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2025.05.27 更新日:2025.05.30
この記事の監修者:小林 美希

この記事の監修者:小林 美希

介護事業所の労務管理はどんな業務?効率化に向けたポイントを解説

介護事業所の労務管理はどんな業務?

介護事業所の負担を大きくしている原因となっているのが、労務管理です。労務管理の効率化を促進することで、業務全体の負担も削減されていくことから、優先して取り組む価値のある施策と言えるでしょう。

この記事では、介護事業所における労務管理とは何を指すのか、そしてどのように負担を小さくしていくのかについて解説します。

社内で実践できる改善方法

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労務管理とは?

労務管理とは?

そもそも労務管理とは、どのような業務を指す言葉でしょうか。介護事業所の労務管理について、基本を解説します。

労務管理の基本的な定義

労務管理とは、企業や事業所において従業員の雇用に関わるあらゆる事項を管理・運営する業務を指します。労働条件の設定や雇用契約の管理、勤務時間や勤怠の記録、給与計算などが含まれる領域です。

これらの業務を適切に行うことは、従業員の安心とモチベーションを保つうえで不可欠で、企業全体の健全な組織運営に直結します。労働法令の遵守と、働きやすい職場づくりを両立させることが大切です。

労務管理に含まれる主な業務範囲

労務管理の業務範囲は、上述の通り多岐にわたります。これらの業務はいずれもミスが許されないものであり、記録不備や対応の遅れが企業の法令違反や従業員トラブルへ直結するリスクを抱えているものです。そのため、正確性とスピード、法令に基づいた対応が求められます。

介護事業所における労務管理の重要性

介護事業所では、他業種以上に労務管理の重要性が大きいものです。というのも介護業界特有の課題として、24時間体制による複雑なシフト管理、慢性的な人手不足、スタッフの身体的・精神的負担の大きさなどが挙げられるからです。

また、介護職員処遇改善加算などの制度に対応するためには、賃金台帳の整備や労働条件の明文化が必須です。ミスがあれば、加算停止や行政指導といった重大なペナルティを受ける可能性もゼロではありません。

だからこそ、介護事業所では通常以上に高度で実務に即した労務管理体制が必要とされているのです。

介護事業所での労務管理のよくある課題

介護事業所での労務管理のよくある課題

では、介護事業所においては労務管理にどのような課題を抱えているのでしょうか。ポイントは以下の4つです。

勤怠・シフト管理の煩雑さ

介護事業所では、早番・遅番・夜勤といった複数の勤務形態が常に発生するため、シフト管理が非常に複雑になりがちです。

勤務時間の把握や残業管理も手作業では限界があり、打刻ミスや申請漏れ、不公平なシフト配分がトラブルの原因となることも少なくありません。結果として、職員の不満や離職にもつながるリスクがあります。

離職率の高さと人材定着の難しさ

介護業界は、身体的・精神的に負担の大きい職種であることから、他業界に比べて離職率が高い傾向にあります。

加えて、未払い残業や有給取得の未管理など、労務管理の不備が重なると、職員のモチベーション低下や早期退職を引き起こす要因となります。労働環境を適切に整備することが、職員定着の鍵となります。

法令遵守(労基法・介護労働者の処遇改善)対応の負担

介護事業所では、労働基準法に加えて、処遇改善加算制度など独自の制度にも対応しなければなりません。

特に加算制度では、賃金改善の実績報告や条件整備が必要とされ、書類不備や記録ミスがあれば加算返還の対象となります。

法令の正確な理解と実務での反映を同時に求められることが、担当者の大きな負担となっています。

労務管理担当者の属人化

中小規模の介護事業所では、労務管理を1人の担当者が兼務しているケースも多く、業務が属人化しやすい傾向にあります。

担当者の異動や退職が発生すると、引き継ぎが困難になり、業務が一時停止するリスクも否定できません。マニュアル化や業務分担など、平準化の取り組みが求められます。

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労務管理の効率化で得られる介護事業所のメリット

労務管理の効率化で得られる介護事業所のメリット

労務管理の効率化は、介護事業所にどのようなメリットを与えてくれるのでしょうか。ここでは代表的な利点を紹介します。

業務負荷の軽減と担当者の負担削減

勤怠管理やシフト作成、労働時間の集計といった煩雑な作業は、手作業では多大な労力と時間を要します。これらをシステム化することで、業務の正確性が向上し、作業負担も大幅に軽減されます。

結果として、労務担当者がより付加価値の高い業務に集中できるようになり、バックオフィス全体の生産性も向上するでしょう。

法令遵守体制の強化とコンプライアンス向上

正確な勤怠・労働時間の管理は、労基法違反リスクの回避に直結します。労務管理の効率化によって、未払い残業や休憩未取得などのリスクを早期に発見・是正できる体制が構築可能です。

加えて、処遇改善加算の適正運用や行政監査においても、データの整備が信頼性の証明となり、事業所の信用力向上につながります。

職場環境改善による離職率低下

正しい労務管理により、残業の抑制や有給休暇の取得促進が実現すれば、従業員の心身の負担が軽減されます。公平なシフト編成と労働条件の整備によって職員満足度も高まり、職場への信頼感が醸成されるでしょう。

