お役立ち情報
副業やフリーランスの働き方を選択している人が増加していることもあり、企業によっては外部の人と業務委託を結んで業務に対応することも珍しくありません。
業務委託は通常の労働契約と異なる契約で働くため、労務の対応方法も社員に対する対応と変わってくる傾向が強いです。
この記事では業務委託を結んだ時に注意したい、労務業務の範囲についてわかりやすく解説します。
業務委託の基本的な情報から、業務委託で発生しやすいトラブル事例3選まで解説しているので、労務担当者はぜひ参考にしてみてください。
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目次
業務委託とは?
業務委託は外部の人や機関に自社の仕事を委託する契約のことを指します。
業務委託は労働契約とは異なり、業務の成果を提供することが求められる性質をもっているので、基本的に業務の進め方や労働時間についての指示ができないなど、通常の労働体制と異なる点が複数あります。
業務委託・雇用契約・派遣契約の違いは以下のとおりです。
契約形態 | 業務委託 | 雇用契約(労働契約) | 派遣契約 |
雇用主 | なし | 就職先 | 派遣会社 |
指揮命令 | なし | あり | あり(派遣先) |
勤務時間 | 制約なし | 制約あり | 制約あり |
賃金 | 報酬 | 給与 | 給与 |
また、業務委託の形式は仕事の内容によって異なるため、契約形態は請負契約、委任契約、準委任契約の3つに分かれます。
請負契約
請負契約はクライアントが指定した成果物の提出を求める代わりに、委託先に報酬を支払う契約のことを指します。
締め切りや仕事の進め方は企業と委託先で決められるので、同じ契約内容でも仕事内容が大きく変わる傾向が強いです。
請負契約で業務提携を結ぶことが多い職種は以下のとおりです。
- デザイナー
- ライター
- プログラマー
- 警備員
- 清掃員
委任契約
委任契約は成果物の提出ではなく、法律行為を扱う場合に結ぶ契約のことを指します。
民法643条によって定められており、請負契約とは違い、要望した成果がなくても報酬を支払わなくてはなりません。
委任契約で業務提携を結ぶことが多い職種は以下のとおりです。
- 弁護士
- 医師
- 不動産業
準委任契約
準委任契約は法律に関するもの以外で、成果物を提出しない仕事を業務委託として結びたい場合の契約を指します。
市場調査やイベントの受付業務、講演会やエステ施術など委任契約よりも業務内容が幅広いことが多いです。
準委任契約で業務提携を結ぶことが多い職種は以下のとおりです。
- 研究・調査業務
- コンサルタント(成果物の完成責任なし)
- 受付
- 美容師
- エステティシャン
業務委託で発生する労務管理項目
業務委託は雇用契約や派遣契約と性質が異なるとはいえ、労務が管理しなければならない業務が複数あります。
業務委託を結ぼうとしても労務が担当すべき管轄がしっかりと対応されていないと、委託先から信頼できないクライアントだと判断され、業務委託を締結できない可能性もあります。
ここでは、業務委託で発生する労務管理項目を4つ解説します。
スムーズに業務委託を依頼できるように、労務担当者はあらかじめ確認しておくと良いでしょう。
契約期間の管理
フリーランスや副業をしている人と業務委託契約する際には、必ず契約する期間を明確にしておきましょう。
期間を明確にしておかないと、委託先が期間内に成果物を提出できるかどうか判断できないだけでなく、想定していた期限内に成果物が提出されないことにつながります。
期間を決めたら契約書に内容を記載しておくだけでなく、契約書の内容に違反があった際には、期間内でも途中解除ができるように手配しておくと良いでしょう。
また、長期間のプロジェクトを依頼する際には、契約期間の延長に関する取り決めを事前にしておくようにしましょう。
業務内容の提示・進捗共有
依頼したい業務内容を明確にしておき、委託先に共有しておくことは適切な成果物を受け取るために必要不可欠です。
業務内容を明確に提示することは、事前に委託先が対応できるか否かの判断材料にもなるので、ミスマッチを防ぐうえでも役立ちます。
また、進捗の共有は指示命令に該当しないので、仕事が予定通りに運んでいるか確認するためにも、適切な間隔で確認しておくと良いでしょう。
報酬管理
成果物を納品してもらったら、きちんと事前に伝えた報酬を委託先に支払うようにしましょう。
