接の合格者数が少なすぎたから、来年は二次面接の合格者数を増やす方法を考えよう」といった、表面的な対応に終始しがちです。根本的な原因に対処しないままでは、採用のPDCAサイクルが適切に機能しなくなるリスクが高まります。

要因の因果関係について仮説を立て、データに基づいて検証することで、本質的な課題を特定し、より効果的な対策を導き出すことができます。

検証結果から見える採用課題と自社の強み

次に、仮説の検証結果に基づいて採用課題を整理し、自社の採用活動の特徴を明確にしましょう。ここまでは採用課題を中心に分析してきましたが、採用活動で成功パターンを確立するためには、自社の強みを活かすことも大事です。

強みを分析する際も、採用課題と同様に、採用目標・計画と実際の結果のギャップを基に洗い出し、「なぜ、この結果が出せたのか?」という視点で仮説を立て、データを用いて検証します。

弱点として認識されていた部分に対して、強みを活かす形でアプローチを加えることで、弱点を意識させることなく、強みをより効果的に発揮できるようになります。

翌年度の採用戦略と計画に反映する

最後に、これまでの分析で明らかになった採用課題を克服する手段と、自社の強みを活かすための具体的な施策を、翌年度の採用戦略と計画に反映させます。

実施したい施策を全て盛り込むと、工数やコストが大幅に増加し、実現が難しくなります。各施策の「効果性」「実現可能性」「コスト」などの観点から優先順位をつけ、導入を検討しましょう。

また、新たな施策を導入する際は、次年度の振り返りがきちんとできるよう、可能な限り数値化し、検証の精度を高める準備をしておいてください。

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新卒採用を振り返る際の注意点

新卒採用を振り返る際の注意点図解

新卒採用の振り返りは、ただ行うだけでは十分な成果に繋がらない可能性があります。効果的な振り返りのためには、以下の点に注意しましょう。

振り返りは「目的」ではなく「手段」

採用活動の振り返りは重要ですが、真剣に取り組むあまり、振り返り自体が目的にならないよう注意しましょう。振り返りは、あくまで採用の精度を高めるための「手段」です。

仮説と検証を繰り返すことは重要ですが、振り返りに時間をかけ過ぎて、具体的な解決策を検討する時間がなくなっては意味がありません。

振り返りの目的は、新卒採用の精度を向上させ、各フローや施策の確実性を高めることです。振り返りに過度な時間と労力を費やすのを避けるためにも、最初に明確な論点を設定し、検討の方向性を定めておくことが大切です。

競合他社との相対的な評価をする

採用計画の振り返りにおいては、自社の過去の取り組みとの比較分析に留まらず、外部からの相対的な評価も考慮に入れるべきです。特に、応募者の併願率が高い競合他社とのベンチマークを実施し、比較検討を行いましょう。

社内では「強み」だと認識していた点が外部と比較するとそうではなかったり、応募者数が少ないと感じていても業界水準より高かったりするなど、採用市場における自社の立ち位置や課題が明確になります。

もちろん、他社との比較に偏重するのは適切ではありませんが、全く外部の状況を把握しないのも危険です。大手人材会社の統計データで市場全体の傾向を把握し、応募者アンケートなどで自社がどのように評価されているかという個別の傾向を掴んでおくことが大切です。

優先順位をつけて課題に取り組む

課題に取り組む際は、優先順位をつけ、特に重要な課題や効果が出やすいものから着手しましょう。

採用にかけられる時間、予算、工数は限られています。また、採用や会社の課題は、一つ解決しても次々と新たな課題が現れるため、全てを同時に解決することは現実的ではありません。

多くの施策を同時に行うと、一つひとつが中途半端になり、かえって状況が悪化する可能性があります。一般的に言われる2:8の法則のように、効果が見込まれる上位2割に集中し、その結果を検証しながらPDCAサイクルを回し、継続的に改善していくことがポイントです。

データに基づく客観的な判断と主観のバランスを意識する

採用活動の振り返りでは、数値データによる客観的な分析と、現場の感覚による主観的な評価の両方を取り入れる必要があります。

応募者数や選考通過率、内定承諾率といった定量データは、採用活動の成果を測る重要な指標となります。数値の変化や傾向を分析すれば、改善すべきポイントが明確になるでしょう。

