採用・労務・経理に関するお役立ち情報

2025.08.08 更新日:2025.08.08
この記事の監修者:今 啓亮

この記事の監修者:今 啓亮

採用担当者の業務内容を徹底解説!人事担当との違いや必要なスキル、心構えまで

採用担当者は、企業に必要な人材を確保する重要な役割を担います。「新卒採用」と「中途採用」で担当が分かれている場合もあれば、一人の担当者が両方を兼任するケースもあります。

企業の4大経営資源の中でも「ヒト」は、成長や競争力を生み出す不可欠な要素です。そのため、その「ヒト」を確保する採用担当者の役割は非常に重要だと言えます。しかし、体系的な育成制度を持つ企業はまだ少ないのが現状です。

この記事では、具体的な仕事内容や人事担当者との違い、トレンド、プロとして身につけるべきスキルを徹底的に解説します。

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採用担当者とは

採用担当者とは

採用担当者は、企業を支える「人」の採用に責任を持つ重要なポジションです。

主な業務は多岐にわたり、募集方法の選定書類選考面接官の選定・トレーニング内定者フォローなどがあります。また、事業方針に沿って人材を確保するため、経営層と密接に連携し、事業全体を深く理解した上で判断を下す必要があります。

その一方で、現場の社員の相談に乗るなど、個々の従業員に寄り添う役割も担います。このように、様々な立場から業務を遂行するため、柔軟な対応力が求められます。

採用担当者と人事担当者・リクルーターとの違い

採用担当者人事担当者は、どちらも人事部に所属しますが、業務範囲が異なります採用担当者は主に人材の募集や選考といった採用活動を専門に行うのに対し、人事担当者は採用に加えて労務管理や人材育成など、より幅広い業務を担当します。

ただし、この役割分担は企業の規模によって様々です。大企業では、採用担当者が新卒と中途で分かれていることもありますが、中小企業では、人事部全体で採用業務を分担するケースも少なくありません。一方、リクルーターは採用担当者とは異なり、一般的に現場部署に所属し、採用活動に協力するメンバーを指します。

採用担当者の業務内容

採用担当者の業務内容

採用担当者の業務内容は多岐に渡ります。基本的な内容と流れは、以下の通りです。

採用計画の立案

採用計画は、「いつまでに、どの部署に、何人、どんな人を採用するか」を明確にする指針です。大企業だけでなく、欠員補充を行う中小企業にとっても欠かせない業務です。

採用計画を立てる主な理由は以下の3つです。

理由 詳細
採用のタイムリミット設定 人手不足は企業の機会損失や既存社員への負担増につながります。
採用期限を設けることで、緊急度の高い採用には有料の求人広告、
長期的な募集にはハローワークなど、状況に応じた適切な採用手法を選べるようになります。
採用要件の言語化 欠員募集の場合でも、退職者と全く同じスキルを持つ人材を見つけるのは困難です。
「採用期限」を考慮し、現実的な採用ラインを設定しておくことが重要です。
配属部署の協力を得て、最低限必要なスキルや経験を洗い出すことで、入社後のミスマッチを防げます。
振り返り 事前に計画を立てておけば、採用活動後の効果測定や改善が容易になります。

採用スケジュールの共有

採用スケジュールとは、採用計画で定めた内容を具体的な日程に落とし込み、関係者全員で共有するためのものです。

Excelや専用のスケジュール管理ツールなどを使って、「いつまでに、何を、誰がやるのか」を明確にしましょう。その際、採用担当者のマンパワーも考慮し、無理のない現実的なスケジュールを立てることが大切です。

人材要件の設定

人材要件(採用要件)とは、企業が求める人物像を明確に定めた基準のことです。この要件を曖昧にしたまま採用活動を進めると、入社後にミスマッチが発生しやすくなります。

「なんとなく」の採用を避け、入社後の活躍につなげるためにも、採用要件の精度を高くすることが大事です。

採用手法の決定

採用計画が定まったら、次は具体的な採用手法を検討します。求人サイト、人材紹介、ダイレクトリクルーティングなど、多くの選択肢の中から自社に最適なものを選ぶ必要があります。