契約の形態による成果物の認識が異なってしまうと、報酬の支払いでトラブルが発生してしまうので、契約前に報酬と成果物の確認を入念に実施しておくことをおすすめします。
また、成果物を納品したのちに業務を追加発注する際には、追加で報酬を準備する必要があります。
業務委託契約書の作成
契約期間や成果物、報酬などを明確に決定したら、契約に法的拘束力を持たせるためにも契約書を作成する必要があります。
リスク管理を適切にするためにも、口約束だけで業務委託を結ぶのはおすすめできません。
業務委託契約書を作成する際には、以下の項目を入れておきましょう。
- 実施業務内容
- 報酬
- 契約期間
- 権利と義務などの規定
業務委託で注意すべき労務管理項目
業務委託の範囲外の労働管理をクライアントが管理してしまうと、業務委託ではなく雇用契約や派遣契約として対応しなければなりません。
あくまでも業務委託として契約する場合は、範囲外の労務管理をしないように注意することが必要です。
ここでは、業務委託で注意すべき労務管理項目を3つ解説します。
勤務時間・場所の管理
業務委託は勤務する時間と場所を指定できません。
そのため、請負契約の場合は時間指定をしないように注意が必要です。
準委任契約でセミナーや授業を委託する場合は、セミナーや授業を実施する時間帯や場所を指定できます。
ただし、セミナーや授業の事前準備などの作業を実施する時間や場所は指定できないので注意しましょう。
指示命令
業務委託は委託先に指示命令権がないため、クライアントが委託先に細かく指示を送ることは避けるようにしましょう。
業務の指揮監督をしてしまうと労働契約と捉えられてしまうリスクが高まり、労働契約と同じ対応をしなければなりません。
あくまでもクライアントと委託先の立場は対等であり、両者に契約を拒否する権利があることを念頭に置くことが大切です。
専従業務の強制
専従業務とは自社以外と仕事をする契約を認めないことを指します。
業務委託では専従業務の強制ができないため、委託先の他クライアントとの契約について言及しないことが大切です。
ただし、競合他社の依頼を受けている場合もあるので、リスク管理のためにも社内の秘密情報がもれないような契約を結ぶことを意識しましょう。
【労務担当者は必見】業務委託で発生しやすいトラブル事例3選
労務管理が適切でないと、委託先とトラブルに発展してしまうことも少なくありません。
委託先とトラブルを起こしてしまうと、業務委託によるメリットをうまく享受できず、事業に大きな悪影響を及ぼしてしまいます。
ここでは、業務委託で発生しやすいトラブル事例を3つ解説します。
トラブル事例を予め把握しておくことでリスク管理がしやすくなるので、業務委託を採用している企業の労務担当者は確認しておくと良いでしょう。
報酬の認識違い
契約書などに報酬の支払額や支払いタイミングについて明記されていないと、委託先の認識違いからトラブルに発展してしまうことがあります。
源泉徴収額などの税金に関する取り決めを忘れてしまうことも多いので、指定の請求書を作成する、口約束ではなく契約書を作成して契約するなどの対策を講じておくことをおすすめします。
秘密情報の漏洩
委託先が競合他社と契約している場合、秘密情報が漏れてしまい、自社が不利な状況になる場合があります。
秘密情報のガイドラインを定めていないと、トラブルになった際に責任の所在があやふやになってしまうので、契約時にガイドラインを作成しておくことをおすすめします。
特に顧客情報を共有する場合、情報が漏れてしまうと社会的責任を追及されることもあるので、秘密情報の管理を徹底しましょう。
契約解除によるトラブル
契約解除時の取り決めを明確にしていないと、契約解除の状況によっては委託先から損害補償を求められるケースがあります。
契約解除する際には必ず委託先の同意を得て、実施するように心がけましょう。
労務の業務範囲を明確に理解して業務委託のトラブルを避けよう
この記事では業務委託を結んだ時に注意したい、労務業務の範囲について解説しました。
フリーランスや副業をしている人が増加傾向にあるため、業務委託を活用する企業が増えていくと推測されます。
業務委託をうまく活用するためにも、労務の業務範囲を明確にして、互いに不利益が生じることがない仕組みを整えることが大切です。
もし、業務委託の労働契約で悩みがある担当者がいましたら、多彩なバックオフィス代行サービスを提供している「まるごと労務」に相談してみてはいかがでしょうか。
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