採用・労務・経理に関するお役立ち情報

2025.10.02 更新日:2025.10.08
この記事の監修者:今 啓亮

この記事の監修者:今 啓亮

エッセンシャルワーカーとは?代表的な職種や課題、対策を紹介

エッセンシャルワーカーとは、災害やパンデミックなどの緊急事態下でも、私たちの生活を支え続けるために必要不可欠な職業を指します。

本記事では、彼らが具体的にどのような仕事をしているのか、そして社会に貢献する一方で、どのような課題を抱えているのかを詳しく解説します。エッセンシャルワーカーについて理解を深める第一歩として、ぜひご一読ください。

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エッセンシャルワーカーとは

エッセンシャルワーカーとは

2020年、新型コロナウイルス感染症のパンデミックによって、私たちの生活は大きく変わりました。ロックダウンや外出自粛、3密を避ける呼びかけにより、多くの人がリモートワークへと移行しました。

しかし、そんな状況下でも、感染リスクと向き合いながら、私たちの暮らしを外で支え続けてくれた人々がいます。それが、エッセンシャルワーカーと呼ばれる方々です。

エッセンシャルワーカーの意味

エッセンシャルワーカーとは、「欠くことのできない、必須の」という意味を持つ「エッセンシャル(essential)」と、「労働者」を意味する「ワーカー(worker)」を組み合わせた言葉です。人々の日常生活に必要不可欠な仕事を担う人々を指します。

「ブルーカラー」「ホワイトカラー」との違い

エッセンシャルワーカーは、特定の「仕事」そのものを指す言葉ですが、職業を分類する言葉には「ブルーカラー」や「ホワイトカラー」も存在します。

  • ブルーカラー:主に肉体労働に従事する人々を指し、製造業や建設業などが含まれます。作業服の襟が青いことが多かったことから、この名で呼ばれるようになりました。
  • ホワイトカラー:事務作業や専門職など、主に頭脳労働に従事する人々を指します。白い襟のシャツを着るビジネスパーソンが多かったことに由来しています。

エッセンシャルワーカーには、肉体労働を伴う医療従事者や配達員(ブルーカラー的な側面)と、頭脳労働を行う医療研究者やIT技術者(ホワイトカラー的な側面)の両方が含まれるため、これらの分類とは少し異なる概念と言えます。

エッセンシャルワーカーの重要性が高まった背景

エッセンシャルワーカーの重要性が高まった背景

人々の生活を維持するために、感染リスクと向き合いながら働き続けるエッセンシャルワーカー。彼らをどう支えるべきかという議論が生まれたことが、この言葉が注目された大きな理由です。ここでは、エッセンシャルワーカーの需要が拡大した主な要因について解説します。

少子高齢化と労働人口の減少

現代の社会問題である少子高齢化は、エッセンシャルワーカーの需要が高まっている根本的な要因の一つです。労働人口が減少する一方で、介護を必要とする高齢者は増加しています。これにより、エッセンシャルワーカーの数が減少し、一人あたりの業務負担はさらに深刻化しています。人々の生活や福祉の課題と向き合う上で、彼らの存在はますます重要になっています。

新型コロナウイルス感染症による影響

新型コロナウイルス感染症が世界的に猛威を振るう中、各国の首脳が感染リスクと向き合いながら現場で働く人々に対し敬意を表したことで、エッセンシャルワーカーは広く認知されました。

パンデミックによって全体の求人数は減少した一方で、エッセンシャルワーカーの需要は急激に高まりました。特に、医療崩壊が懸念された医療現場では、安定した人材を確保するための求人が大幅に増加しました。

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エッセンシャルワーカーの具体的な職種

エッセンシャルワーカーの具体的な職種

厚生労働省は、「新型インフルエンザ等対策特別措置法」に基づき、国民生活や経済の安定に不可欠な業務を行う事業者を「登録事業者」として定めています。この制度では、登録事業者の従業員に対し、パンデミック発生時に優先的な予防接種(特定接種)を推奨しています。

この「登録事業者」の考え方が、新型コロナウイルス感染症のパンデミック下でも、エッセンシャルワーカーの具体的な職種を特定する際の参考とされました。

厚生労働省が定めるこの「医療提供業務または国民生活・国民経済の安定に寄与する業務を行う事業者」という定義をもとに、具体的にどのような職種がエッセンシャルワーカーに該当するのか見ていきましょう。

