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毎月の月末月初になると、「伝票入力や経費の確認作業」、「請求書の処理に追われて残業が常態化している」そんな経理担当者の方は少なくないはずです。加えて、2023年10月に本格スタートしたインボイス制度や改正電子帳簿保存法への対応、さらには人手不足が重なり、経理部門の負担は年々増しています。
こうした状況を打開する手段として、いま多くの企業が導入を進めているのが会計ソフトや経費精算ソフトをはじめとした経理ツールです。
この記事では、経理ツールの基本的な仕組みから導入のメリット、主要なカテゴリー、失敗しない選び方、そして実際の導入事例までをひと通り解説します。また、近年急速に進んでいるAI機能の搭載状況にも触れていますので、ツールの導入や乗り換えを検討する際の参考にしてみてください。
目次
経理ツールとは?いま注目される背景

経理ツールとは、日々の記帳や経費精算、請求書の発行・受領、決算業務といった企業のお金まわりの管理業務を自動化・効率化するためのITシステムのことです。近年はクラウド上で提供されるSaaS型のサービスが主流になっており、インターネット環境さえあればオフィスに出社しなくても作業できるのが大きな特徴です。
また、ここ数年で大きく変わったのがAI(人工知能)の活用です。かつてはOCR(光学文字認識)によるレシート読み取りや、ルールベースの自動仕訳が中心でしたが、2023年以降の生成AIの普及を受けて活用範囲が一気に広がりました。現在では社内問い合わせへの自動応答や、財務コメントの草案作成、さらにはBI(ビジネスインテリジェンス)ツールなどと連携して貸借対照表の異常値を自然言語で指摘するレベルにまで到達しています。こうした技術革新が、経理ツール導入の追い風になっています。
経理ツールを導入する4つのメリット

経理ツールを導入することで、企業や経理部門にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
以下の4つのポイントで整理します。
業務の効率化と工数削減
紙の伝票をもとにした手入力やエクセルでの集計作業は、どうしても時間がかかります。経理ツールを導入すれば、銀行口座やクレジットカードとデータ連携し、利用明細から自動で仕訳データを生成できるようになります。
たとえば、これまで月末月初に5営業日かかっていた月次締め作業が、ツール導入後に2営業日まで短縮されたケースもあります。経理担当者が毎月繰り返していた定型作業を減らせる分、経営データの分析や資金繰りの検討といった付加価値の高い業務に時間を振り向けられるようになります。
ヒューマンエラーの防止やミスの削減
手入力による金額の打ち間違いや、計算ミスといった人為的なエラーは、どれだけ注意していても完全にはなくなりません。経理ツールでは、銀行データとの自動マッチングや入力チェック機能によって、こうしたミスを仕組みとして防ぐことができます。
最近ではAIによる異常値検知も一般的になってきました。過去の取引データやルールと照合し、不自然な金額や記載ミスを自動で検出してアラートを出してくれる機能は、月末の繁忙期に目視確認の見落としリスクを大幅に減らしてくれます。正確なデータ管理は、決算のスピードアップと信頼性の向上に直結する部分ですので、見逃せないメリットです。
ペーパーレス化とテレワークへの対応
紙の領収書や請求書を電子データとして保存・管理できるようになれば、ファイリングの手間や保管スペースのコストを削減できます。経理部門は「出社しないと処理できない」と言われがちな部署ですが、クラウド型ツールの導入で完全リモートワーク化に成功した企業も出てきています。
電子帳簿保存法への対応もこの文脈で重要です。ツール側がタイムスタンプの付与や検索機能、訂正削除のログ管理を備えていれば、法令要件を意識しながら個別にファイル管理をする手間が大幅に軽減されます。
法改正へのスムーズな対応
クラウド型の経理ツールであれば、法令改正があるたびにベンダー側でシステムのアップデートが行われます。インボイス制度で求められる登録番号の記載チェックや、税率の適用判定といった複雑な要件も、システムに任せてしまえば担当者が個別に確認する負担は大きく減ります。
税制改正は毎年のように行われるため、手作業や古いシステムで対応し続けるのは現実的ではありません。自動アップデートに対応したクラウド型ツールの導入は、将来にわたってのリスクヘッジとしても有効です。
経理ツールの主なカテゴリー

