採用・労務・経理に関するお役立ち情報

2025.09.05 更新日:2025.09.09
この記事の監修者:今 啓亮

この記事の監修者:今 啓亮

薬剤師の採用方法|人材確保のポイントやおすすめの求人媒体7選を紹介

薬剤師の有効求人倍率は3.41倍と高水準が続き、特に病院薬剤師の確保は年々困難になっています。全国的な薬局数も増え、給与面やワークライフバランスを重視する薬剤師が増えていることからも、病院では深刻な人材不足に直面しています。

本記事では、最新の薬剤師採用動向やおすすめの求人媒体7選まで、薬剤師採用に必要な情報を網羅的に解説します。

人材確保に苦戦している医療機関の採用担当者の方は、ぜひ参考にしてください。

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【最新】薬剤師の採用動向|地域別の実態も解説

薬剤師の採用動向|地域別の実態も解説

薬剤師の採用競争は年々激化しており、多くの医療機関が人材確保に苦戦しています。特に地域による格差が顕著で、採用戦略は地域特性を踏まえたアプローチが必要です。

本章では、都道府県別の最新データを基に薬剤師採用市場を分析し、病院薬剤師不足の背景要因を詳しく解説します。これらの市場分析を踏まえ、自院に最適な採用戦略の立案にお役立てください。

採用計画のたて方でお悩みの採用担当者の方は以下の記事を参考にしてください。

有効求人倍率|都道府県別

令和5年度の薬剤師の有効求人倍率は3.41倍であり、一般職種と比較すると高い水準です。

医療分業の進展により薬局数が増加していますが、薬局数の多さが必ずしも高い求人倍率に直結するわけではありません。下記のグラフが示すように、薬剤師数が少ない地域でも求人倍率が低い場合があります。

都道府県別の薬局数と有効求人倍率の関係を以下の表でみてみましょう。

都道府県 令和5年度 薬局総数 有効求人倍率
全   国62,8283.41
北 海 道2,3493.05
青   森6206.67
岩   手6271.88
宮   城1,2153.78
秋   田519データなし
山   形6165.24
福   島9036.99
茨   城1,3734.18
栃   木9529.72
群   馬9923.18
埼   玉3,2021.64
千   葉2,6691.46
東   京7,1172.98
神 奈 川4,1991.42
新   潟1,1745.37
富   山524データなし
石   川5774.78
福   井331データなし
山   梨4755.85
長   野1,0205.95
岐   阜1,0666.14
静   岡1,9333.77
愛   知3,6703.76
三   重8813.59
滋   賀6732.88
京   都1,1982.99
大   阪4,6112.42
兵   庫2,7722.78
奈   良5762.24
和 歌 山4913.33
鳥   取276データなし
島   根340データなし
岡   山8428.63
広   島1,5873.66
山   口7764.03
徳   島3844.63
香   川5333.92
愛   媛6346.59
高   知4024.85
福   岡2,9653.25
佐   賀5134.20
長   崎7225.47
熊   本8922.98
大   分5806.95
宮   崎5944.53
鹿 児 島8854.80
沖   縄5784.86

薬剤師 – 職業詳細 | 職業情報提供サイト(job tag)令和4(2022)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況を元に筆者が作成

地域の格差は以下のとおりです。

  • 最高倍率:栃木県(9.72倍)
  • 最低倍率:千葉県(1.46倍)、神奈川県(1.42倍)
  • 首都圏の特徴:東京都(2.98倍)、埼玉県(1.64倍)と比較的低水準

都道府県別にみた薬局・医療施設に従事する人口10万対薬剤師数

参考:令和4(2022)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況

栃木県は求人倍率9.72倍と最も高いものの、薬剤師の絶対数が特別少ないわけではありません。むしろ、薬剤師欠員調査では福島県と福井県の欠員率が高く、データの背景には地域の医療需要や薬剤師の定着率など複合的な要因が影響しています。