医療従事者や福祉関係者

エッセンシャルワーカーという言葉を聞いて、医療や福祉に携わる人々を思い浮かべる方は多いでしょう。人々の命と健康、そして暮らしを支える彼らは、いつの時代も社会に必要不可欠な存在です。

医師や看護師、薬剤師といった専門職だけでなく、医療機関の調理スタッフや清掃員、高齢者施設で働く介護福祉士、保育施設の保育士、障がい者支援施設の生活支援員なども含まれます。

命を預かる仕事として、感染リスクと向き合いながら、私たちの生活を最前線で支えてくれているのが、これらの人々です。

運送・物流業の従事者

生活必需品を店舗や個人宅へ届ける運送・物流業も、エッセンシャルワーカーの重要な一部です。

トラック運転手や郵便配達員といった陸運業をはじめ、船舶による海運業、飛行機による空運業など、運送に関わるすべての職業が、私たちの暮らしを支える上で欠かせない存在です。

教育・保育機関の従事者

幼稚園教諭、小・中学校の教師、大学・専門学校の教員など、教育・保育機関で働く人々もエッセンシャルワーカーです。

彼らは、新型コロナウイルス感染症が拡大した際も、リモート授業などを活用しながら子どもたちと向き合い続けました。このように、社会の状況に関わらず業務を続ける必要があるため、彼らもまたエッセンシャルワーカーと言えます。

公務員、生活インフラ、金融機関の従事者

公務員、生活インフラ、金融機関に携わる人々も、私たちの生活に欠かせないエッセンシャルワーカーです。

電気、ガス、水道、通信といったライフラインを維持・供給する人々は、いかなる状況でも業務を停止することができません。公共交通機関の運転士、ごみ収集業者、ガソリンスタンドのスタッフなどもこれに含まれます。

また、銀行や信用金庫の職員、保険会社の職員といった金融機関の従事者も、経済活動を支える上で必要不可欠です。もし金融機能が停止すれば、私たちのビジネスや生活に多大な影響が出てしまいます。

さらに、消防士や警察官、市役所の職員などの公務員も、住民が安全で快適に生活できる環境を守るために、決して業務を止めることができない重要な役割を担っています。

エッセンシャルワーカーが直面する課題

エッセンシャルワーカーが直面する課題

人々の生活に欠かせないエッセンシャルワーカーですが、実は賃金や待遇など、さまざまな課題を抱えています。ここでは、彼らが直面する具体的な問題点について解説します。

1. 低賃金・待遇の課題

多くのエッセンシャルワーカーは、その仕事の重要性に見合わない低賃金で働いています。介護士、保育士、清掃員、配達員などは、社会インフラを支える不可欠な職種であるにもかかわらず、報酬が低い傾向にあります。肉体的にハードな仕事が多いにもかかわらず、低賃金のために複数の仕事を掛け持ちする人も少なくありません。さらに、非正規雇用の割合が高いことも、賃金が上がりにくい一因となっています。

この状況が続けば、彼らのモチベーション低下や離職率の増加につながりかねません。エッセンシャルワーカーの待遇改善は、喫緊の課題と言えるでしょう。

2. 慢性的な人手不足

低賃金や待遇の課題が、慢性的な人手不足を引き起こしています。特に介護、医療、保育の現場では、長時間労働や過剰な業務負担が原因で離職率が高く、既存のスタッフへの負担がさらに増すという悪循環が生まれています。

労働環境や待遇を改善しなければ、この人手不足は解消されず、サービスの質の低下や、最悪の場合サービスそのものが提供できなくなるリスクがあります。日本の少子高齢化が進む中、この問題はますます深刻化しています。

3. 精神的負担の大きさ

エッセンシャルワーカーは、肉体的な負担だけでなく、精神的な負担も大きい職種です。医療従事者や介護職員は、日々患者や利用者と向き合う中でストレスが蓄積しやすい傾向にあります。また、人手不足のために十分な休暇が取れず、心身ともに疲弊してしまうケースも少なくありません。