経理ツールと一口に言っても、業務プロセスごとにさまざまな種類が存在します。ここでは代表的な5つのカテゴリーを紹介します。
1. 会計・記帳システム
企業のお金の動きを記録し、財務諸表(貸借対照表や損益計算書など)を作成するための、いわば経理業務のコアとなるシステムです。銀行やクレジットカードとの明細連携、AIによる自動仕訳提案、月次・年次の推移レポート作成などの機能を備えています。
個人事業主から法人まで幅広く利用されており、クラウド型では弥生シリーズ、freee、マネーフォワードの3社がシェアの大半を占めています。まだ会計ソフトを導入していない企業や、インストール型からの乗り換えを考えている企業にとっては、最初に検討すべきカテゴリーです。
2. 決算・資産管理システム
固定資産の減価償却計算や、月次・年次決算のプロセスを効率化・可視化するシステムです。固定資産台帳の管理を自動化し、税法に準拠した正確な償却計算を行ってくれます。決算期のタスク管理やチェックリスト機能を持つ製品もあり、決算業務の属人化を防ぐ効果も期待できます。
とくに固定資産を多く保有する製造業や不動産業では、台帳管理の工数削減による効果が大きく出やすいカテゴリーです。
3. 請求管理システム
売掛金の請求書作成・発行から入金確認、消込作業、さらには買掛金の支払管理までをカバーするシステムです。毎月発生する定期請求の自動化や、ワンクリックでのメール送信・郵送代行機能、未入金のアラート通知などが主な特徴です。
請求件数が月に数十件以上あるような企業では、エクセルでの手作業からシステムに移行するだけで、作成・送付・消込の工数を大幅に削減できます。銀行データとの自動マッチング機能を持つ製品を使えば、消込作業の工数を8割近く削減した事例もあります。
4. 経費精算システム
従業員が立て替えた交通費や交際費などの精算業務をシステム化するツールです。スマートフォンアプリから領収書を撮影するだけでAI-OCRがデータ化してくれたり、交通系ICカードの履歴を自動で読み込んだりといった機能が充実しています。承認フローもWeb上で完結するため、申請者・承認者・経理担当者のそれぞれの負担が軽くなります。
全社員が利用するシステムのため、ITリテラシーに関係なく使えるUI設計であることが選定時の重要なポイントになります。
5. 給与計算システム
勤怠データをもとに、毎月の給与や各種手当、社会保険料や税金などの控除額を正確に計算するシステムです。勤怠管理システムとの連携による残業代の自動計算、Web給与明細の発行、年末調整のペーパーレス化など、給与まわりの業務全般を効率化できます。
給与計算は法令に準拠した正確性が求められる一方で、計算ロジックが複雑になりがちです。属人化しやすい業務でもあるため、システム化によって担当者の負担を軽減し、引き継ぎリスクを減らす効果も見逃せません。
生成AI×経理ツールの注目トレンド

ここ1〜2年で、経理ツールにおけるAI活用は急速に進んでいます。もはや「AIが使えるかどうか」がツール選定の重要な判断基準になりつつあるといっても過言ではありません。
1. AI-OCRの精度向上
領収書や請求書の読み取り精度は年々向上しており、かつてはデジタル化率が30%程度だった紙証憑が、AI-OCRの進化によって95%近くまでデジタル化できるようになっています。手書きの領収書や、レイアウトが統一されていない書類でも高い精度で読み取れるようになったことで、入力工数の削減効果はさらに大きくなっています。
2. 生成AIの活用領域の拡大
2023年以降、ChatGPTに代表される生成AI技術の発展を受けて、経理ツールでの活用領域が一気に広がりました。具体的には、社内からの経費精算に関する問い合わせへの自動応答、財務コメントの草案作成、決算レポートのドラフト生成などに活用されています。
BOXILが2025年12月に実施した調査では、経理業務でAIを活用している担当者78人のうち、59人(約76%)が「効率が向上した」と回答しています。活用シーンとして最も多かったのは「書類や文章の記入ミス・漏れのチェック」で、AIが過去のデータと照合して不自然な点を指摘してくれる機能への評価が高いようです。
3. AIエージェントの登場
2025年から2026年にかけて注目を集めているのが「経理AIエージェント」です。従来のAI機能が人間の指示に応じて処理を行うものだったのに対し、AIエージェントは状況を自律的に判断してタスクを実行します。たとえば、出張申請の処理から経費精算、請求書の照合まで、一連の業務フローを人間の介入を最小限にしながら進めてくれるのが特徴です。
活用パターンとしては「質問回答型」「レビュー型」「ドラフト作成型」の3つに大別でき、自社のどの業務負荷を下げたいかに応じて適したタイプを選ぶことが重要になってきます。
4. AI活用時の注意点
ただし、AI機能に過度な期待を持つのは禁物です。海外取引や個別契約に基づく複雑な処理、内部統制にかかわる最終判断は、依然として人間が確認する必要があります。AIの出力を鵜呑みにせず、定期的に精度を検証するサイクルを回すことが、うまく運用するためのコツです。
また、導入前にはデータの整備も欠かせません。取引先名の表記ゆれを統一したり、入力フォーマットを標準化しておくだけでも、AIの精度は大きく向上します。
失敗しない経理ツールの選び方