一方で、データだけでは見えない要素も存在します。面接時の応募者の反応や熱意、選考辞退の背景にある心理的要因など、数値化できない情報も採用の成否を左右する重要な要素です。

データ分析に偏りすぎると、応募者一人ひとりの個性や可能性を見落とす危険性があります。反対に、主観的な判断のみに頼れば、採用基準がぶれてしまい、一貫性のある採用活動が困難になります。

客観的なデータを基盤としながらも、採用担当者や面接官の経験や直感を活かす姿勢が求められます。両者のバランスを保ちながら振り返りを進めれば、より精度の高い改善策を導き出せるでしょう。

【採用段階別】新卒採用の課題と対策

新卒採用を振り返る際の注意点図解

新卒採用では、応募から入社後まで各段階で異なる課題に直面します。採用プロセス全体を通じて発生する問題を段階ごとに整理し、適切な対策を講じる必要があります。ここでは、応募・選考・入社後の3つに分けて、具体的な課題と解決策を解説します。

応募段階の課題と対策

応募段階における主な課題と対策は、以下のとおりです。

課題 対策
応募者数が集まらない 採用チャネルの多様化、SNS活用
ターゲット層からの応募が少ない ペルソナ設定、訴求内容の見直し
企業認知度が低い 採用ブランディング、大学連携
応募者の質にばらつきがある 求人原稿の改善、要件の明確化

応募段階では、学生との最初の接点となる母集団形成が最大の課題となります。

求人サイトへの掲載だけでは多数の企業に埋もれてしまうため、ダイレクトリクルーティングやソーシャルリクルーティングなど複数の手法を組み合わせる戦略が有効です。自社の採用ターゲットが利用する媒体を見極め、効果的にアプローチを行う必要があります。

企業の魅力を具体的に伝える工夫も欠かせません。働く環境や成長機会、福利厚生などを明確に示し、学生が入社後のイメージを持てる情報発信を心がけましょう。

選考段階の課題と対策

選考段階における主な課題と対策は、以下のとおりです。

課題 対策
選考辞退が多い 選考フローの短縮、迅速な対応
評価基準が統一されていない 評価シートの作成、面接官研修
人材の見極めが難しい 適性検査の導入、複数回面接
レスポンスが遅れる 採用管理システムの活用

選考段階では、応募者の志望度を維持しながら適切な人材を見極める必要があります。

面接回数が多すぎたり、選考期間が長引いたりすると、学生は他社に流れてしまいます。説明会と一次面接を同日開催するなど、選考プロセスの効率化を図りましょう。評価基準を明確にし、面接官全員で共有すれば、公平で一貫性のある選考が実現できます。

選考中のコミュニケーションも重要な要素です。合否連絡や次回選考の案内を迅速に行い、学生の不安を解消する丁寧な対応を心がける必要があります。

入社後段階の課題と対策

入社後段階における主な課題と対策は、以下のとおりです。

課題 対策
早期離職が発生する 研修制度の充実、メンター制度
配属先でのミスマッチ 入社前の職場見学、配属面談
業務への適応が遅い OJT体制の整備、段階的な教育
企業文化への不適応 内定者懇親会、理念の浸透

入社後段階では、新入社員の定着と早期戦力化が主要な課題となります。

厚生労働省の調査では、大卒新入社員の約3割が3年以内に離職している状況です。入社前の期待と入社後の現実にギャップが生じれば、早期離職のリスクが高まります。内定者フォローを充実させ、実際の業務内容や職場環境を正確に伝える取り組みが必要です。

新入社員研修やOJT制度を整備し、スムーズな職場適応を支援する体制を構築しましょう。先輩社員によるメンターシップも、新入社員の不安解消と定着率向上に効果を発揮します。

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新卒採用におすすめの手法12選

新卒採用におすすめの手法12選

新卒採用を成功させるには、自社の課題や採用ターゲットに合わせた手法の選択が重要です。ここでは、新卒採用で効果を発揮する12の手法について、特徴やメリットを詳しく解説します。

就職ナビサイト(マイナビ・リクナビ等)

就職ナビサイトは、新卒採用における最も一般的な手法の一つです。

マイナビやリクナビといった大手サイトには、毎年数十万人の学生が登録しており、幅広い層にアプローチできる強みがあります。企業情報や募集要項を掲載すれば、学生側から能動的に検索・応募してもらえる仕組みです。