彼らが心身ともに健康に働き続けられるよう、適切なメンタルヘルスケアの導入や、職場環境の改善が急務です。

4. 高い感染リスク

多くのエッセンシャルワーカーは、人と密に接する機会が多く、感染リスクの高い環境で働いています。医療従事者や介護職員、公共交通機関の従業員などは、感染症が流行してもリモートワークが難しいため、常にリスクと隣り合わせの状況で業務を続けなければなりません。

彼らの安全を守るためには、感染防止対策の徹底に加え、労働環境を見直し、一人あたりの負担を軽減する取り組みが不可欠です。

エッセンシャルワーカーへの支援と取り組み

エッセンシャルワーカーへの支援と取り組み

ここでは、政府や企業、団体がエッセンシャルワーカーを応援し、支援するために行った具体的な取り組みをご紹介します。

政府や企業によるサポート

2020年5月、新型コロナウイルス感染症に対応する医療従事者への感謝を示すため、航空自衛隊のブルーインパルスが東京上空を飛行しました。

また、2020年6月には、厚生労働省が医療従事者に対し、最大20万円を給付する「新型コロナウイルス感染症対応従事者慰労金」の事業を実施しました。この時期、スーパーやドラッグストアなどでも、従業員に特別手当を支給する動きが広まりました。

採用支援の動きが活発化

エッセンシャルワーカーの慢性的な人手不足を解消するため、採用面での支援も活発に行われました。

求人広告会社は、エッセンシャルワーカーの特集を組んだり、採用企業向けに無償サービスを提供したりするなど、積極的なサポートを実施しました。

また、日本看護協会は緊急事態宣言の翌日、約5万人もの離職看護師に復職を促すメールを送信。その結果、翌月までに696人の復職が実現しました。この取り組みは、人手不足の現場に大きな助けとなりました。

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エッセンシャルワーカーの採用課題と対策

エッセンシャルワーカーの採用課題と対策

エッセンシャルワーカーは、私たちの生活を支える上で不可欠な存在です。しかし、多くの職種が深刻な人手不足に直面しており、採用活動において様々な工夫が求められています。ここでは、代表的な職種ごとの課題と、その対策について解説します。

1. 看護師

看護師は、新型コロナウイルス感染症の最前線で命を守る、エッセンシャルワーカーです。しかし、仕事と家庭の両立の難しさや身体的な負担から、資格保有者が増えてもなお、人材の確保や定着は厳しい状況が続いています。

看護師の人手不足対策として最も有効なのは、離職の原因となる「働く環境」を改善することです。以下のような柔軟な働き方を導入することで、既存スタッフの離職を防ぎ、復職を希望する潜在看護師の採用を促すことが可能になります。

  • 勤務形態の選択肢を増やす:短時間正職員、変形労働時間制、ワークシェアリングなど
  • 勤務時間や曜日の柔軟化:時差出勤、フレックスタイム制の導入
  • 交代制勤務の多様化:2交代・3交代制の選択、夜勤の時間帯・回数の選択、日勤・夜勤のみの勤務
  • 業務のバリエーション拡大:学校での講義担当、専門看護師としての対外的な活動など
  • 雇用形態の柔軟な変更:常勤と非常勤を容易に変更できる制度
  • 勤務地限定の選択:特定の勤務地のみで働く職員制度

2. 保育士

働く親に代わり、子どもたちの命と成長を支える保育士は、エッセンシャルワーカーです。これまでも政府主導で様々な取り組みが行われてきましたが、保育需要の増加に反し、慢性的な人手不足が続いています。

保育士の人手不足対策として有効なのは、離職の主な原因である「賃金や待遇面」を改善することです。同時に、資格を持ちながら他の仕事に就いている潜在保育士への効果的なPRが重要となります。

  • 給与や休日の改善
  • 潜在保育士向け採用イベントの開催:職場の様子が見られる見学会、先輩保育士への質問会など
  • SNSでの積極的な情報発信:働きやすい環境づくりに関する取り組みをアピール

3. 介護士

少子高齢化に伴い、需要が増加する介護士は、エッセンシャルワーカーの中でも特に人手不足が深刻な職種です。有効求人倍率は全業種の2倍以上であり、早急な対策が求められています。

介護士の人手不足対策として最も有効なのは、離職の主な原因である「賃金への不満」と「入社後のミスマッチ」を改善することです。採用段階でミスマッチを防ぐことが、定着率向上につながります。