経理ツールの導入で後悔しないためには、導入前の準備が欠かせません。
以下のポイントを順番に確認していくことがおすすめです。
自社の課題を明確にする
「請求書の消込が大変」「経費精算の差し戻しが多い」「月次決算に時間がかかりすぎる」など、どの業務に一番時間を取られているかを具体的に洗い出すのが第一歩です。課題があいまいなまま導入すると、高機能なツールを入れたのに活用範囲が限定的で投資に見合わない、という事態になりかねません。
「請求書処理時間を50%削減する」「月次決算を3日短縮する」といった具体的な目標を設定してから選定に入ると、ツールに求める機能が明確になります。
既存システムとの連携性を確認する
すでに導入している販売管理システムや勤怠管理システム、あるいはメインの会計ソフトとのAPI連携やCSVによるデータ連携がスムーズにできるかどうかは、導入の成否を分ける重要なポイントです。多くのクラウド型サービスはREST APIやCSVバッチでの連携に対応していますが、自社で使っているシステムとの接続実績があるかどうかは事前に確認しておくべきです。
従業員への使いやすさを検証する
経費精算システムのように全社員が使うツールでは、ITリテラシーが高くない社員でも直感的に操作できるかどうかが重要です。導入前にトライアル期間を利用して、実際に現場の社員に触ってもらうのが確実です。操作が難しいツールは定着しません。
サポート体制の充実度を確かめる
導入時の初期設定サポート、法改正時の情報提供、トラブル発生時のチャットや電話対応など、ベンダーが伴走してくれる体制があるかどうかも見落とせない要素です。とくに経理ツールは月次・年次の繁忙期に問題が起きやすいため、レスポンスの速さは意外と重要になります。
スモールスタートで始める
経理ツールは搭載されている機能も多いため予想外の使いにくさや現場への混乱も考えられます。そのため最初から全社展開するのではなく、特定の部署や業務に絞って2〜3週間ほど試験導入(PoC)を行い、効果を検証するアプローチがおすすめです。小規模で運用して現場の声を取り入れながら改善を重ねることで、全社展開したときの定着率が大きく変わってきます。
【まとめ】経理ツールの導入ならまるごと管理部にご相談ください

経理ツールは、単に「日常の作業を楽にするもの」にとどまりません。定型業務をシステムやAIに任せることで、経理担当者が経営データの分析や財務戦略の立案といった本来注力すべき業務に時間を使えるようになることが導入の大きな価値です。
また近年では、AIエージェントの登場やOCR精度の飛躍的な向上により経理ツールでできることの範囲は年々広がっています。一方で、経理ツール選びに正解はありません。大切なのは、自社の経理業務の中で「一番時間がかかっているアナログな作業」が何かを見極め、その課題を解決できるカテゴリーのツールからスモールスタートで導入することです。
経理ツールの新規導入や変更などバックオフィス業務の効率化に興味がある方は、多彩なバックオフィスサービスを提供している「まるごと管理部(経理プラン)」にぜひお気軽にご相談ください。
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