これらはすべて、介護現場における深刻な課題である離職率の高さの改善に直結する点もポイントです。

業務データの可視化による経営判断の迅速化

勤怠データや勤務実績がリアルタイムで可視化されることで、経営層や管理者は人員の過不足や負担の偏りを迅速に把握できます。

これにより、現場の業務効率改善やスタッフ配置の見直し、必要に応じた採用判断など、スピーディーで合理的な経営判断が可能です。

介護事業所での労務管理のポイント

介護事業所での労務管理のポイント

介護事業所で労務管理を効率化するには、以下のポイントを踏まえて施策を進めていくことが大切です。

正確な勤怠管理と労働時間把握

介護事業所において最も基本であり重要なのが、正確な勤怠管理と労働時間の把握です。打刻漏れやサービス残業が常態化していると、職員の不満や労基法違反につながります。

ICTツールの活用によって出退勤時刻を確実に記録し、打刻データをもとに労働実態を把握・是正する体制を整えることが、労務リスクを最小限に抑える第一歩です。

シフト作成と人員配置の最適化

夜勤や早朝勤務、休日勤務が発生する介護現場では、職員への負担が偏らないようにシフト編成の工夫が必要です。

公正なシフトローテーションに加え、急な欠勤や突発的な人員不足にも対応できるよう、柔軟な代替要員体制の構築も重要です。こうした対応は、職員の満足度や定着率の向上にもつながります。

処遇改善加算・助成金申請の正確な対応

処遇改善加算を適正に受けるには、賃金改善実績や職場環境改善の実施状況などを報告書として整備する必要があります。

また、各種助成金の申請や労働条件の文書管理も、労務担当者の重要な業務です。制度内容を正確に理解し、申請漏れや記録不備を防ぐ体制を構築することが、安定的な資金確保にもつながります。

労務リスクの予防

職員の健康と安全を守る観点からも、過重労働や未払い残業といったリスクを放置することはできません。

勤怠管理だけでなく、ストレスチェックの実施や安全衛生委員会の設置、定期的なヒアリングの場を設けるなど、多角的なリスク予防策を講じることが望まれます。これにより、労務トラブルの未然防止と職場環境の向上が期待できるでしょう。

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介護事業所での労務管理を効率化する方法

介護事業所での労務管理を効率化する方法

介護事業所で労務管理を効率化するにあたっては、以下のアプローチが挙げられます。

勤怠管理・シフト作成ツールの導入

紙のタイムカードやExcelでのシフト管理では、作業工数がかかるうえにミスも起こりやすくなります。

近年はクラウド型の勤怠管理システムやシフト自動作成ツールが登場しており、打刻から勤務時間集計、シフト調整までを一元化することが可能です。これにより、担当者の負担を軽減し、勤務データのリアルタイム把握や記録の正確性向上が期待できます。

業務フローの標準化・マニュアル整備

属人化を防ぐためには、業務を「誰がやっても同じ品質で遂行できる」ように標準化することが不可欠です。

入退社手続きや労働契約書作成、休暇申請の承認フローなど、すべての労務関連業務について、マニュアルを整備しておくことで、新任者でもスムーズに業務を引き継ぐことができ、急な異動や退職時のリスクも低減できます。

定期的な労務監査・内部チェック体制の構築

法令遵守を徹底するには、年1回の行政監査対応だけでは不十分です。月次・四半期ごとの内部チェック体制を整えることで、未払い残業や処遇改善加算の記録不備などを早期に発見し、是正するサイクルを回せます。

結果として、トラブルの未然防止や加算返還リスクの回避にもつながるでしょう。

アウトソーシングによる効率化

労務業務の負担が大きく、専門性の高い対応が求められる場合は、外部専門家への委託も有効です。

労務管理に特化したアウトソーシングサービスを活用することで、勤怠管理から法改正対応、加算制度の実務支援まで、専門知識を持つチームに一括で任せることができます。現場職員は本来業務に集中でき、事業全体の運営効率も向上します。

介護事業所の労務管理効率化で健全な事業運営を実現

介護事業所の労務管理効率化で健全な事業運営を実現

介護事業所における労務管理は、勤怠・シフトの複雑さや法令対応の負担、人材不足といった課題が重なり、非常に高い専門性と正確性が求められます。

こうした状況において、労務管理の効率化は、業務負荷を軽減するだけでなく、職場環境の改善離職率の低下コンプライアンス強化といった面でも大きなメリットをもたらすものです。

また自社での対応が難しい場合は、労務管理アウトソーシングサービス「まるごと労務」の活用も有効です。勤怠管理や加算制度への対応、労働基準法の遵守といった複雑な業務を専門家に一括で委託することで、現場の負担を減らし、安定した事業運営を実現できます。

月額制で短期での利用にも対応しているため、気軽に利用を開始できるのも強みの一つです。労務管理の効率化にお困りの際にはお気軽にご相談ください。

この記事の監修者:小林 美希
この記事の監修者:小林 美希

マルゴト株式会社まるごと管理部 マネージャー
新卒で地方自治体向けのSIerに入社し、主に営業SEや校正を担当。その後福祉系ITベンチャー企業にて、一人目人事・広報として部署立ち上げに携わる。
2021年にマルゴトに入社し、まるごと人事事業部にてプロジェクトリーダー、マネージャーを経て、現在はまるごと管理部事業部のマネージャーとして従事。
事業拡大を推進し、より良いサービス提供に努めています。

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