  • 応募者への明確な情報提供:事前に業務内容を具体的に伝える
  • 現場の声を反映した採用活動
  • 入社前後の徹底した不安解消サポート
  • 賃金以外の承認制度の導入:表彰式などを通じて職員の頑張りを評価し、モチベーションを高める

4. 警備員

新しい施設の増加やホームセキュリティの普及により、警備員の必要性は高まっています。しかし、体力的な不安や将来性の問題から、就職先として敬遠されがちな職種でもあります。

警備員の人手不足対策として有効なのは、「体力面や将来性への不安」を払拭することです。ターゲットを絞り、仕事のメリットと具体的な労働条件を明確にアピールすることが重要です。

  • 警備員のメリットを訴求:資格が不要、ノルマがない、定時で上がりやすいなど
  • 労働条件の明確化:夜勤の有無、シフトの融通、休暇日数など
  • 待遇面の明確化:手当、昇給・賞与、キャリアアップのモデルケースなど
  • 労働環境の明確化:勤務地(屋内か屋外か)、空調設備の有無、社員の年齢層など
  • 仕事内容の明確化:交通誘導、施設警備、輸送警備など、業務の詳細を伝える

5. 運送ドライバー

外出自粛でECサイトの需要が高まる中、運送ドライバーは私たちの生活を支える重要なエッセンシャルワーカーです。しかし、宿泊・飲食業界に次いで人手不足が深刻な業界の一つです。

運送ドライバーの人手不足対策として最も有効なのは、「低賃金・長時間労働」といったマイナスイメージを払拭することです。採用の段階から、企業の魅力を積極的にアピールしていく必要があります。

  • 女性ドライバーの採用促進:育児支援制度や女性に配慮した職場環境をPR
  • 労働環境の改善:長時間労働の削減、休日取得の促進など
  • イメージアップのためのPR:働きやすい制度や社風、社員同士の良好な関係性、特徴的な待遇などを積極的に発信する

6. 小売業

食料品をはじめとする生活必需品を、感染リスクの高い現場で提供してくれる小売業の従業員も、エッセンシャルワーカーです。しかし、労働環境や待遇への不満から、離職率が高くなりがちな業界です。

小売業の人手不足対策として最も有効なのは、離職の原因となる「労働環境」や「待遇面」を改善することです。これに加え、多様な人材の採用や業務の効率化も有効な手段となります。

  • 給与・待遇の改善:パート・アルバイト従業員の給与や待遇を見直す
  • 労働環境の整備:早出・遅出の2交代制、有給休暇取得の促進、子育て・介護との両立支援など
  • 多様な人材の雇用:シニア世代や外国人労働者を積極的に採用する
  • ITシステムの導入:無人レジ、セルフレジ、タッチパネル注文などを活用し、業務を効率化する

まとめ

まとめ

エッセンシャルワーカーは、その仕事の性質上、在宅勤務が難しく、常に感染リスクと隣り合わせの現場で私たちの生活を支えてくれています。しかし、こうした仕事の過酷さから、人手不足に陥りやすいという課題も抱えています。

現代の採用活動では、DX化による業務効率の改善、感染リスクの軽減、そしてシニア層や外国人材の積極的な採用、さらに採用手法そのものの見直しが重要です。

この記事が、エッセンシャルワーカーの重要性を改めて知っていただくきっかけとなり、採用に課題を抱える担当者の皆様へ、少しでも解決のヒントをお届けできていれば幸いです。

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この記事の監修者:今 啓亮
この記事の監修者:今 啓亮

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2015年に東京でマルゴト株式会社(旧社名:株式会社ビーグローバル)を創業。
スタートアップから大手企業まで幅広く採用関連のプロジェクトに携わった後、2017年に月額制の採用代行”まるごと人事”の提供を開始。
2021年にバックオフィス代行”まるごと管理部”(労務プラン・経理プラン)も開始。
「理想のサービスと理想の職場を同時実現する」を経営理念に掲げ、全員がフルリモートで働くユニークな組織運営を行う。
2022年に本社住所を東京から札幌に移転し、自身も関東から札幌に移住。

出演イメージ

2024年11月、ABEMAの報道番組「ABEMA Prime」に
採用のプロフェッショナルとして出演。
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