重要なのは、採用活動ごとに手法を見直すことです。同じ「求人サイト」でも、若手向け、主婦向け、特定の職種向けなど、それぞれに強みがあります。「以前成功したから」と安易に同じ手法を繰り返すのではなく、ターゲットに合わせて最適な手法を選び直すことが、採用効果を最大化する鍵ですとなります。

その後は求人作成を行います。採用担当者が自ら行うか、採用支援会社に依頼するかの2種類があります。

採用に不慣れな場合や、応募が集まりにくい職種を募集する際は、プロである採用支援会社への依頼がおすすめです。彼らは「待遇の相場観」や「他社との差別化」に関する豊富なノウハウを持っており、効果的な求人作成をサポートしてくれます。

書類選考の実施

応募が集まったら、書類選考を行います。新卒採用では「文章力」や「意欲」など潜在能力を重視する一方、中途採用では募集職種に「経験」「スキル」「知識」がマッチしているかに比重を置きます。

職歴を確認する際は、「自社の仕事とどうマッチするか」という視点が大事です。例えば、テレアポが中心の営業職なら、応募者が過去に1日に何件電話をしていたかなど、具体的な業務内容を深掘りすることが、入社後の活躍度を測る上で重要です。

面接の実施

書類選考を通過した応募者とは、面接を実施します。面接の主な目的は、応募者の「見極め」と、自社の魅力を伝える「魅力づけ」の2つです。

    カテゴリ ポイント
    面接での見極めポイント 見極めたい項目(例:職務適性、コミュニケーション能力)を明確にする。
    その項目を測るための具体的な質問を準備する。
    質問に対する「合格ライン」を明文化し、評価のブレを防ぐ。
    面接での魅力づけポイント 応募者の転職軸を丁寧にヒアリングする。
    自社でその転職軸がどう実現できるかを具体的に説明する。
    質問には明確かつ誠実に回答する。
    既存社員との質疑応答の機会を設ける。

    内定者のフォローアップ

    内定者フォローアップは、内定者と企業のつながりを保ち、入社への意欲を高めるために重要な業務です。

    内定を出しても、必ずしも入社につながるとは限りません。特に、内定から入社までの期間が長い場合、内定者が不安を感じたり、他の企業に心変わりしたりするリスクが高まります。

    こうした内定辞退を防ぐためには、採用担当者による積極的なフォローアップが不可欠です。具体的には、定期的な連絡や社員との交流会などを通じて、内定者が安心して入社できる環境を整えることが大切です。

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    採用担当者に求められるスキル

    採用担当者に求められるスキル

    採用担当者の業務は多岐にわたるため、さまざまなスキルが求められます。ここでは、採用担当者として成功するために特に大事な3つの特徴をご紹介します。

    1.営業スキル

    採用担当者は、候補者に対し自社の魅力を効果的に伝え、入社意欲を高める必要があります。また、「目標人数を期日までに採用する」といった明確な数字目標があるため、達成意欲も不可欠です。エージェントや求人媒体の担当者との交渉も行うため、自社を売り込み、相手の興味を引き成約につなげる「営業」の経験が活かせます。

    2.マーケティングスキル

    効果的に採用活動を進めるためには、マーケティングスキルが不可欠です。労働力不足が深刻化する近年、求人情報を公開するだけでは十分な応募者が集まらない可能性があります。

    採用担当者は、人材市場や求職者のニーズを把握し、自社が求める人材を獲得するための最適な戦略を考案しなければなりません。

    たとえば、SNSを日常的に使う若い世代をターゲットにするなら、ダイレクトソーシングで直接アプローチするなどの手法が有効です。こうした採用活動の最新トレンドを常に探り、積極的に取り入れていくスキルも重要です。

    3.オペレーションスキル

    採用人数が増えるほど、選考プロセスの管理は複雑になります。面接会場の確保、日程調整、関係者への連絡、内定者フォローなど、多岐にわたる業務をスムーズに進めるには、高いオペレーションスキルが必要です。業務全体を俯瞰し、ツールやアウトソーシングも活用しながら効率的なプロセスを設計・運用できる能力が求められます。

    採用担当に向いている人

    採用担当に向いている人

    さまざまな業務を担う採用担当者には、特定の資質が求められます。

    1,企業の魅力を自分の言葉で語れる人

    採用活動では、求職者からの質問に対して、企業の魅力を自分の言葉でわかりやすく伝えられることが重要です。マニュアル通りの定型文ではなく、熱意を持って語ることで、求職者の志望度を高めることができます。