参考:病院薬剤師の勤務実態調査 業務報告書

求人倍率の高い地域の医療機関では、給与条件だけでなく、働きやすさや成長機会などの付加価値で差別化を図ることが必須となるでしょう。

病院薬剤師が不足傾向

薬剤師の就業先は薬局に集中し、病院薬剤師の確保が医療機関共通の課題となっています。

施設の種別にみた薬局・医療施設に従事する薬剤師数の年次推移

出典:令和4(2022)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況

薬学生が就職先を選択するのに、「給与水準」が一つの判断基準となっている現状があります。

平均年収をみると上がり幅は少ないものの、20代では薬局で勤める薬剤師の年収が一番高く、比べて病院薬剤師は40代でやっと薬局薬剤師の年収と並びます。

累積年収・年代別平均年収

出典:薬剤師の偏在への対応策

また、令和3年9月30日に発出された医政局長通知「現行制度の下で実施可能な範囲におけるタスク・シフト/シェアの推進について」も薬剤師の分布に影響を及ぼしています。

タスクシフトにより病院薬剤師の役割が増え、例えば、医師や看護師が行っていた入院患者への薬の説明を、薬剤師が行ったうえで記録も行うようにシフトしています。

病院では薬剤師外来・病棟専属の薬剤師の配置も必要になるでしょう。

若い世代の薬剤師は、業務負荷の軽さと給与水準の高さを両立できる薬局勤務を選択する傾向が強まっています。その結果、病院薬剤師の慢性的な人材不足が深刻化していると認識しておくと良いでしょう。

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薬剤師の採用における人材確保のポイント

薬剤師の採用における人材確保のポイント

成功している医療機関では、地域特性と薬剤師の志向性を深く理解した戦略的アプローチを行っています。

採用戦略立案前には、以下の必須調査項目を把握した上で採用活動を行いましょう。

  • 自エリアの薬剤師数競合医療機関数
  • 地域内の平均給与水準と福利厚生の相場
  • 近隣薬科大学の就職動向と連携可能性

これらの市場分析を基に、下記の4つのポイントを押さえ、競合他社との差別化に役立ててください。

人材確保については、以下の記事も参考にしてください。

出身地・出身大学に対応したアプローチ

薬剤師の就職先では、出身地・出身大学と、従事先の地域の一致率が高いのが特徴です。

従事先と出身地が同じ地方である割合は70%~90%、従事先と出身大学が同じ地方である割合が50%~80%を占めています。

薬学部の学生には、以下のような取り組みが有用です。

  • 臨床実習受け入れによる接点創出
  • OB・OG薬剤師による母校での講演活動
  • 学内合同説明会への積極的参加

大学との連携が図れれば、母集団形成も容易となるでしょう。

参考:薬剤師の偏在への対応策 P6

新卒採用のトレンドを含む採用手法については、以下の記事を参考にしてください。

地方では若い世代をターゲットに

地方医療機関での薬剤師採用では、ターゲット層の明確化包括的な支援制度が成功の決め手です。

以下の表に地方に転職する薬剤師の特徴をまとめました。

項目 特徴
最多年代 20代(全体の約40%)
単身世帯の割合 44.0%
転職理由 ①生活環境の改善 ②給与条件 ③業務内容

地方で働くハードルを下げるためにも、以下のような取り組みが有用です。

  • 居住先の斡旋
  • 引越し・帰省費用の補助(上限を含む具体的な金額の提示)

都心部にはない、地方だからこその魅力を打ち出しましょう。

病院・薬局はキャリアプランを明確に

若い世代の病院薬剤師は給与が低いとはいえ、多くの新卒薬剤師は病院に就職しています。離職せず従事してもらうには、将来性と成長機会の明確な提示が有用といえます。

新卒・中途入社での実際のキャリアの一例を示し、プランの立案を行いましょう。入社後は個人の成長に応じて見直し、着実にキャリアが積めるように、研修や外部セミナーへの参加など教育体制を構築すると効果的です。

病院や薬局の魅力や採用情報を、ウェブサイトで情報発信し、就職説明会やインターンシップではやりがいや学べること、身に付くスキルについて提示する準備をしておきましょう。