掲載プランによってはスカウト機能やイベント参加権も付帯しており、総合的な採用活動の基盤として機能します。一方で、掲載企業数が多いため情報が埋もれやすく、差別化を図る工夫が求められるでしょう。

新卒紹介サービス(人材紹介・エージェント)

新卒紹介サービスは、人材紹介会社が企業と学生のマッチングを支援する手法です。

専任のキャリアアドバイザーが学生の希望や適性を把握した上で、企業の求める人材要件に合致する候補者を紹介します。初期費用が不要で成功報酬型のサービスが多いため、採用リスクを抑えられる点が特徴です。

紹介会社が選考日程の調整や条件交渉を代行してくれるため、採用担当者の工数削減にもつながります。ただし、1人あたりの紹介手数料は比較的高額になる傾向があり、大量採用には向かない手法といえるでしょう。

合同企業説明会・就職イベント

合同企業説明会は、複数の企業が一堂に会して学生と直接対話できる場です。主要な採用手法の特徴を整理すると、以下のとおりです。

手法 接触人数 コスト 工数
合同説明会 多い 中程度 高い
個別説明会 少ない 低い 中程度
オンラインイベント 非常に多い 低い 中程度

短時間で多くの学生にアプローチでき、企業の雰囲気や魅力を直接伝えられる機会として価値があります。ブース形式やプレゼンテーション形式など、イベントの種類も多様です。

対面での熱量を伝えやすく、学生の反応をその場で確認できる点も大きなメリットといえます。参加費用や準備工数はかかりますが、認知度向上と母集団形成の両面で効果を期待できるでしょう。

大学との連携・学内セミナー

大学との連携は、ターゲット層に直接リーチできる効果的な手法です。

キャリアセンターと協力して学内セミナーを開催すれば、特定の学部や専攻の学生に絞ったアプローチが可能になります。研究室訪問や教授推薦といった手法も、専門性の高い人材を採用する際に有効です。

大学側も学生の就職支援に積極的なため、継続的な関係構築を図りやすい環境があります。地元大学との連携を強化すれば、地域に根差した採用活動を展開できるでしょう。

自社採用サイト・採用ホームページ

自社採用サイトは、企業が独自に運営する採用専用のウェブサイトです。

掲載内容や表現方法を自由に設計できるため、企業の個性や魅力を制限なく発信できる点が最大の強みとなります。社員インタビューや職場の写真、動画コンテンツなどを豊富に盛り込めば、学生の興味関心を引きつけられるでしょう。

SEO対策を施せば、検索エンジン経由での流入も期待できます。初期の制作費用は必要ですが、長期的に見れば採用コストの削減につながる可能性があります。更新頻度を高めて鮮度を保つ運用体制の構築が成功の鍵です。

ダイレクトリクルーティング

ダイレクトリクルーティングは、企業が能動的に学生へアプローチする攻めの採用手法です。

データベースに登録された学生のプロフィールを検索し、自社の求める要件に合致する人材へスカウトメッセージを送信します。待ちの姿勢ではなく、企業側から積極的に接点を作り出せる点が特徴です。

ターゲットを絞り込んでアプローチできるため、採用の質を高めやすく、ミスマッチの予防にも効果を発揮します。スカウト文面の作成や送信作業には工数がかかりますが、費用対効果の高い手法として多くの企業が導入を進めています。

リファラル採用(社員紹介制度)

リファラル採用は、自社社員からの紹介を通じて人材を獲得する手法です。

社員が知人や後輩を推薦する仕組みであり、企業文化や価値観への理解が深い状態で入社につながりやすい特徴があります。紹介者である社員が企業の魅力を直接伝えるため、学生の志望度も高まりやすい傾向です。

採用コストを大幅に抑えられる点も大きなメリットといえます。ただし、社員のネットワークに依存するため、大量採用には向きません。紹介を促進するインセンティブ制度の設計や、社内への周知活動が成功のポイントとなるでしょう。

ソーシャルリクルーティング(SNS活用採用)

ソーシャルリクルーティングは、SNSプラットフォームを活用した採用手法です。主要なSNSの特徴と活用方法は、以下のとおりです。

SNS 特徴 活用方法
Instagram 視覚的訴求に強い 社内風景、社員紹介の投稿
X(旧Twitter) 拡散力が高い 採用情報、イベント告知
LinkedIn ビジネス特化型 専門人材へのアプローチ
TikTok 若年層へのリーチ 短尺動画での企業PR