    2.柔軟なコミュニケーション能力を持っている人

    社内外の多様な人々と連携する採用担当者には、高いコミュニケーションスキルが不可欠です。

    面接時には、応募者の本音や潜在的な能力を引き出すため、様々な角度から質問する力が求められます。また、求職者に対して企業の魅力をわかりやすく伝える工夫も必要です。

    相手の意見を尊重しつつ、自社の魅力を明確に伝えられる柔軟なコミュニケーション能力は、採用担当者にとって理想的なスキルと言えます。このスキルを最大限に発揮するためには、質問の整理や事前の準備が重要となります。

    3.指示がなくても責任を持って自発的に行動できる人

    多くの候補者は複数の企業に応募しているため、質問や問い合わせへの対応が遅れると、優秀な人材を他社に奪われるリスクがあります。そのため、常に状況を把握し、指示を待つのではなく、自発的に最適な行動をとれる人が採用担当者に向いています。

    4.質問力・ヒアリング力があり、論理的な思考ができる人

    自社にふさわしい人材を見極めるには、候補者の本音や能力を引き出すための的確な質問力と、その回答を正確に聞き取るヒアリング力が不可欠です。また、得られた情報を整理・分析し、採用の是非を論理的に判断できる思考力も求められます。

    5.調整力に長けている人

    採用担当者は、経営層や各部署の責任者など、社内外の多くの関係者と連携します。そのため、スケジュール調整などの事務的なスキルはもちろん、異なる立場の人々の意見をまとめ、円滑に物事を進める調整力に長けていると良いでしょう。

    採用担当に不向きな人

    採用担当に不向きな人

    採用担当に向かない人の特徴とその理由を4つに分けて解説します。

    1. 情に流されやすい人

    採用活動では、個人的な感情ではなく、企業の視点で候補者の適性やスキルを公平に判断する必要があります。情に流されてしまうと、客観的な評価ができなくなり、結果として企業と候補者双方にとってミスマッチの原因となります。

    2. 自社への愛着が薄い人

    採用担当者は、自社のビジョンや魅力を求職者に伝え入社意欲を高める役割も担います。自社に魅力を感じていないと、その熱意は伝わらず、事業方針に沿った採用活動を行うことも難しくなります。

    3. 先入観が強い人

    採用活動において、先入観(バイアス)は客観的な評価を妨げ、優秀な人材を見逃すリスクを高めます。特定の学歴や経歴だけで判断するのではなく、候補者一人ひとりの潜在能力や人柄をフラットな視点で見極めることが求められるためです。

    4.責任感が薄い人

    採用担当者には、応募者の人生と会社の未来を左右する重大な責任があります。責任感が薄いと、応募者への対応が疎かになったり、公平な選考ができなかったりする恐れがあります。その結果、企業の評判を損ない、採用活動の失敗につながる可能性があるからです。

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    近年のトレンドの採用手法

    近年のトレンドの採用手法

    近年、労働力不足を背景に、従来の採用手法だけでは人材確保が難しくなっています。そこで、企業が主体的に候補者にアプローチする新しい採用手法が注目されています。

    ダイレクトリクルーティング

    ダイレクトリクルーティングは、企業が求める人材像に合う候補者をデータベースから探し、直接アプローチする手法です。従来のように応募を待つだけでなく、企業側から積極的に働きかけるのが特徴です。求人サイトに登録していない潜在的な転職希望者にも接触できるため、より多くの候補者と接点を持つことができます。

    リファラル採用

    リファラル採用とは、社員が知人や友人を紹介する採用手法で、近年注目を集めています。

    この手法の大きな特徴は、企業文化や仕事内容を深く理解している社員からの紹介であるため、入社後のミスマッチが少なく、定着率が高い傾向にある点です。

    また、求人掲載費などがかからないため、採用コストを大幅に抑えられます。紹介した社員や入社した社員へのお祝い金(相場は1万〜10万円)を支払う企業が多いですが、外部サービスを利用するよりも費用を抑えられるのが一般的です。

    ただし、注意点もあります。紹介された候補者が不採用になった場合、紹介者と会社、あるいは紹介者と候補者の関係が悪化する可能性があります。これを避けるため、事前に「不採用の可能性もある」ことを社員に伝えておくなど、丁寧なフォローを心がけましょう。