働き方の見直しや復帰しやすい仕組みづくりを

薬剤師の長期定着には、結婚・出産・介護等のライフイベントに対応した働き方の多様化が不可欠です。

具体的には、以下の就業時間や休暇制度を整備しましょう。

  • 時短勤務制度(週30時間~)
  • フレックスタイム制の導入
  • 在宅勤務対応業務の創出
  • 週3~4日勤務の正社員制度

薬剤師が復職しやすいように、「復職前研修」や「最新知識のキャッチアップ」など現場に戻るにあたって、不安が軽減できる取り組みは潜在薬剤師にとって魅力的に映ります。

常勤採用が難しく、また採用活動にリソースが割けない場合は、一時的に補填するための派遣薬剤師を雇うことも検討しても良いでしょう。

参考:薬剤師確保計画ガイドライン 1. 薬剤師確保計画策定の必要性と方向性

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薬剤師の募集でおすすめの求人媒体7選

薬剤師の募集でおすすめの求人媒体7選

効率的に薬剤師の採用を成功させるなら、求人媒体の活用がおすすめです。薬剤師に特化した求人媒体7社の特徴を表にしました。

媒体名 特徴 求人数 利用者数 費用 返金制度
マイナビ薬剤師 登録者は20代後半の薬剤師が多い 記載なし 累計利用者数10万人以上 完全報酬制
理論年収の30~35%
早期退職の場合、一部返金制度あり
ヤクジョブ.com 都道府県別の新着求人がすぐにわかる 52,200件
取引企業・医療機関7000社以上
記載なし 完全報酬制 記載なし
アプロ・ドットコム 25年以上にわたる薬剤師転職サポート 20,000件以上 記載なし 完全報酬制
想定年間賃金の 50%を上限
3ヶ月以内で退職の場合、一部返金制度あり
薬キャリ 薬剤師ポータルサイト19社中、年間登録者数No.1 30,000件以上 年間利用登録者2万人以上 記載なし 記載なし
ファルマスタッフ JPラーニング研修認定薬剤師の単位申請に対応するeラーニング教材あり 50,000件以上 記載なし 完全報酬制 記載なし
ファーマシスタ 他社よりも採用コストが安い
コンサルタントが仲介せず、直接薬剤師とのやり取りが可能
記載なし 記載なし 初回のみ管理ページ作成料として11,000円(税込)
5店舗以下の法人薬局:22万円
6店舗以上の法人薬局:44万円
病院・製薬会社など:44万円
時期に応じた返金制度あり
薬剤師WORKER 求職者様・紹介先の法人様ともに、同アドバイザーが専任で担当でミスマッチを最小限に 20,000件以上 記載なし 完全報酬制
理論年収の30%
早期退職の場合、一部返金制度あり

一見多く見られる登録者でも、自社の地域における求職者や求職志望度がどの程度なのかは抑えるべきポイントです。

最適な採用方法で薬剤師の採用を成功させよう

最適な採用方法で薬剤師の採用を成功させよう

本記事では、薬剤師の採用方法や、おすすめの媒体について紹介してきました。

薬剤師採用の成功のためには、エリアごとの採用市場を把握した上で、ターゲットに応じた戦略的アプローチが不可欠です。
出身地・出身大学に向けた取り組みや、若年層には生活面のサポート、経験者にはキャリアプランの明示をしたりなどして、効率的に人材を獲得しましょう。

求人媒体を活用し、今回解説した内容を実践しながら自院に最適な人材確保戦略の見直しを進めてください。

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この記事の監修者:今 啓亮
この記事の監修者:今 啓亮

まるごと人事として560社以上の企業の採用支援
書籍『「本当にほしい人材」が集まる中途採用の定石』好評発売中

2015年に東京でマルゴト株式会社(旧社名:株式会社ビーグローバル)を創業。
スタートアップから大手企業まで幅広く採用関連のプロジェクトに携わった後、2017年に月額制の採用代行”まるごと人事”の提供を開始。
2021年にバックオフィス代行”まるごと管理部”(労務プラン・経理プラン)も開始。
「理想のサービスと理想の職場を同時実現する」を経営理念に掲げ、全員がフルリモートで働くユニークな組織運営を行う。
2022年に本社住所を東京から札幌に移転し、自身も関東から札幌に移住。

出演イメージ

2024年11月、ABEMAの報道番組「ABEMA Prime」に
採用のプロフェッショナルとして出演。
> 出演した番組はこちら

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