InstagramやX(旧Twitter)、LinkedInなどを通じて、企業の日常や社員の声を発信すれば、学生に親近感を持ってもらえます。投稿へのコメントやダイレクトメッセージ機能を使えば、双方向のコミュニケーションも実現可能です。

運用コストを抑えながら広範囲にリーチできる手法として、多くの企業が取り組みを強化しています。

採用ミートアップ・カジュアル面談

採用ミートアップは、少人数でカジュアルに交流する形式のイベントです。

堅苦しい雰囲気を排除し、リラックスした環境で企業と学生が対話できる場を提供します。カジュアル面談も同様に、選考を前提としない気軽な面談形式で相互理解を深める手法です。

学生の本音や価値観を引き出しやすく、企業側も率直に自社の魅力や課題を伝えられる利点があります。選考過程での緊張感を和らげ、志望度の向上につなげられるでしょう。少人数制のため大量採用には向きませんが、質の高いマッチングを実現できる手法です。

インターンシップ(短期・長期)

インターンシップは、学生に実務体験の機会を提供する採用手法です。

短期型は1日から数週間程度で、企業理解を深めてもらう目的で実施されます。長期型は数ヶ月以上にわたり、実際の業務に携わってもらいながら適性を見極める形式です。

学生は仕事内容や職場環境を体感でき、企業は学生の働きぶりを直接観察できるため、双方にとってミスマッチを防ぐ効果があります。特に長期インターンシップ経由での採用は、入社後の定着率が高い傾向にあるでしょう。

採用ピッチ資料

採用ピッチ資料は、企業の魅力を簡潔にまとめたプレゼンテーション資料です。

事業内容やビジョン、働く環境、キャリアパスなどを視覚的にわかりやすく構成し、学生の興味を引きつける工夫を凝らします。説明会やイベントでの使用はもちろん、採用サイトでの公開やSNSでの配布にも活用できる汎用性の高さが特徴です。

スライド形式で情報を整理するため、学生にとって理解しやすく、記憶に残りやすい利点があります。デザイン性と情報量のバランスを取りながら、自社ならではの魅力を効果的に伝える資料作成を目指しましょう。

オウンドメディア運用による採用広報

オウンドメディアは、企業が自社で運営するメディアを通じて情報発信を行う手法です。

ブログ記事や動画コンテンツ、社員インタビューなど、多様な形式で企業の魅力や価値観を継続的に発信できます。就職活動期間に限らず、通年で学生との接点を持ち続けられる点が大きな強みです。

コンテンツが蓄積されれば、SEO効果により自然検索からの流入も増加します。採用ブランディングの核となる媒体として、長期的な視点で運用を続ければ、認知度向上と優秀な人材の獲得につながるでしょう。

まとめ

まとめ図解

新卒採用はルーチンワークではなく、常に変化する市場への適応が不可欠です。競合の成功事例はすぐに広まり、昨年の成功が今年も通用するとは限りません。

期間が限られた新卒採用では、途中の軌道修正は困難です。だからこそ、採用活動を深く振り返り、自社の強みを活かし弱みを補う施策を次年度計画に反映することが重要です。

年に一度、採用活動を徹底的に振り返り、次年度の採用計画を磨き上げ、成功へと繋げましょう。

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この記事の監修者:今 啓亮
この記事の監修者:今 啓亮

まるごと人事として590社以上の企業の採用支援
書籍『「本当にほしい人材」が集まる中途採用の定石』好評発売中

2015年に東京でマルゴト株式会社(旧社名:株式会社ビーグローバル)を創業。
スタートアップから大手企業まで幅広く採用関連のプロジェクトに携わった後、2017年に月額制の採用代行”まるごと人事”の提供を開始。
2021年にバックオフィス代行”まるごと管理部”(労務プラン・経理プラン)も開始。
「理想のサービスと理想の職場を同時実現する」を経営理念に掲げ、全員がフルリモートで働くユニークな組織運営を行う。
2022年に本社住所を東京から札幌に移転し、自身も関東から札幌に移住。

出演イメージ

2024年11月、ABEMAの報道番組「ABEMA Prime」に
採用のプロフェッショナルとして出演。
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