    ソーシャルリクルーティング

    ソーシャルリクルーティングは、SNSを利用して候補者に直接アプローチする採用手法です。SNSを介した就職・転職活動が一般化している現代において、幅広い層にリーチできる可能性があります。ダイレクトリクルーティングの一種ですが、人材データベースではなくSNS上でアプローチを行うため、求人サイトに登録していない層にも接触できます。

    採用ミートアップ

    採用ミートアップは、企業が主催するカジュアルな交流イベントです。ランチ会や座談会形式で、求職者が企業の雰囲気や魅力に触れる機会を提供します。選考を前提としないため、参加者の応募意欲は高くないかもしれませんが、ダイレクトリクルーティングなどで接点を持った候補者をミートアップに誘うことで、自社への興味を高め、応募につなげる効果が期待できます。

    採用担当者に必要な心構え

    採用担当者に必要な心構え

    採用担当者として成功するためには、適性に関わらず、いくつかの心構えを持つことが大事です。

    企業の代表としての自覚を持つ

    採用担当者は、企業の代表として求職者と接します。丁寧で気持ちの良いコミュニケーションを心がけることで、会社のイメージアップにつながり、入社意欲を高めることができます。

    素早いレスポンスを心がける

    求職者は複数の企業に応募していることが多く、企業の対応が遅いと辞退につながるリスクが高まります。迅速かつ丁寧な連絡をすることで、候補者の企業への関心を維持し、優秀な人材の流出を防ぐことができます。

    自社の魅力を深く理解し、伝える

    面接などで自社の魅力を伝えることは、採用担当者の重要な役割です。事業内容、企業文化、仕事のやりがいなどを深く理解し、自分の言葉で熱意を持って語ることで、求職者の心に響くメッセージを届けられます。

    候補者とは「パートナー」であるという意識

    採用活動は、企業が一方的に候補者を選別する場ではありません。企業と候補者が互いを理解し、将来のパートナーシップを築くための対等な関係です。一方的な選考ではなく、候補者への敬意を払い、誠実に向き合うことで、信頼関係が構築されます。

    不採用者に対しても最後まで誠実に対応する

    採用に至らなかった場合でも、最後まで丁寧な対応をすることで、企業のブランドイメージを守ることができます。不採用となった候補者が将来の顧客やビジネスパートナーになる可能性もゼロではありません。誠実な対応は、企業の評判を高める上で非常に重要です。

    まとめ

    まとめ

    採用担当者は、企業の採用活動を担う重要なポジションです。企業の貴重な経営資源である「ヒト」の獲得に直接関わるため、その役割は企業の成長に欠かせません。

    採用担当者は、経営層や各部署が求める人物像を正確に理解し、それに合った人材を獲得する責任があります。この役割を果たすためには、高いコミュニケーションスキルマネジメントスキルが求められます。

    また、常に変化する市場や人材のニーズに対応し、時代に合った最適な採用手法を選び抜くことも、効率的な採用活動には不可欠です。

    まるごと人事」では、採用計画の立案から応募者対応、内定後のフォローまで、採用業務全般をサポートします。貴社の採用課題を解決し、企業の成長を加速させる最適な人材を確保するために、ぜひご相談ください。

    「孤独な採用」からの脱却

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この記事の監修者:今 啓亮
この記事の監修者:今 啓亮

まるごと人事として560社以上の企業の採用支援
書籍『「本当にほしい人材」が集まる中途採用の定石』好評発売中

2015年に東京でマルゴト株式会社(旧社名:株式会社ビーグローバル)を創業。
スタートアップから大手企業まで幅広く採用関連のプロジェクトに携わった後、2017年に月額制の採用代行”まるごと人事”の提供を開始。
2021年にバックオフィス代行”まるごと労務””まるごと経理”も開始。
「理想のサービスと理想の職場を同時実現する」を経営理念に掲げ、全員がフルリモートで働くユニークな組織運営を行う。
2022年に本社住所を東京から札幌に移転し、自身も関東から札幌に移住。

出演イメージ

2024年11月、ABEMAの報道番組「ABEMA Prime」に
採用のプロフェッショナルとして出演。
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